PVとは?太陽光発電システムの種類・構成・設置形態をわかりやすく解説

2025.3.21

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PVとは?太陽光発電システムの種類・構成・設置形態をわかりやすく解説

「PV」 は光起電力を意味する言葉です。太陽光発電の分野ではPV=太陽光発電そのものや太陽電池を指し、「PVシステム」 は、太陽光発電システムのことを指します。

太陽光発電の分野で使われる 「PV」「PVシステム」 という言葉について、気になっている方もいるかもしれません。PVシステムには、独立形PVシステム、系統連系形PVシステムの2種類があり、それぞれの違いも押さえておきたいところです。

この記事では、PV・PVシステムの意味や、PVシステムの種類・構成・設置形態を解説します。

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PV(Photovoltaic)とは

PVは 「Photovoltaic」 の略語で、Photovoltaicは光を当てることで発生する起電力(光起電力)を意味する言葉です。

太陽光発電は光起電力を利用した発電方法であり、太陽光発電自体をPhotovoltaicの略語の「PV」と呼ぶことがあります。

日本では太陽光発電を意味する「PV」という用語はあまり浸透していませんが、海外では太陽電池を意味する用語として広く利用されています。

また、太陽光発電システムを「PVシステム」と呼ぶこともあります。一般的にPVシステムには、太陽光電池モジュールの他、太陽電池の架台、接続箱、パワーコンディショナー、分電盤等の周辺機器も含まれます。

PVシステムを導入するメリット・デメリット

PVシステムを導入するうえで、それぞれ以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】

  • ●電気料金を削減できる
  • ●電気料金高騰の影響を受けない
  • ●CO₂排出量の削減に寄与できる
  • ●災害時にエネルギーを確保できる
  • ●余剰電力の売電収入を得られる

【デメリット】

  • ●一定の初期費用がかかる
  • ●メンテナンスのコストや手間がかかる
  • ●一定の設置スペースが必要
  • ●発電量は設置場所や天気に左右される

メリット・デメリットをそれぞれ理解した上で導入を検討しましょう。

PVシステムのメリット・デメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

PVシステム(太陽光発電システム)の種類

PVシステム(太陽光発電システム)の種類としては、大きく以下の2種類が挙げられます。

  • ●独立形PVシステム
  • ●系統連系形PVシステム

以下で、それぞれ解説します。

独立形PVシステム

太陽光発電の初期コスト(パネル、パワーコンディショナー、工事費等)

独立形PVシステムは、電力会社の電力系統(送電網や配電網)から切り離されたPVシステムで、「オフグリッド型」とも呼ばれます。太陽電池で発電した電気だけでシステム内の電力消費をすべてまかないます。

独立形PVシステムでは、雨天や曇りで十分に発電ができない時や、夜間の電力消費に備えて、蓄電池を設置するのが一般的です。独立形PVシステムは、山岳地や離島等の電力網から遠く、電力供給が難しい地域等で多く利用されます。

独立形PVシステム

独立形PVシステムのメリットとしては、以下が挙げられます。

  • ●初期費用が安い
  • ●停電時にも電力を供給できる

独立形PVシステムは電力系統への接続が不要なため、接続にかかる費用を抑制し低コストで導入できるのがメリットです。小規模な構成もしやすく、柔軟にシステムを構築できます。

また、電力系統と連系せずに独立しているため、停電時にも電力供給が可能です。また、蓄電池を設置すると停電中にも蓄電池から電力供給や蓄電ができます。

独立形PVシステムのデメリット

独立形PVシステムのデメリットとしては、以下が挙げられます。

  • ●電力の売買ができない
  • ●補助金が利用できない

余剰電力は蓄電池に蓄電して活用が可能ですが、電力系統へ接続していないため売電して収入を得ることはできません。あくまで自家消費による電気料金の削減や、災害時の対策等の目的で利用が可能です。

また、太陽光発電への補助金制度では、多くの場合は系統連系形PVシステムが対象で、独立形PVシステムは対象外となります。

系統連系形PVシステム

系統連系形PVシステム

電力会社の電力系統(送電網や配電網)と接続したPVシステムです。系統連系形PVシステムでは、電力系統から電力の送り出し(売電)・受け取り(給電)がそれぞれ可能です。

種類としては、余剰電力を逆送電して売電できる「逆潮流あり」のシステムと、電力需要が発電量を常に上回る場合等に採用される「逆潮流なし」のシステムの2種類があります。

系統連系形PVシステムのメリット

系統連系形PVシステムのメリットとしては、以下が挙げられます。

  • ●電力の売買ができる
  • ●補助金が利用できる

逆潮流ありのシステムでは、発電した電力を自家消費するだけでなく、余剰電力を売電して売電収入を得ることが可能です。

また、太陽光発電に関連する多くの補助金は、系統連系形PVシステムを対象にしています。条件を満たす補助金制度があれば、支援を受けて初期費用等を軽減できます。

系統連系形PVシステムのデメリット

系統連系形PVシステムのデメリットとしては、以下が挙げられます。

  • ●初期費用が高い
  • ●停電時や夜間に電気が使えない場合がある

初期費用は、独立形PVシステムと比較すると高額な傾向で、導入のためには業者による工事が必要です。

また、系統連系形PVシステムは、系統に連系しているため、停電時には電力が使えなくなります。ただし、自立運転機能がある場合は、自立運転に切り替えて自立運転用コンセントから電力供給が可能です。

また、蓄電池を備えていない場合、夜間にも電力が使用できなくなります。

産業用PVシステムに関する周辺知識

産業用PVシステムに関する周辺知識として、システムの構成や設置形態、セルとモジュールの違い、太陽光パネルの単結晶・多結晶の違い等について見ていきましょう。

産業用PVシステムの構成

産業用PVシステムの構成例は、太陽光発電協会Webサイトによると次のとおりです。各設備が連携しながら、全体のシステムとしての運用を支えています。

設備 概要
太陽電池モジュール 太陽光パネルのことで、太陽光からの発電を行う
太陽電池架台 太陽電池モジュールを傾斜角に取り付ける土台となるもの
接続箱 太陽電池モジュールからの電線をまとめる箱
パワーコンディショナー 直流電力を効率よく交流電力に変換する装置
分電盤 建物内で電力を必要な場所に電力を分配する装置
買電用受変電設備 電力会社から送られてくる高圧電力を低圧に変換する設備
買電用積算電力計 買電量を測定する電力量計
売電用積算電力計 売電量を測定する電力量計
PAS 責任分界点に設置される波及事故防止のための保護装置

産業用PVシステムの設置形態

PVシステムの設置形態の種類としては、一般的に広く利用されている地上設置型、屋根設置型の他、ソーラーカーポート、営農型(ソーラーシェアリング)、水上設置型等、さまざまな設置形態があります。

設置形態の種類 概要
地上設置型 地上に野立てで設置する設置形態
構内の遊休地への設置や大規模なメガソーラー等に採用されている
地上設置型
屋根設置型 工場や商業施設の屋根等に設置する設置形態
土地を新たに確保する必要がなく、屋根のスペースを有効活用できる
屋根設置型
ソーラーカーポート カーポートの屋根に太陽光パネルを搭載する設置形態
駐車場のスペースを活用して太陽光発電が可能
ソーラーカーポート
営農型(ソーラーシェアリング) 農地に支柱を立てて上部空間に太陽光パネルを設置する設置形態
農業と太陽光発電を両立させることができる
ソーラーカーポート
水上設置型 農業用のため池、貯水池等にフロート架台を浮かべて太陽光パネルを設置する設置形態
水上設置型

ソーラーカーポート、ソーラーシェアリングについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

太陽光パネルのセルとモジュールの違い

「セル」は太陽電池を構成する最小単位で、セルを複数枚組み合わせた太陽光パネル1枚を「モジュール」と呼びます。また、複数枚のモジュールを直列・並列に接続し、架台等に設置したものを「アレイ」と呼びます。

セルとモジュールの違いについてより詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

太陽光パネルの単結晶・多結晶の違い

太陽光発電として主流のシリコン系の太陽光パネルには、古くから使われている「単結晶」と、現在より広く利用されている「多結晶」の主に2種類があります。その他、多結晶よりさらに結晶の粒が細かい「微結晶」の太陽光パネルも存在します。

多結晶の太陽光パネルは、単結晶のものと比べると変換効率が少し落ちますが、製造コストが安価なためより広く利用されています。一方、単結晶の太陽光パネルは、価格は高価になりますが、変換効率が特に求められる用途で利用されています。

企業がPVシステムを導入する3つの方法

企業がPVシステムを導入する方法を整理しておきます。導入方法は、大きく次の3つになります。

導入の種類 概要 初期費用 管理・維持
自己所有型 PV設備を自社で設置して電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法必要自社で行う
PPA型 事業者と契約を結んでPV設備を設置してもらい、割安で電気を購入する不要事業者が行う
リース型 PV設備をリースで導入し、電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法不要事業者が行う

自己所有

自己所有は自社でPVシステムを購入し、メンテナンスや管理までを行う導入方法です。

メリット
  • ●全体として投資回収効率が良い
  • ●処分や交換を自社でコントロールできる
  • ●自家消費しなかった電力を売電できる
デメリット
  • ●初期費用が大きい
  • ●財務指標への影響が大きい
  • ●維持管理やメンテナンスのコストや手間がかかる
  • ●故障時は費用がかかるため、予算を確保しておく必要がある

自己所有の場合、他の導入方法と違ってサービス料(PPA事業社やリース会社に支払う費用)がかからないので、基本的に投資回収効率が良くなります

また、自社で所有するので処分や交換を自由に行え、余剰電力を売電する事業者を自由に選ぶことが可能です。

一方で、自己所有の場合は初期費用が大きな課題に挙げられます。一定の出費で財務指標に影響を及ぼし、維持管理やメンテナンスのコストや手間を自社で負う必要があります。

PPA

PPA(Power Purchase Agreement)とは、事業者と契約を結び、PVシステムを設置してもらう導入方法です。

メリット
  • ●初期費用がかからない
  • ●維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しない
デメリット
  • ●自由に交換や処分ができない
  • ●基本的に長期契約

PPAでは、企業の保有する施設の屋根や遊休地にPVシステムを設置しますが、システムは事業者が保有します。導入した企業は、設置したPVシステムで発電した電力を割安で購入できるため、電気料金の削減が可能です。

つまり、初期費用がかからず、維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しません

ただし、PPAで導入したPVシステムを企業が交換や処分する権利はなく、サービスにもよりますが契約期間は約20年と長い傾向があります。

なお、PPAにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類があるため、あわせて理解しておきましょう。

オンサイトPPA PVの設置場所:企業の敷地内
オフサイトPPA PVの設置場所:企業の敷地外

オンサイトPPA

オンサイトPPAとは、企業の敷地内に事業者がPVシステムを設置し、所有や維持管理するタイプで、PPAの基本的なモデルです。

安価である一方で、屋根や土地等、自社の敷地内にPVシステムを設置する場所が必要です。

オフサイトPPA

オフサイトPPAは、需要家の企業の敷地の「外」にPPA事業者がPVシステムを設置し、発電された電気は需要家の企業が使用するモデルです。

PVシステムを設置できるだけのスペースを持っていない企業でも、PVシステムを導入できる方法です。設置場所も事業者が用意するため、費用は高くなる傾向にあります。

リース

事業者と契約して、PVシステムをリースする導入方法です。

メリット
  • ●初期費用がかからない
  • ●事業者によっては、維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しない
デメリット
  • ●自由に交換や処分ができない
  • ●長期契約が多い
  • ●発電がない場合でもリース料を支払う場合がある

リース事業者にもよりますが、PPAと同じで初期費用がかからず、維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しない等のメリットがあります。

ただし、原則として使用した分の電気料金を支払うPPAと違い、天気や気候で発電がない場合でもリース料を支払う場合もあるため、電気料金の削減につながらない可能性に注意しましょう。

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PVシステムを導入してコスト削減・環境負荷低減を推進しよう

PVシステム(太陽光発電システム)は、電力系統から独立した 「独立形PVシステム」、電力系統と接続した「系統連系形PVシステム」の2種類があります。

独立形PVシステムは、初期費用が安く、停電時にも電力供給できるため災害時の対策に有効です。系統連系形PVシステムは、売電ができ、補助金が利用しやすい点がメリットとなります。

PVシステムは、太陽光電池モジュールの他、架台、接続箱、パワーコンディショナー、分電盤等の周辺機器も含めて構成されます。設置形態は、地上型、屋根型、カーポート等いくつか種類があり、設置場所や目的によって選択が可能です。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

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