RPOとは?RTOとの違いやデータの早期復旧に役立つバックアップ方法を紹介

2025.1.9

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RPOとは?RTOとの違いやデータの早期復旧に役立つバックアップ方法を紹介

デジタル化が進む昨今では、災害によってシステム障害が発生した際のデータ復旧速度が事業継続の大きな要となる企業も多いでしょう。このデータ復旧速度にかかわる指標がRPOです。

この記事では、RPOや、RPOと一緒に使われることが多いRTO、RLO等の用語の意味を紹介します。RPOの短縮・改善方法から、設定までのプロセスも紹介するので、災害や予期せぬ緊急時に備えてRPOの設定を考えている方はぜひ参考にしてください。

RPOとは「目標復旧時点」のこと

RPOとは「Recovery Point Objective」の略です。日本語では「目標復旧時点」と呼ばれ、事故後に事故前のどの時点までデータを復旧できるようにするかの目標時点(時間)を指します。

RPOとあわせて以下の内容も押さえておきましょう。

  • ●RPOとRTOやRLOの違い
  • ●RPOの目的や具体的な目標値

それぞれ詳しく紹介します。

RPOとRTOやRLOの違い

RPOと似た用語に「RTO」と「RLO」があります。それぞれの違いは以下のとおり です。

用語 和訳 意味
RPO(Recovery Point Objective) 目標復旧時点 事故後に事故前のどの時点までのデータを復旧できるようにするかの目標時点(時間)
RTO(Recovery Time Objective) 目標復旧時間 事故後に業務を復旧させるまでの目標時間
RLO(Recovery Level Objective) 目標復旧レベル 事故後に業務をどのレベルまで復旧させるか、どのレベルまで継続させるかの指標

それぞれ企業がリスク管理やBCP(事業継続計画)を策定する際に重要な役割を担う点は共通しています。

RPOの目的や具体的な目標値

RPOは、災害や緊急事態によりデータが失われてから復元する際に、どの時点まで遡ってデータを復旧させるかを決める指標になります 。 RPOの目標値が小さい(短い)ほど常に新しいデータのバックアップが必要、大きい(長い)ほどデータを失う量は多くなります 。

例えば、RPOの目標値が0.5秒の場合、システム障害やデータ障害が発生しても、最新の状態から最大でも0.5秒前のデータまでしか失われないバックアップ体制やデータ保護を行っていることを意味します。つまり、RPOの目的は「許容できるデータ損失の度合いを把握すること」です。RPOを設定すると、データのバックアップ方法やバックアップ頻度の決定がしやすくなります。

設定される目標は秒単位から日数単位等さまざまです。具体的な目標値は業種によっても異なり、データの損失が業務にとって大きなリスクとされる業種ほど、RPOは小さい値で設定されます。例えば、データの損失が許されない金融機関で設定されるRPOの目標値は0秒 です。

RPOの目標値が0秒の場合、常にリアルタイムに近い形でデータを保護し、システム障害やデータ障害が発生しても、直前までのデータすべてが復旧可能な体制を目指す必要があります

RPOの設定が求められる背景や現状

RPOの設定はBCPにとって重要な要素のひとつです 。BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。中小企業庁で定義されているBCPの内容は以下のとおりです。

「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」

日本は自然災害の多い国で、近年では大規模地震のリスクも高まっています。RPOの設定やBCPの策定は、災害時の早急な事業復旧のため、企業に求められている災害対策のひとつです。日本では、地方公共団体ではBCPの策定が進んでいるものの※1、一般企業においては特に中小企業でBCPの策定が十分に進んでいません※2

対象 策定率(2023年)
地方公共団体 100%
大企業 76.4%
中小企業 45.5%

大企業・中小企業それぞれ、未策定の理由に以下の内容を挙げています。

未策定理由上位5つ ※複数回答可、()内は回答割合
大企業 中小企業
法令、規制等の要請がない(43.1%) 策定に必要なスキル・ノウハウがない(57.7%)
策定に必要なスキル・ノウハウがない(43.0%) 策定する人手を確保できない(44.4%)
策定の効果が期待できない(34.2%) 法令、規制等の要請がない(35.6%)
代替オフィス等の対策経費が確保できない(24.0%) 代替オフィス等の対策経費が確保できない(28.6%)
策定の費用が確保できない(23.3%) 策定の効果が期待できない(22.3%)

上記のとおり、RPOを含めたBCPの策定の重要性は高まっているものの、策定に必要なスキル・ノウハウや人員の不足等の理由により、BCP策定が進んでいない企業も多いのが現状です。

RPOやBCPは災害対策であり、企業価値の向上や取引先の拡大にもつながる重要な要素のひとつです。策定により取引先から「災害に備えている企業」として評価も高まります。特に大企業や中堅企業にとって、サプライヤーである中小企業の事業継続性は重要です。

今後大企業は取引先を決める際に、災害に備えてRPOやBCPを策定し、事業継続能力のある企業を優先する傾向が出てくることも十分に考えられるでしょう。現状や背景を踏まえ、企業はRPOやBCPの策定を積極的に進めていくことが求められます。

RPOの改善方法や短縮方法の具体例

RPOの改善方法や短縮方法の具体例

RPOの目標値は小さいほどデータ損失を抑えられます。RPOの改善方法、短縮方法は以下のとおりです。

  • ●データのリアルタイムレプリケーションを行う
  • ●バックアップの頻度を増やす
  • ●データ重複除去技術を利用する
  • ●RPOに専念できるように業務効率化ツールを導入する

それぞれ詳しく紹介するので参考にしてください。

データのリアルタイムレプリケーションを行う

データのリアルタイムレプリケーションとは、システムが生成または更新したデータを、ほぼ同時に別のサーバーやストレージへコピーする技術です。この技術を活用すると、災害やシステム障害が発生した際のデータ損失を最小限に抑えられます。

レプリケーションの頻度が高ければ高いほど、復旧時のデータ損失が少なくなり、RPOの短縮が可能です。データが変更されると同時にその変更が別の場所に反映されるため、障害が発生した時点での最新データを復旧できる可能性が高くなります。

バックアップの頻度を増やす

データのバックアップは、RPOを短縮するもうひとつの方法です。バックアップは、データのコピーを内部や外部の記憶装置(クラウドストレージや外部ストレージ等)に保存する手法であり、災害が発生した際にはバックアップからデータの復元ができます。

レプリケーションはシステムが稼働系と待機系を持ち、リアルタイムにデータのコピーを行うのに対し、バックアップは一定の間隔でデータを保存する点でレプリケーションとは異なります。前述のとおり、レプリケーションは稼働系が停止した場合でも待機系で速やかに復旧が可能です。

どちらの方法もRPOの改善に役立ちますが、双方にメリットとデメリットがあります。

データ保護の方法 メリット デメリット
レプリケーション
  • ●リアルタイムでデータが同期され、最新の状態でデータが保護できる(リアルタイム性が高い)
  • ●復旧までの時間を最小限に短縮できる
  • ●待機系システムに切り替えるだけで業務が継続できる
  • ●大容量のデータにも対応できる
  • ●任意の時点のデータ復旧はできない
  • ●データの破損や不正な変更も反映される
  • ●コストが比較的高い
バックアップ
  • ●任意の時点を指定してデータを復旧できる
  • ●データの破損やウイルスの感染にも対応しやすい(遡ってデータの復旧ができる)
  • ●最終バックアップ時点以降のデータは失われる(リアルタイム性が低い)
  • ●バックアップの実行や復元に時間がかかる

レプリケーションとバックアップは併用が望ましいですが、初期費用や維持コスト、運用の手間を考慮し、自社にとって適切な手段を採用することが大切です。

データ重複除去技術を利用する

データ重複除去技術とは、同じデータが複数回保存されている場合に、余分なコピーを削除して効率化する技術です。ストレージの容量を節約でき、管理の負担を軽減できます。特に大規模なデータシステムやクラウドストレージで有効で、バックアップ処理の高速化、保存コストの削減にも役立つ技術です。

重複データの除去により、効率性を向上させ、緊急時のデータ復旧をより迅速に行えるようになります。

RPOに専念できるように業務効率化ツールを導入する

RPOの改善・短縮につながるシステムの導入のほか、災害時・緊急時に業務効率化が図れるシステムの導入も効果的です。デジタル化が進む現代では、データの復旧速度が事業継続に大きな影響をおよぼします。災害時・緊急時に他の業務に追われ、データ復旧業務に専念できず、結果的に大きな損害につながるおそれもあります。

例えば、災害時には従業員の安否確認が優先事項のひとつであり、事業継続の大きな要になるでしょう。手動で個別に従業員に安否確認メールを送り、回答を集計するのは労力がかかります。しかし、安否確認システムを導入すれば、大幅な業務効率化が可能です。

安否確認システムのなかには、部署ごとにグループ化し、手動でメール配信ができるものもあります。安否確認だけではなく、災害時・緊急時の部署ごとの指示出しにも応用できるため、安否確認システム導入により結果的にRPOの改善や短縮が可能になるかもしれません。

RPOの改善・短縮のために、他の業務の効率化を検討することも大切です。

RPO設定のプロセス

RPO設定の大まかなプロセスは以下のとおりです。

  • 1.ビジネス影響分析(BIA)を行う
  • 2.データの重要度に応じた分類を行う
  • 3.RPOの目標値を設定する
  • 4.データ保護手法を選定する
  • 5.実装とテストを行う
  • 6.定期的に見直し・改善する

RPOの重要度は企業や業種によって異なります。満足のいく目標を達成するためにはコストも大きくなるため、業務に対する影響度を十分に考慮しましょう。また、RPOの設定が難しい場合、BCPの策定からはじめるのも選択肢のひとつです。

RPOの設定前に行うべきBCPの策定

RPOはBCPと密接な関係があります。BCPは災害や緊急事態が発生した際に事業を継続するための計画であり、RPOはBCPを策定するうえで重要な要素のひとつです。

BCP策定のプロセスのなかには、事業継続のための中核業務の洗い出しや目標復旧時間の決定、ビジネス影響分析(BIA)、データの重要度に応じた分類等、RPOに関連する内容も含まれます。BCP策定の大まかな流れは以下のとおりです。

  • ●【目的の設定】基本方針を決める
  • ●【優先順位】重要業務・目標復旧時間を決める
  • ●【現状認識】被害状況の想定と影響を考える
  • ●【具体策】事前対策を行う
  • ●【役割分担】緊急事態発生時の体制を考える
  • ●【策定】BCP(事業継続計画)を作成する
  • ●【浸透】全従業員や家族へ共有する
  • ●【改善】定期的・継続的に見直す

BCP策定の過程で洗い出された情報を基にして、自社にとっての中核業務や、いつまでにどのくらいのデータ復旧が必要かを判断できます。結果的にRPOやRTOの設定がしやすくなるため、まずはBCPの策定がおすすめです。

RPO・RTO短縮には業務効率化システムの導入が効果的

RPO・RTO短縮には業務効率化システムの導入が効果的

RPO・RTOを短縮し、RLOを高くしすぎると費用対効果が悪くなるおそれがあります。そのため、対策に必要なコストと損害の許容範囲はバランスをとることが大切です。データ復旧の重要度が高い業種であれば、RPO・RTOの短縮だけにコストをかけるのではなく、他の業務を効率化するシステムの導入も効果的です。業務効率化のツールを導入すると、他の業務に割くリソースを削減でき、データ復旧に割けるリソースが増え、結果的にデータ復旧までの時間を短縮できるかもしれません。

例えば、災害時・緊急時の安否確認は、システムの導入により業務効率を大幅に改善できる業務のひとつです。安否確認システムのなかには、災害時に従業員へ自動で安否確認メールを配信し、回答結果を自動集計するだけでなく、未回答者への自動再配信まで行えるものがあります。手動でのメール配信機能を使えば、災害時・緊急時における部署ごとのスムーズな指示出しや意思疎通にも応用可能です。

業務効率化によりデータ復旧に専念できれば、その分データの早期復旧も期待できます。

RPO・RTO短縮やBCP策定を検討しているなら安否確認システム「ANPiS」を

RPOやRTOの短縮、BCPの策定を検討しているなら、災害時の業務効率化に役立つ「ANPiS(アンピス)」の導入をぜひご検討ください。気象庁と連携した安否確認システムで、災害時や緊急時の初動対応を効率化できる機能が揃っています。

【利用できる機能】

  • ●気象庁の情報と自動で連携
  • ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
  • ●従業員の回答結果を自動で集計
  • ●未回答の従業員に対する自動再配信
  • ●手動配信による柔軟な対応
  • ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
  • ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
  • ●部門横断のグループ設定
  • ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
  • ●個人情報の秘匿性
  • ●LINE配信 (有償オプション)

初期費用は無料、月額6,600円から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランをご用意しており、全国でご利用いただけます。

ご利用人数 スタンダードプラン※1 ファミリープラン※2
~50名 6,600円 6,985円
~100名 9,900円 10,670円
~150名 13,200円 14,355円
~200名 15,400円 16,940円
~300名 17,600円 19,910円
~400名 19,800円 22,880円
~500名 22,000円 25,850円
501名〜 100名ごとに+2,200円 100名ごとに+2,970円

Webからお申込みができ、お申込みからご利用開始までは最短1ヶ月とスピーディーに導入いただけます。

また、2週間の無料トライアルについても、Webからのお申込みが可能です。RPOやRTO短縮やBCPの策定等の災害対策を進めるにあたり、リソースの確保や業務効率化が可能なシステムの導入を検討しているなら、ぜひお気軽にご相談ください。

  • スタンダードプランは、従業員とその家族へメール配信するプランです。
  • ファミリープランは、スタンダードプランに加えて、家族の応答内容を家族内で共有することができます。
    なお、家族への安否確認メールは管理者による手動配信となります。

RPO・RTO短縮を目指すなら業務効率化システムの導入も検討しよう

RPOとは、標復旧時点をさし、システム障害の発生によってデータが損失した際に、どの時点までのデータを復旧させるかの指標です。目標値が小さいほど直近のデータ復旧を意味し、大きいほど失われるデータが多いことを意味します。

値を小さくする方法にはデータのバックアップやレプリケーションが有効ですが、目標が高いほどデータ保持・復旧にともなうコストが増大するため注意が必要です。RPOやRTOの改善だけにコストをかけるのではなく、別の業務効率化も検討しましょう。

災害時・緊急時の安否確認は効率化が可能な業務で、安否確認システムを活用すれば業務負担を減らせます。安否確認作業の効率化によりリソースが確保できれば、データ復旧にリソースを集中でき、事業継続や早期復旧につながります。

安否確認システムなら、ぜひ「ANPiS」の導入をぜひご検討ください。

三沢 おりえ(みさわ おりえ)

監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。

サービス概要資料

安否確認システム
「ANPiS」

BCP策定の第一歩は、安否確認から!関西電力が提供する「安否確認システム(ANPiS)」のサービス概要をご紹介します。

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