ペロブスカイト太陽電池とは？

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を持つ物質（ペロブスカイト）を発電層に利用した太陽電池のことです。

2009年に桐蔭横浜大学・宮坂力教授のグループにより考案され、現在では世界の企業や研究機関で広く研究や商品化に向けた競争が進んでいます。

ペロブスカイト太陽電池は従来のシリコン太陽電池より軽量で柔軟性が高く、ビル壁面や耐荷重の小さい屋根等、従来設置が難しかった場所にも導入できます。

また、塗布や印刷等比較的容易に製造できるため、低コストで量産できる可能性がある点にも注目が集まっています。
ペロブスカイト太陽電池について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

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ペロブスカイト太陽電池の鉛フリー化とは？

ペロブスカイト太陽電池には鉛や臭素が含まれており、製造や廃棄を適切に行わないと土壌や水質を汚染する恐れがあります。また、処理施設不足やコストの高さ、多層構造ゆえのリサイクルの手間も課題とされています。

こうした課題を解消するため、鉛を使わないペロブスカイト材料開発が加速しており、環境負荷を抑えつつ高効率化を図る技術の確立が求められています。

ペロブスカイト太陽電池の鉛フリー化に向けた技術開発の現状

世界各国の研究機関・企業が鉛を使用しない、または使用量を減らした材料開発を進めています。以下、日本での代表的な代替材料と変換効率について紹介します。

代替材料候補と変換効率

スズ（Sn）
スズは鉛と似た性質を持ち主要な代替候補ですが、空気中で酸化しやすくセルの性能が落ちやすいという弱点があります。そのため、酸化を防ぐ薬品を加える方法や、空気や水分を遮断する専用フィルムで封止する方法が研究されています。

ビスマス（Bi）
銀とビスマスを組み合わせたAgBi₂I₇は従来の鉛系ペロブスカイトと比べて毒性が低く、湿気や熱にも強いとされています。

ただし現在の変換効率は約2％と低く、性能向上のためには材料の配合や結晶の作り方を改良する必要があります。

ペロブスカイト太陽電池の鉛フリー化に取り組む研究事例

鉛を含まないペロブスカイト太陽電池の研究は国内外で加速しており、日本の大学でもさまざまな技術開発が行われています。

筑波大学
スズ系ペロブスカイト太陽電池が電子輸送層の改良で高効率化するメカニズムを解明しました。

京都大学
大規模商用化が可能な高性能スズ系ペロブスカイト太陽電池の開発を行っています。

桐蔭横浜大学
ペロブスカイト研究の草分けである宮坂 力教授のグループが中心となり、鉛フリー材料の探索とデバイス試作に取り組んでいます。

鉛フリーのペロブスカイト太陽電池実用化に向けた課題と今後の可能性

鉛フリーのペロブスカイト太陽電池を実用化するには、複数の技術的ハードルを乗り越える必要があります。現在指摘されている主な課題と、それに対する取り組みを紹介します。

変換効率が低い

鉛系セルのエネルギー変換効率が20〜26%に達する一方、純スズ（Sn）等の鉛フリー系セルは10%台にとどまります。原因は、Sn²⁺が空気中で酸化してSn⁴⁺になりやすく、結晶欠陥が増え開放電圧（Voc）が低下するためです。そこで、近年は還元性添加剤、Sn合金化、プロセス制御等、多方向から効率向上が試みられています。

耐久性が低い

シリコン太陽電池の寿命が一般に20年以上とされるのに対し、ペロブスカイト太陽電池は報告ベースでも10年程度にとどまります。特に鉛フリー（Sn系等）の場合は材料の劣化が速く、屋外で長期間にわたって安定した発電ができるかが課題であり、耐久性の向上が必要とされています。

鉛フリーのペロブスカイト太陽電池はまだ実用化されていないため、屋根置きができる場合は、オンサイトPPAでの導入がおすすめです。

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• ※ペプロブスカイト太陽電池につきましては、段階的に実用化に向けた取組みが進められている状況です。弊社におきましても、現時点ではお取扱いできかねますので、ご留意ください。