ペロブスカイト太陽電池の変換効率とは?企業が知っておきたい最新技術と導入判断の基準

2025.12.12

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ペロブスカイト太陽電池の変換効率とは?企業が知っておきたい最新技術と導入判断の基準
  • ※ペプロブスカイト太陽電池につきましては、段階的に実用化に向けた取組みが進められている状況です。弊社におきましても、現時点ではお取扱いできかねますので、ご留意ください。

次世代型として注目されるペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ高効率となり得る特性から設置の自由度が高く、工場の大屋根から都市部のビル壁面まで幅広い活用が期待されています。

ただし、「変換効率が高い=必ずおトク」とは限りません。 実際の発電量や総コスト、建物側の条件等を踏まえた総合判断が欠かせません。

この記事では、ペロブスカイト太陽電池の基本、変換効率の考え方と実環境での違い、そして企業導入時に確認すべきポイントまで、わかりやすく解説します。

また、「初期費用を抑えていますぐ電気料金を削減したい」「保守・点検まで任せたい」といった企業向けに、オンサイトPPA(設備は第三者が設置・保有し、自社は発電された電気を長期の固定単価で購入する方式)についても紹介します。

ペロブスカイト太陽電池とは?まず押さえたい基本知識

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶構造を持つ物質(ペロブスカイト)を発電層に利用した太陽電池のことです。

2009年に桐蔭横浜大学・宮坂力教授のグループにより考案され、現在では世界の企業や研究機関で広く研究や商用化に向けた競争が進んでいます。

ペロブスカイト太陽電池は従来のシリコン太陽電池より軽量で柔軟性が高く、ビル壁面や耐荷重の小さい屋根等、これまで設置が難しかった場所にも導入できます。

また、塗布や印刷等、比較的容易に製造できるため、低コストで量産できる可能性がある点にも注目が集まっています。

ペロブスカイト太陽電池について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

ペロブスカイト太陽電池の変換効率とは?

企業が導入を検討する際は、太陽光をどの程度電力に変換できるかを示す「変換効率」の理解が欠かせません。まず太陽光発電全体における変換効率の定義と基本的な考え方を整理し、続いてペロブスカイト太陽電池の変換効率の特徴を解説します。

変換効率とは?基本的な意味と計算方法

太陽光発電の変換効率とは、「太陽光パネルが太陽光を電気エネルギーにどれくらい有効に変換できるか」を示した割合のことです。太陽電池の変換効率には、次の2種類があります。

モジュール変換効率
モジュール変換効率は、太陽光パネル(モジュール)1枚全体の変換効率です。

セル変換効率
セル変換効率は、太陽光パネル(モジュール)を構成するセル1枚の変換効率です。

モジュール変換効率の計算式

モジュール変換効率(%)={モジュール公称最大出力(W)×100}÷{(放射照度 1,000W/m2)×モジュール面積(m2)}

公称最大出力は、JIS規格で規定された一定の条件下(放射照度1,000W/m2、モジュール温度25℃)での出力を指します。放射照度は、標準試験条件における放射エネルギーの強さのことで、通常は1,000W/m²とされます。

1,000W/m²の放射照度でモジュールに照射された光エネルギーのうち、どれくらいの割合が電気エネルギーに変換されるかを計算して、モジュールでの変換効率を算出します。

セル変換効率の計算式

セル変換効率(%)={モジュール公称最大出力(W)×100}÷{(放射照度 1,000W/m2)×セル1枚の面積(m2)×モジュール内のセルの個数}

1,000W/m²の放射照度でセルに照射された光エネルギーのうち、どの程度が電気エネルギーに変換されるかを計算して、セル1枚あたりの変換効率を算出します。

ペロブスカイト太陽電池の変換効率はどれくらい?

ペロブスカイト太陽電池は、2009年の3〜4%から研究の進展により26.7%(単接合セル、認証)まで向上しています。これは、従来の結晶シリコン太陽電池に匹敵する水準です。

種類 セルの発電効率の最高記録
結晶シリコン 26.1%
ペロブスカイト 26.7%
ヘテロ接合型シリコン 27.3%

一方で、ペロブスカイト太陽電池には、面積が大きくなると変換効率のばらつきが生じやすいという課題があります。商用化に向けて各社の開発が進むことで、さらなる性能向上が期待されています。

変換効率が高ければ企業にとってトクなのか?

結論から言えば、変換効率が高いほど“おトク”とは限りません。

実際の効果は、設置環境やシステム設計・運用等によって左右され、同じ効率値でも実発電量や電力費の削減幅は大きく変わります。以下、詳しく見ていきましょう。

理論値と実際の発電量には差がある

変換効率の数値は、あくまで標準試験条件で測定された値です。

ところが実際の現場では、夏季の高温で太陽光パネルの表面温度が上がると出力が低下し、くもりや雨等で日射量が減れば発電量も低下します。こうした環境要因により、発電量は目減りします。

さらに、配線抵抗やパワーコンディショナーでの変換損失、長期使用に伴う劣化等が重なり、運用時の実効効率は試験値を下回るのが一般的です。

導入環境によって効果が左右される

同じ太陽光パネルでも、設置場所によって年間日射量や温度条件は大きく変わります。

都市部の屋上では高温化しやすく、沿岸部では塩害、樹木や周辺建物による影、工業地域では粉じんの付着が生じやすい等、地域特性は発電量だけでなく保守コストにも影響します。

太陽光発電の導入を検討する際は、年間発電量だけで判断せず、設置場所の条件や清掃・点検のしやすさといった維持管理面まで含めて比較しましょう。

費用対効果を正しく見るための視点

太陽光発電の導入可否は、変換効率の数値だけにとらわれず、初期費用、維持管理費(清掃・点検・交換)、将来の電力単価の見通し、税制優遇や補助金の適用可否までを含めたキャッシュフロー全体を踏まえて総合的に判断しましょう。

例えば、以下のような考え方があります。

  • ●土地に余裕がある場合は、単価の低いモジュールを広めに敷設して初期費用を抑える
  • ●屋根ではオンサイトPPAを採用して初期費用を抑えつつ設置面積を節約し、将来の増設余地を確保する
  • ●自家消費比率を高めるために蓄電池を組み合わせ、需要ピークにあわせて出力をシフトする

これらの案を共通の前提条件で試算し、投資回収期間や収益性の指標(IRR・NPV等)が安定して良好となる選択をするのが堅実です。

日本では電気料金や環境価値(非化石証書等)の価格変動が大きいため、発電量のばらつきと価格の上振れ・下振れ双方を織り込んだ複数のシナリオを数値で示すと、金融機関や社内の納得感が高まります。

変換効率以外に見るべきポイント

太陽光発電の導入可否は、変換効率だけでは判断できません。以下、変換効率以外の評価ポイントについて解説します。

長期的な安定稼働を支える「耐久性」

太陽光発電設備は一度設置すると長期(20〜30年程度)での運用が前提です。パネルだけでなく、架台・固定金具、配線・コネクタ、パワーコンディショナーまでを含めて、長期にわたり安定稼働するかが鍵になります。

候補を比較する際は、製品保証(機器不具合への保証)と出力保証(経年後の出力維持率)の内容・期間、信頼の高い規格への適合、類似環境での導入実績を確認しましょう。

あわせて、汚れがたまりにくい配置、配線の取り回し、遠隔監視機能、交換部品の供給体制等、計画外停止を最小化する設計になっているかを確かめましょう。

導入コストと費用対効果のバランス

初期費用の安さだけで選ぶと、数年後の修理や交換で総コストが増える場合があります。購入・工事・点検・清掃・保険・部品交換・撤去までを含めた総費用で比較しましょう。

例えば、産業用太陽光発電設備のメンテナンス費用は、高圧・特別高圧の設備で年平均100~200万円程度、低圧の設備で年平均10〜15万円程度が目安といわれています。

また、設備に不具合が生じた際の修理・交換費用は、太陽光パネルで1枚あたり5~15万円程度、パワーコンディショナーで10~30万円程度が目安です。

活用すべき補助金・助成金制度

国や自治体には、太陽光発電の導入を対象とした補助金・助成金や税制優遇が用意されています。対象は自家消費型太陽光発電、蓄電池の導入、省エネ改修との併用等で、細かな申請要件があり、公募期間(申請期限)も限られます。

計画段階から最新情報を把握し、見積書・図面・年間の電力使用実績・導入効果の試算(買電量の削減見込み)といった提出資料を事前に整えておくと、採択の可能性を高めやすく、社内稟議や金融機関への説明もスムーズになります。

直近の募集状況は、事業所のある自治体や所管省庁の公募ページで確認し、必要に応じて施工会社や専門家に事前確認を依頼すると安心です。

いますぐ電力コストを下げたい場合|オンサイトPPAという選択

ペロブスカイト太陽電池の実用化にはまだ時間を要する見通しです。
「初期費用を抑えていますぐ電気料金を削減したい」「保守・点検まで任せたい」という企業には、オンサイトPPAがおすすめです。

オンサイトPPAとは、PPA事業者が企業の屋根や敷地に太陽光発電設備を設置し、維持管理を行うモデルです。

初期費用が不要で、保守費用も含めた運用が前提になるため、導入のハードルが低いのが特長です。
契約年数や敷地条件、停電時の対応等、事前に確認すべきポイントはありますが、コストの上振れリスクを抑えつつ、CO2削減も同時に進められるのが強みです。

関西電力では、初期費用ゼロで導入から運用までワンストップでお任せできる「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。オンサイトPPAをご検討中の方はご相談ください。

  • ※ペプロブスカイト太陽電池につきましては、段階的に実用化に向けた取組みが進められている状況です。弊社におきましても、現時点ではお取扱いできかねますので、ご留意ください。

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