介護施設・事業所におけるBCPとは?具体的なガイドラインと策定方法等を解説

2025.6.6

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介護施設・事業所におけるBCPとは?具体的なガイドラインと策定方法等を解説

2021年の介護報酬改定により、すべての介護施設・事業所に対してBCP策定が義務付けられました。

BCPを策定するとさまざまなメリットがありますが、一方で、BCP策定義務に従わない場合、企業として大きな悪影響を受けるおそれがあります。

この記事では、BCP策定の概要や具体的なガイドライン、策定方法等について解説します。

従業員の安否確認から
集計までを自動化
災害時の迅速な初動対応が可能に

安否確認システム 「ANPiS」 は気象庁と連携し、 災害が発生するとメール等が自動で配信され、
従業員の安否や出社可否の確認結果を自動集計します。

  • ※1 2019年8月(サービス開始)~2024年9月現在の実績です。受信側の要因を除きます。
  • ※2 オプションでLINEの一斉配信も可能です。

BCP(事業継続計画)とは

BCPとは、Business Continuity Planの略称で、「事業継続計画」 と訳されます

世界的な感染症や大規模な自然災害、人為的なテロ行為等が発生した場合、一事業者が通常どおりに業務を実施することは極めて困難です。

万一の事態に備えて、事前準備を進めるとともに、通常の業務を中断した場合でも優先業務を実施するための対応方針や具体的な体制、手順等を示した計画のことをBCPと呼びます。

BCPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

2021年4月より介護施設・事業所のBCP策定が義務化

2021年4月の介護報酬改定・障害福祉サービス等報酬改定の際、厚生労働省は介護事業所におけるBCP策定を義務付けました。

介護サービスは、要介護者やその家族の生活を支えるうえで欠かせない存在です。災害発生時に電気やガス、水道等のライフラインが寸断されて介護サービスの提供が困難になると、利用者の生命や身体に著しい影響を及ぼすおそれがあります。

災害の発生は予測が難しいため、上記の事態が生じた場合でも最低限のサービス提供が維持できるよう 「事業継続計画(BCP)」 の策定が有効です。

介護サービスにおけるBCPでは、緊急時の人員招集方法や飲食料品、マスク等の衛生用品、冷暖房設備や空調設備稼働用の燃料等の確保策を定めることが求められます。

介護サービスにおけるBCP策定の義務化の内容

介護サービスにおけるBCP策定の義務化の内容は以下のとおりです。

  • 1. 施設系サービスについて、感染対策委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施
  • 2. その他のサービス(訪問系サービス、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援、居住系サービス)について、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等

大まかに分けると、「感染症」 と「自然災害」 の2パターンでBCPの作成および研修・訓練の実施が必要です。

入所系の施設では年2回以上、通所系・訪問系の施設では年1回以上、研修・訓練を行う必要があります。

BCP策定の義務化はすべての介護施設・事業所が対象で、策定期限は2024年3月31日までとなっており、2021年からの3年間は経過措置期間と定められていました。2025年4月時点では、BCP未策定の事業所は原則基本報酬が減算されます。

BCPの策定後は内容を全従業員に周知し、必要な研修・訓練を定期的に実施することが義務付けられています。

介護施設・事業所のBCP策定に必要な項目

介護施設・事業所のBCP策定に必要な項目

介護施設・事業所がBCPを策定する際は、以下の項目を記載する必要があります。

感染症編 自然災害編
  • 1.平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取り組みの実施、備蓄品の確保等)
  • 2.初動対応
  • 3.感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
  • 1.平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必需品の備蓄等)
  • 2.緊急時の対応(事業継続計画発動基準、対応体制等)
  • 3.他施設および地域との連携

想定される感染症や自然災害等は地域によって異なるため、項目は実態に応じて設定する必要があります。

BCPを策定する際は、感染症編と自然災害編を分けて作成しても、まとめて作成しても問題はありません。

なお、厚生労働省ではBCP策定のための例示なし・例示入りのひな型を公開しています。

その他、BCP作成の手順や研修・訓練の一例を動画で詳しく解説しているため、厚生労働省のガイドラインを参考にしながらBCPを策定すると良いでしょう。

介護施設・事業所がBCPを策定するメリット

BCP策定は介護施設・事業所の義務ですが、BCPを策定することで次のようなメリットがあります。

  • ●補助金や助成金制度を利用できる場合がある
  • ●税制優遇の特別措置や金融支援を受けられる場合がある

それぞれのメリットについて解説します。

補助金や助成金制度を利用できる場合がある

介護事業所がBCPを策定すると、都道府県や市区町村によっては補助金や助成金制度を利用できる場合があります。以下はその一例です。

都道府県 補助金・助成金制度 助成限度額
東京都 BCP実践促進助成金 1,500万円(申請下限額10万円)
新潟県
長岡市
BCP・事業承継・経営改善補助金(事業継続・事業承継計画策定推進補助金) 50万円
大阪府
八尾市
意欲ある事業者経営・技術支援補助金 200万円
- IT導入補助金 通常枠 : 450万円
インボイス枠 : 350万円
複数社連携IT導入枠 : 3,000万円
- テレワーク促進助成金 コース共通 : 250万円

補助金や助成金の内容・申請条件は変更される可能性があります。各年度の補助金、助成金については対象となる地域の担当部署までお問い合わせください。

税制優遇の特別措置や金融支援を受けられる場合がある

介護サービスがBCPを策定することで、以下の税制優遇の特別措置や金融支援を受けられる場合があります。

これらの制度を利用したい介護事業所は、各公式サイトで詳細をご確認ください。

特別措置や金融支援 内容
中小企業防災・減災投資促進税制の優遇措置
  • ●自然災害等への対策を強化するため、事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画に対象設備の投資を行うことを記載して認定を受け、認定後1年以内に予定していた設備導入を行った中小企業者が対象
  • ●事業継続力の強化に特に資する設備において、特別償却16%が適用できる
BCP資金
  • ●BCP等に基づき、防災に資する施設等の整備(改善および改修を含む)を行うために必要な設備資金および長期運転資金の支援
  • ●認定連携事業継続力強化計画に従って事業を行うために必要な設備資金および長期運転資金等に使える

介護施設・事業所がBCPを策定しないデメリット

前述したとおり、BCP策定は介護施設・事業所の義務です。策定しなかった場合には以下のデメリットがあります。

  • ●介護報酬が減算されるおそれがある
  • ●安全配慮義務違反による損害賠償責任を問われるおそれがある

それぞれのデメリットについて解説します。

介護報酬が減算されるおそれがある

2021年度の介護報酬改定では、介護報酬が0.70%引き上げられました。介護報酬のうち0.05%は感染症対策への評価です。

介護事業者はBCP未策定や訓練の未実施がある場合、施設・居住系サービスでは3%、その他のサービスでは1%の報酬減算が適用されます。ただし、2025年3月31日までの間に感染症指針や非常災害の計画を整備している場合や訪問系サービス等は減算の対象外です。

安全配慮義務違反による損害賠償責任を問われるおそれがある

BCP策定の義務化は、万一の災害時でも介護事業者が最低限のサービスを提供し、利用者の安全を守ることが目的です。

BCPの未策定により災害時に適切な体制が確立できなかった場合、介護施設の入所者や職員の人命、健康に被害が出ると、安全配慮義務違反として入居者や職員等から損害賠償責任を問われるおそれがあります。

BCPを策定しなかったことで適切な対応を取れず損害賠償責任を問われれば、企業としての信用も失墜します。まだ対応できていない介護事業所は、BCP策定が急務です。

BCPの運用に有効な関西電力の安否確認システム 「ANPiS」 がおすすめ

BCPは策定するだけではなく、実際に災害等が発生した際の実効性を高めることが重要です。
例えば、緊急時に従業員や家族の安否状況を迅速に確認できる安否確認システムの導入は、実効性のあるBCP運用としておすすめです。

関西電力の 「ANPiS(アンピス)」 は気象庁と連携した安否確認システムで、災害時や緊急時に必要な機能はもちろん、平常時にも活用いただける機能も備えています。また、シンプルで使いやすい操作設計となっています

比較的低コストで導入でき、従業員への安否確認メールの自動配信や、回答結果の自動集計が可能です。手動でメール配信をすることもでき、部署やグループを絞った連絡にも活用できます。

ANPiSで利用できる機能の一例は以下のとおりです。

【利用できる機能】

  • ●気象庁の情報と自動で連携
  • ●地域、震度、警報・注意報等種類に応じた配信設定
  • ●従業員の回答結果を自動で集計
  • ●未回答の従業員に対する自動再配信
  • ●手動配信による柔軟な対応
  • ●アンケートや会議の出欠確認等平常業務への応用
  • ●安否登録の際のID・パスワードスキップ
  • ●部門横断のグループ設定
  • ●従業員家族の安否登録(最大4名まで)
  • ●個人情報の秘匿性
  • ●LINE配信 (有償オプション)

初期費用は無料、月額6,600円(税込)から利用可能で、企業の規模やニーズにあわせて2つのプランが用意されており、全国で利用可能です。

ご利用人数 スタンダードプラン※1(税込) ファミリープラン※2(税込)
~50名 6,600円 6,985円
~100名 9,900円 10,670円
~150名 13,200円 14,355円
~200名 15,400円 16,940円
~300名 17,600円 19,910円
~400名 19,800円 22,880円
~500名 22,000円 25,850円
501名〜 100名ごとに+2,200円 100名ごとに+2,970円

Webからお申込みができ、2週間の無料トライアルも可能なので、安否確認システムの導入を検討する場合は、関西電力に相談してみてはいかがでしょうか。

  • スタンダードプランは、従業員とその家族へメール配信するプランです。
  • ファミリープランは、スタンダードプランに加えて、家族の応答内容を家族内で共有することができます。
    なお、家族への安否確認メールは管理者による手動配信となります。

介護施設・事業所のBCP策定は利用者と従業員の安全を守るために課せられた義務

BCPとは、Business Continuity Planの略称で、「事業継続計画」と訳される言葉です。

万一の災害等が発生した場合でも、最低限のサービス提供が維持できるよう「事業継続計画(BCP)」の策定が有効とされています。

そうした背景から、2021年4月の介護報酬改定・障害福祉サービス等報酬改定の際、厚生労働省は介護事業所におけるBCP策定を義務化しました。

介護事業者がBCPを策定する際は、厚生労働省が公開するガイドライン(マニュアル・動画)を参考にすると良いでしょう。

BCPの実効性を高めるためには、安否確認システムの導入がおすすめです。関西電力の「ANPiS」なら2週間の無料トライアルに対応しています。まずは一度、関西電力までお問い合わせください。

従業員の安否確認から
集計までを自動化
災害時の迅速な初動対応が可能に

安否確認システム 「ANPiS」 は気象庁と連携し、 災害が発生するとメール等が自動で配信され、
従業員の安否や出社可否の確認結果を自動集計します。

  • ※1 2019年8月(サービス開始)~2024年9月現在の実績です。受信側の要因を除きます。
  • ※2 オプションでLINEの一斉配信も可能です。
三沢 おりえ(みさわ おりえ)

監修者 三沢 おりえ(みさわ おりえ)

総合危機管理アドバイザー
防犯・防災、護身術の講演会やセミナー、イベント、メディア対応等幅広く活動。日本一非常食を食べていると自負する非常食マイスターでもある。総合防犯設備士、危機管理士、防災士。

サービス概要資料

安否確認システム
「ANPiS」

BCP策定の第一歩は、安否確認から!関西電力が提供する「安否確認システム(ANPiS)」のサービス概要をご紹介します。

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  • 安否確認システム(ANPiS)とは
  • 選ばれる理由
  • サービスの特徴
  • よくあるご質問

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