太陽光発電の発電コストは?初期費用・維持費の負担を抑える方法も紹介

2025.3.21

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太陽光発電の発電コストは?初期費用・維持費の負担を抑える方法も紹介

太陽光発電の導入を検討する際に気になるのが、発電コストや初期費用・維持管理費等です。

経済産業省によると、初期費用は1kWあたり約23.9万円が目安です。また、年間のメンテナンス費用は設備規模に応じて10~200万円程度が目安となります。コストを抑えるためには、PPAモデルや補助金の活用等が有効です。

この記事では、太陽光発電の具体的なコストや、負担を軽減する方法について解説します。

太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。

初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。

太陽光発電の発電にかかるコスト

まずは、太陽光発電で1kWあたりの発電にかかるコストの目安を見ていきましょう。

資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会の検証によると、産業用太陽光発電にかかるコストは、2020年時点(実績値)の試算で次のとおりです。

太陽光(産業用)発電コスト(2020年)

政策経費 0.9円/kWh
(IRR相当政策経費0.8円/kWh、予算関連政策経費0.1円/kWh)
運転維持費 3.2円/kWh
(人件費、修繕費、諸費、業務分担費)
資本費 8.8円/kWh
(建設費7.9円/kWh、固定資産税0.7円/kWh、廃棄費用0.2円/kWh)
総発電コスト 12.9円/kWh
(政策経費を除いた場合は12.0円/kWh)
  • ※政策経費:発電事業者が発電のために負担する費用ではなく、税金等で賄われる政策経費のうち電源ごとに発電に必要と考えられる社会的経費

総発電コストは12.9円/kWhで、内訳は政策経費0.9円/kWh、運転維持費3.2円/kWh、資本費8.8円/kWhとなっています。

なお、太陽光発電の年間発電量(kWh)は、設置した地域にもよりますが、発電容量(kW)の1,000倍がおおよその目安です。

例えば200kWの発電容量の設備の場合、発電量は年間200,000kWh(200MWh)が目安で、総発電コストは年間258万円と概算できます。この時の内訳は、政策経費が年間18万円、運転維持費が年間64万円、資本費が年間176万円となります。

また、2030年時点での産業用太陽光発電にかかるコストの試算は次のとおりです。2020年で12.9円/kWhだった総発電コストは、2030年では8.2~11.8円/kWh程度にまで下がることが試算されています。

太陽光(産業用)発電コスト(2030年)

政策経費 0.7 円/kWh
(IRR相当政策経費0.6円/kWh, 予算関連政策経費0.1円/kWh)
運転維持費 3.2円/kWh
(人件費、修繕費、諸費、業務分担費)
資本費 7.3 円/kWh
(建設費6.6円/kWh, 固定資産税0.6円/kWh, 廃棄費用0.2円/kWh)
総発電コスト 11.2 円/kWh
(政策経費を除いた場合は7.8~11.1円/kWh)

太陽光発電とその他エネルギーの発電コスト比較

資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会の検証によると、2020年の各電源の発電コストは次のように試算されています。

電源 発電コスト(円/kWh)
※()内は政策経費なしの値
設備利用率・稼働年数
太陽光(産業用) 12.9円/kWh(12.0円/kWh) 17.2%・25年
石炭火力 12.5円/kWh(12.5円/kWh) 70%・40年
LNG火力 10.7円/kWh(10.7円/kWh) 70%・40年
原子力 11.5~円/kWh(10.2~円/kWh) 70%・40年
石油火力 26.7円/kWh(26.5円/kWh) 30%・40年
陸上風力 19.8円/kWh(14.6円/kWh) 25.4%・25年
洋上風力 30.0円/kWh(21.1円/kWh) 30%・25年

また、2030年の発電コストは次のように試算されています。

電源 発電コスト(円/kWh)
※()内は政策経費なしの値
設備利用率・稼働年数
太陽光(産業用) 8.2~11.8円/kWh(7.8~11.1円/kWh) 17.2%・25年
石炭火力 13.6~22.4円/kWh(13.5~22.3円/kWh) 70%・40年
LNG火力 10.7~14.3円/kWh(10.6~14.2円/kWh) 70%・40年
原子力 11.7~円/kWh(10.2~円/kWh) 70%・40年
石油火力 24.9~27.6円/kWh(24.8~27.5円/kWh) 30%・40年
陸上風力 9.8~17.2円/kWh(8.3~13.6円/kWh) 25.4%・25年
洋上風力 25.9円/kWh(18.2円/kWh) 33.2%・25年

太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの発電コストは、2030年の試算では2020年より下がっていますが、高額なコストがかかることには変わりありません。

太陽光発電のコストを下げる方法・技術は?

将来的に太陽光発電のコストを下げるための方法としては、以下のような取り組みが考えられます。

  • ●変換効率の向上(同じ設置面積・周辺コストでの発電量増加でコスト削減が可能)
  • ●機器の耐久性・信頼性向上(生涯発電量の増加で、平均発電コストの削減が可能)
  • ●低コストで製造できる太陽電池の開発(ペロブスカイト太陽電池等)
  • ●製造技術の改良、量産規模の拡大
  • ●インバータ(パワコン、PCS)の小型化や耐久性向上
  • ●架台や設置工法の改良
  • ●フレキシブル化等による取り付けコスト低減
  • ●生産時のマザーガラスサイズの大型化
  • ●革新的技術の開発(量子効果の利用、新型多接合太陽電池等)

変換効率や耐久性の向上の他、低コストで製造可能なペロブスカイト太陽電池等の開発、製造技術の改良等、コストを下げる方法はさまざまです。多面的な取り組みにより、発電コストの安い電源となることが期待されています。

太陽光発電の仕組みやペロブスカイト太陽電池についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

太陽光発電の初期コスト(パネル、パワーコンディショナー、工事費等)

太陽光発電の初期コスト(パネル、パワーコンディショナー、工事費等)

経済産業省の資料によると、2023年の産業用太陽光発電の初期コストの内訳は次のとおりです。システム全体としての初期コストは、1kWあたり23.9万円となっています。

項目 資本費内訳
接続費 1.5万円/kW
土地造成費 1.1万円/kW
設計費 0.2万円/kW
工事費 7.5万円/kW
その他の機器 1.6万円/kW
架台 3.5万円/kW
パワコン 3.0万円/kW
パネル 9.5万円/kW
その他・値引き -1.4万円/kW
システム費用(全体) 23.9万円/kW

例えば、200kWの太陽光発電システムを導入した場合の費用を計算すると次のとおりです。200kWのシステム全体の初期コストは、5,300万円が目安となります。

項目 資本費内訳
接続費 300万円
土地造成費 220万円
設計費 40万円
工事費 1,500万円
その他の機器 320万円
架台 700万円
パワコン 600万円
パネル 1,900万円
その他・値引き -280万円
システム費用(全体) 5,300万円

太陽光発電の定期点検・メンテナンスにかかる費用

産業用太陽光発電で年間にかかるメンテナンス費用は、以下の金額が目安です。維持管理をするための定期点検等に費用が発生します。

設備の種類 メンテナンス費用
低圧(10kW~50kW未満) 10~15万円程度
高圧(50kW~2000kW未満)
特別高圧(2000kW以上)
100~200万円程度

なお、経済産業省の資料によると、産業用太陽光発電の運転維持費は、地上設置で年間0.52万円/kW、屋根設置で年間0.52万円/kW※が平均となっています。この数値を用いると、例えば200kWの太陽光発電の場合、100万円程度が運転維持費の目安です。

なお、定期点検の頻度の目安は以下のとおりです。

設備の種類 定期点検の頻度
低圧(50kW未満) 4年に1回
高圧(50kW以上) 受変電設備:2~6ヶ月に1回
パネル・パワーコンディショナー:6ヶ月に1回

低圧では4年に1回、高圧では受変電設備で2~6ヶ月に1回、パネル・パワーコンディショナーで6ヶ月に1回が目安であり、高圧の設備ではより高頻度で定期点検が必要です。

太陽光発電のコスト負担を抑える方法

太陽光発電の初期コストやメンテナンス費用を抑える方法としては、以下が挙げられます。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

  • ●PPAで導入する
  • ●補助金を利用する

PPAで導入する

PPA(Power Purchase Agreement)は、エネルギーサービス事業者と契約して太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。

自社で設備を保有する方法とは異なり、需要家が設備を購入・所有・管理する必要がなく、初期費用ゼロでの導入が可能です。また、維持管理やメンテナンスも事業者が実施するため、追加費用・手間をかけずに運用できます。

「初期コストを抑えたい」「メンテナンスの手間を省きたい」 と考えている場合には、PPAモデルで太陽光発電を導入する方法が選択肢のひとつになります。

PPAモデルについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

補助金を利用する

補助金制度を利用することで、初期コスト等が抑えられます。太陽光発電の補助金制度の一例として、以下が挙げられます。2024年1月時点ではいずれも公募が終了していますが、今後再び公募が行われる可能性もあります。

補助金事業 概要
需要家主導太陽光発電導入促進事業
  • ●需要家が発電事業者と連携して行う太陽光発電設備や蓄電池の導入等への補助金事業
  • ●補助率は自治体連携型で2/3以内、それ以外は1/3以内
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
  • ●太陽光発電と蓄電池を同時に導入する企業等を対象とする補助金事業
  • ●上限額は太陽光発電設備で2,000万円、充放電設備で1,000万円

太陽光発電の補助金についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

太陽光発電の収支シミュレーション

太陽光発電の収支シミュレーションは、発電量や電気料金の削減効果を把握するために重要です。導入・運用に値する電気料金の削減効果が見込めるのか、初期費用はどれくらいの期間で回収できるのか等を把握するために収支シミュレーションが役立ちます。

例えば、関西電力では、3つの質問に答えるだけで、年間の電気料金削減額を概算でご確認いただける 「10秒シミュレーション」 を提供しています。

関西電力のシミュレーションツールを使う手順は以下のとおりです。

  • ①都道府県を選択
  • ②太陽光パネルの設置面積を入力
  • ③建物の稼働頻度を選択
  • ④試算結果

①都道府県を選択

まずは、設置場所の都道府県を選択してください。日射量から、およその発電量を試算します。

①都道府県を選択

②太陽光パネルの設置面積を入力

次に、屋根や空き地等、太陽光パネルの設置予定場所の面積を入力してください。入力いただいた面積から、設置可能な太陽光パネルの容量(枚数)を想定し、導入費用や発電量を試算します。

②太陽光パネルの設置面積を入力

③建物の稼働頻度を選択

最後に、休業日があるかないか、建物の稼働頻度を選択してください。建物の稼働日から、発電した電気を毎日使用することができるか、土日は使用することができないのか、判断します。

発電した電気を毎日より多く使った方が、電気料金の削減効果が期待できます。

③建物の稼働頻度を選択

④試算結果

上記の3項目を入力するだけで、「CO₂削減量」と「コスト削減額の目安」が分かります。

④試算結果

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太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※2。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。

また、オプションで余剰電力の売電が選べます。休日や就業時間後の電力使用量が少なくなるタイミングで余った余剰電力を売電すると、電気料金のさらなる削減効果を得ることが可能です

関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。

「割引プラン」や、補助金の申請をサポートする「補助金サポート」等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※3。補助金サポートでは、全国で補助金の採択実績が豊富な関西電力が申請をサポートします。

ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電「コーポレートPPA」をご検討ください。

  • 途中解約には違約金が発生します。
  • 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • 割引プランは、補助金との併用はできません。

太陽光発電の初期コスト・維持費を知って導入の検討に役立てよう

資源エネルギー庁の検証によると、2020年の太陽光発電の総発電コストの試算額は、1kWhあたり12.9円です。また、経済産業省の資料によると、2023年の産業用太陽光発電の初期コストは、システム全体として1kWあたり23.9万円となっています。

メンテナンス費用は、低圧で年間10~15万円程度、高圧・特別高圧で年間100~200万円程度が一般的な目安です。コストを抑える方法としては、PPAモデルでの導入、補助金の活用等が挙げられます。

ぜひ太陽光発電の初期コスト・維持費等を知って、導入の検討に役立てていきましょう。

関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電を導入できる「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。導入から運用まで関西電力グループが一貫してサポートします。まずはWebページ等からお気軽にお問い合わせください。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

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