卒FITとは?買取価格や余剰電力を自家消費する方法をわかりやすく解説

2025.9.16

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卒FITとは?買取価格や余剰電力を自家消費する方法をわかりやすく解説

太陽光発電設備の導入を検討する際は、卒FIT後の対応を考えましょう。

既に太陽光発電を導入している企業は、卒FIT後の売電先を検討する必要があります。ただし、電力会社によって買取価格が異なるため、自家消費の割合を増やしたほうが電気料金を削減できる場合があります。

また、これから太陽光発電を導入する企業は、そもそも売電ではなく、自家消費がおすすめです。売電価格が下がっており、投資回収が難しくなりつつあるためです。電気料金は高騰しているため、電気を購入する代わりに太陽光発電で発電した電気を自家消費することで、電気料金の削減にもつながります。

ぜひこの記事を読んで、「売電価格が下がっているから」 と太陽光発電の導入を諦めるのではなく、自家消費によって電気料金の削減を検討してみてください。

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太陽光発電の卒FITとは?

卒FITとは?

卒FITとは、FIT制度の適用期間が終了した状態を指します。「FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」 は、太陽光発電設備を設置してから一定年間、売電価格が固定される制度です。卒FIT後は、電力会社の契約プランによって売電価格が変わります。

産業用太陽光発電の売電価格_FIT制度

出力 1kWhあたりの売電価格(調達価格)
2025年度4~9月
1kWhあたりの売電価格(調達価格)
2025年度10~3月
1kWhあたりの売電価格(調達価格)
2026年度
10kW未満※1 15円 24円(~4年)
8.3円(5~10年)※3
10kW以上50kW未満※2 10円 9.9円
10kW以上
(屋根設置)※2
11.5円 19円(~5年)
8.3円(6~20年)※3
50kW以上
(地上設置)
(入札制度対象外)
8.9円 8.6円

ほとんどの場合、卒FIT後の売電価格はFIT期間中よりも下落するため、太陽光発電設備を導入したい場合は、卒FIT後の運用方法も含めて検討しましょう。

  • 10kW未満の場合、FIT制度の売電期間(調達期間)は10年間、それ以外は20年間です。
  • 10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電のFIT新規認定には、自家消費型の地域活用要件を設定する。ただし、営農型太陽光は、3年を超える農地転用許可が認められる案件は、自家消費を行わない案件であっても、災害時の活用が可能であればFIT制度の新規認定対象とする。
  • 事業用太陽光(屋根設置)・住宅用太陽光の2026年度の調達価格・基準価格については2025年度下半期にも適用。国民負担には中立的な形で、投資回収の早期化を図る価格設定(初期投資支援スキーム)を採用。

FIT制度とFIP制度の違い

FIT制度と似た名前の制度にFIP制度(Feed-in Premium)があります。

「FIP制度(フィードインプレミアム)」 は2022年度から始まった市場連動型の制度で、発電した電気を卸電力取引市場や相対取引により市場で売電する仕組みです。

FIT制度では発電した電力を電力会社に決まった価格で売るのに対して、FIP制度では発電した電力を電力市場に直接売るため、売電価格は市場の需要と供給のバランスによって変動します。

2024年度から出力50~250kWの産業用太陽光発電はFIT制度とFIP制度を選ぶことができ、出力250kW以上はFIP制度しか選べません。

FIT制度は固定価格での売電なので売電収入の目安が立てやすく、FIP制度は市場価格に連動するため、自社で収益向上の戦略を立てられると覚えておきましょう。

FITやFIPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

卒FIT後の買取価格はどうなる?

FIT期間が終了すると、余剰電力は各電力会社が定めた買取価格で売電します。

産業用太陽光発電のFIT期間は20年で、制度が2012年から始まったため、卒FITを迎えるのは最短でも2032年以降です。

現時点では、産業用太陽光発電の卒FIT後の買取価格は不明ですが、今後大幅に下がると予測されています。実際、2019年以降に卒FITを迎えた家庭用太陽光発電の買取価格は、FIT期間中の買取価格から大幅に下がりました。

産業用太陽光発電の買取価格も大幅に下落する可能性は高いので、卒FIT後の余剰電力の利用方法を検討しましょう

卒FIT後はどうする?おすすめの対策

卒FITを迎えたら、企業は余剰電力を電力会社に売電するか、自家消費の割合を増やすか決める必要があります

自家消費とは、太陽光発電で発電した電力を需要家の工場やオフィスで消費する方法で、購入電力量が減り、安価な太陽光発電電力に切り替えるため電気料金の節約につながります。

FIT制度での産業用太陽光発電の売電価格は10円前後/kWhです※1。

一方で、高圧の電気料金は2023~2025年にかけて20円/kWh以上をほぼキープしています※2。

卒FIT後の産業用太陽光発電の売電価格がFIT制度中よりもさらに下がる可能性を考えると、余剰電力を売電するよりも、電力使用量を減らして電力会社へ支払う電気料金を減らしたほうが、大きな節約効果を得られる可能性が高いです

卒FIT後に自家消費へ切り替える際のポイント

前述のとおり、産業用太陽光発電の場合、卒FIT後は自家消費の割合を増やす方法を検討しましょう。

具体的に、自家消費の割合を増やす方法としては、蓄電池の導入や設備の買い替えがおすすめです。それぞれ解説します。

蓄電池を導入して余剰電力を蓄える

太陽光発電と併せて蓄電池を導入すれば、夕方から夜間にかけての発電できない時間帯でも、昼間に発電した余剰電力を消費できるため、1日の電力使用量を減らせます。

停電時の非常用電源にも活用できるため、防災対策にもおすすめです。

導入時には初期費用や工事がかかりますが、国や自治体の補助金制度を利用できる場合があるので、専門業者に相談しながら計画するとよいでしょう。

太陽光発電と蓄電池の併用メリットについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

EV(電気自動車)やエコキュートを導入して自家消費の割合を増やす

社用車をガソリン車からEV(電気自動車)に変えると、電力の自家消費の割合を増やしつつ、自動車燃料費の節約が可能です。環境負荷の低減にもつながるため、企業の経済性と環境配慮の両立が可能です(EVの詳細はこちら)。

また、エコキュートを導入して太陽光発電の余剰電力を給湯に活用する方法も注目されています。エコキュートはヒートポンプ技術を使って効率よくお湯を沸かせるため、昼間に発電した電力を有効活用できます。

EVやエコキュート等を戦略的に導入することで、自家消費率を高め、電気料金の削減効果を最大化することが可能です。

これから太陽光発電を導入する場合は、自家消費型PPAモデルがおすすめ

太陽光発電を導入する場合、電力の使い道は、発電した電力を工場やオフィスで消費する 「自家消費」 と、発電した電力を電力会社に売る等の 「余剰活用」 に分かれます。

電力の使い道 メリット デメリット
自家消費 電力使用量が減らせて、電気料金の節約につながる 導入方法によっては初期費用が高額になる
余剰活用 売電収入が得られて、支出を減らせる 卒FIT後は売電価格が大幅に下がる可能性がある

自家消費は売電等の余剰活用よりも電気料金の節約効果を得られる可能性がありますが、導入方法によっては初期費用が高額になる傾向です。

自家消費型太陽光発電についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

自家消費の導入方法

自家消費型太陽光発電の導入方法として、「自己設置」 と 「PPA」 があります。

自己設置は自社で太陽光発電設備を購入し、維持管理、メンテナンスまで行う導入方法です。自己設置の場合は初期費用が大きな課題として挙げられます。一定の出費が財務指標に影響を及ぼし、維持管理やメンテナンスのコスト・手間を自社で負担する必要があります。

PPA(Power Purchase Agreement)とは、エネルギーサービス事業者と契約を結び、太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。PPAは、初期費用がかからず、維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しないため、PPAで太陽光発電を導入する企業が増えています。

導入方法 メリット デメリット
自己設置
  • ●全体として投資回収効率が良い
  • ●処分や交換を自社でコントロールできる
  • ●自家消費しなかった電力を売電等活用できる
  • ●初期費用が大きい
  • ●財務指標への影響が大きい
  • ●維持管理・メンテナンスのコストや手間がかかる
  • ●故障時は費用がかかるため、予算を確保しておく必要がある
PPA
  • ●初期費用がかからない
  • ●維持管理、メンテナンスのコストや手間が発生しない
  • ●自由に交換や処分ができない
  • ●基本的に長期契約

PPAの種類

前述したとおり、PPA(Power Purchase Agreement)とは、エネルギーサービス事業者と契約を結び、太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。

PPAのサービス料金は、発電・消費した電力使用量に応じて、月額料金として支払います。PPA導入前の電気料金も同様に、消費電力量に応じた月額料金のため、導入前の電気料金と導入後のPPAサービス料金を比較しやすく、電気料金の削減額が目に見えて分かります。

ただし、PPAで導入した太陽光発電設備を企業が交換や処分する権利はなく、サービスにもよりますが契約期間は約20年と長い傾向があります。

なお、PPAにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類があるため、あわせて理解しておきましょう。

オンサイトPPA 太陽光発電の設置場所:企業の敷地
オフサイトPPA 太陽光発電の設置場所:企業の敷地

PPAモデルについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

オンサイトPPA

オンサイトPPAとは、企業の敷地内に事業者が太陽光発電設備を設置し、所有や維持管理するタイプで、PPAの基本的なモデルです。

安価である一方で、屋根や土地等、自社の敷地内に太陽光発電設備を設置する場所が必要です。工場の屋根や、遊休地がある場合は、まずはオンサイトPPAで導入することをおすすめします。

オンサイトPPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

オフサイトPPA

オフサイトPPAは、需要家の企業の敷地 の 「外」 にPPA事業者が太陽光発電設備を設置し、発電された電気は需要家の企業が使用するモデルです。

太陽光発電設備を設置できるだけのスペースを持っていない企業でも、太陽光発電設備を導入できる方法で、設置場所も事業者が用意します。費用はオフサイトPPAに比べて高くなります。

オフサイトPPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

卒FIT後を考えるなら関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

卒FIT後を考えるなら関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

前述のとおり、これから太陽光発電設備を導入する場合は、自家消費型がおすすめです。

自己所有の場合は初期費用が高く、メンテナンスのコストや手間がかかるため、自家消費型太陽光発電を導入するなら、PPAモデルを検討しましょう。

例えば、関西電力のオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」 は、関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行うサービスです。発電した電気をお客さまが利用し、契約期間は20年ほどです※1

太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※2。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。

オプションで余剰電力の売電も選択可能で、休日や就業時間後の電力使用量が少なくなるタイミングで余剰電力を売電すると、電気料金のさらなる削減効果を得ることができます

また、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能 「SenaSon」によって、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用可能です。

さらに、関西電力では、お客さまの敷地に関西電力が蓄電池設備を設置して運用を行う「蓄電池オンサイトサービス」 を提供しています。オンサイトPPAと同様に初期費用が発生せず※3、設置後の運用やメンテナンスは関西電力が責任を持って行うので、オフグリッドを導入したいお客さまにおすすめです。

関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。「割引プラン」 や、補助金の申請をサポートする 「補助金サポート」 等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※4

なお、オンサイトPPAのご提供には設置場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電 「コーポレートPPA」 をご検討ください。

  • 途中解約には違約金が発生します。
  • 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • 一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
  • 割引プランは、補助金との併用はできません。

卒FIT後を考えて太陽光発電設備の導入を検討しよう

産業用太陽光発電設備を導入すると、FIT制度によって売電価格が20年間保証されます。

しかし、保証期間が終了する卒FIT後は、電力会社が定めた売電価格になり、FIT制度適用中の売電価格よりも下がる可能性が高いです。売電よりも、自家消費したほうが電気料金の節約につながる場合があるため、卒FITが近い場合は、対応方法を検討しましょう。

また、これから太陽光発電設備を導入する場合は、卒FIT後の運用方法も含めて検討することをおすすめします。

関西電力では設置場所や必要な設備をコンサルティングし、幅広いラインナップからお客さまに最適なご提案が可能な 「太陽光発電オンサイトサービス」 を提供しています。導入から運用、メンテナンスまでを関西電力が一貫してフォローし、太陽光発電設備設置にかかる初期費用やメンテナンスのコストがかかりません。

自社の敷地内に太陽光発電を導入するなら 「太陽光発電オンサイトサービス」 を、設置スペースを持たない場合は 「コーポレートPPA」 をご検討ください。

太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。

初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。

近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

サービス概要資料

太陽光発電オンサイトサービス

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