太陽光発電に点検義務はある?改正FIT法による義務内容や点検の注意点を紹介
2025.1.23
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目次
太陽光発電システムには、定期点検の義務があります。2017年に施行された改正FIT法により、小規模施設向けの低圧システム等でも、点検とメンテナンスが法的に求められるようになりました。
定期点検を行わない場合は、設備故障への早期対応が難しくなる他、改善命令や認定の取り消し等の処分対象となることもあるため、適切な維持管理が不可欠です。
この記事では、太陽光発電の定期点検の義務内容や注意点、点検費用の相場等を詳しく解説します。
太陽光発電の定期点検の義務とは
住宅用、産業用ともに太陽光発電を運用する際には、定期点検が義務付けられています。
以前は50kW以上の産業用太陽光発電のみで定期点検や維持管理が義務付けられていましたが、2017年施行の改正FIT法では、50kW未満の住宅用まで適用範囲が拡大されました。
50kW未満で固定価格買取制度(FIT制度)を利用しない場合を除き、定期点検は法律上の義務として必ず実施しなければなりません。
改正FIT法に基づく 「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」 では、「保守点検及び維持管理を実施すること」 とされており、太陽光発電設備の定期点検・維持管理を義務として実施すべき旨が記載されています。
必要な定期点検の頻度
定期点検は、以下の頻度での実施が求められています。
低圧の太陽光発電(50kW未満) | 高圧の太陽光発電(50kW以上) | |
---|---|---|
点検の頻度 | 4年に1回以上(推奨) |
年に2回以上 受変電設備 : 2~6ヶ月に1回 パネル・パワーコンディショナー :6ヶ月に1回年に2回以上 |
主な施設 | 戸建住宅、小規模な工場等 | 大規模な工場、商業施設等 |
50kW未満の低圧の太陽光発電では、設置後1年目に実施した後は、4年に1回の頻度で定期点検を実施することが推奨されています。
一方、50kW以上の高圧太陽光発電では、受変電設備で2~6ヶ月に1回、パネル・パワーコンディショナーで6ヶ月に1回の定期点検が義務付けられています。
メンテナンスと定期点検(保守点検)の違い
太陽光発電の定期点検では、以下のような点検が行われます。
- ●抵抗値や電圧の測定
- ●各機器に異常・損傷の有無の確認
一方、太陽光発電のメンテナンスは、具体的には以下のような作業を指します。
- ●太陽光パネルの洗浄
- ●パワーコンディショナーの清掃
- ●緩みのあるボルトの締め直し
- ●故障した部品・機器の交換
ただし、メンテナンスと点検という言葉が区別されずに、点検・維持管理を含めた広い意味で「メンテナンス」という言葉が使われることも多くあります。
点検の義務を怠るとどうなる?
定期点検や維持管理を行わなかった場合は、FIT認定基準に適合しないとみなされ、再エネ特措法の規定に基づき、指導・助言、改善命令、認定の取り消し等が課されるおそれがあります。
太陽光発電の定期点検・メンテナンスの内容
定期点検の点検項目は、設置後の期間や使用状況によって異なりますが、一般的には以下のような項目で実施されます。
- ●太陽光パネルの絶縁抵抗値・開放電圧の測定
- ●パワーコンディショナーの異音・発熱・通気孔の目詰まり等の確認
- ●ボルトの緩みの確認
- ●外観の目視点検(ケーブル・架台の損傷、雑草の影になっていないか等)
漏電等の異常がないか確認するためにパネルや配線の絶縁抵抗値が測定されます。また、パネルの劣化や配線に異常がないか確認するために開放電圧の測定が行われます。
パワーコンディショナーについては、異音や発熱がないか、通気孔が目詰まりしていないか等が、主に確認される項目です。その他、架台や各設備のボルトの緩みがないかの確認、外観の目視点検等も太陽光発電の定期点検で実施されます。
上記の他、業者によっては雑草対策やパネルの洗浄等のメンテナンスも点検とあわせて実施されます。
太陽光発電の定期点検・メンテナンスの費用の相場
太陽光発電の定期点検・メンテナンスにかかる費用の目安は、次のとおりです。
設備の種類 | 費用の目安 |
---|---|
高圧(50kW以上)、特別高圧(2,000kW以上)の設備 | 100~200万円程度 |
低圧(50kW未満)の設備 | 10〜15万円程度 |
住宅用(10kW未満)の設備 | 5~10万円程度 |
点検の際にパネルの故障等が見つかると、保証期間外の場合には、修理・交換費用が追加で発生します。パネルの場合は1枚あたり10~15万円、パワーコンディショナーの場合は住宅用で~40万円、産業用で50万円~が費用の目安です。
太陽光発電の定期点検に関わる注意点
太陽光発電の定期点検に関わる注意点としては、以下の点が挙げられます。それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
- ●定期点検は専門業者に依頼する
- ●点検に必要な書類を揃えておく
- ●定期点検とあわせて日常点検も実施する
- ●点検を適時に欠かさず行う
定期点検は専門業者に依頼する
太陽光発電システムの点検には専門的な知識と機器が必要であり、販売店・工務店・太陽電池モジュールメーカー等の専門業者に依頼することが推奨されます。専門業者による点検により機器の不具合を早期に発見できれば、故障や事故のリスクを軽減できます。
点検に必要な書類を揃えておく
定期点検を依頼する際は、点検に必要な書類を事前に揃えておくとスムーズに作業が進められます。
点検の対象となる設備の図面・取扱説明書、これまでの点検記録等を準備しておきましょう。
また、点検の依頼者の方でも、設備の構成・仕様を事前に確認しておくことをおすすめします。
定期点検とあわせて日常点検も実施する
定期点検とあわせて、設備が異常なく動作しているかをできる範囲で日常点検として確認しておくと、早期に異常を発見しやすくなります。
一般社団法人日本電機工業会・太陽光発電協会 「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」 による日常点検要領は、次のとおりです。以下も参考にしながら、日常点検を実施しましょう。
太陽電池アレイ、架台 |
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パワーコンディショナー |
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接続箱、集電箱、その他(開閉器、漏電ブレーカー、電力量計等 |
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点検を適時に欠かさず行う
太陽光発電の定期点検については、点検タイミングを把握し、定期的に点検を実施してくれるサービスを利用するのもおすすめです。
例えば、PPAモデルの太陽光発電では、点検・メンテナンスも事業者が実施します。PPAとは、エネルギーサービス事業者と契約して太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。
PPAモデルの太陽光発電では、点検のタイミングで確実に点検が実施でき、点検のための追加費用もかかりません。点検やメンテナンスの手間や費用を削減したいと考えているなら、PPAモデルの太陽光発電は選択肢のひとつになります。
太陽光発電のPPAモデルについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電のPPAモデルとは?種類や導入メリット・デメリットを解説
点検・メンテナンスの手間を削減するなら関西電力「太陽光発電オンサイトサービス」
関西電力では、PPAモデルの太陽光発電として「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。需要家であるお客さまの敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電した電気をお客さまに一定期間のご契約をいただくことを条件※1として、固定単価でご提供するサービスです。
関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」では、点検、機器の交換、遠隔監視、トラブル対応等をトータルでサポートします。
関西電力 「太陽光発電オンサイトサービス」 のアフターサポート
連絡窓口 |
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遠隔監視 |
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異常時の対応 |
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導入からメンテナンスまで関西電力がワンストップで実施するため、手間なく導入が可能です。また、初期費用ゼロで利用を開始でき、電気料金を削減できます。
なお、導入の際には、補助金申請のサポートもしています。補助金を受けることで、月々の料金負担をさらに抑えることが可能です。補助金を利用しない場合も、工事時期お任せでサービス料金が安くなる 「まとめて工事プラン」「工期フリープラン」 があり、これらの割引プラン※2で料金を抑えることもできます。
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- 20年程度の長期契約となります。途中解約には違約金が発生します。
- 割引プランは、補助金との併用はできません。
太陽光発電の点検義務を守って安全に運用しよう
太陽光発電では定期点検が義務付けられています。
低圧では4年に1回、高圧では受変電設備で2~6ヶ月に1回、パネル・パワーコンディショナーで6ヶ月に1回の点検頻度が推奨されています。高圧・特別高圧の設備の場合、点検・メンテナンス費用は、100~200万円程度が目安です。
適切なメンテナンスが行われない場合、故障や事故の原因となる他、指導・助言、改善命令、認定の取り消し等の処分が課されるおそれがあります。ぜひ、点検義務を守って安全に太陽光発電を運用していきましょう。
メンテナンスの手間やコストのために太陽光発電の導入を迷っているなら、関西電力「太陽光発電オンサイトサービス」がおすすめです。導入から運用まで関西電力グループが一貫してサポートします。まずはWebページ等からお気軽にお問い合わせください。
監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムならびに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。あわせて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクル等幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取り組み中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
サービス概要資料
太陽光発電オンサイトサービス
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