「ガスコージェネレーションシステム」 の導入によって
タイの工場で安定した電力確保とCO2排出量削減を実現しました。

発電設備により複数電源を確保し、排熱を利用してボイラを駆動

タイを拠点に衣料やインテリア、自動車などに使われるポリエステル長繊維・短繊維を生産し、グローバルに販売されているTeijin (Thailand) Limitedさま。同じくタイに本拠を置くTeijin Polyester (Thailand) と共に帝人グループのポリエステル繊維事業の一翼を担っておられます。今回、大規模な生産工場の操業を支えるユーティリティとして、「ガスコージェネレーションによる熱電供給サービス」 を導入された経緯を代表者の堀井 哲也さまに伺いました。

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Teijin (Thailand) Limitedさま 「ガスコージェネレーションによる熱電供給サービス」 導入の決め手

  1. 安定した電力確保と大幅なCO2排出量削減
  2. 総合効率を高める管理・運用
  3. 初期投資が不要

タイの系統電力に加えて自社電源の確保が長年の課題

代表者
堀井 哲也さま

当社は、タイ中南部のアユタヤ県バンパインに工場を構え、ポリエステル繊維を生産しています。そこで長く課題になっていたのが、電気をはじめエネルギーの確保でした。
理由は、タイは電力供給が安定しているとはいえず、特に雨季になると雷などが原因で系統電力の停電や瞬間的な電圧低下(瞬低)が頻繁に起こるためです。これに備えて以前は自家発電機を所有していましたが、2011年にタイ全域を襲った大洪水で当社も大きな被害を受け、操業が停止する事態に。世界中でお待ちいただいているお客さまに一日も早く製品を届けるため、生産設備の復旧を優先し、何とか操業再開を果たした経緯がありました。
それ以来数年間は、現地の系統電力のみで操業してきましたが、もし落雷によって受電設備が故障すれば、長期にわたる停電で工場の操業停止を余儀なくされるだけでなく、危険物を取り扱っているため停電による火災や爆発といった甚大の事故が発生する危険もあります。また停電や瞬低のたびに製造が滞り、製品ロスが発生することも悩みでした。そうした工場の安全性向上、停電による損失回避を図るため、自社でも電源を確保して電源を二元化する必要性を強く感じていました。
しかし、新たな発電機の導入は、当社にとって大きな投資になります。どうすべきか熟慮を重ねていたとき、K-ESTさんから 「ガスコージェネレーションによる熱電供給サービス」 を提案され、検討することになりました。

※関西電力の100%子会社である 「関西エナジーソリューションズ タイランド」 の略称

コージェネレーションによる大幅なCO2排出量削減効果を評価

「ガスコージェネレーションによる熱電供給サービス」 を評価したポイントは、まず信頼性の高い発電設備の導入によって、複数電源を確保できることです。発電設備容量は約10MW。工場で使用する電気の90%近くを賄える計算で、これなら現地の系統電力への依存を最低限に減らし、電力品質を高めることが可能になります。
もう一つは、コージェネレーションシステムによって発電の際に排出された熱を利用できる点です。ポリエステル繊維の製造工程では大量の蒸気を必要とします。従来は石炭燃料のボイラを使用していましたが、ガスエンジンからの排熱を利用した排ガスボイラに置き換え、石炭ボイラの稼働を減らすことで、CO2排出量を大幅に削減できます。環境負荷低減への取り組みは帝人グループにとっても重要な課題であり、グループの一員として当社もCO2排出量削減に力を注いでいます。本サービスは、この取り組みにおいても大きな力になると考えました。

決め手は 「エネルギーのプロ」 に管理・運用を一任できること

複数社から提案を受けたなかで、K-ESTさんのサービスを採用した決め手は、ユーティリティ設備の管理・運用を 「エネルギーのプロ」 に任せられること。コージェネレーションシステムの総合効率を上げるには、設備の導入後も工場の電力負荷や蒸気負荷を見極めながら適切に運用していく必要があります。エネルギー供給について多くの経験と知見をお持ちの関西電力グループのK-ESTさんに一任できるなら、これほど心強いことはありません。
それに加えて、初期投資不要で設備を導入できる点も、大きな評価ポイントでした。工場の稼働を支えるユーティリティ設備の新設は莫大な資金が必要です。本サービスならそれを抑え、本業である生産設備の増強に回すことができます。
もう一つの決め手は、K-ESTさんに対する信頼感でした。ガスコージェネレーションシステムの導入は、当社にとってはもちろん、K-ESTさんにとっても初めてのプロジェクトだと伺っていたので、設計から施工、運用まで問題なく進められるのか、最初は心配もありました。しかし、K-ESTさんは当社が納得できるまで議論を重ね、綿密な施工・運用計画を提示してくださいました。おかげでこれからもパートナーとして長くお付き合いしていけると思うことができました。

環境意識の高いお客さまの評価にもつながった

大きなトラブルや問題もなく、無事設置工事が終了し、2021年9月、運用を開始しました。自家発電とガスコージェネレーションシステムによってエネルギーの総合効率は80%以上にまで向上。現在は瞬低が発生した時にも設備を停止させず、生産の停滞を防ぐことができています。
エネルギー消費量、CO2排出量の削減については、当初想定していた以上の効果を実感しています。コージェネレレーションシステムの排熱を利用することで、1時間あたり約5トン、生産に用いる蒸気の約半分をつくれるようになりました。それに加えてK-ESTさんから新たにガスボイラを導入し、石炭の使用を完全に撤廃。合繊製造業界でも他に先駆けて、石炭を使わない生産を実現するとともに、CO2排出量の大幅削減が可能になりました。脱炭素に対する社会からの要請はますます大きくなっており、近年は欧米のお客さまを中心に、サプライヤーにも環境負荷低減の取り組み目標が課せられるようになっています。本サービスによってお客さまが求める目標をクリアし、当社の優位性を強くアピールできた点でもK-ESTさんの貢献は大きいと感謝しています。
また、K-ESTさんがユーティリティ設備を適切に管理・運用するだけでなく、工場全体の省エネについても当社スタッフと一緒に検討してくださることが、スタッフの省エネ意識の向上にもつながっています。
帝人グループは、温室効果ガス排出量を2030年度までに2018年度比で30%削減、2050年度までに実質ゼロにすることを目標に掲げ、排出量削減に取り組んでいます。グループの一員として当社も目標達成に向け、ますます省エネ・CO2排出量削減に努力していかなければなりません。K-ESTさんにはこれからも当社スタッフと協働でいっそうの省エネ・CO2排出量削減を進めてくださることを期待しています。タイには帝人グループ企業が7社あり、いずれも同じ目標に向かって取り組んでいます。当社に留まらず、今後は 「エネルギーのプロ」 としてタイにあるグループ企業の省エネ・CO2排出量削減にも力を貸していただきたいと思っています。

サービス概要

「熱電供給サービス」

「熱電供給サービス」

担当者のコメント

K-EST
(Kansai Energy Solutions
(Thailand) co., Ltd.)
矢木 General Manager

Teijin (Thailand) Limitedさまには、弊社の第一号案件として、ガスコージェネレーションを用いた熱電供給サービスをご採用いただきました。電源の二重化およびCO2削減の同時達成というお客さまの想いを達成すべく、設備の設計段階から工事完了までお客さまのご意見をお伺いしながらプロジェクトを進め、2021年9月に無事竣工を迎えました。
石炭ボイラから弊社サービスによるガスボイラにも切り替えていただき、Teijin (Thailand) Limitedさまの大半のエネルギーを弊社から供給させていただいております。今後も継続して安定かつ高効率な設備の運用に努めることで、お客さまの目標達成に貢献させていただきます。

Teijin (Thailand) Limitedさま
住所
1/1 Moo 3, Tambon Klong Nueng, Amphur Klong Luang, Pathumthani 12120 Thailand
H P
https://www.teijin.co.th/

1967年に設立し、50年以上にわたって帝人グループのポリエステル繊維事業の基幹工場としてポリエステルの生産を担ってきたTeijin Polyester (Thailand) Limitedが、生産力のさらなる向上を目的に、新たな生産拠点として1991年、Teijin (Thailand) Limitedを設立。2社が相互補完しながらポリエステル繊維を生産・販売し、事業拡充に大きな役割を果たしている。

*掲載の情報は2022年11月のものです。
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