法人向け高圧電力は電力自由化で切り替え可能に! 新電力のメリット・デメリットを解説
2025.1.23
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目次
電力自由化が行われたことで、好きな電力会社を選んで契約できるようになりました。家庭より前に自由化が行われていた法人の高圧電力契約も、自由に電力会社を選択可能です。
しかし、そもそも法人の電力契約が家庭とどのように違うのか、また電力会社をどのように選べば電気料金を抑えられるかがわからない方もいるでしょう。
この記事では、法人向けの高圧電力契約についての概要や、電力会社の選び方を解説します。電力自由化によって選べるようになった新電力のメリットやデメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
高圧電力とは?法人の電気契約別の特徴
電力会社と電気を契約する際は、低圧、高圧、特別高圧のいずれかで契約します。それぞれ契約電力や電圧の区分が異なるため、適切なプランを選ばなければなりません。
電圧の区分は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」 の第二条で定められていて、電圧区分ごとの数値は以下のように定められています。
低圧 | 高圧 | 特別高圧 | |
---|---|---|---|
契約電力 | 50kW未満 | 50kW以上2,000kW未満 | 2,000kW以上 |
電圧の区分 | 直流:750V以下 交流:600V以下 |
直流:750Vを超え、7,000V以下 交流:600Vを超え、7,000V以下 |
直流、交流ともに7,000Vを超える |
一般的に、低圧は小規模な小売店や飲食店等で、高圧は中小規模のビルや工場で、特別高圧は大規模工場やデパート、オフィスビル等で利用される契約です。
電力会社は常に需要家が必要とする電力を供給できるようにしなければならないので、契約電力は使用する最大の負荷を基準として決めています。
電力自由化で法人の高圧電力契約が自由化された経緯
電力自由化とは、電力の小売自由化を指します。もともと大手電力会社が各地域に電気を供給していましたが、小売自由化によって幅広い事業者が電力を販売できるようになりました。
電力自由化は、以下のとおり徐々に拡大していきました。
2000年3月 | 2004年4月、2005年4月 | 2016年4月 |
---|---|---|
電力小売自由化の開始 対象:特別高圧 |
自由化領域の拡大 対象:高圧 |
全面自由化 対象:低圧 |
まず、2000年3月に、特別高圧を対象とした電力の小売自由化が始まりました。法人契約のなかでも高圧が対象となったのは、その後の2004年4月および2005年4月です。2016年4月からは全面自由化となり、低圧の区分でも電力会社やプランを自由に選べるようになりました。
高圧電力の新電力シェアは、高い地域で30%ほど
経済産業省 資源エネルギー庁は、電圧別の新電力シェアを供給区域別にまとめたデータを示しています※。
2024年3月時点で、東京における高圧電力の新電力シェアは30%に満たない程度です。2016年以降右肩上がりで推移し、一時期は40%近くまで増加しましたが、2021年4月頃からシェア率が下がり、2023年頃から少し増加しました。
東京以外の地域では、新電力シェアは少ないところで10%程度、多いところで17〜18%程度です。大手電力のシェアが依然として高いものの、新電力を選んで高圧電力を契約している法人も少なくありません。
法人が高圧電力の契約で電力会社を切り替えるメリット
法人が高圧電力を契約する際、電力自由化によって誕生した新電力会社を選ぶことも可能です。法人が新電力会社を選ぶメリットを、具体的に解説します。
電気料金を削減できる可能性がある
法人が電力会社を切り替えた場合、それまでよりも電気料金を削減できる可能性があります。
電力自由化により小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、料金メニューやサービスが多様化しました。法人も高圧電力をどこで契約するか選べるようになったので、料金メニューによっては電気料金を抑えることができるかもしれません。
例えば、基本料金0円で従量料金のみを支払うプラン等を提供している会社があります。
多様なプランから自社にあうものを選べる
電力自由化によって法人が選べる電力会社が増えたため、多様なプランのなかから自社にあうものを選べるようになりました。
電力自由化により、これまでにないプランを提供する会社も登場しています。
例えば、電気の需要抑制量に応じて割引が適用される、関西電力の「eリスポンス特約(需要抑制型)」等、様々なプランがあります。
付加価値を選べる
電力会社によっては付加価値を選べるようになることもメリットです。
生産者や生産地がわかる、再生可能エネルギーで発電されている等、電気そのものの価値だけでなく付加価値を設定している電力会社もあります。そのような会社で電力契約をすると、地産地消に貢献している法人だとアピールできる、クリーンなエネルギーで事業を行っていると主張できる等、法人にとってメリットが大きいです。
非化石エネルギーによって発電された電気が持つ付加価値を証書にして取引する非化石証書等、電力の付加価値については以下の記事でも解説しています。興味がある方は、あわせてご確認ください。
関連記事:非化石エネルギーとは?非化石証書の種類やメリット、購入方法を徹底解説
法人が電力会社を切り替える際に考えられるデメリット
法人が新電力会社を選ぶとさまざまなメリットがありますが、契約内容によっては価格変動リスクがある点はデメリットです。
もともと地域で発電し電力を提供していた電力会社は規制料金を適用していましたが、電力自由化によって価格競争が始まりました。新電力の多くは電気料金を安く設定していた形です。
しかし、2021年1月の寒波に伴う需要増による燃料不足や、2022年からのロシアによるウクライナ侵攻の影響によってエネルギー価格が高騰し、スポット市場での電力調達に頼っていた新電力の多くは大幅な値上げとなりました。
こういった価格変動リスクの有無について確認することは重要です。
新電力会社で高圧電力契約をした場合は、メリットとデメリットのどちらが大きくなるかを考えたうえで切り替えを検討してください。
法人向け高圧電力の料金プランを提供する電力会社の選び方
法人向け高圧電力の料金プランは、もともと地域で営業していた大手電力会社だけでなく、電力自由化によって誕生した新電力会社も提供しています。
電力自由化以降に選択肢が増えたため、選ぶ際は、ポイントを押さえて比較検討することが大切です。
- ●対応エリアを確認する
- ●ニーズにあうプランを探す
- ●切り替え後の電気料金をシミュレーションする
- ●契約条件を確認する
対応エリアを確認する
法人の高圧電力契約ができる電力会社を選ぶ際は、まず対応エリアを確認しましょう。
東日本大震災以降、発電所を地域ごとではなく広域的に運用する必要があるという認識が広まりました。そのため、大手電力会社は広い範囲に電力を供給しているケースが多いです。
ただし、地産地消で地域に密着した営業を魅力としている電力会社もあるため、気になっている会社が自社のエリアで契約できるかどうかは確認しなければなりません。
ニーズにあうプランを探す
法人向けの高圧電力契約を提供している電力会社を選ぶ時は、自社のニーズにあうプランを探すのがおすすめです。
電力自由化により、各社がさまざまなプランを提供するようになりました。料金だけでなく、生産された地域や発電に使われたエネルギー源等を確認し、納得できるプランを選ぶことが大切です。
安さだけにこだわらず付加価値にも注目して選ぶと、エネルギーの地産地消や環境にやさしい経営等を対外的にアピールできます。
切り替え後の電気料金をシミュレーションする
高圧電力契約に進む前に、電気料金をシミュレーションすることも大切です。自社の使用状況に合わないプランを契約してしまうと、電気料金が高くなるおそれがあるからです。
法人向けの高圧電力プランのシミュレーションについては電力会社に一度相談してみてください。
契約条件を確認する
契約条件の確認は、電力会社を選ぶうえで重要な作業です。
1年以上等、契約期間が決まっている電力会社も少なくありません。契約期間以内に解約した場合に違約金が発生するケースもあるため、電気料金が安くても支出が増える可能性はあります。
電力会社の見直し以外に電気料金を削減する方法
電力会社やプランを見直せば、高圧電力の電気料金を安く抑えられる可能性があります。
会社やプランの切り替え以外にも法人が電気料金を削減する方法はいくつかあるため、具体的に確認しましょう。
省エネ設備を導入する
省エネ設備を導入すると、法人の電気料金を抑えることが可能です。最新設備に変更するだけで、消費電力が抑えられ、節電につながります。
従業員に節電を呼びかける
電気料金を抑えるためには、全従業員の協力が必要です。従業員に節電を呼びかけ、無駄に電気を使わないよう心がけてもらいましょう。
例えば、使用していない会議室や廊下等を消灯すれば、電気料金の削減が可能です。無理のない範囲で空調設備の設定温度を調整したり、長時間離席する際にOA機器の電源を切ったりすることも節電につながります。
小さな行動が電気料金削減につながると意識してもらうために、定期的に周知するのがおすすめです。
エネルギーマネジメントシステムを導入する
エネルギーマネジメントシステムとは、ビルや工場等のエネルギー使用状況をモニタリングして「見える化」することで、照明や空調設備等の運用効率を最適化するためのシステムのことです。
企業がエネルギーマネジメントシステムを導入すると、人の手では取得が困難なデータの収集や分析、省エネ対策が容易に行えます。
電力使用量の40〜50%※は空調設備が占めているとのデータもあるため、まずは空調設備の節電に取り組んでみるといいでしょう。空調制御におすすめのサービスを以下で紹介します。
エネルギーマネジメントや電力デマンドについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?基礎知識やメリット・課題を解説
関連記事:デマンドコントロールシステムの役割とは?導入メリット・デメリットを解説
関西電力の「おまかSave-Air®」で空調設備の節電・省エネを目指そう
電力使用量全体に占める空調設備の割合は大きいですが、節電を意識すると、快適な室温が保てなくなったり過度に温度管理に気を配りすぎたりするおそれもあります。
そのため、快適性を維持しつつ節電・省エネを目指したい場合は、空調制御サービスの導入もご検討ください。
そこでおすすめしたいのが、AI自動チューニング機能を搭載した新たな空調制御サービス「おまかSave-Air®」です。
「おまかSave-Air®」は関西電力が提供しているサービスで、オリジナルの制御ロジックにより、効率の良い運転と快適性を維持します。温度管理に気を配る必要がなく、快適な室温を保ちながら省エネが実現できるため、手軽に電気料金の削減が可能です。
関西電力の「おまかSave-Air®」の特徴
- ●初期費用ゼロ・安価な月額料金でサービスの導入が可能
- ●電力使用量と最大電力を抑制することで電気料金を10〜20%削減※1
- ●工事にかかる期間は2〜3日程度、既存の室外機に後付けするのみで改修工事も不要※2
- ●ダイキン工業・日立・三菱等の国内主要空調メーカーに対応しており※3、メーカー保証も継続
- ●最短数ヶ月〜半年前後で調査・提案・導入とスピーディな対応が可能※4
関西電力のサービスですが全国で利用できるため、電気料金の削減効果が気になる場合は10秒シミュレーションを利用してみてください。
- 一定条件に基づく効果であり、削減を保証するものではありません。
- 設置状況等により一部室内工事が発生する可能性があります。
- 一部対象外の機器があります。
- 初回契約は原則6年、初回契約終了後は1年毎の自動更新となります。また、お客さまのご都合で解約いただく場合には、解約金をいただきます。
法人の高圧電力契約見直しで電気料金の節約を
電力自由化によって、法人の高圧電力契約でもより安い電力会社へ切り替えることができるようになりました。自社の電気料金が高いと感じているなら、プラン変更や電力会社の切り替えを検討してみてください。
電気料金は、電気の使い方を変えるだけで節約できる可能性があります。法人の電気料金のうち40〜50%は空調設備によるものなので、電気料金を節約したいなら空調設備の使い方も考えましょう。
関西電力の「おまかSave-Air®」なら、自動制御によって快適な室温を保ちながら手軽に節電できます。電気料金の削減効果が気になる方は、詳細をチェックしてみてください。
監修者 大岩 俊之(おおいわ としゆき)
家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。
サービス概要資料
おまかSave-Air®
エネルギーコスト削減、脱炭素に向けた取り組みのために、まず始めるべきは 「空調の省エネ」 です。現在お使いの空調機に制御用コンピューターを取り付けるだけで、省エネと快適性の両立ができる全く新しいサービスです。
資料の一部をご紹介
- これまでの空調省エネの課題
- おまかSave-Air®の概要
- 導入効果
- サービス料金
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