太陽光発電のPPAモデルとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
2025.9.16
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目次
PPAモデルとは、太陽光発電設備を導入する方法のひとつです。
太陽光発電設備を設置するために必要な初期費用がかからず、維持管理やメンテナンスのコスト・手間が発生しません。そのため、自己所有やリースに比べて、太陽光発電設備を導入しやすい方法です。
ただし、PPAモデルにもデメリットはあるので、太陽光発電設備の設置を検討している場合は知っておきましょう。
この記事では、PPAモデルの種類や特徴、メリット・デメリット、導入事例等を解説します。
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PPAとは何の略?
PPAとは、「Power Purchase Agreement」 の略称で、「電力購入契約」 や 「電力販売契約」 を意味します。
エネルギーサービス事業者との電力販売契約で、電気を使う需要家の企業が事業者と契約を結び、太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。
PPAでは、発電した電気は企業等の需要家が使用する仕組みで、電気料金やCO₂排出量の削減が期待できます。
太陽光発電を設置するための初期費用はゼロで、事業者が維持管理やメンテナンスを行うため、追加の費用も発生しません。
太陽光発電の初期費用やメンテナンスのコストをかけずに導入したい場合におすすめの方法です。
PPAモデルの仕組み
PPAモデルでは、需要家は発電された電力を使用した分だけ料金を支払います。発電量は電力量計で計測され、余剰電力がある場合は差し引いて請求される仕組みです。
設備の保守や監視は事業者が行うため、需要家の維持管理やメンテナンスの費用負担はありません。
一般的に20年程の長期契約が前提で、長期的に自家消費としての利用が可能です。また、契約期間終了後に、設備が無償譲渡されるケースもあります。
PPAモデルと自己所有型・リース型の違い
企業が太陽光発電設備を導入する手段として、PPAモデル以外に自己所有型、リース型があります。3つの特徴を比べてみました。
導入の種類 | 概要 | 初期費用 | 管理・維持 |
---|---|---|---|
自己所有型 | 太陽光発電設備を自社で設置して電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 | 必要 | 自社で行う |
PPAモデル | 事業者と契約を結んで太陽光発電設備を設置してもらい、割安で電気を購入する方法 | 不要 | 事業者が行う |
リース型 | 太陽光発電設備をリースで導入し、電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 | 不要 | 事業者が行う (事業者・契約によります) |
PPAモデルは、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入でき、メンテナンスのコストや手間が発生しません。また、設置した太陽光発電設備から割安で電力を購入できるため、電気料金の削減につながります。
自己所有型は、自社で太陽光発電設備を設置するため、維持管理やメンテナンスのコスト、手間が発生する導入方法です。一方、太陽光発電設備の所有権が自社にあるので、自由に交換や処分ができます。
リース型は、PPAモデルと同じく初期費用ゼロで太陽光発電設備を設置できますが、メンテナンス費は原則として自社で払います。
PPAモデルでは使った分だけ電気料金を支払いますが、リース型では太陽光発電が発電しなくてもリース料金が発生する場合があるため、PPAモデルほど電気料金の削減効果を得られないこともあります。
導入方法によってメリットやデメリットが異なるので、自社に合った方法を選んでください。
PPAモデル(スキーム)の種類と特徴
PPAモデルにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類があります。
オンサイトPPA | 需要家の企業の屋根や敷地内に太陽光発電設備を設置する |
---|---|
オフサイトPPA | 需要家の企業の敷地外に太陽光発電設備を設置する |
上記の特徴を解説します。
オンサイトPPAの特徴
オンサイトPPAとは、事業者が需要家である企業の屋根や敷地 「内」 に太陽光発電設備を設置し、事業者が維持管理を行うモデルです。
例えば、工場や倉庫、大規模店舗等の広い屋根等、需要家が保有している敷地内に太陽光発電設備を設置します。
設置した太陽光発電設備で発電した電力は、原則として場所を提供した需要家が使用します。太陽光発電のサービス料金は、太陽光発電導入前の電気料金より安くなることが多く、電気料金の削減が期待できます。
オンサイトPPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:オンサイトPPAとは?仕組みとオフサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを解説
オフサイトPPAの特徴
オフサイトPPAは、事業者が需要家の企業の敷地の 「外」 に太陽光発電設備を設置します。発電された電気は、契約に基づいて需要家が使用するモデルです。
オフサイトPPAは、敷地内に設置場所を持たない企業でも太陽光発電を導入できる方法です。
ただし、敷地外の太陽光発電設備から電気を送る必要があるため、送電線の利用料がかかります。そのため、オンサイトPPAに比べて電気料金が高くなる傾向があります。
オフサイトPPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事: オフサイトPPAとは?自己託送・オンサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを解説
PPAモデルのメリット

PPAには、次のメリットがあります。
- ●太陽光発電導入の初期費用がかからない
- ●オフィスや工場の電気料金を節約できる可能性がある
- ●CO₂排出量の削減に寄与できる
- ●太陽光発電設備の運用・メンテナンスを任せることができる
太陽光発電導入の初期費用がかからない
PPAの最大のメリットは、太陽光発電導入の初期費用がかからないことです。
一般的に、産業用太陽光発電を導入する場合は以下の費用がかかります。
初期費用項目 | 費用の目安 |
---|---|
太陽光パネル | 8.6万円/kW |
パワーコンディショナー | 2.7万円/kW |
架台 | 3.1万円/kW |
その他の機器 | 1.6万円/kW |
工事費 | 7.5万円/kW |
設計費 | 0.2万円/kW |
土地造成費 | 0.9万円/kW |
接続費 | 1.2万円/kW |
値引き | ▲1.2万円/kW |
合計 | 24.6万円/kW |
PPAの場合は、この初期費用がかからないため、自己所有に比べて太陽光発電を導入しやすいことがメリットです。
オフィスや工場の電気料金を節約できる
特にオンサイトPPAでは、発電した電気を、割安な価格でオフィスや工場で利用できます。
次の表は、オンサイトPPAで太陽光発電設備を設置した場合の1kWhあたりの料金と、通常の電気料金(高圧)の目安を比較したものです。
コストの種類 | オンサイトPPAの電気料金 | 通常の電気料金(高圧) |
---|---|---|
発電コスト※1 | 12~15円 (自家消費100%の場合) |
22円 (燃料費調整額を含む) |
小売りコスト | なし | |
託送料 | なし | |
合計 | 12~15円 | 22円+再エネ賦課金 |
通常の電気料金には、送配電網の利用料金である託送料金や燃料費調整額、再エネ賦課金等が含まれています。
一方、オンサイトPPAでは敷地内に設置した太陽光発電の電力を直接購入するため、発電コスト以外にかかる費用がほとんどありません。
通常の電気料金に比べて割安に電気が使えるため、オフィスや工場の電気料金を削減したい場合におすすめです。
- 表内の発電コストのなかには、PPA事業者のコストが含まれます。
CO₂排出量の削減に寄与できる
政府は、2040年の再生可能エネルギー導入目標を全電源の4~5割としており、そのなかで太陽光発電設備を全体の23~29%にまで増やすことを目指しています。
企業や自治体に対して太陽光発電設備の導入を推奨し、発電した電気の自家消費分は、省エネ法と温対法に基づいて届け出が可能な温室効果ガス削減量として認められます。
また、環境に対する貢献を社内外に発信することで、企業の環境意識の高さをアピールすることも可能です。環境への取り組みに熱心な企業との評価を受け、ビジネスチャンスの広がりが期待できます。
太陽光発電設備の運用・メンテナンスを一任できる
太陽光発電を自己所有した場合、定期的な設備のメンテナンスやトラブルの際の対応等、多くの手間が発生します。
PPAでは、太陽光発電設備の所有や管理をPPA事業者が行うため、自社での維持管理やメンテナンスの費用が発生せず、手間がかかりません。
PPAモデルのデメリット
PPAは初期費用をかけずに太陽光発電設備を設置できる導入方法ですが、長期契約を結ぶ必要がある点に注意してください。
事業者や契約内容によりますが、通常は20年程度、さらに長期の契約を結ぶこともあります。
契約期間中は太陽光発電設備を勝手に交換や処分できないため、次のケース等でトラブルが起きる可能性もあります。
- ●敷地の売却や別の目的での利用
- ●リフォームや建て替え
- ●社屋の移転
例えば、遊休地に太陽光設備を設置した場合、PPA契約を解除しなければ土地を売却できません。
また、工場の屋上に太陽光設備を設置すると、工場のリフォームや建て替えに支障をきたすことがあります。
このように、PPA契約では長期的な運用計画を踏まえた視点が必要です。
PPAモデルで太陽光発電を導入するまでの流れ
PPAを導入する際の流れは以下のとおりです。
- ①予算や活用できる補助金等を確認する
- ②候補施設や土地等を選定する
- ③主担当部署を決定し、社内体制を検討する
- ④候補施設や土地に関する資料や情報を収集する
- ⑤導入可能性調査を行う
- ⑥入札等の準備を進めて、事業者を決定する
- ⑦事業者との契約等を締結し、着工する
- ⑧工事を行い、電力供給を開始する
PPAで太陽光発電設備の導入を検討する際は、環境省が公開している 「手引き」 も参考にしてください。紹介されているのは公共施設へ導入するケースですが、基本的な情報や具体的な導入フロー等は、民間企業にも適用できます。
PPAモデルの導入事例
オンサイトPPAモデルの太陽光発電設は、次のような業種で導入事例があります。
業種 | 事例 |
---|---|
製造業 | キユーピー株式会社 神戸工場さまの屋根に太陽光発電と蓄電池を設置 キユーピーさま事例詳細はこちら |
小売業 | トライアルカンパニー株式会社さま スーパーセンター45店舗に設置 TRIALさま事例詳細はこちら |
自治体 | 長野県 大桑村役場さま 庁舎の屋根に太陽光発電を設置 大桑村役場さま事例詳細はこちら |
広い屋根を持つ工場や、大型店舗のある小売業で太陽光発電が多く導入されていますが、太陽光発電の導入には特に業種の制限はありません。屋根や土地、カーポート等に空きスペースが十分あれば、太陽光発電の導入を検討できます。
それぞれの事例は、以下の記事でも紹介しています。
関連記事:太陽光発電のメリット・デメリットは?特徴や導入方法、事例をわかりやすく解説
太陽光発電を導入するなら関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ
関西電力が提供するオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」 は、関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行うサービスです。発電した電気はお客さまが利用し、契約期間は20年ほどです※1。
太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や、追加の維持コストはかかりません※2。月々の発電量に応じたサービス利用料が発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。
オプションで余剰電力の売電も選択可能で、休日や就業時間後の電力使用量が少なくなるタイミングで余剰電力を売電すると、電気料金のさらなる削減効果を得ることができます。
また、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能 「SenaSon」 によって、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用可能です。
さらに、関西電力では、お客さまの敷地に関西電力が蓄電池設備を設置して運用を行う 「蓄電池オンサイトサービス」 を提供しています。オンサイトPPAと同様に初期費用が発生せず※3、設置後の運用やメンテナンスは関西電力が責任を持って行うので、オフグリッドを導入したいお客さまにおすすめです。
関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。「割引プラン」 や、補助金の申請をサポートする 「補助金サポート」 等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※4。
なお、オンサイトPPAのご提供には設置場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電 「コーポレートPPA」 をご検討ください。
- 途中解約には違約金が発生します。
- 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
- 一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
- 割引プランは、補助金との併用はできません。
PPAモデルで太陽光発電を導入しよう
PPAモデルは初期費用をかけずに太陽光発電設備を導入できる仕組みです。太陽光発電設備を初期費用ゼロで設置でき、維持やメンテナンスは契約したPPA事業者が行います。
太陽光発電設備で発電した再生可能エネルギーを割安で購入できるため、オフィスや工場の電気料金やCO₂排出量の削減に役立つ導入方法です。
関西電力では設置場所や必要な設備をコンサルティングし、幅広いラインナップからお客さまに最適なご提案が可能な 「太陽光発電オンサイトサービス」 を提供しています。
関西電力グループが導入から運用、メンテナンスまでを一貫してフォローするため、設備設置にかかる初期費用やメンテナンスのコストはかかりません。月々の発電量に応じたサービス料金のみをいただく仕組みです。
自社の敷地内に太陽光発電を導入するなら 「太陽光発電オンサイトサービス」 を、設置スペースを持たない場合は 「コーポレートPPA」 をご検討ください。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。


監修者 北村 和也(きたむら かずや)
日本再生可能エネルギー総合研究所 代表/株式会社日本再生エネリンク 代表取締役/地域活性エネルギーリンク協議会 代表理事/埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。民放テレビ局にて、報道取材、環境関連番組等制作し、1998年よりドイツ留学。その後、研究所等を設立。
◎主たる活動:
- ・再生エネ普及のための情報収集と発信
- ・再生エネ、脱炭素化等の民間企業へのコンサルティング、自治体のアドバイザー
- ・地域での経済循環、活性化のサポート
- ・エネルギージャーナリストとして、講演、セミナー、各種の執筆
サービス概要資料
太陽光発電オンサイトサービス

自家消費型太陽光発電で電気料金とCO₂を削減。「太陽光発電オンサイトサービス」 の概要をご紹介します。
資料の一部をご紹介
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