減災とは?防災との意味の違いや具体的な取り組み、企業ができる対策を徹底解説

2025.1.23

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減災とは?防災との意味の違いや具体的な取り組み、企業ができる対策を徹底解説

自然災害が多い日本では防ぎきれない災害も多く、「減災」の考えが重要視されています。

この記事では、減災の意味や防災との違い、具体的な減災対策を紹介します。従業員の命や事業を守るために企業が取り組むべき減災対策も紹介するので、災害への備えを考えている方はぜひ参考にしてください。

減災と防災の違いとは?

減災と防災はどちらも災害への対策である点は同じです。防災は災害そのものの被害を防ぐ取り組みを指します。一方、減災は災害を完全に防ぐことが難しい場合に、災害が起きた際の被害を最小限に抑える取り組みです。

減災は 「一定の災害は受ける」 との前提をふまえ、被害の最小化を目指す点で、被害を未然に防ぐ考えである防災とは異なります

減災が重要視される背景

日本では、毎年のように地震、台風、大雨等の自然災害が発生し、多くの人々や地域社会がその影響を受けています。特に、地震による津波のように物理的に防ぐことが難しい災害も多く、従来の防災対策だけでは十分に対応しきれない状況が続いています。

このような背景から、災害を完全に防ぐことが難しい場合でも、被害を最小限に抑えるための「減災」の考え方が注目されています。

近年、大きな被害をもたらした自然災害の一例は、以下のとおりです。

災害 主な被害事例
2015年9月 関東・東北豪雨 鬼怒川周辺の浸水被害
2016年4月 熊本地震 阿蘇大橋地区の大規模土砂災害
2016年8月 台風第10号 小本川の氾濫による浸水被害
2017年7月 九州北部豪雨 赤谷川周辺の土砂・氾濫洪水、流木による被害
2018年7月 豪雨(岡山県倉敷市で大規模な浸水被害) 小田川周辺の浸水被害
2018年9月 台風第21号 神戸港・関空周辺の浸水被害
2018年9月 北海道胆振北部地震 厚真町の大規模土砂災害
2019年8月 前線に伴う大雨(佐賀県大町町で大規模な浸水被害) 六角川周辺の浸水被害
2019年10月 東日本台風 千曲川周辺の浸水被害

これらの事例以降も、台風や大雨等の自然災害による被害は発生しています。例えば、2024年1月には震度7を観測する能登半島地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。

未曾有の災害が発生した場合、国や地方公共団体等の公的機関が行う「公助」が十分に機能しないケースも考えられます。そのため、自分自身で災害に備えて行動する「自助」、地域やコミュニティ内で助け合う「共助」が非常に重要です。

また、国は防災対策として、老朽化した公的施設の建て替えや、堤防・ダムの整備等に力を入れています。

しかし、個人や企業では対応が難しい防災対策も多くあります。そのため、災害を完全に防ぐことを目指すのではなく、災害発生時に被害を最小限に抑えられる「減災」の取り組みを強化することが必要です。

企業や個人ができる減災対策の具体的な取り組み

企業や個人ができる減災対策の具体的な取り組み

企業や個人ができる減災対策の取り組みは以下のとおりです。

  • ●自助と共助を心がける
  • ●ハザードマップで危険区域や避難場所を確認しておく
  • ●日頃から防災グッズや備蓄品を準備しておく
  • ●地震に対する建物の強度を確認しておく
  • ●家具類の固定や配置変更を行う
  • ●家族や従業員と災害発生時の行動計画を共有する
  • ●地域や関連企業とのつながりを大切にする

それぞれ以降で詳しく紹介します。

自助と共助を心がける

災害への備えは「自助」「共助」「公助」の3つに分けられます。

自助 自分自身や家族の命、財産を守る取り組みを自分で行うこと
共助 近所や地域のコミュニティと助け合うこと
公助 市役所、消防、警察、自衛隊等による公的機関が行う支援のこと

災害時には、公的な支援が到着するまでに時間がかかることもあるため、個人や企業が減災対策の取り組みを考える際は、「自助」と「共助」の考え方が重要です。

自分の身は自分で守る、身近な人や地域の人と助け合う意識を持ち、日頃からできることを考えておくことが減災につながります。

ハザードマップで危険区域や避難場所を確認しておく

災害が発生する前にハザードマップを確認しておきましょう。ハザードマップとは、被災想定区域や避難場所・避難経路等の防災関係施設の位置を表示した地図です。各自治体のホームページ等で確認できます。

津波や土砂災害、洪水等、災害ごとのハザードマップがあり、地域ごとの災害リスクを視覚的に理解するための重要なツールです。災害発生時に適切な場所に避難することは、火災や津波、土砂崩れ等の二次災害から身を守る減災対策になります。

日頃から防災グッズや備蓄品を準備しておく

災害発生後のライフライン断絶に備え、日頃から防災グッズや備蓄品を用意しておくことも減災の取り組みのひとつです。

各自治体では小学校や所有施設に防災倉庫を備えていますが、被災者全員分を賄えるわけではありません。国は一般家庭に向けて、1日3食分の食料品を最低3日分、できれば1週間分備蓄しておくことを推奨しています

水や食料、懐中電灯や電池、個々の状況に応じた必要な備蓄品等、災害時に役立つ備えのチェックリストが国から提供されているので、参考にするとよいでしょう。

防災倉庫については以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

地震に対する建物の強度を確認しておく

地震が多い日本では、建物の安全性は人命にかかわる要素のひとつのため、自宅やオフィスの耐震性能を確認しておくことも大切です。

1981年に耐震基準が改正されているため、それよりも以前に建てられた古い建物は特に注意が必要です。また、新耐震基準を満たしている建物でも、揺れの強さや特性、建物の造りによっては被害を受けるおそれがあります。

耐震診断を受けると、建物がどれくらいの地震に耐えられるかを把握できます。必要に応じて補強工事を施したり、保険に加入したりして対策を講じると減災につながるでしょう。

家具類の固定や配置変更を行う

背の高い家具や重量のある家電等、倒れてきた時に二次被害を発生させるおそれがあるものは、壁や床に固定します。倒れてくると危険な家具を生活スペースや寝室に置かない、飛散すると危険なガラス製品は高い場所に置かない等、家具の配置変更を行うことも有効です。

窓や扉のガラスには飛散防止フィルムを貼っておくと、台風や地震等の災害時に窓ガラスが割れてもガラスが飛散せず、避難経路の確保にもつながります。

家族や従業員と災害発生時の行動計画を共有する

災害時も冷静に行動するため、連絡先や連絡方法、避難時の合流場所等の行動計画を家族や従業員と共有しておくことが大切です。大規模災害時には通信障害が発生し、思うように連絡・連携がとれないことも考えられます。

例えば、企業では避難経路や非常時の連絡手段の共有、災害時でも連絡がつきやすい安否確認システムの導入をしておくと安心です。災害時の行動に一貫性が生まれるため、混乱せずに行動でき、二次災害を防ぐことができます。

地域や関連企業とのつながりを大切にする

災害時には地域や関連企業との連携が重要です。企業が日常から地域住民や近隣の企業と連携関係を築くことで、災害時には共助の体制が整いやすくなります。取引先等の関連企業と連携できるよう、災害時の行動方針を共有しておくのも有効です。

個人では、日頃から近隣の人とコミュニケーションをとり、災害時にサポートを頼める人、もしくはサポートが必要な人(高齢者や障がい者等)がいないかを確認しておくと、災害発生時に助け合いやすくなります。

防災・減災に効果的な企業の取り組み

防災・減災に効果的な企業の取り組み

災害が起こった場合、企業は従業員の命を守り事業の継続性を保つ責任があります。企業が取り組むべき防災・減災対策は以下のとおりです。

  • ●BCPの策定と運用
  • ●定期的な訓練の実施
  • ●安否確認システムの導入

それぞれ詳しく紹介します。

BCPの策定と運用

BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)は、災害や緊急事態が発生した際に事業への影響を最小限に抑え、迅速な復旧を果たすための計画です。日本では、災害対策基本法に基づき、国から企業にBCPの策定・運用が求められています。

BCPは策定プロセスのなかでは、想定されるリスクの洗い出しや事業に重大な影響を及ぼすリスクへの対処法を考えます。災害発生時の行動計画の作成や課題の把握等も行うため、減災対策にも有効です。BCP策定による具体的なメリットは以下のとおりです。

  • ●災害・緊急事態が発生しても速やかに対応できる
  • ●従業員の雇用や顧客への供給を守れる
  • ●企業価値や信頼が高まる
  • ●税制優遇等の公的支援を受けられる可能性が高まる

BCPを継続的に運用していく活動や仕組みは 「BCM(Business Continuity Management、事業継続マネジメント)」と呼ばれます。BCPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

定期的な訓練の実施

防災・減災対策やBCPは策定して終わりではなく、定期的な訓練の実施が大切です。災害を想定して訓練を実施することで、実際に災害が発生した時の実効性向上につながります。

訓練のなかで課題を発見でき、より効果的な対策やBCPへブラッシュアップできる点も大きなメリットです。

安否確認システムの導入

減災には安否確認システムの導入も有効です。安否確認システムは災害が発生すると自動で安全確認メールを従業員に配信します。従業員の安否確認がスムーズにでき、業務負担を軽減できます

回答の自動集計やグループ・部署別に分けての返信機能等も利用可能です。災害時の正確な情報共有や適切な指示出しも可能になり、混乱による二次災害の防止にも役立ちます。

比較的低コストで導入でき、事業の早期復旧にも役立つシステムです。災害対策、減災への取り組みとして導入することをおすすめします。

防災・減災対策に安否確認システムを導入するなら関西電力の 「ANPiS」 を

防災・減災対策のひとつとして安否確認システムを導入するなら、関西電力の「ANPiS(アンピス)」をおすすめします。

災害時・緊急時に必要な以下の機能を備えながら、シンプルで使いやすい操作設計が特徴です。防災・減災に役立ち、平常時にもご活用いただけます。

【利用できる機能】

  • ●気象庁の情報と自動で連携
  • ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
  • ●従業員の回答結果を自動で集計
  • ●未回答の従業員に対する自動再配信
  • ●手動配信による柔軟な対応
  • ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
  • ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
  • ●部門横断のグループ設定
  • ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
  • ●個人情報の秘匿性
  • ●LINE配信 (有償オプション)

初期費用は無料、月額6,600円から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランが用意されており、全国で利用可能です。

ご利用人数 スタンダードプラン※1 ファミリープラン※2
~50名 6,600円 6,985円
~100名 9,900円 10,670円
~150名 13,200円 14,355円
~200名 15,400円 16,940円
~300名 17,600円 19,910円
~400名 19,800円 22,880円
~500名 22,000円 25,850円
501名〜 100名ごとに+2,200円 100名ごとに+2,970円

2週間の無料トライアルも可能なので、防災対策・減災対策の強化を検討しているなら、相談してみてはいかがでしょうか。

  • スタンダードプランは、従業員とその家族へメール配信するプランです。
  • ファミリープランは、スタンダードプランに加えて、家族の応答内容を家族内で共有することができます。
    なお、家族への安否確認メールは管理者による手動配信となります。

防げない災害に備えて今から減災対策を

減災は、起こった災害の被害を最小限に抑える考え方を指します。大規模地震や大雨等、自然災害のなかには物理的に防ぐことが難しいものも少なくありません。災害を完全に防ぐことを目指す「防災」ではなく、災害が起こっても被害を抑える「減災」を念頭に置いて、対策を講じることが重要です。

また、企業には従業員の命や事業を守る責務があります。企業として被害を拡大させないためには、従業員の安否確認や従業員への適切な指示出し・情報共有が大切です。災害発生時のスムーズな安否確認や意思疎通を図るツールとして、安否確認システムの導入が効果的といえるでしょう。

安否確認システムは比較的低コストで導入できる減災対策のひとつで、BCP策定の際にも役立ちます。安否確認システムの導入なら、ぜひ「ANPiS」をご検討ください。

三沢 おりえ(みさわ おりえ)

監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。

サービス概要資料

安否確認システム
「ANPiS」

BCP策定の第一歩は、安否確認から!関西電力が提供する「安否確認システム(ANPiS)」のサービス概要をご紹介します。

資料の一部をご紹介

  • 安否確認システム(ANPiS)とは
  • 選ばれる理由
  • サービスの特徴
  • よくあるご質問

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