台風の強さとヘクトパスカルの関係は?想定される被害や備えを解説

2025.1.9

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台風の強さとヘクトパスカルの関係は?想定される被害や備えを解説

台風のニュースを見て、その強さや影響範囲が気になる方も多いのではないでしょうか。台風には明確な定義があり、風速等によって分類されています。

この記事では、台風の基本的な特徴や定義、日本における発生頻度や上陸数の傾向を詳しく解説します。台風が交通機関やインフラに与える影響についても触れ、個人や企業が備えるべきことも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

台風とは

台風とは、北西太平洋または南シナ海で発生する強力な熱帯低気圧のことです。

具体的には、日付変更線(東経180度)より西、東経100度より東の太平洋および南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速(10分間平均)が34ノット(約17.2メートル毎秒)以上のものを指します。

台風の主なエネルギー源は、暖かい海面から供給される水蒸気です。この水蒸気が凝結して雲粒になる際に放出される熱により、台風は発達していきます。

台風の中心部は大量の水蒸気を含んだ暖かい空気で覆われており、前線を伴いません。通常、低緯度では西に移動し、その後北上して中・高緯度に達すると、上空の強い西風(偏西風)の影響を受けて北東へ進みます。

日本付近に接近すると、上空に寒気が流れ込み、次第に台風本来の性質を失って「熱帯低気圧」や「温帯低気圧」に変わることがあります。

日本の台風の発生個数と上陸個数

気象庁の統計によると、世界では年間約25個の台風が発生し、そのうち約12個が日本から300km以内に接近し、約3個が日本に上陸しています※1

台風の発生は特に7月から10月にかけて多く、この時期は警戒が必要です。

近年の状況を見ると、2022年は25個の台風が発生して3個が上陸、2023年には17個発生して1個が上陸しました※2※3。2024年は9月までの速報値で15個の台風が発生しています。

  • 過去30年間(1991~2020年)の平均

ヘクトパスカルで測る台風の威力

ヘクトパスカル(hPa)は、台風の威力を測る重要な指標のひとつです。ヘクトパスカルは気圧の単位で、台風の中心気圧を示すために使用されます。一般的に、中心気圧が低いほど台風は強力とされます。

台風の強さは、中心気圧によって以下のように分類されます。

中心気圧 (hPa) 台風の強さ 影響
1000以上 比較的弱い 強風や大雨はあるものの、甚大な被害をもたらすことは少ない
980〜999 中程度 強い風と大雨が予想され、地域によっては避難が必要になることもある
960〜979 強い 広範囲で強い風が吹き、高潮や洪水のリスクが高まる
950以下 非常に強い 甚大な被害をもたらす可能性が高く、避難や防災対策が不可欠

上記の分類は防災対策の指針となりますが、台風の影響は中心気圧だけでなく、大きさや進路、地形等の要因でも変わります。気象庁はさらに詳細な分類を行っており、最新の気象情報に注意を払うことが重要です。

台風の強さと大きさの分類

台風の強さと大きさの分類

気象庁は、台風の威力を正確に伝えるため、「強さ」と「大きさ」を別々に分類しています。

「強さ」は台風の中心付近の最大風速で決まり、「大きさ」は強風域(風速15m/s以上の範囲)の広さで決まります

台風の強さ 最大風速
強い 33m/s以上~44m/s未満
非常に強い 44m/s以上~54m/s未満
猛烈な 54m/s以上
台風の大きさ 強風域の半径
大型(大きい) 500km以上~800km未満
超大型(非常に大きい) 800km以上

例えば、「大型で強い台風」という表現は、強風域が500km以上800km未満で、最大風速が33m/s以上44m/s未満の台風を指します。

上記の分類システムは、台風の潜在的な影響を素早く評価し、適切な警報を発令するために使用されます。また、予想される被害の規模や必要な防災対策の程度を判断する助けにもなります。

台風の強さ・大きさから想定される被害

台風の強さや大きさから想定される被害は、以下のとおりです。

台風の強さ 最大風速 想定される主な被害
強い 33m/s以上44m/s未満 自動車や列車が横転することがある
非常に強い 44m/s以上54m/s未満 電柱の倒壊や樹木が根こそぎ倒れることがある
猛烈な 54m/s以上 送電鉄塔が倒壊するおそれがある

上記の表は、台風の強さに応じて予想される代表的な被害を示しています。最大風速が17m/s以上33m/s未満の場合は台風の強さを表現しませんが、看板や屋根瓦が飛ばされることがあります。

なお、実際の被害は、台風の大きさや進行速度、降水量等の要因によって大きく変わります。

台風接近時は、常に最新の気象情報に注意を払い、自治体の指示に従って適切な防災対策を取ることが重要です。早めの避難や安全確保行動が、被害を最小限に抑えます。

風速による交通やインフラへの影響

台風に伴う強風は、交通やインフラ等の日常生活にも大きな影響を与えます。風速に応じた影響を以下の表にまとめました

平均風速 (m/s) 人や物への影響 交通への影響 インフラへの影響
10~15 風に向かって歩きにくくなる
傘がさせなくなる
- -
15~20 風に向かって歩けなくなる
転倒する人もいる
高所での作業は危険
- -
20~25 つかまらないと立っていられなくなる 高速道路で通行止めの可能性 -
25~30 飛来物によってけがをする危険がある 鉄道が運休する可能性 -
30以上 トラックが横転する - -
35以上 ブロック塀や家が壊れる - 電柱が倒壊する可能性
40以上 家の屋根が飛ばされる - 送電鉄塔が倒壊する可能性

風速による影響は、地形や構造物の状態、風の継続時間によっても変わります。また、瞬間風速は平均風速の1.5~3倍になることがあるため、より大きな被害が発生する可能性があります。台風接近時は最新の気象情報に注意し、早めの安全確保が重要です。

降水量と洪水リスクの関係

台風による大量の降水は、深刻な洪水被害を引き起こす可能性があります。降水量と洪水リスクの関係は以下のとおりです。

  • 急激な水位上昇:短時間の大雨で河川水位が急上昇し、氾濫の危険性が高まる
  • 地盤の飽和:長時間の降雨で地盤が水を吸収しきれず、表面流出が増加
  • 土砂災害の誘発:大雨が土砂災害を引き起こし、河川をせき止めて洪水を悪化させる
  • 高潮被害:台風の中心付近では1hPaの気圧低下により海水が約1cm上昇する吸い上げ効果があり、河川の洪水や高潮のリスクが高まる。

2019年の台風19号(東日本台風)では、関東地方を中心に記録的な大雨が観測されました。神奈川県箱根では総降水量が1,000mmに達し、192の河川で氾濫が発生、大雨による河川氾濫に加えて土砂災害も多発し、被害が拡大しました。

気候変動の影響により、今後さらなる対策強化が求められており、特に都市部では効果的な雨水管理が必要です。

台風に備えてすべきこと

台風シーズンを前に、企業として万全の準備を整えることが重要です。自然災害は避けられませんが、適切な対策を講じることで被害を最小限に抑え、迅速な事業復旧を図ることができます。

以下では、企業が台風に備えて行うべき具体的な準備と、台風接近時の対応について詳しく解説します。

事前の準備

企業における台風への事前準備は、リスク評価から具体的な対策まで多岐にわたります。以下に主要な準備事項をまとめました。

対策分野 具体的な準備事項
リスク評価と計画策定
  • ●ハザードマップで事業所周辺の危険箇所を確認
  • ●BCP(事業継続計画)の策定と定期的な見直し
物理的準備
  • ●非常用備蓄品(飲料水、食料、医薬品等)の準備
  • ●オフィスや店舗の点検・補強(雨どい清掃、外壁補強等)• 重要書類・データの保護(防水保管、バックアップ)
人的準備
  • ●従業員教育と定期的な防災訓練の実施
  • ●安否確認システムの導入と訓練
  • ●緊急連絡網の整備
システム対策
  • ●ITシステムの冗長化(クラウドバックアップ、代替サーバー)
  • ●非常用通信手段の確保(衛星電話等)

上記の事前準備を通じて、企業は台風による被害を最小限に抑え、迅速な事業復旧を図ることができます。定期的な見直しと更新を行い、つねに最新の状況に対応できるよう備えることが重要です。

関連情報は以下の記事でも紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

台風接近時の対応

台風接近時、企業は従業員の安全確保と事業継続の両立を図る必要があります。以下に主要な対応をまとめました。

対応段階 具体的な対応事項
情報収集と状況把握
  • ●最新の気象情報を定期的に確認し、社内で共有
  • ●地域の避難情報に注意を払い、対応を計画
事業継続のための準備
  • ●事業の一時停止や在宅勤務への切り替えを早期に判断
  • ●施設・設備の保護(窓の補強、重要書類の移動等)
  • ●従業員の安全確保(出社・帰宅基準の明確化)
緊急時の対応準備
  • ●停電対策(非常用電源の確保)
  • ●断水対策(飲料水の備蓄)
  • ●通信手段の確保(複数の連絡手段の準備)
  • ●避難計画の再確認
事後対応の準備
  • ●被害状況の確認手順の確立
  • ●事業再開計画の準備

上記の対応を通じて、従業員の安全を最優先しつつ、事業への影響を最小限に抑えることが重要です。

なお、停電対策として準備する非常用発電機は、定期的に負荷試験を実施していないと、いざ稼働させた際に動作不良や異常停止を起こすリスクがあります。

消防法では、年1回の総合点検時に、負荷試験等により非常用発電機の運転性能を確認することが義務化されています。さらに、連続運転性能や換気状況を確認するため、定格出力の30%以上の負荷を一定時間与える負荷試験の実施が推奨されています。

関西電力グループでは、これらの消防法で定められた条件を満たし、かつ停電作業が不要な「模擬負荷試験」のサービスを行っています。検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

台風に備えて関西電力の安否確認システム「ANPiS」の導入検討を

企業にとって、台風等の災害時における従業員の安全確保は最優先事項です。迅速に状況を把握するためには、安否確認システムの導入をご検討ください。

関西電力の安否確認システム「ANPiS(アンピス)」は、災害時・緊急時に必要な以下の機能を備えながら、シンプルで使いやすい操作設計が特徴です。気象庁と連携した安否確認システムで、災害時や緊急時はもちろん、平常時にもご活用いただけます。

【利用できる機能】

  • ●気象庁の情報と自動で連携
  • ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
  • ●従業員の回答結果を自動で集計
  • ●未回答の従業員に対する自動再配信
  • ●手動配信による柔軟な対応
  • ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
  • ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
  • ●部門横断のグループ設定
  • ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
  • ●個人情報の秘匿性
  • ●LINE配信 (有償オプション)

初期費用は無料、月額6,600円から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランをご用意しています。

ご利用人数 スタンダードプラン※1 ファミリープラン※2
~50名 6,600円 6,985円
~100名 9,900円 10,670円
~150名 13,200円 14,355円
~200名 15,400円 16,940円
~300名 17,600円 19,910円
~400名 19,800円 22,880円
~500名 22,000円 25,850円
501名〜 100名ごとに+2,200円 100名ごとに+2,970円

Webからお申込みができ、お申込みからご利用開始までは最短1ヶ月とスピーディーに導入いただけます。

また、2週間の無料トライアルについても、Webからのお申込みが可能です。安否確認システムの導入を検討しているなら、ぜひお気軽にご相談ください。

台風の強さや想定被害を理解して日頃から備えておこう

台風は、中心気圧が低く、風速が高いほど強力です。例えば、950hPa以下や風速54m/s以上の台風は甚大な被害をもたらす可能性があります。

また、台風の中心付近では、1hPaの気圧低下により海水が約1cm上昇する吸い上げ効果があり、河川の洪水や高潮のリスクも伴います。

被害を最小限に抑えるためにも、個人は避難計画の作成や非常用品の準備を、企業はBCPの策定や従業員の安全確保策を講じましょう。

企業の場合は、まず従業員の安否を確認する必要があります。より正確かつ迅速に確認するためにも、関西電力のANPiSのような安否確認システムの導入をご検討ください。

三沢 おりえ(みさわ おりえ)

監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。

サービス概要資料

安否確認システム
「ANPiS」

BCP策定の第一歩は、安否確認から!関西電力が提供する「安否確認システム(ANPiS)」のサービス概要をご紹介します。

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