全熱交換器とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
2026.8.19
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換気と快適性を両立する方法として、「全熱交換器」を検討する方が増えています。
全熱交換器とは、換気の際に室内と室外の空気が持つ熱の性質を利用し、室内環境への影響を抑えながら空気を入れ替える換気設備です。
窓開け換気や換気扇のように外気をそのまま取り込む方式と比べて、冷暖房で整えた室内環境が崩れにくく、換気による空調負荷を抑えやすくなります。
ただし、全熱交換器が主に効果を発揮するのは「換気による空調負荷」の低減です。空調設備全体の電力使用量は、エアコンの運転方法や制御の仕方によって左右されるため、換気を見直しただけでは電気料金が思ったほど下がらないケースもあります。そこでこの記事では、まず全熱交換器の仕組みや換気扇との違い、メリット・デメリット、導入時の注意点を整理します。その上で、換気対策に加えて空調設備全体の省エネにも取り組みたい方向けに、既存の空調設備を活かして運転・制御を最適化する方法として、関西電力の「おまかSave-Air®」も紹介します。
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目次
全熱交換器とは?
全熱交換器とは、換気を行う際に、室内と室外の空気が持つ熱の性質を利用し、室内環境への影響を抑えながら空気を入れ替える換気設備です。
一般的な換気では、室内の空気をそのまま屋外へ排出するため、冷暖房で整えた温度や湿度も同時に失われてしまいます。
一方、全熱交換器では、室内から排出される空気と屋外から取り入れる空気を装置内で交差させ、熱が高い方から低い方へ移動する性質を利用します。これにより、外気の温度変化を緩和した状態で給気することが可能です。
この仕組みによって、換気による室温変化を抑えつつ新鮮な外気を取り込めるため、冷暖房効率の低下を防ぎながら換気できる点が全熱交換器の特徴といえます。
換気扇との違い
換気扇は、室内の空気を屋外へ排出したり、屋外の空気を室内に取り入れたりすることで、空気を入れ替える設備です。
構造は比較的シンプルで、主に汚れた空気を屋外へ排出することを目的としています。
そのため、換気の際には、冷暖房で整えた室内の温度や湿度も、そのまま外へ逃げやすいという特徴があります。
一方、全熱交換器は、換気時に室内と室外の空気を装置内で交差させ、熱の移動を利用して室内環境への影響を抑えながら換気を行う仕組みを備えています。 単に空気を排出・給気するのではなく、換気による温度変化を緩和できる点が、換気扇との大きな違いです。
なお、換気には「自然換気」と「機械換気」があります。
自然換気は、窓の開閉や建物のすき間を利用し、風や温度差といった自然の力によって空気を入れ替える方法です。
そのため、天候や季節によって換気量が左右されやすいという特徴があります。
一方、機械換気は、換気扇や全熱交換器等の機械を使って、給気や排気を行う換気方式です。
機械によって換気量を制御できるため、安定した換気を行いやすく、近年の建築物では機械換気が基本とされています。
その中でも、省エネ性に配慮しているのが、全熱交換を用いた換気方式です。
換気扇の使用や自然換気がもたらす影響
換気扇の使用や窓開けによる自然換気では、屋外の空気がそのまま室内に取り込まれるため、外気条件の影響を受けやすいという特徴があります。
夏は高温多湿な空気、冬は冷たく乾燥した空気が流入し、室内温度や湿度が大きく変化する原因となります。
その結果、冷暖房を強く運転する必要が生じ、空調負荷が増加してエネルギー消費量が高まるケースも少なくありません。
換気扇による排気中心の換気でも、給気は外気任せになるため、同様の影響を受けやすくなります。
また、これらの換気方法では、外気とともに花粉や粉じん、排気ガス等の異物が室内に入り込みやすく、空気環境の悪化につながる可能性があります。
特に、人の出入りが多い施設や、安定した空調管理が求められる空間では、快適性や衛生面への影響が無視できません。
さらに、自然換気は天候や風向きに左右されやすく、必要な換気量を安定して確保しにくい点も課題です。
そのため、計画的な換気が求められる建物では、より制御された換気方式が必要とされます。
全熱交換器の仕組み【図解】
全熱交換器は、室内から排出される空気と、屋外から取り入れる空気を同時に処理し、装置内で両者を交差させることで換気を行います。
この際、熱は温度の高い空気から低い空気へ移動する性質を利用し、外気の温度変化を緩和した状態で室内に供給します。
そのため、換気を行っても室内環境が大きく変化しにくく、冷暖房効率の低下を抑えながら計画的な換気を行える点が特徴です。
全熱交換器の内部構造と役割
全熱交換器は、空気を送り出すファンやダクト、熱交換を行う部品等、複数の要素で構成されています。
装置内部では、室内外の空気をそれぞれ専用の経路で流しながら、効率的な換気と熱交換を行います。
室内の空気は「換気用の吸込口」から装置内に取り込まれ、「排気ファン」によって「排気吹出口」を通じて屋外へ排出されます。
一方、屋外の空気は「外気用の吸込口」から装置内に取り込まれ、「給気ファン」によって「給気吸出口」を通じて室内へ供給されます。
これらの空気の流れは、それぞれ独立したダクトで管理されています。
こうした部品の中で、中心的な役割を担うのが「熱交換器エレメント」です。
熱交換器エレメントでは、排気される室内空気と給気される外気が直接混ざることなく接し、排気側が持つ熱エネルギーを給気側へ移動させます。
この仕組みにより、外気をそのまま取り込む場合に比べて、室内温度への影響を抑えた換気が可能になります。
全熱交換器によって空気が循環する流れ
全熱交換器では、室内の空気を屋外へ排出する流れと、屋外の空気を室内へ取り入れる流れが同時に行われます。
両者は装置内でそれぞれ決められた経路を通り、直接混ざることなくすれ違うように循環します。
この過程で、温度の高い空気から低い空気へと熱が移動する性質が利用されるため、外気は室内環境に近い状態で供給されます。その結果、換気を行っても室温の変化を抑えやすくなります。
以下、全熱交換器によって空気が循環する流れについて、夏の場合と冬の場合に分けて紹介します。
夏の場合
- ●冷房によって冷やされた室内の空気が、排気として全熱交換器に送られる
- ●同時に、屋外から高温な空気が全熱交換器内に取り込まれる
- ●装置内で両者が交差し、屋外の空気が持つ熱が室内側の排気空気へ移動する
- ●熱を受け取った排気空気は、そのまま屋外へ排出される
- ●熱の影響が抑えられた屋外の空気が、給気として室内に供給される
冬の場合
- ●暖房によって暖められた室内の空気が、排気として全熱交換器に送られる
- ●同時に、屋外から冷たい空気が全熱交換器内に取り込まれる
- ●装置内で両者が交差し、室内の空気が持つ熱が屋外の空気へ移動する
- ●熱を失った室内の空気は、そのまま屋外へ排出される
- ●熱の影響を受けた新鮮な屋外空気が、給気として室内に供給される
全熱交換器を導入するメリット
全熱交換器は、換気による空気の入れ替えと、室内環境の維持を両立できる点が特徴です。
ここでは、一般的な換気方式と比較した場合に得られる代表的なメリットについて、具体的に解説します。
換気による室温変化を抑えやすい
全熱交換器の大きなメリットの一つは、換気時の室温変化を最小限に抑えられる点です。
換気扇や自然換気では、外気がそのまま室内に流入するため、夏は室温が上昇し、冬は室温が低下しやすくなります。
その結果、冷暖房の効きが悪くなったと感じるケースも少なくありません。
全熱交換器では、室内と室外の空気が装置内で交差し、熱の移動を利用して外気の影響を緩和した状態で給気が行われます。
これにより、換気を行っても室内環境が大きく変わりにくく、快適性を保ちやすくなります。
冷暖房効率の低下を防ぎやすい
換気を行うと、室内の空気とともに冷暖房で整えた熱も失われがちです。
そのため、換気量が多い建物では、冷暖房設備の稼働が増え、エネルギー消費量が増加する原因となります。
全熱交換器を導入することで、換気時の熱の移動を活用し、外気の温度変化を抑えながら給気が行えます。その結果、冷暖房設備への負荷が過度に大きくならず、効率的な運転を維持しやすくなります。
関連記事:空調設備・機器の省エネを実現する方法とは? 具体的なアイデアや技術を詳しく解説
計画的で安定した換気が行える
全熱交換器は機械換気設備の一種であり、建物全体で計画的な換気を行える点もメリットです。
窓開けによる自然換気は、天候や風向き、外気条件に左右されやすく、必要な換気量を安定して確保することが難しい場合があります。
全熱交換器を用いれば、外気条件に関わらず一定量の換気を継続的に行うことができ、室内の空気を安定して入れ替えられます。人の出入りが多い空間や、換気量の確保が重視される建物では、特に有効な方式といえます。
快適性と省エネを両立しやすい
全熱交換器は、換気を行いながらも室内の温度や湿度の変化を抑えやすく、快適な室内環境を維持しやすい点が特徴です。
外気をそのまま取り入れる換気と比べて、室内環境に近づけた状態で給気できるため、換気による暑さや寒さを感じにくくなります。
こうした特性により、冷暖房の負荷がかかりにくく、快適性を保ったまま省エネ運転を行いやすいこともメリットです。
効果は条件によって異なりますが、全熱交換器を導入することで、空調機の消費電力量を約30%程度低減できるとされるケースもあります※。
空調の設定温度を大きく変えることなく、エネルギー消費の抑制につながる点は、全熱交換器ならではの特徴といえるでしょう。
※出典:一般社団法人 日本冷凍空調工業会「全熱交換器による CO 2 削減と省エネ効果の実測例」
全熱交換器を導入するデメリット
全熱交換器は多くのメリットを持つ一方で、導入条件や運用方法によっては注意が必要な点もあります。
ここでは、全熱交換器を導入する際に把握しておきたい代表的なデメリットについて解説します。
コストがかかる
全熱交換器は、一般的な換気扇に比べると初期費用が高めです。
装置本体の導入だけでなく、給気・排気の設備やダクト工事が必要になるケースもあり、設置工事費も大きな負担となることがあります。
さらに、全熱交換器は定期的なフィルター交換や内部清掃が必要であり、その維持管理にもコストがかかります。
特にフィルターやダクト内にホコリが溜まると、効率の低下や故障リスクの増加につながるため、専門業者による点検や清掃が推奨されています。
こうした維持費・管理費用を導入計画の段階から考慮することが重要です。
定期的なメンテナンスが必要になる
前述したとおり、全熱交換器は、フィルターや全熱交換素子を通して空気を処理する仕組みのため、定期的な点検や清掃が欠かせません。特にフィルターが目詰まりすると、換気量が低下し、本来の性能を十分に発揮できなくなるおそれがあります。
この状態が続くと、省エネ効果や室内の快適性にも影響が出るため、メーカーが推奨する頻度でフィルターの清掃や交換を行うことが重要です。一方で、適切なメンテナンスを継続することで、全熱交換器の性能を安定して維持しやすくなります。
そのため、導入時には、保守体制が整っているか、日常的なメンテナンスの負担を抑えられるかといった点も含めて検討することが、長期的な運用における対策となります。
設置環境や用途によっては不向きな場合がある
全熱交換器は、すべての建物や空間に適しているわけではなく、設置環境や用途によっては効果を十分に発揮できない場合があります。
まず、断熱性や気密性が低い建物では注意が必要です。
建物のすき間から外気が出入りしやすい環境では、換気設備を通らない空気の流入・流出が増え、熱回収の効果が薄れやすくなります。
その結果、全熱交換器を導入しても、冷暖房負荷の軽減や省エネ効果を実感しにくいケースがあります。
また、全熱交換器は、室内から取り込んだ空気の温度や湿度を活かしながら換気を行う仕組みです。このとき、室内から吸い上げた空気に含まれる臭いや湿気の影響も、給気側に及ぶ可能性があります。
そのため、トイレやキッチン、喫煙スペース、浴室等、臭気や湿度が強く発生する空間では不向きとされる場合があります。
このような場所では、臭いや湿気を速やかに屋外へ排出する必要があるため、全熱交換器ではなく、排気型換気扇や局所換気等を検討しましょう。
全熱交換器のおすすめの設置場所
※本画像はAIで生成したイメージです
全熱交換器は、外気の影響を抑えながら換気を行える点が特徴の換気機器です。計画的な換気が求められる空間に適しており、利用者の多い施設でも採用されています。
ここでは、設置に向いている代表的な場所を見ていきます。
オフィス
オフィスでは、窓を開けた自然換気に頼るだけでは、室外の騒音や気候の影響を受けやすく、エアコンの冷暖房効率が低下しがちです。
全熱交換器を設置することで、窓を開けずに換気ができるため、騒音や外気の影響を抑えながら、安定した換気と温度管理が可能になります。
また、機械換気によって計画的な換気量を確保できるため、日常的に使用する執務スペースを中心に、会議室等の換気が必要な空間でも活用しやすい設備といえます。
飲食店
飲食店の客席エリアでは、人の出入りが頻繁であることに加え、においや湿度への配慮も求められるため、計画的な換気が欠かせません。換気不足による不快感を防ぎつつ、室温や湿度を安定させることが重要です。
全熱交換器は、空調で整えた室内環境への影響を抑えながら換気を行えるため、客席エリアのように快適性と換気の両立が求められる空間で効果を発揮しやすい設備です。
適切な換気を行うことで、利用者が快適に過ごしやすくなるだけでなく、換気対策への配慮を示す点でも安心感や信頼感の向上につながります。
一方で、厨房やトイレ等、臭気や湿度が強く発生する空間については、全熱交換器ではなく排気型換気扇等を併用することが重要です。
病院・医療施設
病院やクリニック等の医療施設では、高い衛生基準を維持するため、十分な換気量の確保が求められます。また、待合室や病室等、体調が優れない患者が長時間滞在する空間では、空調による温度管理も重要です。
こうした一般エリア(待合室、病室、事務・スタッフエリア等)では、換気と空調負荷低減を両立する目的で、全熱交換器が採用される場合があります。
一方で、手術室や無菌室のように、空気の清潔さを特に厳しく管理する必要がある場所では、全熱交換器が必ずしも適しているとは限りません。こうしたエリアでは、建物や用途に合わせて換気方法を選ぶ必要があるため、導入前に専門家へ相談しましょう。
空調をAIで最適制御! 初期費用ゼロで省エネを実現する「おまかSave-Air®」
全熱交換器は、換気による空調負荷を抑え、省エネと快適性の両立を目指せる設備として注目されています。
ただし、換気設備を見直すだけでは、空調設備全体としての電力使用量削減につながらない場合がある点にも注意が必要です。空調の運転方法や制御の状況によっては、期待した省エネ効果を十分に得られないケースもあります。
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年間約
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- 46MWh 削減
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物流倉庫
導入前 年間電気料金 2,009万円 年間電気使用量 755MWh 導入後
年間約
- 92万円 削減
- 30MWh 削減
- 13t-CO₂削減
-
食品スーパー
導入前 年間電気料金 2,370万円 年間電気使用量 929MWh 導入後
年間約
- 80万円 削減
- 23MWh 削減
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※モデルケースの削減額は、当社の料金単価を元に計算しております。
※電気料金の計算は、消費税等相当額(10%)、再生可能エネルギー発電促進賦課金(2024年5月分~2025年4月分適用分)を含み、燃料費調整額、市場価格調整額は含んでおりません。
※CO₂排出量削減効果は関西電力2022年度の調整後排出係数 0.434kg-CO₂/kWhに基づきます。
※シミュレーションは、当社想定を含む、一定条件に基づいて実施しており、削減額等を保証するものではありません。
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一方で、設置場所や建物条件によって向き・不向きがあるため、用途を踏まえた検討が欠かせません。
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