地域脱炭素ロードマップに貢献
大桑村は、中央アルプスの山々と阿寺山地に挟まれた山間地域にあります。豊かな森林資源と水資源に恵まれ、さまざまな産業を発展させてきました。それだけに自然環境を守り、次世代に引き継いでいくことは、村の重要な責務であると考えています。
言うまでもなく地球温暖化をはじめとする環境問題への対応は、国を挙げての重要課題となっています。政府は2020年10月、2050年までに温室効果ガスの排出ゼロ(カーボンニュートラル)を達成し、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。目標達成のために、地方自治体にも環境負荷低減の努力が求められています。環境省の「地域脱炭素ロードマップ」においても、地域の脱炭素への取り組みの重要性が明示され、とりわけ地域における再生可能性エネルギーの導入拡大がカギとなることが示されています。
こうした社会的背景も踏まえ、大桑村では豊かで美しい環境を守っていくため、2016(平成28)年に「大桑村環境基本条例」を制定しました。それに基づいて2018(平成30)年、「大桑村環境基本計画」を立案。その中で資源とエネルギーの有効活用、CO2排出抑制を目標の一つに掲げ、自然保護や広報啓発活動、学校と連携した環境教育の推進などに取り組んできました。また新エネルギーの導入を積極的に進めることも打ち出しています。
新築する村役場庁舎も脱炭素を検討
このような脱炭素に向けた流れの中、村役場庁舎の移転・新築が計画されていました。庁舎などの構造物は寿命が長く、2050年にも利用されている可能性が高くなります。そのため、2050年カーボンニュートラルに向けて、今回の村役場庁舎の移転・新築は基本構想段階から脱炭素化を検討していました。
しかし、脱炭素化といっても、太陽光発電をはじめいくつかの選択肢があります。村にとっては何が最適なのか、決めあぐねていた時、相談に乗ってくださったのが関西電力さんでした。
決め手は「多角的なコンサル」と「フォローの手厚さ」
今回、村役場庁舎の脱炭素化に取り組むにあたり、関西電力さんに相談して良かったと感じた点が2つあります。
1点目は、脱炭素の取り組み全般について、多岐にわたって相談に乗ってくださったことです。私たちだけでは、村役場庁舎を脱炭素化するにはどのような手段があるのか、何が最適なのか分かりませんでした。関西電力さんは、「太陽光発電」だけでなく、「再エネECOプラン」や「EVパッケージサービス」など、脱炭素に関わる取り組みについて幅広くコンサルティングを行ってくださり、多方面から検討することができました。
2点目は、実際に導入するにあたり、手厚くフォローいただいたことで、職員の負担を極力減らすことができた点です。例えば、太陽光発電を導入するにあたっても、どのような設備を導入すればいいか、また導入後の運用はどうすればいいか、分からないことばかりでした。関西電力さんはエネルギーのプロとして、こちらの初歩的な質問にも丁寧に答えてくださり、導入時の設置工事もご調整いただきました。また、日々の運用やメンテナンスもすべて関西電力さんに任せられるため、導入後も職員に負担がかからない点も魅力でした。この地域は冬になると積雪量も多く、導入した後、どのように維持管理していくかが懸念材料だったので、安心しました。
初期投資不要も魅力的でした
脱炭素や手間の点で、関西電力さんのご提案は大変魅力的でしたが、やはり最後はコストも納得のいくものだったことが、導入の決め手でした。
今回導入した「太陽光発電オンサイトサービス」は、初期投資不要です。庁舎新築の予算は限られており、導入費用を削減できることは、大きな利点でした。
新設備の導入には村の資金を支出することになるため、住民の皆さまを代表する議会の方々への説明が不可欠です。関西電力さんがメリット・デメリットを公平に示した上で、サービスはもちろんコストも含めて納得できる提案を示してくださったことで、住民の皆さまの理解を得ることができたと思っています。
CO2排出実質ゼロを達成。他の公共施設にも展開し脱炭素に貢献したいです
結果的には、2022年5月、新庁舎の開庁と同時に「太陽光発電オンサイトサービス」を導入し、新庁舎の約1/3の電気を発電で賄えるようになりました。また、同年12月、これまで使用していた公用車のリース満了に伴い、1台をEVに変更しました。残りの約2/3の電気も、CO2フリーの電気料金メニュー「再エネECOプラン」により、CO2排出量を実質ゼロにすることができ、新庁舎全体としてCO2排出量を実質ゼロにすることができています。
新庁舎は、住民の皆さんが訪れやすい施設にしようと、図書館や公民館の機能も備えた複合施設として設計されています。太陽光発電とともに、地中熱を利用した空調設備を導入し、環境に配慮した建物を実現しました。完成の折には、住民の皆さまを対象に内覧会を開催。パンフレットでも環境に配慮した設備を紹介しています。役場を訪れる住民の方々からも「良いところになった」と好評をいただいています。
今後は、村役場に続いて、村内の学校や公民館といった公共施設にも、太陽光発電などの省エネ対策を進めていきたいと考えています。環境負荷低減は自治体にとって重要な責務ですが、経済性との両立なしには持続可能な取り組みになりません。関西電力さんには、環境対策と経済性を両立できる方法について知恵をお借りしたいと思っています。