基本用語集

気候変動への対応に関する基本用語集国際的な取り組み

COP

Conference of the Parties (国連気候変動枠組条約における締約国会議) の略。気候変動問題への対応として1994年に気候変動枠組条約が発効され、1995年からCOPが開催されるようになりました。1997年のCOP3では、2008~2012年までの5年間を第一約束期間とし、先進国全体の温室効果ガス合計排出量を1990年比で5%削減するという 「京都議定書」 が採択されました。2021年10月から英グラスゴーで開催されたCOP26では、「国連気候変動枠組条約」 と 「パリ協定」 の目標達成に向けた取組みを加速させるための議論が実施されました。

パリ協定

2020年以降の温室効果ガス削減についてすべての国に適用される国際枠組で、2015年のCOP21で採択されました。長期的な気温目標として、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く抑え、さらに1.5℃に抑える努力をするというもので、すべての国が温室効果ガスの排出削減目標を 「国が決定する貢献 (NDC) 」 として5年ごとに提出・更新する義務があります。

NDC

Nationally Determined Contribution (国が決定する貢献) の略で、パリ協定における温室効果ガスの排出削減目標のことです。すべての国に5年ごとの提出・更新が義務付けられています。菅首相 (当時) による2050年カーボンニュートラル宣言を受け、日本のNDCは2021年10月に、 「2050年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な目標として、我が国は、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていく」 と更新されました。

カーボンニュートラル

温室効果ガスの排出が全体としてゼロの状態であることを意味します。実際、排出を完全にゼロに抑えることは難しいため、排出せざるを得ない量については同じ量を 「吸収」 または 「除去」 し、差し引きゼロ、正味ゼロ (ネットゼロ) とすることで 「ニュートラル (中立) 」 の状態にします。

IEA

International Energy Agency (国際エネルギー機関) の略。第1次石油危機後の1974年にエネルギーセキュリティやエネルギーに関する政策協力を行うための経済協力開発機構 (OECD : Organisation for Economic Co-operation and Development) の枠内における自律的な機関として設立された組織です。石油を輸入している 「石油消費国」 が互いに協力することで、石油の安定供給を図ってきましたが、現在では、石油に限らず、液化天然ガス (LNG)、再生可能エネルギーを含むさまざまなエネルギーに関するグローバルな協力を推進しています。
2021年5月に発表した 「IEAロードマップ (Net Zero by 2050 : A Roadmap for the Global Energy Sector) 」 では、2050年までにエネルギー関連の二酸化炭素 (CO₂) 排出をネットゼロにするためのロードマップが提示されています。

IPCC

Intergovernmental Panel on Climate Change (国連気候変動に関する政府間パネル) の略。人為起源による気候変化、影響、適応および緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に国連環境計画 (UNEP) と世界気象機関 (WMO) により設立された組織です。
政府の推薦等で選ばれた専門家が5~6年ごとにその間の気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価し、評価報告書 (assessment report) にまとめて公表します。報告書は科学的な分析のほか、社会経済への影響、気候変動を抑える対策等も盛り込まれており、国際的な対策に科学的根拠を与える重みのある文書となるため国際交渉に強い影響力を持ちます。
2018年10月にIPCCによって公表された 「1.5℃特別報告書」 において、「温度上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年度までに2010年度水準から温室効果ガスを半減させることが必須である」 と報告されたことによって、世界中でカーボンニュートラルへの動きが加速するきっかけとなりました。現在、「第6次評価報告書」 の取りまとめが進められており、2021年8月より順次公表され、2022年9月以降、統合報告書の公表が予定されています。

SDGs・SDGs債

SDGsロゴ

国連により2015年に採択されたSDGs (Sustainable Development Goals / 持続可能な開発目標) は、2030年までに持続可能性と包摂性のある社会の実現を目指す国際目標です。達成すべき17の目標 (解決すべき社会課題) と169のターゲット (達成基準) が定められています。
企業の目線では社会課題は事業機会でもあると考えられ、企業は課題解決を担う主体として位置付けられています。17の目標はESGの要素を含むため、企業がSDGsを経営の中に取り込み両者を結び付けることで、企業価値が高まりESG投資を呼び込むことも期待できます。
また、グリーンボンド等のSDGsに貢献する金融商品を総称して 「SDGs債」 と呼びます。調達資金がSDGsに貢献する事業に充当される債券、いわゆる 「SDGs債」 には、SDGsの中でも環境・社会へのポジティブなインパクトを有し、一般的にスタンダードとして認められている原則に沿った債券や、事業全体がSDGsに貢献すると考えられる機関が発行し、インパクト (改善効果) に関する情報開示が適切になされている債券が含まれます。

ESG・ESG投資

ESGとは (環境 : Environmental、社会 : Social、企業統治 : Governance) の頭文字で、「企業のリスク低減、長期的成長のためには、財務指標だけでなく、ESGの視点が経営に組み込まれていることが重要」 との認識に立ち、投資対象を選別する投資活動です。
特にパリ協定の採択以降、地球温暖化問題への対応は大きなポイントで、「取組みの実施」 と投資判断のための 「情報開示」 が企業には求められています。
なお、投資にESGの視点を組み入れることを掲げるPRI (Principles for Responsible Investment / 責任投資原則) には、2015年に年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) が署名したことも受け、日本でも106社が署名しています。(2022年2月現在)

日本のESG投資額:2016年約4740億ドル → 2020年2兆8740億ドル (4年間で約6倍)、日本のESGが投資全体に占める割合:2016年3.4% → 2020年24.3% (4年間で約7.1倍)

TCFD提言

TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures / 気候関連財務開示タスクフォース) は、主要国が参加する 「金融安定理事会 (FSB) 」 が設置した検討会の名称です。
TCFDは2017年6月に 「TCFD提言」 を公表、企業に対して 「金融市場の不安定化リスクを低減するため、中長期にわたる気候変動に起因する事業リスク・事業機会を分析し、開示すること」 を促しています。
政府や投資家・金融 (主要銀行、GPIF)、大手企業にTCFD提言への賛同が広がっており、企業の情報開示およびESG投資は、金融安定の観点からも進むと考えられます。日本では687機関がTCFD提言へ賛同しており、賛同企業数は世界第1位となっています。(2022年2月現在)
2022年4月新設の東証プライム市場への上場企業は、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく情報開示の質と量の充実を求められます。

ISSB

International Sustainability Standards Board (国際サステナビリティ基準審議会) の略で、企業がESGに関する情報開示を行う際の統一された国際基準を策定するための組織のことです。
IFRS財団 (国際会計基準の策定を担う非営利組織) の下部組織として、COP26会期中の2021年11月3日に発足しました。
2022年6月に気候変動に関する情報開示基準案の発表を目指します。

EUタクソノミー

EUのサステナビリティ方針に資する経済活動を分類するにあたっての基準を示すもので、提供する金融商品や投資対象となる事業活動がサステナブルであるか (基準に適合しているか) の開示が金融機関と企業に求められます。EUタクソノミーでは、対象となる活動 (発電方法等) ごとに、パリ協定の1.5℃シナリオへの適格性の基準を示し、その基準に達しないものは 「グリーンな活動」 としては認められません。EUタクソノミーは、欧州委員会により制定される規則として、2022年2月現在、立法段階にありますが、規則の適用が開始されると、金融機関や企業はEUタクソノミーへの適合についての開示を義務付けられることになります。

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