太陽光発電の保険の種類・補償内容は?加入の必要性や値上げの可能性を解説

2024.10.1

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太陽光発電の保険の種類・補償内容は?加入の必要性や値上げの可能性を解説

太陽光発電を自己所有する場合、保険への加入が求められます。

あくまでも努力義務のため保険への加入は強制ではありませんが、加入しておかないと万が一の事態に備えられません

最近は自然災害による被害が増えているため、太陽光発電の保険料は高くなる傾向にあります。

ここでは、産業用太陽光発電の保険の種類や補償内容、値上げの可能性等を解説します。

太陽光発電の保険に加入する必要はある?

太陽光発電の保険に加入する必要はある?

企業が産業用太陽光発電を導入する場合、保険への加入が推奨される理由は以下のとおりです。

  • ●事業計画策定ガイドラインに保険への加入努力義務が明示されていること
  • ●自然災害による太陽光発電設備の事故報告が増えていること

太陽光発電の保険への加入は強制ではありませんが、推奨理由を確認してから検討してください。順番に解説します。

事業計画策定ガイドラインに保険への加入努力義務が明示されていること

経済産業省資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインでは、FIT制度・FIP制度を利用している産業用太陽光発電に対して、保険への加入努力義務が明記されています

ガイドラインでの保険とは、火災保険、地震保険、第三者賠償責任保険を指しており、メーカー保証は含まれていません

また、上記の保険は 「加入努力義務」 なので、加入しなくても罰則はありません。

しかし、加入すれば太陽光発電設備で万が一の事態が発生した場合に備えられます。

自然災害による太陽光発電設備の事故報告が増えていること

太陽光発電設備は野外に設置する設備のため、台風や大雨等の自然災害による被害を受けやすくなります。

例えば、2018年7月に起きた西日本を中心とした豪雨では、太陽光発電設備の立地地域で浸水や土砂崩れが発生し、太陽光パネルやパワーコンディショナー等の設備が損傷を受けました。

同じ年には、豪雨に加えて2つの台風と北海道胆振東部地震等もあり、太陽光発電設備の事故報告は計48件になりました。自然災害による事故報告は年々増加傾向にあり、設備の破損だけでなく、設備全体に及ぶケースも考えられます。

上記をふまえると、万が一の事態に備えるためにも、太陽光発電の保険に加入するのが望ましいです

太陽光発電の保険とメーカー保証の違いは?

太陽光発電には、基本的に購入した時点で次のメーカー保証が付きます

メーカー保証の種類 概要
製品保証 製造上の不具合や欠陥があった場合の損失を保証する
出力保証 太陽光パネルの発電量を一定期間に渡って保証する
規定値を下回った場合にパネルの修理や交換を受けられる

製品保証は製造上の不具合や欠陥が発生した場合に対処する保証で、自然災害や事故が原因の不具合は原則として製品保証の対象外です。

また、出力保証も通常使用による劣化を想定しており、停電や自然災害、事故等を原因とする性能の低下は保証の対象になりません。

つまり、メーカー保証では次の事例でのトラブルには対処できません。

  • ●積雪や台風、洪水、地震、落雷等の自然災害による設備の損傷
  • ●カラスの落石による損傷
  • ●外部侵入者による設備の盗難

メーカー保証とは別に、上記の事例をカバーできる保険への加入を検討してください

  • ※補償内容はメーカーや製品によって異なるため、詳しくはメーカーにお問い合わせください。

産業用太陽光発電の保険の種類|費用相場や補償内容

太陽光発電の保険は、主に以下の4つです。

  • ●火災保険
  • ●地震保険
  • ●第三者賠償責任保険
  • ●休業損害補償

保険によって対応できる損害が異なるので、順番に確認していきます。

火災保険

火災保険とは、積雪や台風、洪水、落雷等の自然災害や、盗難、その他の損害で太陽光発電設備が損傷するリスクを補償する保険です

主に、次のケースで太陽光発電設備が損傷した場合、復旧に必要な期間の利益損失を補償します。

  • ●大雪や台風でパネルが破損した
  • ●窃盗団によってケーブルが盗まれた
  • ●カラスの落石でパネルが破損した

保険会社や保険の種類にもよりますが、火災保険は修理費用に特化した内容が多く、補償範囲は選択制です。補償の範囲を狭めれば保険料を抑えることができます。

発電出力50kW程度であれば、年間の保険料の相場は15,000円~20,000円です。

  • ※補償内容は保険会社や保険の種類によって異なるため、詳しくは保険会社にお問い合わせください。

地震保険

地震保険とは、地震や地震による火災、噴火、津波等が原因で発生したリスクを補償する保険です

通常の火災であれば火災保険でカバーできますが、地震が原因で発生した火災は地震保険に加入していないとカバーできません

なお、地震保険は単体で加入できず、加入するには火災保険とセットとなります。

保険料は火災保険の保険金額の30%~50%で設定されているため、発電出力50kW程度であれば、年間6,000円~10,000円程度かかります。

  • ※補償内容は保険会社や保険の種類によって異なるため、詳しくは保険会社にお問い合わせください。

第三者賠償責任保険(施設所有管理者賠償責任保険)

第三者賠償責任保険とは、太陽光発電設備の使用中に発生した偶然の事故で、第三者に身体障害や財物損害を与えた場合のリスクを補償する保険です

代表的なものは施設所有管理者賠償責任保険で、施設の管理や仕事の遂行等に伴う賠償事故を補償します

例えば、太陽光パネルが飛散して誰かを傷つけたり、住宅に損害を与えたりした場合に、損害賠償金や賠償責任に関する訴訟費用、弁護士費用、応急手当に必要な緊急措置費用等をカバーできます。

太陽光発電設備の発電容量によって保険料の相場は異なりますが、50kWなら年間の保険料は5,000円程度です。

  • ※補償内容は保険会社や保険の種類によって異なるため、詳しくは保険会社にお問い合わせください。

休業損害補償

休業損害補償とは、自然災害や事故等で太陽光発電設備が損傷した場合、復旧するまでの間に失われた売電収入を補償する保険です

産業用太陽光発電で売電収入を得ている場合、損傷によって収入が途絶えてしまうと、融資の返済やキャッシュフローに影響を及ぼすことになります。

運転資金への対応を考えるのであれば、加入検討が必要です。

  • ※補償内容は保険会社や保険の種類によって異なるため、詳しくは保険会社にお問い合わせください。

太陽光発電の保険料は値上がりするおそれがある

太陽光発電の保険は、保険会社にとって未知の分野でした。

そのため、FIT制度がスタートした頃の補償内容は、保険料が安すぎたり、補償額の上限が高かったり等、現実のリスクを想定していないものも見られました。

しかし、近年自然災害による被害が急増した状況を受けて、保険会社は2022年に火災保険料を改定、値上げしました。

さらに、2024年10月から複数の保険会社が保険料の改訂を行う見込みです。保険会社によりますが、10%以上の値上げが行われる可能性があるため、すでに加入している企業も保険の見直しを検討する必要があります。

太陽光発電の保険会社の選び方は?

太陽光発電に関する主な保険会社の特徴は以下のとおりです

保険会社 特徴 補償期間の目安
損害保険ジャパン株式会社 火災保険(企業総合補償保険)や施設所有管理者賠償責任保険を扱っている
従来の火災保険では対象外となっていた事故も補償される
1年~5年までの整数年、または1年未満
東京海上日動火災保険株式会社 太陽光発電協会(JPEA)の団体保険や企業総合保険(財産補償条項)、施設賠償責任保険を扱っている
太陽光発電設備を撤去、処分する費用に加えて、第三者への賠償責任がセットになった保証がある
1年
三井住友海上火災保険株式会社 ビジネスキーパー(事業活動総合保険)や施設所有(管理)者賠償責任保険を扱っている
企業の事業内容や方針、予算にあわせて補償内容を設計しやすい
1年~5年までの整数年

※2024年10月時点の情報です。

保険会社によって扱っている保険の補償期間や補償対象、補償範囲等は異なるため、選ぶ際は比較や検討が重要です。詳しくは各社のホームページを参考にしてください。

PPAで導入した太陽光発電設備の保険はどうなる?

PPAとは、エネルギーサービス事業者と契約を結んで太陽光発電設備を導入する仕組みです。

電気を必要とする需要家は、PPA事業者が設置した太陽光発電設備で発電した電力を割安な価格で購入できます。

設備の所有権は事業者にあるため、単純な物損に関する保険の付保については所有者である事業者側の役目になるのが一般的とされています。

しかし、需要家側も、設備の利便の利用者として、事前に想定しうる損害を十分に調査のうえ、PPA事業者とも相談しながら保険の範囲を設定することが、リスクを最小限にするためには必要です。

太陽光発電設備を導入するなら関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

太陽光発電設備を自己所有する場合、維持管理やメンテナンスは自社で行います。保険も自社で加入しますが、将来的に保険料が値上がりする可能性を考えると、コスト増が負担になるおそれがあります。

PPAは初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入でき、維持管理やメンテナンスを行う必要がありません。

例えば、関西電力のオンサイトPPA「太陽光発電オンサイトサービス」は、太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行い、発電した電気をお客さまが利用する仕組みです。

維持管理やメンテナンスを関西電力グループに一任でき、かかる費用はサービス利用料に含まれているため、原則として追加料金は発生しません※1。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用により電気料金の節約も可能です。

また、「太陽光発電オンサイトサービス」では、オプションで余剰電力の売電が選べます

電力使用量が少なくなる時間帯や休日等で余った電力を売電すれば、電気料金のさらなる節約効果を得ることが可能です

「割引プラン」 や、補助金の申請をサポートする 「補助金サポート」 等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※2

関西電力の太陽光発電設備は、広い敷地がなくても、工場や倉庫、大規模店舗の屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので導入を検討する企業はご相談ください

また、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能 「SenaSon」 により、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用できます。

ただし、オンサイトPPAでは、設置場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、敷地外設置の太陽光発電「コーポレートPPA」をご検討ください。

  • 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • 割引プランは、補助金との併用はできません。

太陽光発電の保険に入って万が一に備えよう

太陽光発電は自然災害や事故によって損害が発生するおそれがあります。

火災保険や地震保険、第三者賠償責任保険等に加入する努力義務をガイドラインで求められているため、設備を導入した企業は万が一に備えて加入を検討するべきです

ただし、保険会社は自然災害による太陽光発電設備の被害が増えたことを受け、火災保険料の値上げを行う方向です。

このように太陽光発電を自己所有した場合、コストが増加する傾向が見られるため、コストを抑えたい企業はPPAでの導入を検討してください。

関西電力では、設置場所や必要な設備をコンサルティングし、幅広いラインナップからお客さまに最適なご提案する「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。

導入から運用まで関西電力グループが一貫してサポートするため、初期費用やメンテナンスのコストは発生しません。

自社の敷地内に太陽光発電を導入するなら「太陽光発電オンサイトサービス」 を、設置スペースを持たない場合は 「コーポレートPPA」 をご検討ください。

北村 和也(きたむら かずや)

監修者 北村 和也(きたむら かずや)

日本再生可能エネルギー総合研究所 代表/株式会社日本再生エネリンク 代表取締役/地域活性エネルギーリンク協議会 代表理事/埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。民放テレビ局にて、報道取材、環境関連番組等制作し、1998年よりドイツ留学。その後、研究所等を設立。

◎主たる活動:

  • ・再生エネ普及のための情報収集と発信
  • ・再生エネ、脱炭素化等の民間企業へのコンサルティング、自治体のアドバイザー
  • ・地域での経済循環、活性化のサポート
  • ・エネルギージャーナリストとして、講演、セミナー、各種の執筆

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