業務用エアコンには法定点検の義務がある!知っておくべき法律の内容を解説

2024.10.1

関連キーワード:

  • 業務用エアコン
  • 点検
業務用エアコンには法定点検の義務がある!知っておくべき法律の内容を解説

業務用エアコンには、定期的な点検が法令で定められていますが、具体的にどんな点検をすればいいかを知らない管理担当者もいるのではないでしょうか。

点検を怠ると、行政からの指導が入ったり罰金の対象になったりします。

この記事では、業務用エアコンの法定点検の内容や、管理者が果たすべき責務を解説します。詳細を確認し、業務用エアコンを法令に則って管理しましょう。

業務用エアコンには点検義務がある

業務用エアコンは、「代替フロン」を大気に放出しないために、定期的な点検を行うよう、法的に義務付けられています

代替フロンは、地球温暖化に与える影響が甚大で、CO2の数千倍の温室効果を持つ物質です。そのため、フロンの適切な管理が法律「フロン排出抑制法」で定められています。

この法律は、業務用冷蔵庫や冷凍庫等、エアコンと同様に代替フロンを使用する機器にも適用されます。

フロン排出抑制法とは?

フロン排出抑制法は、フロン類の製造から使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体にわたる管理を目的として制定された法律です。

フロン排出抑制法は「フロン回収・破壊法」を2015年4月に改正したもので、2022年にはさらに改正され、より管理が強化されました。

点検義務の項目には「簡易点検」と「定期点検」の2種類があります。

業務用エアコンの法定点検は2種類

業務用エアコンの法定点検は「簡易点検」と「定期点検」の2種類があります。それぞれの違いは以下のとおりです。

業務用エアコンの簡易点検と定期点検の対象

点検種別 点検者 点検方法 圧縮機電動機定格出力 点検頻度
簡易点検 誰でも 目視確認 - 3ヶ月に1回以上
定期点検 十分な知見を有する者か、その者の立ち会いが必要 専用の機器を使用 7.5kW以上50kW未満 3年に1回以上
50kW以上 1年に1回以上

※簡易点検は安全で容易に点検可能な場合に限られます。
※定期点検は簡易点検の上乗せとして実施され、すべての業務用冷凍空調機器のうち、圧縮機に用いられる電動機の定格出力が7.5kW以上の機器が対象です。

簡易点検

簡易点検は、資格を持たない人でも実施できる点検方法です。少なくとも3ヶ月に1回の実施が必要とされており、室外機と室内機をそれぞれ目視で確認します。

資格を持たない方でも点検可能ですが、柵のない高所に室外機がある等、点検に危険が伴う場合は専門業者に依頼すると安全です。

簡易点検の点検内容は以下のとおりです。

点検場所 点検内容
室外機
  • ●異常な音や振動がないか
  • ●熱交換器やフィルター等に損傷、腐食、サビ、油のにじみがないか
室内機
  • ●内部の熱交換機に霜の付着や油のにじみがないか
  • ●異常な音がしていないか

法令で定められた点検の最低頻度は3ヶ月に1回ですが、日常的に点検を行えばエアコンの異常に気づきやすく、その分迅速に対処できます。

また、簡易点検で何か問題を発見した場合は、自分で対応するのではなく専門業者への連絡が必要です。

定期点検

定期点検は、専門業者等の十分な知見を有する者が行う検査です。

圧縮機の定格出力が7.5kW以上50kW未満の場合は3年に1回以上、50kWを超える場合は年1回以上の頻度で実施することが義務付けられています。圧縮機の出力は、室外機に貼付けされているシールで確認可能です。

定期点検時には、異音や外観の異常がないかに加え、過去の点検・整備の記録簿もあわせてチェックし、フロンガスの漏えい確認を行います。

フロンガスの漏えい確認には、 「直接法」 と 「間接法」 の2種類の方法があります。直接法は専用の機器を使って漏えいの有無を確認する方法です。間接法は蒸発圧力や運転圧力等の運転データを元に、ガス漏れの兆候を探ります。

点検義務以外に求められる管理者の責務

点検義務以外に求められる管理者の責務

フロン排出抑制法では、点検以外にも業務用エアコンの管理者の責任範囲が定められています。

  • ●機器の設置・使用環境の整備
  • ●フロン漏えい時の対処
  • ●点検記録の保存
  • ●フロン類の漏えい量報告
  • ●廃棄時の対応

業務用エアコンの正しい運用と、万が一のフロン漏えい時に影響を最小限に留めるために、点検に加えて上記の責務も果たす必要があります

機器の設置・使用環境の整備

業務用エアコンの室外機の設置場所が適切か、問題なく管理されているかどうかを定期的に確認する必要があります。具体的には、以下のとおりです。

  • ●室外機の近くに振動の激しい機器を設置しない
  • ●修理・点検が問題なく行える程度のスペースや通路を室外機の周囲に確保
  • ●凝縮器や熱交換器の清掃、排水の除去等の定期メンテナンス

日常的にチェックを行い、適切に室外機を管理しましょう。

フロン漏えい時の対処

点検でフロン漏えいが確認された場合は、速やかに漏えい部分を特定し、修理する必要があります。

フロンが漏れた状態での繰り返し充填は禁止のため、修理を行うまではエアコンの使用ができません

しかし、エアコンの使用ができないと健康に悪影響が及ぶ等、やむを得ない場合に限り、例外として1回のみフロンの充填が可能とされています。この場合、漏えい部分を60日以内に修理することが条件です。

点検記録の保存

業務用エアコンを使用している期間中、すべての点検記録を保存する義務があり、機器を廃棄した場合でも、廃棄後3年間は記録を保管しておく必要があります

記録には、機器の点検・修理、冷媒の充填・回収の履歴を残す必要があり、要件を満たせば特に様式に決まりはありません。

紙媒体と電子媒体、どちらで保管しても問題はありませんが、廃棄と同時に点検記録を捨ててしまわないよう注意しましょう。

フロン類の漏えい量報告

万が一管理する年間のフロン類漏えい量がCO2換算で1,000トンを超えた場合、その量を事業所管大臣に報告する義務があります。

法人単位の年間漏えい量なので、複数の事業所を持つ法人の場合はすべての事業所を合算した漏えい量が1,000トンを超えた場合に、報告が必要です。

この漏えい量は、充填回収業者が発行する証明書をもとに計算します。もし虚偽の報告や報告を行わなかった場合には、10万円以下の罰金が課されます。

整備・廃棄時の対応

業務用エアコンの整備や廃棄時には、フロン類の適切な管理が求められます。

フロン類の追加や取り出しは、専門業者である 「第一種フロン類充填回収業者」 に依頼しましょう。

廃棄時には、回収依頼書や委託確認書を作成し、管理者が費用を負担する必要があります。

業務用エアコンの点検をしないとどうなる?

7.5kW以上のエアコンの簡易点検・定期点検を怠ると罰則があります。

都道府県知事からの指導や勧告等が入ったうえで、状況が改善されない場合には50万円以下の罰金の支払いが必要です。

また、フロンをみだりに放出した場合には、指導・勧告を経ずに、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金と、より重い罰則が科されます。

エアコンの定期点検は省エネや節電効果も期待できる

エアコンを定期的に点検すれば、省エネや節電効果が期待できます。

エアコンのフィルターにホコリや花粉等の汚れがつくと目詰まりし、空気を吸い込む力が弱くなって運転効率が低下。その結果、余計な電気を消費し電気料金の増加につながります。

フィルターの掃除なら従業員でもできるケースが多いです。フィルター掃除を含め、定期的に点検を行って運転効率を上げれば、省エネや節電ができ電気料金を削減できます。業務用エアコンの掃除については、以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

業務用エアコンの省エネ・節電を目指すなら関西電力 「おまかSave-Air®」がおすすめ

業務用エアコンの省エネ・節電でコストを削減するなら関西電力の 「おまかSave-Air®」 がおすすめです。「おまかSave-Air®」 は電力使用量・最大電力を抑制することで、空調にかかる電気料金の削減を図ります。

関西電力の 「おまかSave-Air®」 はAI自動チューニング機能を搭載した新たな空調制御サービスで、以下の特徴とメリットがあります。

関西電力の 「おまかSave-Air®」 のメリット

  • ●初期費用ゼロ・安価な月額料金でサービスの導入が可能
  • ●電力使用量と最大電力を抑えることで電気料金10〜20%削減※1
  • ●工事にかかる期間は2〜3日程度、既存の室外機に後付けするのみで改修工事も不要※2
  • ●ダイキン工業・日立・三菱等の国内主要空調メーカーに対応しており※3、メーカー保証も継続
  • ●最短数ヶ月〜半年前後で調査・提案・導入とスピーディな対応が可能※4

サービス料金の安さや工事の手軽さ、電気料金の削減効果等、空調の省エネを検討中の企業にとって大きなメリットがあるサービスです。 関西電力公式サイトでは、「おまかSave-Air®」 の導入による概算の電気料金削減額がわかる10秒シミュレーションが用意されているので、ぜひご検討ください。

  • 一定条件に基づく効果であり、削減を保証するものではありません。
  • 設置状況等により一部室内工事が発生する可能性があります。
  • 一部対象外の機器があります。
  • 初回契約は原則6年、初回契約終了後は1年毎の自動更新となります。また、お客さまのご都合で解約いただく場合には、解約金をいただきます。

義務を理解してエアコンの点検を実施しよう

業務用エアコンには法定点検の義務があるため、定期的な点検を行わないと、行政指導が入ったり、罰則が科せられたりします。日常的な簡易点検と専門家等による定期点検、どちらも法令に基づいて行いましょう。

また、定期的な点検は、空調設備にかかる電気料金の削減につながる可能性もあります。空調にかかる電気料金の負担は大きいため、経費削減の観点でも適切な点検は重要です。

なお、省エネや節電による電気料金の削減を目指すなら、関西電力の 「おまかSave-Air®」の利用もご検討ください。

大岩 俊之(おおいわ としゆき)

監修者 大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。

サービス概要資料

おまかSave-Air®

自家消費型太陽光発電で電気料金とCO₂を削減。「太陽光発電オンサイトサービス」 の概要をご紹介します。

資料の一部をご紹介

  • 太陽光発電オンサイトサービスとは
  • サービスの特徴
  • ご提案事例

資料ダウンロードフォーム

■個人情報の取扱いについて

◇個人情報の利用目的

弊社では、「個人情報保護方針」内の 「個人情報の利用目的」 および 「弊社が開催するセミナーの案内、弊社と提携する他社のセミナーの案内を行うために必要な範囲内で個人情報を利用いたします。

◇広告・宣伝メールの送信

弊社は、お申込フォームで入力いただいたメールアドレスあてに、広告・宣伝メール(「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」 に定める 「特定電子メール」 を指します。)を送信することがあります。また、お客さまから申し出により、速やかに配信を停止します。