地震の二次災害とは?被害の具体例と対策や企業ができる備えを解説
2025.1.23
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目次
災害発生時は、直接的に被る被害に加え、間接的に発生する 「二次災害」 にも備えておくことが大切です。企業の場合、災害時には従業員の命や事業の継続性を守る必要があります。
この記事では、二次災害の概要や地震の二次災害として想定される具体的な災害と対策を紹介します。企業が従業員や事業を守るためにできる二次災害への備えも紹介するので、災害対策を進める際の参考にしてください。
二次災害とは?一次災害との違い
二次災害とは、地震や台風、水害等によって発生した災害をきっかけに、間接的に発生する災害を指します。直接的な災害は 「一次災害」 と呼ばれます。
例えば、地震によって発生する地滑りや建物の崩壊が一次災害です。一次災害によって発生した火災やライフラインの寸断等が二次災害にあたります。二次災害の詳しい事例は後述します。
地震の二次災害に備えることの重要性
地震をはじめとする災害の二次災害で命を落とす人は少なくありません。過去に発生した大規模地震でも、多くの人が二次災害により亡くなっています。
近年発生した大規模地震のうち、能登半島地震、東日本大震災、熊本地震の災害関連死の被害状況は、以下のとおりです※1。
災害 | 人数 |
---|---|
能登半島地震※1 | 149人 |
熊本地震等※2 | 220人 (地震後に発生した豪雨と地震との関連が認められたものを含む) |
東日本大震災※3 | 3,802人 |
上記はあくまでも災害関連死の人数です。二次災害の種類はさまざまで、死者が発生しなくともライフラインや建物、事業に大きな損害を与えているものもあります。
二次災害への対策は、人命を救うとともに損害を防ぐことにもつながるため、備えておくことが大切です。
- 2024年11月時点の情報です。
- 出典:NHK 「能登半島地震 災害関連死149人に 直接死含めた死者は376人」
- 出典:復興庁 「東日本大震災における震災関連死の死者数」
- 出典:内閣府 「災害関連死について」
地震で想定される7つの二次災害と対策
地震の二次災害として想定される主な災害は以下のとおりです。
- ●余震
- ●火災
- ●津波
- ●地割れ・液状化現象
- ●落石・土砂崩れ・崖崩れ
- ●ライフライン(電気・ガス・水道・通信)の寸断
- ●避難先でのエコノミークラス症候群・感染症等
災害の対応は状況によりさまざまですが、以下で主な対策を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
①余震
余震とは、大地震に続いて発生する地震を指します。規模の大きな地震が 「本震」 とされ、本震のあとに発生する地震を余震とすることが一般的です。本震の影響で地殻が不安定になり、周辺の岩盤が再調整を行うために複数回の地震(余震)が起こると考えられています。
しかし、地震のパターンは一定ではありません。大きな地震後に小さな余震が発生するパターンや大きな地震後により大きな余震が発生するパターンもあります。一連の地震活動が終わるまで余震の程度は予測できないため、本震と同等もしくは本震以上の規模の余震が発生する可能性も否定できません。
そのため、余震によって想定される二次災害も、本震発生時と同様に建物の倒壊や家具の転倒、火災、津波、地割れ、ライフラインの寸断等が挙げられます。余震に備えるための主な対策は以下のとおりです。
- ●避難経路を確保する(ドアや窓を開けておく等)
- ●ガスの元栓を閉める
- ●お風呂に水をためる
- ●ポータブルバッテリーの充電を再確認する
- ●家具類の固定・配置を再確認する
- ●避難場所に移動する
地震が原因で停電した際には、復旧時の通電により通電火災が発生するおそれもあります。家電用のポータブルバッテリーや、スマートフォン等の電子機器に使えるモバイルバッテリーは日頃から充電をしておくことをおすすめします。
②火災
電線のショートや家電製品、暖房器具や調理器具からの出火による火災も、地震の後に想定される二次災害のひとつです。
阪神・淡路大震災では、神戸市内だけでも10日間に170件以上の火災が発生し、延焼により7,000棟以上の建物が火災の被害にあっています。火災への主な対策は以下のとおりです。
- ●避難経路を確保する(ドアや窓を開けておく等)
- ●電子機器の電源を落とす
- ●ブレーカーを切る
- ●ガスの元栓を閉める
- ●建物の外に避難する
地震によって火災が発生した場合は、速やかに避難しましょう。火災によって発生した煙を吸ってしまうと、一酸化炭素中毒などで窒息するおそれがあります。
また、火災が発生していない場合でも、避難場所へ移動する前にブレーカーやガスの元栓を切っておくことで、火災防止につながるでしょう。
③津波
津波は甚大な被害をもたらす地震の二次災害です。東日本大震災では想定を超える規模の津波が発生し、甚大な被害をもたらしました。
津波によって発生する被害は、溺死や浸水、建物の倒壊、ライフラインの寸断、火災等さまざまです。津波への主な対策は以下のとおりです。
- ●海や川から離れる
- ●高台に避難する
- ●津波ハザードマップに指定された避難場所に移動する
津波から身を守るためには、とにかく逃げることが大切です。速やかに避難できるように、市町村が作成・公表している津波ハザードマップを確認しておきましょう。
④地割れ・液状化現象
気象庁が公表している震度階級ごとの状況では、震度5弱から地盤に亀裂や液状化が起こるとされています。地割れや液状化にともない、ライフラインへ被害が派生するかもしれません。地割れや液状化現象への主な対策は以下のとおりです。
- ●ハザードマップで自宅周辺の地盤の状況を確認する
- ●避難時に車の利用は避ける
- ●ポータブル充電器を準備しておく
- ●非常用トイレを用意しておく
- ●飲料や食料等の備蓄品を常備しておく
- ●お風呂に水をためる
- ●避難用防災リュックを準備しておく
自宅に被害がない場合でも、ライフラインに被害が及ぶと、水道やガス、電気が使用できなくなるおそれがあります。備蓄品や携帯トイレ等は大きな災害が発生した際に役立つため、常備しておくことをおすすめします。
なお、国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、災害種別から 「地形区分に基づく液状化の発生傾向」 を選ぶと、マップ上で周辺地盤の状況が確認可能です。自宅周辺の地盤を確認する際に活用してみてください。
⑤落石・土砂災害・崖崩れ
落石や土砂災害、崖崩れは、震度5弱から想定される二次災害です。2016年に発生した熊本地震では、以下の土砂災害が発生しています。
災害の種類 | 件数 |
---|---|
土石流等 | 57件 |
地滑り | 10件 |
がけ崩れ | 123件 |
落石・土砂災害・崖崩れへの主な対策は以下のとおりです。
- ●ハザードマップで土砂災害リスクの確認をしておく
- ●電池式・手回し式充電器を準備しておく
- ●非常用トイレを用意しておく
- ●飲料や食料等の備蓄品を常備しておく
- ●お風呂に水をためる
ハザードマップポータルサイトでは、土砂災害警戒地区や避難場所を確認できます。また、土砂災害によってライフラインの寸断が発生するおそれもあるため、日頃から備蓄品を用意しておくことも対策になるでしょう。
⑥ライフライン(電気・ガス・水道・通信)の寸断
ライフラインの寸断は、一次災害や①〜⑤の二次災害によって発生するおそれがある災害です。各自治体では、災害時に備えて小学校や自治体が所有する施設に防災備蓄倉庫を設置しています。しかし、避難者全員分を賄えるほどの防災用品や備蓄が用意されているわけではありません。
そのため、自分で備える 「自助」 も大切です。ライフラインの寸断によって発生する事象ごとの対策には、主に以下が挙げられます。
ライフラインの寸断によって発生する事象 | 備えの一例 |
---|---|
停電 |
|
断水 |
|
ガス寸断 |
|
通信障害 |
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ライフライン寸断への対策は、他の二次災害が発生した場合や、豪雨や台風の際にも役立つため、日頃から備えておくことが大切です。
⑦避難先でのエコノミークラス症候群・感染症等
避難先ではエコノミークラス症候群や感染症等の二次災害リスクがあります。エコノミークラス症候群とは、食事や水分を十分にとらないまま、長時間同じ姿勢でいることにより、血行不良によって起こる病気です。肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)とも呼ばれます。
飛行機のエコノミークラス搭乗者に多く発症することが名前の由来で、最悪の場合死に至るケースもあるため、避難所での生活や車を避難先に選んだ際には、エコノミークラス症候群にも注意しなければなりません。
また、避難先は不特定多数の人が共同生活する環境です。インフルエンザやノロウイルス等の感染症にも注意しましょう。それぞれの対策は以下のとおりです。
エコノミークラス症候群への対策 |
|
---|---|
感染症への対策 |
|
企業ができる地震の二次災害に備えた安全対策
災害時には、企業は従業員の安全確保に加え、事業の継続も重要な課題となります。企業ができる地震の二次災害への対策には、以下のものが挙げられます。
- ●ハザードマップで避難場所・避難経路を確認する
- ●防災用品の備蓄
- ●BCPの策定と運用
- ●安否確認システムの導入
それぞれ以降で詳しく紹介します。
ハザードマップで避難場所・避難経路を確認する
ハザードマップとは、被災想定区域や避難場所・避難経路等の防災関係施設の位置を表示した地図で、自然災害による被害の軽減や防災対策を目的として活用されます。従業員をはじめとする人命の安全確保のためにも、事前にハザードマップを確認しておくことが大切です。
ハザードマップは各自治体のホームページ等で確認ができます。規模が大きい地震で発生する津波や土砂崩れ等の二次災害は、人力で防げないものも少なくありません。「災害を防ぐ(防災)」だけでなく「災害に備え、被害や損害を減らす(減災)」という考え方も大切です。
減災について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連記事:減災とは?防災との意味の違いや具体的な取り組み、企業ができる対策を徹底解説
防災用品の備蓄
災害時に備え、国や自治体からは一人あたり最低でも3日分の水や食料を備蓄しておくことが推奨されています。
水や食料品のほか、救急用品や懐中電灯、救護用品や衛生用品等も準備しておくといいでしょう。防災用品の備蓄については以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:企業防災とは?取り組み内容と備蓄品の目安や事例を紹介
BCPの策定と運用
BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)とは、災害や緊急事態が発生した際に事業への影響を最小限に抑え、迅速な復旧を果たすための計画を指します。日本では、災害対策基本法に基づき、国から企業にBCPの策定・運用が求められています。
BCP策定のプロセスのなかで災害発生時の体制や行動を決定するため、BCPの策定は二次災害の防止にも有効です。BCP策定による具体的なメリットは以下のとおりです。
- ●災害・緊急事態が発生しても速やかに対応できる
- ●従業員の雇用や顧客への供給を守れる
- ●企業価値や信頼が高まる
- ●税制優遇等の公的支援を受けられる可能性が高まる
なお、BCPを継続的に運用していく活動や仕組みは「BCM(Business Continuity Management、事業継続マネジメント)」と呼ばれます。BCPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:災害時に役立つBCP(事業継続計画)とは?具体的な効果や策定のポイントを紹介
安否確認システムの導入
安否確認システムは、災害時の業務負担を軽減し、従業員の安全確保と事業の継続に効果的なシステムのひとつです。企業は災害時に従業員の安否を確認し、必要に応じた救援やサポートを提供する必要がありますが、安否確認をすべて手作業で行っていると、大きな負担になります。
安否確認システムを導入すると、安否確認メールの自動配信や回答の自動集計により、業務の効率化が図れます。管理者から正確な情報を発信できれば、無駄な混乱を防ぎ、適切な避難指示をできるでしょう。
比較的低コストで導入できる安否確認システムも多いため、災害時の二次災害防止や事業早期復旧のために導入を検討してみてください。
地震の二次災害防止には関西電力の安否確認システム 「ANPiS」 がおすすめ
安否確認システムの導入は、比較的低コストで導入できる二次災害防止対策のひとつです。災害発生時に自動で従業員に安否確認メールが配信され、回答結果を自動集計します。従業員の安否確認に加え、指示出しにも活用でき、混乱による二次災害防止に効果的です。
安否確認システムを導入するなら、関西電力の「ANPiS(アンピス)」をおすすめします。気象庁と連携した安否確認システムで、災害時や緊急時の初動対応を効率化できる機能が揃っています。
【利用できる機能】
- ●気象庁の情報と自動で連携
- ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
- ●従業員の回答結果を自動で集計
- ●未回答の従業員に対する自動再配信
- ●手動配信による柔軟な対応
- ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
- ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
- ●部門横断のグループ設定
- ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
- ●個人情報の秘匿性
- ●LINE配信 (有償オプション)
初期費用は無料、月額6,600円から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランが用意されており、全国で利用可能です。
ご利用人数 | スタンダードプラン※1 | ファミリープラン※2 |
---|---|---|
~50名 | 6,600円 | 6,985円 |
~100名 | 9,900円 | 10,670円 |
~150名 | 13,200円 | 14,355円 |
~200名 | 15,400円 | 16,940円 |
~300名 | 17,600円 | 19,910円 |
~400名 | 19,800円 | 22,880円 |
~500名 | 22,000円 | 25,850円 |
501名〜 | 100名ごとに+2,200円 | 100名ごとに+2,970円 |
Webから申込みができ、2週間の無料トライアルも可能なので、二次災害の防止を含め、災害への対策強化を検討しているなら、相談してみてはいかがでしょうか。
- スタンダードプランは、従業員とその家族へメール配信するプランです。
- ファミリープランは、スタンダードプランに加えて、家族の応答内容を家族内で共有することができます。
なお、家族への安否確認メールは管理者による手動配信となります。
地震等の自然災害では二次災害に備えておくことも大切
二次災害とは、地震等の災害によって間接的に発生する災害を指します。地震の二次災害には津波や土砂崩れ等があり、人力で防げないものも少なくありません。二次災害によって人命が奪われることもあるため、二次災害の発生を想定した備えが大切です。
企業であれば、ハザードマップの確認や防災用品の備蓄、BCPの策定、安否確認システムの導入をおすすめします。特に災害時には、従業員の安否確認が優先事項のひとつです。安否確認システムは、従業員の安否確認や意思疎通に役立ち、情報の錯綜から起因する二次災害防止に貢献します。
二次災害をはじめとする災害対策のひとつとして安否確認システムを導入するなら、ぜひ「ANPiS」をご検討ください。
監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)
総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。
サービス概要資料
安否確認システム
「ANPiS」
BCP策定の第一歩は、安否確認から!関西電力が提供する「安否確認システム(ANPiS)」のサービス概要をご紹介します。
資料の一部をご紹介
- 安否確認システム(ANPiS)とは
- 選ばれる理由
- サービスの特徴
- よくあるご質問
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