震度7の地震はどれくらい?震度別の想定被害や企業ができる災害対策を紹介

2025.1.9

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震度7の地震はどれくらい?震度別の想定被害や企業ができる災害対策を紹介

震度7は気象庁が定めている最大震度の地震です。地震に備えるため、災害対策を進めようと考えている企業の方もいるのではないでしょうか。しかし、震度ごとにどのような影響があるのか、どのような対策を進めれば良いのかイメージが湧かない方もいるかもしれません。

この記事では、震度7の地震の詳細や、震度0から震度7までの地震の程度、企業が備えるべき対策を紹介します。企業で災害対策に関係する業務に携わっており、大規模地震への備えに関心がある方はぜひ参考にしてください。

震度7の定義や算出方法

地震の震度(震度階級)は計測震度によって決まります。震度計の内部では以下の内容がデジタル処理され、自動的に計測震度が導き出されます。

  • 1.震度計で地震波のデジタル加速度記録を取得
  • 2.フーリエ変換を行い周波数領域に変換する
  • 3.地震波の周期による影響を補正する(フィルター処理)
  • 4.逆フーリエ変換により時刻歴の波形に戻す
  • 5.各成分の波形をベクトル的に合成してベクトル波形を求める
  • 6.ベクトル波形の絶対値がある値a以上となる時間の合計を計算し、0.3秒となるような基準値 aを求める
  • 7.6で求めたaを用いて計測震度 Iを計算する
  • 8.計測震度Iを気象庁震度階級表に当てはめて震度階級を決定する

震度階級は、観測点の揺れの強さを数値化し、計測震度から換算したものです。震度階級を決定する際には、以下の基準が用いられます。計測震度が6.5以上であれば震度7と発表されます。

震度階級 計測震度
0 0.5未満
1 0.5以上1.5未満
2 1.5以上2.5未満
3 2.5以上3.5未満
4 3.5以上4.5未満
5弱 4.5以上5.0未満
5強 5.0以上5.5未満
6弱 5.5以上8.0未満
6強 6.0以上6.5未満
7 6.5以上

このように、地震の震度は震度計により導き出された計測震度を用いて決まります。

震度とマグニチュードの違い

震度と混同されやすい用語のひとつが「マグニチュード」です。震度は特定の場所での揺れの強さを表します。一方、マグニチュードは地震そのものの規模を表す指標です。震度は「特定の場所での揺れの強さ」のため場所によって異なり、マグニチュードの値が大きくても、震源から遠ければ震度は小さくなります。

マグニチュードは地震計で観測されたデータを元に解析され、地震が発生した場所を元に計測されるため、ひとつの地震に対して決められる値はひとつです。なお、マグニチュードの値が1大きくなると地震のエネルギーは約32倍、2大きくなると約1,000倍のエネルギーになるとされています。

つまり、M8の地震は、M6の地震約1,000個分のエネルギーです。2016年に発生し、大きな被害をもたらした熊本地震のマグニチュードは7.3と発表されています。東日本大震災のモーメントマグニチュード(岩盤のずれの規模をもとに計算されるマグニチュード)は国内観測史上最大の9.0です。どちらも大規模な地震ですが、マグニチュードの違いにより、規模の大きさの違いがわかります。

震度7以上がない理由

1996年以前まで、地震の震度は気象庁の職員が体感や周囲の状況から推測して決めていました。1996年4月以降は、全国に4,300以上設置した震度観測点で観測した震度が発表されています。

計測震度7.5以上は震度8に相当するとも考えられていますが、以下の2点の理由から震度の上限は7に設定されました

  • ●震度7で防災対応も最大級の措置がとられるため、震度7以上を分割しても防災上の意味がない
  • ●計測震度7.0以上を観測した例がなく、実際上どのような被害が発生するか不明確

2024年現在も基準は変わっておらず、震度は7が上限です。

震度0~震度7|階級ごとの揺れ度合い・想定被害や注意事項

震度0~震度7|階級ごとの揺れ度合い・想定被害や注意事項

続いては、震度0から震度7までの揺れの度合いや、建物の状況等を紹介します。

震度階級 人の体感・行動 屋内の状況 屋外の状況
0 揺れは感じないが、震度計には記録される 特になし 特になし
1 屋内で静かにしている人のなかでは、揺れを感じる人もいる程度 特になし 特になし
2 屋内で静かにしている人の大半が気づく揺れ
睡眠中でも目を覚ます人もいる
電灯等の吊り下げものがわずかに揺れる 特になし
3 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じ、眠っている人の多くが目を覚ます
歩行中の人のなかで揺れを感じる人もいる
棚にある食器類が音を立てることがある 電線が少し揺れる
4 多くの人が驚く揺れ
歩行中の人のほとんどが揺れを感じ、寝ていてもほとんどの人が目を覚ます
電灯等の吊り下げものが揺れ、食器が音を立てる
座りが悪い置物が倒れることもある
電線が揺れ、自動車を運転していても揺れに気づく人もいる
5弱 大半の人が揺れに恐怖を感じ、物につかまりたいと感じる揺れ 電灯等の吊り下げものが激しく揺れ、棚のものが落ちることもある
固定していない家具が移動したり、不安定な家具が倒れたりすることがある
稀に窓ガラスが割れる
電柱が揺れる
道路に被害が生じることもある
5強 大半の人が物につかまらないと歩けないほど行動に支障を感じる揺れ 棚の食器や本等落ちるものが多くなる
テレビが台に落ちたり、固定していない家具が倒れたりする
窓ガラスが割れることがある
補強されていないブロック塀が崩れることもある
据付不十分な自動販売機が倒れることもある
自動車の運転が難しくなり、停止する車も多くなる
6弱 立っていることが困難になる 固定していない家具の大半が移動したり、倒れたりする
ドアが開かなくなることがある
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある
6強 立っていることが難しく、這わないと動けないほどの揺れ
揺れに翻弄され、動くこともできず、飛ばされることもある
固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる 壁のタイルや窓ガラスが破損し、落下する建物が多くなる
補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる
7 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる
補強されているブロック塀も破損するものがある

それぞれの震度がどの程度のものか、もし発生した場合に取るべき行動や注意点も紹介するので参考にしてください。

震度0から3

震度0は人が揺れを感じない程度の地震です。震度1から3では、震度が上がるにつれて屋内にいる人のほとんどが揺れを感じるようになります。建物や地盤・斜面等、ライフライン・インフラへの影響はほとんどないとされる震度です。

震度4

震度4になると、多くの人が揺れを感じます。木造・鉄筋コンクリート造問わず建物への大きな損傷は少ないとされている震度です。ただし、座りが悪い不安定な置物が倒れるおそれがあるため、屋内や屋外では落下物に注意しつつ、身の安全を確保しましょう。

また、震度4以上になると、鉄道や高速道路等で、安全確認のための運転見合わせ、速度規制、通行規制が、各事業者の判断によって行われる可能性があります。交通機関を使用する予定がある場合、ラジオやテレビ、スマートフォンで情報を確認しましょう。

なお、内閣府の資料では震度4以上を避難勧告・指示の発令基準に挙げています。体感で強い揺れや長時間のゆっくりとした揺れを感じた時、津波警報を覚知した際には避難勧告・指示を待たず、直ちに避難することも推奨されています。

震度5弱

震度5弱では、多くの人が揺れに恐怖を感じます。屋内・屋外問わず落下物や倒れる物に注意が必要な震度です。耐震性の低い木造住宅や建造物に軽微なひび割れや亀裂が発生するおそれもあります。

屋外では地盤に亀裂ができ、液状化が発生するおそれもある他、斜面では落石や崖崩れに注意が必要です。

また、震度5弱以上になると安全装置によってエレベーターを停止したり、ガス供給を停止したりするほか、断水、停電が発生するおそれもあります。震度5弱以上を基準に運行を中止し、点検して安全の確保を優先すると定めている交通機関もあるため、ライフラインやインフラ等への影響にも注意が必要です。

内閣府や地方公共団体、教育機関でも震度5弱以上を基準にして地震発生時の対応マニュアルを提供しています。内閣府の資料では、以下の避難手順が推奨されています。

  • 1.身の安全を最優先に行動
  • 2.揺れが収まったら火元を確認
  • 3.おちついて戸を開け、出口を確保
  • 4.あわてて外に飛び出さない
  • 5.正しい情報確かな行動
  • 6.確かめ合おう、我が家の安全、隣の安否
  • 7.避難の前にブレーカーを切りガスの元栓を締める
  • 8.門や塀には近寄らない

また、気象庁では最大震度5弱以上をはじめとする大地震が発生した場合、約1〜2時間後から、今後の地震活動の見通しや防災上注意すべきことが発表されます。身の安全を最優先に考えつつ、落ち着いて適切な行動を心がけましょう。

震度5強

震度5強は、大半の人が行動に支障を感じるほどの揺れです。耐震性の低い木造住宅は損傷に注意しましょう。鉄筋コンクリート造の建物でも、耐震性が低ければ壁や梁、柱にひび割れや亀裂が入るおそれがある震度です。

地盤や斜面、ライフライン・インフラの状況も震度5弱より大きな影響が発生するおそれがあります。震度5弱の地震と同様に、身の安全を確保しつつ、状況によっては避難勧告・指示を待たず避難が必要なケースがあります。

情報収集は避難先でも可能なため、体感で強い揺れを感じたり、津波警報を覚知したりした場合は速やかに避難しましょう。

震度6弱

震度6弱は立っていることが困難な揺れです。木造、鉄筋コンクリート造の住宅では耐震性の有無を問わず被害が発生するおそれがあります。地割れや崖崩れに加え、地すべりの発生に注意が必要な震度です。警視庁では、震度6弱以上の地震発生後、自動車は安全な場所に停止し、自動車を使用していない場合は新たに使用しない(自動車を使って避難、移動しない等)の注意喚起もなされています※1

また、震度6弱以上の地震が発生すると、安否確認や情報収集のため電話・インターネットの利用者が増加・集中し、つながりにくい状況になることが考えられます。状況によっては通信事業者により災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板の提供が行われるため、ダイヤル番号や利用方法は事前に確認しておきましょう。

なお、2024年に震度6弱の地震が起こった回数は4回です※2。地震調査研究推進本部の発表では、太平洋沿岸部を中心に今後30年以内に高い確率で震度6弱以上が発生するとされているため※3、避難場所や安否確認手段の確認のほか、非常食や防災アイテムを日頃から備えておくことが大切です。

震度6強

震度6強の地震では立っていることが難しくなります。屋内・屋外問わず落下物や倒れてくる物が多くなるため注意が必要です。耐震性の高い建物でも亀裂やひびが発生し、耐震性の低い建物では倒壊の危険性もあります。大きな地割れ、崖崩れの多発、大規模な地滑りにも注意しなければなりません。

震度6強クラスの地震になると、広い地域でガス、水道、電気の供給が停止することがあります。ライフライン・インフラへも大きな影響がおよぶ可能性が高いため、日頃の備えがより大きな意味を持つでしょう。公的機関では、地震に対する備えのガイドラインが提供されています。有効に活用し、備えておくことが大切です。

震度7

震度7の地震は立っていることが難しいほか、耐震性の高い鉄筋コンクリート造の建物でも傾くおそれがあります。最大級の措置がとられる震度であり、過去に計測震度7を超えた例はありません。つまり、想定され得る最大の被害の発生が考えられる震度です。日本の事例では、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震、能登半島地震が震度7クラスの地震にあたります。

過去の事例からみても大きな被害の発生が予想される地震です。建物の倒壊から火災、大津波等、甚大な被害が発生するおそれがあります。近年発生リスクが高まっているとされている「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」の想定最大震度も7です。

被害が想定される地域では、大規模地震に備えてハザードマップや防災対策に関する専用のページが提供されています。基本的な地震への備えに加えて、震度7の地震が予想される地域や避難場所は確認しておきましょう。

なお、震度階級が設定された1949年から2024年11月現在まで、震度7クラスの地震が発生した回数は7回です。各地震の被害状況を含めた詳細は後述しているので、そちらを参考にしてください。

地震に関して知っておくべき知識

地震に関して知っておくべき知識として、以下の3つを紹介します。

  • ●日本で震度7の地震が発生した事例と被害状況
  • ●日本の地震発生回数や津波の発生状況
  • ●大規模地震の予知が難しい理由

それぞれ以降で詳しく紹介します。

日本で震度7の地震が発生した事例と被害状況

日本で発生した最大震度7の地震と被害状況は以下のとおりです

発生年月日 震央地名・地震名 マグニチュード 津波 人的被害 物的被害
1995年1月17日 阪神・淡路大震災 7.3 - 死者6,434名、行方不明者3名、負傷者4万3,792名 住家全壊約10万4,906棟、住家半壊約14万4,274棟、住家一部破損39万506棟等
2004年10月23日 新潟県中越地震 6.8 - 死者68名、負傷者4,805名 住家全壊3,175棟、住家半壊1名3,810棟等
2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震 9.0 9.3m以上 死者1万9,729名、行方不明者2,559名、負傷者6,233名 住家全壊 12万1,996棟、住家半壊、28万2,941棟、住家一部破損74万8,461棟等
2016年4月14日~ 熊本地震 7.3 - 死者273名、負傷者2,809名 住家全壊8,667棟、住家半壊3万4,719棟、住家一部破損 16万3,500棟等
2018年9月6日 北海道胆振東部地震 6.7 - 死者43名、負傷者782名 住家全壊469棟、住家半壊 1,660棟、住家一部破損1万3,849棟等
2024年1月1日 能登半島地震 7.6 80cm 死者241名、負傷者1,299名 住家全壊8,789棟、住家半壊1万8,813棟、住家一部破損8万3,154棟等

上記のとおり、震度7の地震ではいずれも甚大な被害が発生しています。

なお、震度7より低くても、津波が発生するおそれや負傷者が出るおそれはあるため、震度7の地震に限らず、起こり得る地震に対して日頃から備えておくことが大切です。

※各データの数値は時期によって変動する場合があります。

日本の地震発生回数や津波の発生状況

2021年〜2023年までの地震発生回数は以下のとおりです。

項目 2021年※1 2022年※2 2023年※3
国内で被害を伴った地震 7回 7回 4回
震度1以上を観測した地震 2,424回 1,964回 2,227回
最大震度4以上の地震 54回 51回 41回
最大震度5弱以上の地震 10回 15回 8回
マグニチュード6.0以上の地震 20回 19回 19回
津波の観測 1回 2回 3回

上記を見ても一定の被害が予想される震度5弱以上の地震は毎年10回近く発生しているほか、津波も毎年発生していることがわかります。直近で起きた震度7クラスの地震は能登半島地震です。2024年1月1日に最大震度7の地震が発生し、推定5.8mの津波(遡上高)も観測されています。

遡上高とは、津波が海岸に到達後陸地を這い上がり、最も高くなったところの平常潮位面からの高さをさします。気象庁で発表されている能登半島地震の津波高さは80cmです。津波の高さは計測方法や計測場所によって異なるため、ひとつの津波でも異なる記載がされる場合があるので注意しましょう。

なお、2024年は1月1日以降、11月までに震度5弱以上の地震が度々発生しています。

発生年月日 震央地名・地震名 マグニチュード 最大震度
3月15日 福島県沖の地震活動 5.8 5弱
3月21日 茨城県南部の地震活動 5.3 5弱
4月2日 岩手県沿岸北部の地震活動 6.0 5弱
4月8日 大隅半島東方沖の地震活動 5.1 5弱
4月17日 豊後水道の地震活動 6.6 6弱
6月3日 能登半島地震の震源域での地震 6.0 5弱
8月8日 日向灘の地震活動 7.1 6弱(津波観測)
8月9日 神奈川県西部の地震活動 5.3 5弱
8月19日 茨城県北部の地震活動 5.1 5弱

すでに2023年より多くの回数が記録されています。活断層間では相互作用により別の地震を誘発するとされているため、常に注意が必要です。

大規模地震の予知が難しい理由

地震への備えは大切なものの、地震の予知は難しいとされています。主な理由は以下のとおりです。

  • ●震源域の広がりや発生間隔にばらつきがあるため
  • ●地殻内部は直接見えないため
  • ●実験ができないため
  • ●超低頻度でデータが乏しいため
  • ●破壊現象で決定論が無理なため

例えば、地震の測定は紹介したとおり1996年からであり、開始からまだ30年しか経っていません。大規模地震の発生頻度は約100〜200年間隔のものもあり、データ不足により正確な予測が困難です。熊本地震は「30年以内の発生確率が1%未満」と予測された状況で発生したことからも、地震の予測が難しいことを物語っています。

大規模地震の発生確率と想定被害は?

地震調査研究推進本部事務局からは、発生確率の高い断層を示した資料が公表されています※1最も高いSランク(30年以内の発生確率が3%以上)に指定されている断層は32ヶ所です。首都圏を含む北海道から熊本まで日本各地の断層が対象になっており、想定マグニチュードは6〜7程度とされています。そのため、いずれの地域でも大規模地震への備えが欠かせません。

前述のとおり現在の技術で予知は不可能であり、ランクにかかわらず断層がある地域ではいつでも地震が発生するおそれがあります。特に注目度の高い南海トラフ地震では、最大震度7、広い範囲で震度6弱〜強の地震が予想され、関東から九州にかけて発生する大津波の想定最大高さは10m以上です※2

気象庁によると、今後30年以内で南海トラフ地震が発生する確率は70〜80%(2024年11月現在)であり※3、各都道府県では発生に備え、被害想定結果やハザードマップを公開し、避難計画の策定を呼びかけています。

震度7の大規模地震に備えて企業が取り組むべき災害対策

震度7の大規模地震に備えて企業が取り組むべき災害対策

大規模地震をはじめとする想定外の災害や緊急事態に備えて、企業が取り組むべき対策を紹介します。

  • ●BCP・BCMの策定
  • ●エスカレーションルールの策定
  • ●安否確認システム等の災害対策システムの導入

それぞれ詳しく紹介するので、大規模地震に備えた取り組みを検討している企業の方はぜひ参考にしてください。

BCP・BCMの策定

企業が大規模地震に備えるうえで重要なもののひとつがBCP(事業継続計画)です。BCPは緊急時の損害を最小限に抑えつつ、事業の継続や復旧ができるような方法・手段を取り決めておく計画をさします。BCPは災害対策基本法に基づき、国から企業に策定・運用が求められている災害対策です。BCMはBCPを継続的に運用していく活動や管理の仕組みをさします。

BCPは防災対策のひとつで、地方公共団体での策定率は100%です※1。一方、策定済みと答えた企業は大企業で約76%、中堅企業で約46%と未策定の企業も少なくありません※2。BCPを策定している企業は効果を実感しているとの調査結果もあります。BCPを導入するメリットは以下のとおりです。

  • ●災害・緊急事態が発生しても速やかに対応できる
  • ●顧客への供給や従業員の雇用を守れる
  • ●企業価値や信頼が高まる
  • ●税制優遇等の公的支援を受けられる可能性が高まる

BCPの策定は災害・緊急事態に事業を継続し、損害を最小限に抑えられるだけではなく、社外への安全性のアピールになることから、企業価値の向上につながり、取引先の拡大にも貢献します。企業として大規模地震に備えるなら、まずBCPの策定からはじめることをおすすめします。

エスカレーションルールの策定

エスカレーションルールは、問題やトラブルが発生した際の情報の流れや責任の所在を明確にする規定です。策定により問題が発生した際に誰に報告し、どのように対応すべきかを明確にし、迅速な意思決定が可能になります。具体例は以下のとおりです。

レベル レベルA レベルB レベルC
有事の程度 経営上の影響が大きく、全社を挙げての対応が必要 レベルAほどの影響はないが、複数部門での対応が必要 影響度が小さく、主管部門の対応で解決可能
該当する有事の例 大規模災害、火災、テロ、大規模リコール等 中規模事情の事故、大規模クレーム、特許係争、得意先の倒産等 小規模な火災・事故、事務ミス等
責任者 社長 主管部門担当取締役 主管部門

ルールを文書化し、全員に周知徹底すると、災害・緊急時の対応の効率性が向上します。

安否確認システム等の災害対策システムの導入

大規模地震の発生リスクが高まっているなか、大半の企業がBCPの策定に必要性を感じています。特に「事業の継続を困難にするリスク」に自然災害を挙げている企業は大企業で約9割、中小企業で約8割です。多くの企業が必要性を認識しつつ、BCPを策定していない理由に「スキル・ノウハウ不足」や「人手不足」を主な理由に挙げています。

災害対策にリソースを割けない企業では、自社ですべての安全対策を行うのは難しいかもしれません。人手不足で災害対策が進まないのであれば、必要に応じて災害対策に有効なシステムの導入を検討しましょう。

比較的安価で導入でき、災害時・緊急時の業務効率化に役立つシステムのひとつが安否確認システムです。企業向け安否確認システムでは、主に以下の機能が利用できます。

  • ●気象情報と連携した自動一斉配信設定
  • ●部署や所属単位に分けた配信設定
  • ●従業員とその家族の安否登録
  • ●回答結果の自動集計

安否確認システムは導入が簡単で直観的に操作できるものが多く、特別なスキルやノウハウは不要です。初期費用無料のものもあり、維持コストが比較的安いほか、テスト運用を提供している場合もあります。

業務効率化が図れ、災害・緊急時にはより重要な業務にリソースを集中できるため、リソース不足に悩んでいるなら安否確認システムの導入がおすすめです。

震度7クラスの災害に備えるなら安否確認システム「ANPiS」の導入を

震度7クラスの地震や災害に備えるなら、手はじめに安否確認システムの導入をおすすめします。

関西電力が提供する安否確認システム「ANPiS(アンピス)」は、気象庁と連携した安否確認システムで、災害時・緊急時に従業員へ安否確認メールを自動配信します。災害時・緊急時に必要な以下の機能を備えながら、シンプルで使いやすい操作設計となっています

【利用できる機能】

  • ●気象庁の情報と自動で連携
  • ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
  • ●従業員の回答結果を自動で集計
  • ●未回答の従業員に対する自動再配信
  • ●手動配信による柔軟な対応
  • ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
  • ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
  • ●部門横断のグループ設定
  • ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
  • ●個人情報の秘匿性
  • ●LINE配信 (有償オプション)

初期費用は無料、月額6,600円から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランを用意しています。

ご利用人数 スタンダードプラン※1 ファミリープラン※2
~50名 6,600円 6,985円
~100名 9,900円 10,670円
~150名 13,200円 14,355円
~200名 15,400円 16,940円
~300名 17,600円 19,910円
~400名 19,800円 22,880円
~500名 22,000円 25,850円
501名〜 100名ごとに+2,200円 100名ごとに+2,970円

Webから申込みができ、申込みから利用開始までは最短1ヶ月とスピーディーに導入できます。

また、2週間の無料トライアルについても、Webからの申込みが可能です。安否確認システムの導入を検討しているなら、ぜひ相談してみてください。

  • スタンダードプランは、従業員とその家族へメール配信するプランです。
  • ファミリープランは、スタンダードプランに加えて、家族の応答内容を家族内で共有することができます。
    なお、家族への安否確認メールは管理者による手動配信となります。

震度7の地震をはじめとする自然災害への備えは必須

震度7の地震は現段階で気象庁が定める最大震度の地震です。震度階級が設定された1949年から2024年現在まで、計7回発生しています。

東日本大震災クラスのマグニチュード8〜9と想定される南海トラフ地震は、今後30年で70〜80%の確率で発生すると予測されている大規模地震です。ただし、地震発生の正確な予測は難しく、30年以内に発生しないこともあれば近日中に発生するおそれもあります。

日本は地震をはじめとする自然災害が多い国のため、発生確率にかかわらず常に災害に対する備えを行っておくことが大切です。企業に比較的低コストかつ容易に導入できる災害への備えとして、安否確認システムの導入をおすすめします。

安否確認システムは比較的低コストで導入でき、災害・緊急時の業務を効率化するシステムです。導入を検討しているなら、初期費用無料、月額6,600円から導入できる「ANPiS」をぜひ検討ください。

三沢 おりえ(みさわ おりえ)

監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。

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