FIT法とは?制度の仕組みや申請方法・改正法のポイントを紹介

2025.3.21

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FIT法とは?制度の仕組みや申請方法・改正法のポイントを紹介

FIT法は、再生可能エネルギーを普及させるために、電力会社が一定価格で電気を買い取ることを定めた法律です。

日本では東日本大震災を機に、エネルギー自給率の低さが問題視され、2012年にFIT法が施行されました。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスが対象で、一定の認定を受けることで売電が可能になります。

また、2017年の改正FIT法では、未稼働設備の問題等、いくつかの課題を解決するために制度の見直しも行われています。

この記事では、FIT法の基本や改正のポイント、FITへの申請方法等を紹介します。

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FIT法とは

FIT(Feed in Tariff)法は、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定期間一定価格で買い取ることを国が約束する固定価格買取制度(FIT制度)について定めた法律です。2011年8月に制定され、2012年7月に施行されました。

買取価格を国が保証し、電力会社が買い取る費用の一部を電気の利用者から「賦課金」として集めることで、まだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えています。

FIT法制定の背景・目的

FIT法は、再生可能エネルギーの普及を推進するために制定されました。その背景には、日本のエネルギー事情や環境課題があります。

日本のエネルギー自給率は2022年度時点で12.6%にとどまり、現状はエネルギーの大半を海外からの輸入に頼っています。

また、化石燃料の使用によるCO₂排出量の増加や環境負荷の拡大が懸念されています。

この状況を改善するために制定されたFIT法の主な目的は、以下のとおりです。

  • ●エネルギー自給率の向上
  • ●CO₂排出量の削減・環境負荷の軽減
  • ●技術開発の促進と国際競争力の向上

日本では、エネルギーの安定供給を確保することが求められており、再生可能エネルギーの普及により持続可能なエネルギー供給を実現する必要があります。国内の電力供給能力を強化することで、海外へのエネルギー依存を低減することが重要です。

加えて、再生可能エネルギーを使用することで化石燃料の使用を抑えることができれば、CO₂排出量の削減・環境負荷の軽減につながります。

さらに、再生可能エネルギー分野の技術革新を推進することで、日本のエネルギー技術の国際競争力を高めることもFIT法の狙いのひとつです。

FIT法の対象となる再生可能エネルギー

FIT法の対象となる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つです。国が定める要件を満たす事業計画を策定し、その計画に基づいて新たに発電を始める方が買い取りの対象となります。

種類 特徴
太陽光発電
  • ●太陽電池を使用して太陽光で発電する方法
  • ●非常用電源にも活用でき、家庭用から大規模発電まで普及している
風力発電
  • ●風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて発電する方法
  • ●大規模に発電すると、火力・水力並みのコストで発電が可能
水力発電
  • ●高い所に貯めた水を落とすことで水車を回して発電する方法
  • ●安定して長期間の運用でき、信頼性が高い
地熱発電
  • ●地中から取り出した蒸気でタービンを回して発電する方法
  • ●大規模開発が可能で、昼夜を問わず24時間発電できる
バイオマス発電
  • ●生物資源を直接燃焼したり、ガス化したりして発電する方法
  • ●廃棄物を活用して発電ができ、廃棄物の削減も可能

太陽光発電のFIT・FIPでの買取価格

太陽光発電の場合、2023年度以降のFIT・FIPでの1kWhあたりの買取価格は、次のとおりです(FIPについては記事の後半で詳しく紹介します)。

太陽光発電のFIT・FIPでの調達価格/基準価格(2023年度以降)

  2023年度 2024年度 2025年度
入札制度適用区分 入札制度により決定
第16回9.5円
第17回9.43円
第18回9.35円
第19回9.28円
入札制度により決定
第20回9.2円
第21回9.13円
第22回9.05円
第23回8.98円
入札制度により決定
50kW以上
(地上設置)
9.5円9.2円8.9円
10kW以上
50kW未満
10円10円10円
50kW以上
(屋根設置)
4~9月 : 9.5円
10~3月 : 12円
12円11.5円
10kW以上
50kW未満
(屋根設置)
4~9月 : 10円
10~3月 : 12円
12円11.5円
10kW未満 16円16円15円

FITでの買取価格は、事業が効率的に行われた場合、通常必要なコストを基礎に、価格目標や適正な利潤等を勘案して定められます。具体的には、中立的な調達価格等算定委員会の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。

なお、大規模太陽光発電では入札制度が導入されています。2023年度、2024年度の場合、250kW以上が入札制度の対象(屋根設置は適用対象外)です。

改正FIT法で見直しされたポイント

改正FIT法で見直しされたポイント

FIT制度がスタートしてから期間が経ち、いくつかの課題が顕在化するなかで、制度の見直しに向けて2017年4月に 「改正FIT法」 が施行されました。

改正FIT法では、主に以下の課題の解決に向けて見直しが行われています。

  • ●太陽光に偏った導入となっている
  • ●再エネ賦課金により国民の負担が増大している
  • ●電力システム改革を活かした取引・流通の実現が必要

改正FIT法で対策されたポイントとしては、次の点が挙げられます。各ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

対策されたポイント 概要
未稼働案件の防止 認定制度の見直し(運転開始の期限が設定される等)
コスト効率的な導入 大規模太陽光発電での入札制度の導入等
リードタイムの長い電源の導入 地熱・風力・中小水力・バイオマス等の導入を推進
減免制度の見直し 賦課金の減免措置について減免率を見直し
送配電買取への移行 買取義務者を小売事業者から送配電事業者に変更

未稼働案件の防止

事業計画認定の制度が見直しされ、そのなかで未稼働案件を防止する仕組みが取り入れられています。旧FIT制度では、権利のみを押さえ、運転開始に向けた取り組みを行わない未稼働案件が一定数存在することが課題となっていました。

改正FIT制度では以下の運転開始期限が設定され、認定日から運転開始までの期限を超過した設備へペナルティが設定されています。

  • ●10kW以上 : 期限(3年)を超過すると調達期間を短縮
  • ●10kW未満 : 期限(1年)を超過すると認定が失効

コスト効率的な導入

買取価格を低減して国民負担を抑えることに向けて、大規模の産業用太陽光発電(2024年度は250kW以上)に入札制度が導入されました。募集容量に達するまで入札が行われ、買取価格が決定されます。

また、事業者の努力やイノベーションを促すために電力ごとに中長期的な価格目標が設定されています。産業用太陽光発電の場合は、2020年で発電コスト14 円/kWh、2030年で7円/kWhという目標が掲げられています。

リードタイムの長い電源の導入

改正FIT法では、数年先の認定案件の買取価格をあらかじめ決定して提示する仕組みが取り入れられています。この仕組みにより、地熱・風力・中小水力・バイオマス等のリードタイムの長い電源も、旧制度に比べて導入しやすくなっています。

減免制度の見直し

一定の基準を満たす事業所は、賦課金の減免措置の適用が受けられます。減免率は、改正FI法では製造業等で8割、その他は4割の減免に変更されています(旧制度では一律8割)。

送配電買取への移行

FIT電気の買取義務者が、小売事業者から送配電事業者に変更されました。電力の広域融通が可能になることで、再生可能エネルギーの導入拡大が期待されます。

FIT制度への申請方法(事業計画認定の手続き方法)

FIT制度への申請方法(事業計画認定の手続き方法)

FIT制度による売電を行うためには、発電設備を認定してもらうための「事業計画認定」の手続きが必要です。

事業計画認定の手続きは、電子申請により行います。50kW以上と50kW未満の太陽光発電について、手続き方法をそれぞれ見ていきましょう。

50kW以上の太陽光発電の場合

50kW以上の太陽光発電の場合は、以下の流れで事業計画認定の手続きを行います。

  • 1.事前に 「GビズID」 のアカウントを取得
  • 2.電子申請用のホームページにアクセスして申請書を作成
  • 3.申請書をプリントアウトした後、GビズID認証を実施
  • 4.申請書と返信用封筒を管轄の経済産業局へ送付
  • 5.認定通知書が申請者を受け取る

「GビズID」 は、経済産業省が提供するさまざまな行政サービスが利用できるサービスです。FIT制度への申請の際には、GビズIDのプライムまたはメンバーのアカウントが必要です。GビズIDのホームページからアカウントが取得できます。

アカウント取得後に、再生可能エネルギー電子申請ホームページから申請書を作成し、プリントアウトします。申請書は返信用封筒とともに、発電設備の立地場所を管轄する経済産業局に送付します。

認定までの期間は3ヶ月程度で、認定後に 「認定通知書」 が届きます。

50kW未満の太陽光発電の場合

50kW未満の太陽光発電の場合は、以下の流れで事業計画認定の手続きを行います。経済産業局への書類送付は不要で手続きができます。

  • 1.電子申請用のホームページにアクセスして申請書を作成
  • 2.認定を受けると通知のメールが届く
  • 3.メールを確認し、認定通知書をダウンロード

FIT法の課題とFIP制度

FIT法の課題とFIP制度

FIP(Feed-in Premium)制度は、再生可能エネルギーの発電事業者に対して、市場価格と連動した売電収入に加えて、所定の基準に基づくプレミアム(補助額)が支払われる制度です。

FIT制度の課題を背景に、2022年4月にFIP制度がスタートしました。FIT制度では、主に以下の課題を抱えています。

  • ●賦課金の負担が大きくなっている
  • ●FIT制度は電力市場から切り離された制度である

売電価格が市場価格に連動するFIP制度を導入することで、投資インセンティブを確保し、電力市場への統合国民負担の抑制が期待されています。

なお、一定規模以上の発電設備(2024年度は太陽光発電の場合は250kW以上)においては、新規認定ではFIP制度のみが認められます。

また、FIT制度が認められる場合も、50kW以上は事業者が希望する場合、FIP制度による新規認定が可能です。また、50kW以上ですでにFIT認定を受けている場合も、事業者が希望する場合、FIP制度に移行できます。

FIP制度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

改正再エネ特措法が2024年4月から施行

2023年度にもFITに関する法律(再エネ特措法)が改正され、2024年4月から施行されています。これはFIT開始から3回目の大きな改正です。

  • ●1回目 : 2017年施行(未稼働案件の防止、入札制度の導入等)
  • ●2回目 : 2022年施行(FIP制度の導入等)
  • ●3回目 : 2024年施行(説明会等のFIT/FIP認定要件化等)

2012年にFIT法が施行された当初の正式名称は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」でした。

2022年にはFIP制度の導入等を含む法改正とともに「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に名称が変更されています。

現在ではFIP制度を含むことから、略称として「FIT法」 ではなく、「再エネ特措法」と呼ばれることも多くなっています。

2024年4月から施行された再エネ特措法は、主に以下の内容で改正されています。

  • ●説明会等のFIT/FIP認定要件化
  • ●認定事業者の委託先・再委託先に対する監督義務を規定
  • ●違反時のFIT/FIP交付金を一時停止する措置を創設

太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入が促進されるなかで、稼働中の安全、防災、景観・環境への影響、将来の廃棄等への懸念が高まっており、改正法ではその対策が盛り込まれています。

卒FIT後の対応について

「卒FIT」 はFIT制度の適用が終了することです。FIT制度による買取期間は再生可能エネルギーごとに決まっており、太陽光発電の場合は10kW以上の産業用の設備で20年間、10kW未満の家庭用の設備で10年間です。

卒FITを迎えたら、以下のような対応を選択することになります。

  • ●売電を継続する
  • ●自家消費に切り替える

売電を継続する場合は、いまの電力会社に売電を続ける方法の他に、卒FITを機に電力会社を切り替えて売電する方法もあります。

また、すべて自家消費して電気料金の削減に役立てるのも方法のひとつです。自家消費の際には、蓄電池を導入して余剰電力を蓄電して消費する方法もあります。

卒FITについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

太陽光発電を導入するなら関西電力 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

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関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能なオンサイトPPA「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。

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太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※2。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。

また、オプションでFIT制度による余剰電力の売電が選べます。休日や就業時間後の電力使用量が少なくなるタイミングで余った余剰電力を売電すると、電気料金のさらなる削減効果を得ることが可能です

関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。

「割引プラン」 や、補助金の申請をサポートする「補助金サポート」等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※3

ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電「コーポレートPPA」 をご検討ください。

  • ※1 途中解約には違約金が発生します。
  • ※2 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • ※3 割引プランは、補助金との併用はできません。

FIT法を理解して再生可能エネルギーの活用を進めよう

FIT法は、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間一定価格で買い取る制度(FIT制度)について定めた法律です。エネルギー自給率の課題等を背景に再生可能エネルギーの普及に向けてFIT制度が導入されました。

2017年4月施行の改正FIT法では、認定制度の見直し、入札制度の導入等、国民負担の抑制等の目的に向けて対策が取り入れられています。ぜひFIT法を理解して再生可能エネルギーの導入を進めていきましょう。

関西電力では、FIT制度による売電にも対応したPPAモデルの「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。導入から運用まで関西電力グループが一貫してサポートします。まずはWebページ等からお気軽にお問い合わせください。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

サービス概要資料

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