オフィスビルの省エネ対策とは?メリットや具体的な方法を解説

2025.1.23

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オフィスビルの省エネ対策とは?メリットや具体的な方法を解説

オフィスビルで省エネ化を目指せば、電気料金の削減や不動産価値の向上等のメリットを得られます。

ビル全体を省エネ化するためには、まず現状のエネルギー使用量等の実態を正確に把握することが重要です。そのうえで、改善すべきポイントを分析し、正しい対策を実行しましょう。

この記事では、オフィスビルにおける省エネ対策について解説します。電気料金の削減方法のひとつとして太陽光発電設備の導入についても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

オフィスビルの省エネとは?

オフィスビルの省エネとは?

オフィスビルの省エネとは、ビル全体のエネルギー使用量を削減する取り組みや行為を指します。方法には、省エネを呼びかけて電気の使い方を見直す他、省エネ性能の高い空調設備や太陽光発電設備等の導入が挙げられます。

エネルギー使用量の削減は、政府が掲げる温室効果ガス排出量削減目標の実現に大きく貢献できる取り組みです。

特に、オフィスビルは多くの人が日常的に利用する施設のため、省エネ化が求められます。

オフィスビルのエネルギー消費割合と種類

次の表は、オフィスビルのエネルギー消費割合を種類ごとにまとめたものです。

エネルギー消費の種類 消費割合
照明 40%
コンセント 32%
空調 28%

エネルギー消費の種類をさらに細かく分類すると、オフィスビルでは次のような機器にエネルギーを消費しています。

エネルギー消費の種類 主なエネルギー消費機器
熱源 熱源本体 冷凍機、冷温水機、ボイラ等
補機動力 冷却水ポンプ、冷却塔、冷温水 1 次ポンプ等
熱搬送 水搬送 冷温水 2 次ポンプ
空気搬送 空調機、ファンコイルユニット等
給湯 熱源本体 ボイラ、循環ポンプ、電気温水器等
照明・コンセント 照明 照明器具
コンセント 事務機器等
動力 換気 駐車場ファン等
給排水 揚水ポンプ等
昇降機 エレベーター、エスカレータ等
その他 その他 トランス損失、店舗動力、等

実際と異なる場合もありますが、一般的なビルでは最もエネルギー使用量が多い設備は、照明です。

次いで、コンセントや空調も高い割合を占めるため、ビルで省エネに取り組む場合は、照明、コンセント、空調に関する機器の使い方の見直しや買い替え等を検討しましょう。

オフィスビルで省エネに取り組むメリット

オフィスビルで省エネに取り組むメリットは以下のとおりです。

  • ●電気料金の削減につながる
  • ●ビルの不動産価値が向上する
  • ●設備を見直すきっかけとなる

電気料金は基本料金と電力量料金等で構成されており、電力使用量が多くなるほど電気料金も高くなります。

そのため、省エネによる電力使用量の削減は、直接的に電気料金の削減につながります

また、オフィスビルで省エネ対策を実施し、ZEB(Net Zero Energy Building)化やCO₂排出量の削減が実現すれば、不動産価値の向上を期待できます。ZEBとは、建物の省エネ技術や再生可能エネルギーの活用により、年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけることを目標とした建物です。

ZEB化やCO₂排出量の削減は、環境への配慮が求められている時代に適したビルや取り組みのため、内外から評価され、不動産価値の向上や投資を受けるきっかけを得られます

さらに、オフィスビルの省エネ化は、空調や照明、熱源機器等の消耗品を見直すきっかけとなります。従来の機器を省エネ対応機器に買い替えることで、エネルギー消費を抑えた効率的な運用が可能です。

オフィスビルの省エネ対策

前述したとおり、オフィスビルで省エネを進めると、電気料金の削減や不動産価値の上昇等のメリットを得られます。

そのため、ビルの省エネ化を考えている企業は、次の方法で省エネに取り組んでみましょう。

  • ●エネルギーマネジメントを活用する
  • ●省エネ診断を活用する
  • ●省エネ性能の高い機器を導入する
  • ●太陽光発電を活用する

上記を順番に解説します。

エネルギーマネジメントを活用する

エネルギーマネジメントとは、オフィスビルや工場、住宅等でエネルギーを合理的に利用するための次の活動を指します。

  • ●実績把握
  • ●分析
  • ●改善提案
  • ●対策の実施

最初に取り組むべきは、現在のエネルギー使用量の把握です。エネルギーの使用状況を把握して分析すれば、状況にあった対策を実施できます。

なお、エネルギーマネジメントは対策を実施して終了ではありません。対策の結果を把握し、再び分析、改善提案を行い、対策を実施するサイクルを繰り返すことで、エネルギー使用量を減らせます。

まずは、電力デマンドの可視化から始めてみましょう。

エネルギーマネジメントや電力デマンドについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

省エネ診断を活用する

オフィスビルの省エネ化は、大規模な取り組みになるケースが多いです。

例えば、ビル全体のエネルギー使用量や状況を把握して、省エネ化のために必要な取り組みや機器を選ぶためには専門的な知識が求められます。

効果的な省エネ化を進めるためには、「省エネナビゲーター」 や 「省エネお助け隊」 等、外部の省エネ診断機関の活用も検討しましょう。

  • ●省エネナビゲーター…各都道府県に登録されており、無料で省エネ診断を行う団体
  • ●省エネお助け隊…中小企業が省エネ対策を導入する際、直面するさまざまな問題の相談窓口

外部機関の診断を利用することで、効率的で計画的な省エネ化が実現し、エネルギー使用量の削減や環境負荷の低減につながります

省エネ性能の高い機器を導入する

オフィスビルの省エネ化を進めるには、現在使用している空調や換気、照明等の機器を省エネ性能の高い機器に買い替えることが効果的です。

例えば、蛍光灯や白熱電球をLED照明に買い替えるだけでも、台数や点灯時間によっては大幅なエネルギー使用量の削減につながります。

他にも、以下のような機器を省エネ性能の高いものに買い替えると、エネルギー使用量の削減に役立つでしょう。

買い替えの例

  • ●従来型のエアコン → インバーターエアコン
  • ●通常の換気扇 → 熱交換型換気扇
  • ●電気温水器 → 高効率給湯器
  • ●古い冷蔵庫 → インバーター冷蔵庫
  • ●一般的なエレベーター → 回生ブレーキ付きエレベーター

省エネ性能の高い機器は、エネルギーを無駄なく効率的に使えるため、ビルの省エネ化におすすめです。

また、ビル自体に高断熱化や日射遮断、自然換気、昼光利用といった設計を取り入れることで、エネルギー使用を最小限に抑えることができます。

ただし、このような取り組みは、建築計画の段階から計画的に進める必要がある点に注意してください。

太陽光発電を活用する

オフィスビルの省エネ対策として、太陽光発電設備の導入も有効な選択肢です。

省エネはエネルギー使用量の削減を目指す取り組みですが、太陽光発電を導入すれば、電力会社から購入する電力量が減り、結果としてエネルギー使用量の削減につながります

LED照明やインバーター式エアコン等、省エネ性能の高い機器の導入も効果的ですが、オフィスビルの規模や年数によっては高額な初期費用が発生します。そのため、ビルの省エネ化を進めるひとつの方法として、太陽光発電設備の導入もぜひご検討ください。

省エネ対策でビルに太陽光発電設備を導入する方法

太陽光発電はビルの省エネ化の方法としておすすめですが、導入する方法によっては高額な初期費用やメンテナンス等が発生するため注意しましょう。

企業が太陽光発電を導入する方法は、自己所有型、PPAモデル、リース型の3種類があります。次の表は、3種類の方法を比べたものです。

導入の種類 概要 初期費用 管理・維持
自己所有型 太陽光発電設備を自社で設置して電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 必要 自社で行う
PPAモデル エネルギーサービス事業者と契約を結んで太陽光発電設備を設置してもらい、割安で電気を購入する方法 不要 事業者が行う
リース型 太陽光発電設備をリースで導入し、電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 不要 事業者が行う
(事業者・契約によります)

企業が太陽光発電を導入するならPPA(Power Purchase Agreement)モデルがおすすめです

PPAモデルは、事業者と契約(PPA)を結び、太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。太陽光発電設備の所有権は事業者が持つので、初期費用が発生せず、維持管理やメンテナンスの追加コストもありません。

ただし、初期費用がかからない分、数年~20年ほどの契約期間の縛りが必ず発生することは覚えておきましょう。

初期費用をかけずに太陽光発電設備をビルに設置したい場合は、PPAモデルをチェックしてみてください。

太陽光発電を導入するなら関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

太陽光発電を導入するなら関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

PPAモデルには、自社が所有している敷地に太陽光発電設備を設置するオンサイトPPAがあります。

例えば、関西電力のオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」は、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能です。

関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行うため、太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※1。契約期間は20年ほどです※2

月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、「割引プラン」による節約 や、補助金の申請をサポートする「補助金サポート」等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※3

他にも、オプションで余剰電力の売電を選ぶことが可能です。夜間や社員が出社しない日等の電力使用量が少なくなるタイミングで余った余剰電力を売電すれば、電気料金のさらなる削減効果を得られます

関西電力の太陽光発電設備は、ビルの屋上だけでなく、900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なのでご相談ください。

また、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能「SenaSon」により、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用可能です。

ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電「コーポレートPPA」をご検討ください。

  • 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • 途中解約には違約金が発生します。
  • 割引プランは、補助金との併用はできません。

自社に合った方法でビルの省エネを目指そう

オフィスビルの省エネ化に取り組めば、エネルギー使用量を削減することで、電気料金の節約や不動産価値の向上等のメリットを得られます。

まずは、エネルギー使用量を可視化し、省エネ診断を受けて、どこから取り組むべきかを検討しましょう。

太陽光発電設備の導入も、ビルの省エネ化におすすめの方法です。初期費用やコストを節約したいなら、20年ほどの契約期間で、サービス利用料以外の初期費用やメンテナンスのコストが発生しない、関西電力のオンサイトPPA「太陽光発電オンサイトサービス」がおすすめです。

ビルの屋上に太陽光発電設備を導入するなら「太陽光発電オンサイトサービス」 を、設置スペースを持たない場合は 「コーポレートPPA」 をご検討ください。

近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムならびに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。あわせて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクル等幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」 「化学工学会技術賞」 他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取り組み中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

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