太陽光パネルの廃棄方法は?2030年代への課題や対処方法を解説
2025.2.27
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目次
太陽光パネルは設置している施設の解体や経年劣化、故障等のタイミングで廃棄すべきです。
ただし、太陽光パネルは鉛やカドミウム等の有害物質を含むおそれがあるため、廃棄時には適切な処理が求められます。廃棄の手順やコスト等を事前に理解しておけば、太陽光発電設備の導入を検討する際に役立つでしょう。
この記事では太陽光パネルの廃棄に関する基本的な知識や問題点、手順等を解説します。
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太陽光パネルは2030年代に大量廃棄が予想されている

太陽光パネルは一般的に20~30年の寿命を持つとされています。日本では、2012年7月に固定価格買取制度(FIT)が開始され、急速に発電事業者が増加しました。
FIT制度によって太陽光発電設備の導入が急速に進んだため、2030年代後半以降に、初期に設置された多くのパネルが寿命を迎え、年間50~80万トンの大量廃棄が発生すると予想されています。
大量廃棄によって不法投棄や有害物質の流出等が増加するおそれがあるため、リサイクルや廃棄費用の積立制度の整備等が必要です。
太陽光発電設備を設置する際は、将来を見据えた適切な処理方法まで含めて検討しましょう。
太陽光パネルの寿命についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光パネルの寿命はどれくらい?劣化要因と長持ちさせるポイントを紹介
太陽光パネルの廃棄方法
太陽光パネルは原則として産業廃棄物に該当します。これは、発電事業者による事業活動で出る廃棄物であるためです。
太陽光パネルは、有害物質である鉛やカドミウム、セレン等を含んでおり、人体や生態系に悪影響を及ぼすおそれがあるため、適切な処理が必要です。
パネルを取り外して分解するには専門的な知識や技術が求められるので、太陽光発電設備を廃棄したい場合は、複数の種類の処理許可を取得している専門事業者に依頼しましょう。
専門業者に依頼する流れは以下のとおりです。
- 1.専門業者への連絡
- 2.見積り依頼
- 3.本体の解体・撤去
- 4.部材の分解・処分
まずは、太陽光発電設備を購入した販売店や施工業者、あるいはメーカーの相談窓口に連絡して撤去を相談しましょう。専門業者によって撤去費用が異なるので、複数の業者に見積りを依頼し、比較すると良いです。
依頼する専門業者が決まったら、太陽光発電設備の解体と撤去が始まります。部材の分解や処分は専門業者が行うので、基本的に所有者が何かをする必要はありません。
上記の手順によって、安全かつ適切に太陽光発電設備の廃棄が行われます。自己判断での撤去や廃棄はリスクがあるので、自己所有していても必ず専門業者に依頼しましょう。
廃棄以外にはリユースやリサイクルも方法としてあるため、詳しくは後述します。
太陽光パネルを廃棄するタイミング
太陽光発電設備の廃棄は、次のタイミングやケースで専門業者に相談しましょう。
- ●パネルを設置している施設や住宅を解体する時
- ●パネルの経年劣化や故障で取り替える時
- ●自然災害によってパネルが破損した時
上記を順番に解説します。
パネルを設置している施設や住宅を解体する時
工場や住宅の屋根に設置された太陽光パネルは、建物の解体時に撤去が必要です。パネルの取り外しには専門的な技術と安全対策が求められるため、専門業者への依頼が推奨されます。
なお、建物のリフォーム後や太陽光パネルを別の場所で再利用する場合は、パネルを廃棄せずに一時的に保管し、改めて設置します。
パネルの経年劣化や故障で取り替える時
経年劣化や自然災害が原因で太陽光パネルが割れる、パワーコンディショナーが故障する等のトラブルが発生する場合があります。
トラブルが発生した太陽光発電設備を廃棄せずに運用すると、発電効率の低下のみならず、電気系統からの発火や割れた破片の飛散等を招くおそれもあるため、専門業者に依頼して、適切に廃棄しましょう。
関連記事:太陽光発電の発電効率・変換効率とは?計算方法や効率低下の原因・上げる方法を紹介
自然災害によってパネルが破損した時
台風や強風、地震等の自然災害で太陽光パネルが破損し、屋根や設置場所から落下するケースがあります。
落下した太陽光パネルは通電しているおそれがあり、不用意に触れると感電する可能性が高いです。
そのため、自然災害によって太陽光パネルが落下、あるいは破損している場合は、個人での対応は避け、速やかに専門業者に連絡しましょう。
太陽光パネルの廃棄に必要な費用
次の表は、太陽光発電設備の廃棄等費用の額と内訳をまとめたものです※。
項目 | 1kWあたりの廃棄等費用の目安 |
---|---|
仮設工事 | 0~1.87万円 |
解体・撤去工事 | PVパネル・架台 : 0.23~7.14万円 |
基礎 : 0.16~1.19万円 | |
整地工事 | 0~0.52万円 |
廃棄処理 | 収集運搬 : 0.03~0.06万円 |
中間処理 : 0.02~13.25万円 | |
最終処分 : 0.02~0.49万円 | |
合計 | 0.30~28.51万円 |
太陽光発電設備の設置状況や事業者によって異なりますが、廃棄費用はコンクリート基礎なら約1.4万円/kW、スクリュー基礎なら約1.1万円/kWが中央値です。
なお、発電容量が10kW以上の産業用太陽光発電設備は、太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度の対象となります。
発電事業者が将来の廃棄費用を確実に確保するため、解体等積立金の積み立てが義務付けられます。
積立金は、電力会社が発電事業者からの売電収入から控除し、電力広域的運営推進機関に積み立てられるため、自社で廃棄費用を計算して積み立てておく必要がありません。
太陽光パネルの廃棄を巡る問題
FIT制度に参加している産業用太陽光発電設備は、廃棄等費用積立制度によって廃棄費用を積み立てているため、廃棄する段階で費用を捻出する問題が発生しにくいです。
しかし、次の廃棄を巡り問題が発生する点に注意しましょう。
- ●不法投棄
- ●有害物質の流出
- ●処分場不足
上記を順番に解説します。
不法投棄
太陽光発電事業は参入障壁が低く、多様な事業者が参入しています。
しかし、廃棄処理には高額なコストが伴うため、事業終了後に設備が放置されたり、不法投棄されたりするケースは少なくありません。
廃棄等費用積立制度は不法投棄を減らす目的のある制度ですが、あくまでもFIT制度に参加している事業者が対象です。
FIT制度に参加していない事業者が所有する土地で運営されている太陽光発電設備では、廃棄処理が適切に行われず、設備が放置されるケースがあります。
適切な廃棄処理を行わないと、環境汚染や地域住民への影響が懸念されるため、太陽光発電設備を導入する企業は、責任を持って廃棄費用を確保し、適切な処理を行いましょう。
有害物質の流出
太陽光パネルには次の有害物質が含まれています。
- ●鉛
- ●セレン
- ●カドミウム
鉛やカドミウムは土壌や水質を汚染し、生態系や人間の健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。適正な処理を行えば影響を回避することは可能です。
そのため、太陽光パネルの廃棄時には、含まれる有害物質を適正に処理する知識と技能が求められます。
処分場不足
太陽光パネルには鉛やカドミウム等の有害物質が含まれているため、水漏れ防止設備を備えた管理型最終処分場で処分します。
しかし、太陽光発電の普及に伴い、廃棄されるパネルの量が急増すると、既存の管理型最終処分場だけでは不足する可能性が高いです。
土地の確保は必要ですが、同時に太陽光発電のリサイクル技術の開発や再利用の促進も求められます。
太陽光パネルの廃棄問題を解決する方法
太陽光パネルは不法投棄や有害物質の流出、処理場不足等の問題が指摘されています。
廃棄問題を解決する方法は以下のとおりです。
- ●太陽光パネルを正しく処分する仕組みづくり
- ●太陽光パネルの適切な処理方法の確立
- ●太陽光パネルのリユースやリサイクルを促進する取り組み
上記を順番に解説します。
太陽光パネルを正しく処分する仕組みづくり
太陽光パネルを正しい手順で廃棄すれば、環境や社会に悪影響を及ぼすリスクを最小限に抑えられます。
正しい手順で廃棄するにはコストがかかるため、2022年7月より太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度が義務化されました。
太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度のような、正しく処分する仕組みづくりが進めば、廃棄問題の解決に大きく前進します。
太陽光パネルの適切な処理方法の確立
太陽光パネルに含まれる鉛やカドミウム等の有害物質の情報は、専門業者や自治体等で共有されています。
2017年12月に太陽光発電協会は 「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」 を策定しました。
太陽光パネルに含まれる有害物質の情報や適正な処理方法等が詳しく解説されており、事業者は適切な対応を行うことが可能です。
太陽光パネルのリユースやリサイクルを促進する取り組み
最終処分場の逼迫を緩和し、資源を有効活用するために太陽光パネルのリユース(再使用)やリサイクル(再利用)が推進されています。
例えば、あるメガソーラー発電所で高効率な太陽光パネルへの交換が行われた際、2年間使用していた太陽光パネル約8,000枚がリユース可能であると確認され、別の発電事業者で再使用されました。
2000年に公布された循環型社会形成推進基本法は、廃棄物の発生抑制のためにリユースやリサイクルを推進しており、事業者や国民は廃棄物の適正処理と資源の有効利用に努める義務を負っています。
太陽光発電設備の状況にもよりますが、今後は廃棄以外にリユースやリサイクルの促進が活発になる可能性が高いです。
太陽光発電設備を導入する場合は廃棄を見据えて信頼できる業者に依頼する
太陽光発電設備の廃棄処理に関する責任は、廃棄物処理法に基づき排出者にあります。排出者には太陽光発電事業者が含まれるので、自己所有の太陽光発電設備を廃棄する際は、所有者自身が責任を持って廃棄の手続きを進めます。
なお、太陽光発電設備の廃棄をする際は、廃棄処理に伴うリスクを抑えるため、環境への配慮や安全対策を徹底した、高い信頼のある業者に依頼しましょう。
太陽光発電設備を導入するなら関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」がおすすめ

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太陽光パネルは正しい手順で廃棄しよう
太陽光パネルの廃棄は、所有者が適切に対応する責任があります。不適切な処理は環境汚染につながり、法令違反となるため、専門業者に相談して正しい手順で廃棄を進めましょう。
なお、FIT制度に参加している産業用太陽光発電設備の場合、廃棄費用は 「廃棄等費用積立制度」 に基づき、事前に外部で積み立てられます。そのため、所有者が廃棄費用を積み立てる必要はありません。
関西電力の
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監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
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