全国初 一路線すべてのバスを電動化
路線バスの脱炭素化とランニングコストの削減に貢献する
電気バスパッケージサービス
今後も電気バスの導入拡大に向けて共に検討を進めてまいります

年間走行距離約2,400万キロ、1日の旅客数約18万人(いずれも2018年度)が利用する、大手路線バス会社の京阪バス株式会社さま。大阪、京都、奈良、滋賀に路線を展開し、人々の 「足」 を支える公共交通機関として活動されております。京阪バス株式会社さまが保有するバス約600台のすべてがディーゼルエンジン車であり、2050年の 「ゼロカーボン」 の達成において大きな課題となっていました。今回、同社のICT推進部兼経営企画室課長の大久保園明さまに、関西電力の電気バスパッケージサービスを導入された決め手や、関西電力と協定を結んだ経緯などについて伺いました。

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京阪バス株式会社さま 「電気バスおよび充放電設備」 導入の決め手

  1. 将来的なバスの自動運転、脱炭素化を考慮し電気バスを導入
  2. 関西電力と協定を結び、充放電設備の構築・エネルギーマネジメントで省エネ推進
  3. 非常時の緊急電源としての活用等、将来的なBCP対応に向けた展開

将来的なバスの自動運転、脱炭素化を考慮し電気バスを導入

ICT推進部 兼 経営企画室
課長 大久保 園明さま

当社は早い段階からバスの自動運転の研究に参画しており、その中で高い精度で車両を制御できる電気バスに注目していました。それに加えて、2018年から当社として路線バスの脱炭素化への取り組みを強化したこともあり、電気バスを先行して研究していた関西電力さんと意見交換をしながら電動化に向けた検討を行ってきました。

京阪グループはSDGsの達成に貢献するべく、京阪版SDGsとして位置づけた 「BIOSTYLE」 の取り組みを推進させております。そこで、かねてより検討をしていた電気バスを導入することで、環境負荷の低減はもちろん、燃料費やメンテナンスコスト等も削減できて、社会貢献と経済性の両立につながると考えました。そのような中で関西電力さんからバスの電動化に関するご提案をいただき、パートナーとして一緒に取り組むことになりました。

海外製の電気バスを導入することについては、機能面や安全性などでハードルを感じていました。しかし、実際に中国の深センにある当時唯一の電気バスメーカーBYD社へ工場見学に行き、電気バスの製造過程や車両機能、安全性、工場の品質管理等が我々の想像以上のクオリティであることを目のあたりにし、本格的に検討を進めていこうと判断しました。

関西電力と協定を結び、
充放電設備の構築・エネルギーマネジメントで省エネ推進

「電気バスを導入しませんか?」 という提案は、関西電力さん以外からもありました。そんな中、関西電力さんからは、電気バスの車両、充電器、エネルギーマネジメント、工事をパッケージでご提案いただきました。さらに、補助金の申請支援や導入後のサポートまで課題解決をトータルで対応いただけることが導入の決め手となりました。さらに、現状ではディーゼルエンジンバスに比べて電気バスは初期投資が高くなりますが、初期投資を抑えるためのリースをご提案いただいたことも導入の後押しとなりました。

脱炭素社会の実現や地域社会への貢献をさらに推し進めるために、関西電力さん、BYDジャパンさまとともに、電気バスの導入拡大に向けた協定を締結しました。当社は電気バスの導入および拡大や災害対策への活用、関西電力さんは電気バス用のエネルギーマネジメントの最適化、BYDジャパンさまは日本における電気バスの長期的な運用について、各社が新しい取り組みに協力しながら推進していきたいと考えています。

一路線すべてのバスを電動化。全国初の取り組み

現在、ステーションループバスにて走行する4両すべてのバスを電動化し、約15分間隔で運行しています。「1両で走行実験を重ねる」 といった考えは、初めからありませんでした。今、取り組まなければならないのは、日本のバス会社として電気バスを走らせることのメリット、デメリットを明確にすることです。そのためにも、1両だけではなく一路線をすべて電動化する必要があると考えました。

一路線すべてのバスの電動化は、全国でも初の取り組みです。5年間を目途に、このステーションループバスでCO2削減効果をはじめとする様々なデータの収集を行っていきたいと考えています。それに並行して、他の路線における電気バスの導入拡大も検討していきます。

●京阪バス 「ステーションループ」 についてはこちら
https://www.keihan.co.jp/traffic/specialtrain-goods/stationloopbus/

静かで排気ガスもなく、お客さまにも好評

今回、電気バスを導入したステーションループバスは、京阪電車七条駅、JR京都駅、JR梅小路京都西駅といった京都の主要な場所を停留所として使用しています。電気バスにしたことで、従来のようなエンジン音や排気ガスがないことに加え、揺れも少なくお客さまからもご好評をいただいています。

非常時の緊急電源としての活用等、将来的なBCP対応に向けた展開

BCP対応においても、電気バスを有効に活用できると期待しています。今回導入した電気バスは105kWhのバッテリーを積んでおり、災害時にはこれを緊急電源として使用することを検討しています。例えば、停電時に電気バスを活用して、ディーゼルバスに給油を行うポンプの動力源として電気を送ることで、より多くのバスが走行できるようになるのではないかと考えています。これを実現するために、設備構築および運用方法についても今後、検討していきます。

将来的に当社の他の営業所においても電気バスの導入検討を進めるために、当社が保有する路線バスをすべて電気バスに替えた場合のCO2削減効果や、それを実現するために何年かかるのかという試算を行っています。ゼロカーボンというテーマを考えた場合、水素燃料を含め、別のシステムが将来出てくるかもしれませんが、現時点で実現可能な最善の選択肢は、やはり電動化だと思います。これからも関西電力さんと協力しながら、電気バスの導入拡大に向けて取り組んでいきたいと考えています。

担当者のコメント

関西電力株式会社 ソリューション本部
開発部門 eモビリティ事業グループ
副長 外村 嘉崇

今回ご採用いただきました 「電気バスパッケージサービス」 は、「車両」 に加え、「充電器」、「エネルギーマネジメント」、「工事」 といった、電気バス導入に必要な設備を当社がパッケージ化し提供するサービスです。
電気バスはディーゼルバスに比べランニングコストの面でメリットが期待できるものの、初期投資額が高い傾向があるという課題があります。その課題に対し、当社はグループ会社の関電L&Aと協力のうえ、リースによるサービス提供を開始し、今回、京阪バスさまにもご採用いただきました。本サービスは、バス事業者さまはもちろんのこと、学校、ホテルなどで送迎バスをご使用のお客さまにもご利用いただけるサービスですので、電気バスをご検討のお客さまからのお問い合わせをお待ちしております。

関西電力株式会社 ソリューション本部
開発部門 eモビリティ事業グループ
北垣 佑芽乃

2021年2月に、京阪バスさまとBYDジャパンさまと当社の3社で電気バス導入に係る協定を締結し、脱炭素社会の実現に向けて、順次、電気バス導入を進めることとしています。
今回、その第一ステップとして、JR京都駅と京阪電車七条駅、及び梅小路を結ぶ路線バス 「ステーションループバス」 の全車両(4両)を電気バスにしており、これは全国で初めての取り組みです。今後、環境性と経済性の両立を目指しながら、保有する全ての路線バスの電動化に向け、当社はエネルギー分野を中心にご協力させていただき、ともに検討を進めていきたいと考えています。

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京阪バス株式会社さま
住所
京都市南区東九条南石田町5番地
H P
https://www.keihanbus.jp/
事業内容
道路運送法による自動車運送事業、自動車の管理及び運転代行業等

1922(大正11)年7月20日設立。大阪府、京都府、滋賀県で10の営業所を展開。京阪電鉄を中心とする京阪グループの一員として路線バス、高速バス、空港リムジンバス、定期観光バス、貸切バス等の安全快適なバス運送サービスを提供する他、ホテル、オフィス等不動産賃貸業等関連事業も幅広く展開。創業100年を機に、さらなる飛躍を目指す。

*掲載の情報は2022年2月のものです。