GHGとは?温室効果ガスの種類や排出量の内訳、削減に向けた企業の取り組みを解説
2024.10.1
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目次
GHGとは、温室効果ガスの略称です。GHGは地球温暖化の主要因とされ、日本のみならず世界各国で削減のための目標が設定されています。
日本では、2030年度までに2013年度比でGHG(温室効果ガス)を46%削減することを目標とし取り組みを行っています。
脱炭素は、官民一体で取り組まなければ実現できません。政府は企業に対しても、GHG削減を強く求めているため、GHGの意味や排出量削減の取り組みについて知っておくことが必要です。
ここでは、温室効果ガスが示す意味や種類、排出量の内訳、削減に向けた企業の取り組み等を解説します。
GHG(温室効果ガス)とは?
GHGとは、Greenhouse Gasの略称で、いわゆる 「 温室効果ガス 」 を指す用語です。この温室効果ガスは、名前のとおり、熱(赤外線)を吸収する性質を持っています。
太陽光は地球の大気を通過して地表面を暖め、暖まった地表面は熱を赤外線として宇宙空間へ放射しています。
しかし、大気には赤外線を吸収する温室効果ガスが含まれているため、このガスが増えると、地表付近の気温が上がり過ぎて、その結果、地球温暖化が進むことになります。
つまり、GHG(温室効果ガス)は地球温暖化の原因になるのです。
GHGの種類
GHG(温室効果ガス)の種類は以下のとおりです。
GHG(温室効果ガス)の種類 | 概要 |
---|---|
CO₂ | 化石燃料の燃焼や森林伐採等により発生する。 排出量が他のガスに比べ大量で、そのため地球温暖化に及ぼす影響が最も大きい。 |
メタン | 農業や畜産、化石燃料採掘等で発生する。 CO₂より絶対量は少ないが、温室効果がCO₂の20数倍とされ、CO₂に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きい。 |
一酸化二窒素 | 海洋や土壌、窒素肥料の使用、工業活動等により発生する。 |
フロンガス | 冷媒やスプレーに使用される。 一部のフロンガスはオゾン層を破壊した。 |
GHGはさまざまな種類がありますが、表で取り上げたGHGは人間の活動によって増加しています。
特に、CO₂は他のGHG と異なり、大気中の寿命がなく、海や森林に吸収されないといつまでも残る性質があります。排出量も他のガスに比べて大量であり、GHG のなかでは地球温暖化に及ぼす影響が最も大きいガスです。
GHGの排出量内訳
次の表は、日本のGHG の排出量を2013年度と2022年度で比較したものです。
GHGの種類 | 2013年度(百万トン) | 2022年度(百万トン) |
---|---|---|
CO₂ | 1,318 | 1,037 |
メタン | 32.7 | 29.9 |
一酸化二窒素 | 19.9 | 17.3 |
ハイドロフルオロカーボン類 | 30.3 | 46.1 |
パーフルオロカーボン類 | 3.0 | 3.0 |
六ふっ化硫黄 | 2.3 | 2.1 |
三ふっ化窒素 | 1.50 | 0.34 |
合計 | 1407 | 1135 |
2013年度比 | - | -19.3% |
日本のGHG排出量は2013年度がピークで、以降は削減傾向が見られます※1。
2022年度時点でCO₂を約2.81億トン削減しており、2013年度に比べて全体の排出量が19.3%削減しています。
世界の国別の排出量では、1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位ロシアに次いで日本は5位で、世界全体の3%程度です※2。
順位 | 国 | CO₂の排出量(百万トン) | 世界全体の割合 |
---|---|---|---|
1位 | 中国 | 10,649 | 32.0% |
2位 | アメリカ | 4,549 | 13.7% |
3位 | インド | 2,279 | 6.9% |
4位 | ロシア | 1,678 | 5.0% |
5位 | 日本 | 998 | 3.0% |
6位 | ドイツ | 624 | 1.9% |
日本政府は、2050年の排出量ゼロに向けた取り組みは順調な進捗としていますが、カーボンニュートラル実現の道筋はまだ描けていません※3。
- ※1出典: JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター 「 4-01 日本における温室効果ガス排出量の推移(1990-2022年度) 」
- ※2出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター 「 3-01 世界の二酸化炭素排出量(2021年) 」
- ※3出典:環境省 「 国内外の最近の動向について(報告) 」
GHG排出量削減の目的と目標
GHG削減の目的は、地球温暖化の防止です。
18世紀後半の産業革命以降、大量のGHGが排出され、大気中のGHG 濃度が急激に上昇した結果、地球温暖化が進んだと考えられます。
2015年に採択されたパリ協定では、産業革命以降の気温上昇を2℃、または1.5℃に抑える長期目標を掲げました。
さらに、2021年に開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)のグラスゴー気候合意では、1.5℃目標を追求すると決意され、日本は、2030年度において、GHGを2013年度比で46%削減し、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けると表明しています。
日本だけでなく、世界中でGHG排出量削減が目標とされています。GHG排出の原因や量を把握する温室効果ガスインベントリが重要となっています。
温室効果ガスインベントリとは?
温室効果ガスインベントリとは、国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change : UNFCCC)事務局に各国が提出している、GHG排出・吸収量の一覧表です。
各国政府は毎年温室効果ガスインベントリを作成し、直近年のGHG排出・吸収量を取りまとめて公表します。
つまり、温室効果ガスインベントリはそれぞれの国がGHGの排出量を削減できているかを報告するためのレポートです。
設定された目標を達成するために、政府はGHGの排出量を減らす取り組みを企業に推奨しています。
GHG排出量削減のカギはCO₂の排出量の削減
日本におけるGHG排出量は2013年度に比べて減ってきてはいますが、現在でもCO₂は毎年約10億トン以上排出され、日本で排出されるGHG全体の9割以上を占めています※。
CO₂を排出する原因はエネルギー起源と非エネルギー起源の2種類です。
- ●エネルギー起源…化石燃料を燃焼させて発生するCO₂
- ●非エネルギー起源…工業の化学反応や廃棄物の焼却等で発生するCO₂
日本で発生するCO₂の大半は、化石燃料を燃焼させて発生する次のエネルギー起源です。
- ●工場の燃料
- ●トラックや自動車、航空機等の燃料
- ●商業施設やオフィス、家庭等で使われる電気(化石燃料による火力発電)
- ●化石燃料による暖房等の熱利用
つまり、GHGを削減するためには、エネルギーを生み出すために発生するCO₂の排出量を減らすことが重要です。
企業がGHG・CO₂排出量を減らすためにできる取り組み
GHGの大半を占めるCO₂は、エネルギーを生み出す時に発生するケースが多くなっています。
国際的な基準 「 GHGプロトコル 」 では、モノが作られ廃棄されるまでのサプライチェーンにおけるGHG排出量を、スコープ1、2、3の3つに分けて分類しています。
スコープの種類 | 概要 |
---|---|
スコープ1 | 企業が直接排出するGHGを指す。 燃料の燃焼や製品の製造過程等。 |
スコープ2 | 企業が間接的に排出するGHGを指す。 他社から供給された電気や熱、蒸気を利用する場合。 |
スコープ3 | 企業が、提供された物やサービスを利用した場合の他企業が排出するGHGを指す。 販売した部品の利用や製品の廃棄等、いわゆるサプライチェーンによる排出。 |
上記のなかで、スコープ3は自社以外からの排出のため、企業が直接削減に取り組むことは簡単ではありません。
企業が自ら排出するスコープ1やスコープ2の取り組みが、まず最も重要視されます。
スコープ2は、電力の小売り会社から通常の電力契約で供給された電気が対象です。作られた電気が化石燃料を燃焼したものであれば、間接的ですがGHGを排出しているのと同じことになります。
そのため、スコープ2のGHG排出量を減らすために、自社で太陽光発電を設置して自社で使う方法があります。
太陽光発電は、ほぼ“CO₂排出量ゼロ”
火力発電によるCO₂排出量は発電量1kWhあたり約690gです。一方、太陽光発電によるCO₂排出量は発電量1kWhあたり17~約48gで、太陽光発電はほとんどCO₂を排出しません。
つまり、太陽光発電で発電した電気をたくさん利用することが、CO₂排出量の大幅削減につながります。
太陽光発電設備の導入方法
企業が太陽光発電を導入する方法には次の3つがあります。
導入方法 | 概要 | 初期費用 | 管理・維持 |
---|---|---|---|
自己所有 | 太陽光発電設備を自社で設置して、電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 | 必要 | 自社で行う |
PPA | 事業者と契約を結んで太陽光発電設備を設置してもらい、割安で電気を購入する | 不要 | 事業者が行う |
リース | 太陽光発電設備をリースで導入し、電気料金を削減したり、売電収入を得たりする方法 | 不要 | 事業者が行う (事業者・契約によります) |
太陽光発電設備の導入方法によってメリットや課題が異なるので、順番に確認しましょう。
自己所有
自己所有は自社で太陽光発電設備を購入し、メンテナンスや管理までを行う導入方法です。
メリット |
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デメリット |
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他の導入方法と違い、サービス料(PPA事業者やリース会社に支払う費用)がかからないので、基本的に投資の回収効率が良くなります。
また、自社で保有しているため、処分や交換を自由に行うことができ、余剰電力を売電する事業者を自由に選ぶことが可能です。
一方、自己所有では初期費用が課題です。一定の出費で財務諸表に影響を及ぼし、維持管理・メンテナンスのコストや手間を自社で負う必要があります。
PPA
PPA(Power Purchase Agreement)とは、エネルギーサービス事業者と契約を結び、太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。
メリット |
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デメリット |
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PPAでは、事業者が企業の保有する施設の屋根や遊休地に太陽光発電設備を設置します。
太陽光発電設備の所有権は事業者が持ち、導入した企業は設置した太陽光発電設備で発電した電力を割安で購入できるため、電気料金の削減が可能です。
つまり、初期費用がかからず、維持管理・メンテナンスの追加コストや手間が発生しません。
ただし、PPAで導入した太陽光発電設備を企業が交換や処分する権利はありません。
また、サービスによりますが、契約期間は数年から約20年と長期にわたり、期間中に中途解約を行う場合は解約金等が発生します。
なお、PPAにはオンサイトPPAとオフサイトPPAの2種類があるため、あわせて理解しておきましょう。
オンサイトPPA | 太陽光発電の設置場所 : 企業の敷地内 |
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オフサイトPPA | 太陽光発電の設置場所 : 企業の敷地外 |
設置条件を満たした敷地を保有している企業はオンサイトPPAを、保有していない企業はオフサイトPPAがおすすめです。
リース
リースとは、事業者と契約して、太陽光発電システムを借りる導入方法です。
メリット |
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デメリット |
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リース事業者の契約条件によりますが、PPAと同じく初期費用がかからず、維持管理・メンテナンスのコストや手間が発生しない等のメリットが得られます。
ただし、天気や気候で発電がない場合でもリース料を支払う場合があるため、電気料金の削減につながらないことがあります。
太陽光発電設備を導入するなら関西電力の 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 がおすすめ
CO₂の排出量削減のために太陽光発電設備を設置するならPPAがおすすめです。
PPAなら初期費用ゼロで太陽光発電設備を設置でき、管理維持・メンテナンスの手間や追加コストが発生しません。
関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能なオンサイトPPA 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 を提供しています。関西エリアだけでなく全国に対応しており、400地点以上の採用実績があります。
関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスをワンストップで行い、発電した電気をお客さまが利用するため、設備の設置費用等の初期費用や維持コストはかかりません※1。
月々の発電量に応じたサービス料金は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です※2。
また、関西電力の太陽光発電設備は、大きな敷地がなくても、工場や倉庫、大規模店舗の屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なのでご相談ください。
さらに、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能 「 SenaSon 」 により、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用できます。
設置場所がないお客さまは、設置場所の提供不要のオフサイトPPA 「 コーポレートPPA 」 の利用をご検討ください。
- 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
- 割引プランは、補助金との併用はできません。
企業活動でもGHG排出量削減を目指した取り組みが求められる
前述したとおり、GHGは温室効果ガスの略称で、地球温暖化に及ぼす影響が大きいガスです。
特に、CO₂は量も莫大で地球温暖化に及ぼす影響が大きいため、日本だけでなく世界中で削減が進められています。
日本では、2030年度に2013年度比で温室効果ガス46%削減に向けて取り組むと表明しました。
排出している温室効果ガスの9割がCO₂で、CO₂はエネルギーを生み出す時に排出されることが多いため、自社で太陽光発電設備を設置することで、削減につながります。
ただし、自己所有は初期費用が高額になり、管理維持やメンテナンスのコストが発生します。
初期費用やメンテナンス費用等を抑えて太陽光発電設備を導入する方法として、関西電力の 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 をご検討ください。設置場所や必要な設備をコンサルティングし、幅広いラインナップからお客さまに最適な提案を行います。
自社の敷地内に太陽光発電を導入するなら 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 を、設置スペースを持たない場合は 「 コーポレートPPA 」 がおすすめです。
監修者 北村 和也(きたむら かずや)
日本再生可能エネルギー総合研究所 代表/株式会社日本再生エネリンク 代表取締役/地域活性エネルギーリンク協議会 代表理事/埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。民放テレビ局にて、報道取材、環境関連番組等制作し、1998年よりドイツ留学。その後、研究所等を設立。
◎主たる活動:
- ・再生エネ普及のための情報収集と発信
- ・再生エネ、脱炭素化等の民間企業へのコンサルティング、自治体のアドバイザー
- ・地域での経済循環、活性化のサポート
- ・エネルギージャーナリストとして、講演、セミナー、各種の執筆
サービス概要資料
太陽光発電オンサイトサービス
自家消費型太陽光発電で電気料金とCO₂を削減。「太陽光発電オンサイトサービス」 の概要をご紹介します。
資料の一部をご紹介
- 太陽光発電オンサイトサービスとは
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