FIP制度とは?FITとの違いや活用するメリット・デメリットを解説

2025.2.27

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FIP制度とは?FITとの違いや活用するメリット・デメリットを解説

FIP制度は、太陽光発電で発電した電気を売電する際、売電収入にプレミアム(補助額)が上乗せされて支払われる制度です。

FIP制度は、家庭用太陽光発電だけでなく、企業の大規模太陽光発電でも活用することができます。企業の太陽光発電は自家消費が増えていますが、自社で使いきれない余剰電力は、FIP制度を利用して売電することが可能です。

この記事では、FIP制度の概要、導入の背景、メリット・デメリット、法人でのFIP制度活用方法等を解説します。

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FIP制度とは

FIP制度(Feed-in Premium)は、再生可能エネルギーを自立した主力電源として普及させることを目的に、2022年4月から導入された仕組みです。この制度では、発電事業者が電力市場で売電する際、市場価格と連動する売電収入に加えて、所定の基準に基づくプレミアム(補助額)が上乗せされます

FIP制度が導入された背景

従来のFIT制度(固定価格買取制度)に代わる新たな仕組みとして、FIP制度の導入が進められていますが、FIT制度では、主に以下のような課題がありました。

  • ●賦課金の負担増加
  • ●電力市場からの分離

FIT制度は、再生可能エネルギー由来の電気を、電力会社が一定価格・一定期間買い取ることを国が約束する制度で、買取費用の一部を「賦課金」 として電気利用者から集めています。この賦課金の国民負担は年々増加しており、2024年度には2.7兆円に達する見込みです。

また、FIT制度は、買取価格が電力市場と連動せず固定されているため、需給バランスに応じた価格調整が機能しづらいという欠点がありました。需給バランスを維持するためには、他電源による調整が必要です。

これらの課題を解決し、再生可能エネルギーを主力電源として自立させるため、市場価格に連動して変動するFIP制度が導入されました。FIP制度では、再生可能エネルギーの発電事業者が電力市場で売電する際に、国が一定の補助額を上乗せする仕組みとなっており、市場と調和した運用が可能になります。

FIP制度での補助額の決まり方

FIP制度での補助額の単価(円/kWh)は、以下の式で算出されます。

  • プレミアム単価=基準価格(FIP価格)-参照価格

基準価格は、再生可能エネルギーによる電気が効率的に供給される場合に必要な費用の見込み額をベースに設定される価格です。

一方、参照価格は、市場取引等によって発電事業者が期待できる収入分となる価格で、市場価格に連動し、1ヶ月単位で設定されます。

そして、基準価格と参照価格の差分が、プレミアム単価です。再エネ発電事業者は、プレミアム単価に再エネ電気供給量(kWh)を乗じた金額を 「プレミアム」 として上乗せで受け取ります。プレミアム単価は、参照価格の変動等によって1ヶ月ごとに更新されます。

FIP制度とFIT制度の違い

FIP制度とFIT制度の違いとしては、主に以下が挙げられます。それぞれの違いについて詳しく見てきましょう。

項目 FIT制度 FIP制度
買取価格 固定価格変動価格
インバランスの負担 インバランス特例により免責発電事業者が負担
非化石価値の取引 取引できない取引できる

買取価格の違い

FIT制度の調達価格や調達期間は、年度開始前までに経済産業大臣により定められ、買い取りは固定価格となります。一方、FIP制度では、市場価格に応じた基準価格にプレミアム単価が上乗せされた価格が支払われ、買取価格は変動価格となります。

インバランス負担の違い

インバランス(発電量の計画値と実績値の差)が発生した場合、FIT制度ではインバランスを調整するためのコスト負担は、インバランス特例で免責となります。一方、FIP制度では差分調整にかかる費用を発電事業者が負担します。

FIP制度では、発電事業者に発電計画値の報告義務があり、発電量の計画値に実績値を一致させるバランシングを行うことが求められています。

非化石価値の違い

非化石価値とは、化石燃料を使用せずに発電された電力に付加される環境価値です。

FIP制度の場合は、非化石価値を証書化して、非化石価値取引市場で需要家と直接取引が可能です。一方、FIT制度の場合は、非化石価値は固定買取価格に含まれるため、取引はできません。

FIP制度を利用するメリット

FIP制度を利用するメリット

FIP制度を利用するメリットとしては、主に以下が挙げられます。

  • ●売電のタイミングによっては、さらに多くの収入が見込める
  • ●FIT制度の適用終了後もFIP制度が適用できる

売電のタイミングによっては、さらに多くの収入が見込める

FIP制度では、売電価格が市場価格に連動するため、市場価格が高い時間帯により多くの電力を売電することで、収益の最大化を目指すことができます。

なお、蓄電池を活用して発電した電力を一時的に蓄え、市場価格が高い時間帯に売電も可能です。昼間の発電量が多い太陽光発電でも、夕方や夜間の電力需要が高まる時間帯等に売電できるようになり、収益性をさらに向上できます。

FIT制度の適用終了後もFIP制度が適用できる

FIT制度で買取価格が保証される調達期間は10kW未満で10年間、10kW以上で20年間です。FIT制度の調達期間が終了した後も、FIP制度に乗り換えれば、引き続き支援を受けることが可能です。

既存の発電設備で引き続き支援を受けながら、発電による売電収入が得られます。

FIP制度を利用するデメリット

FIP制度を利用するデメリットについても確認しておきましょう。

  • ●収入の見通しが立てづらい
  • ●金銭的な負担が増える可能性がある

収入の見通しが立てづらい

FIP制度は、売電価格が市場価格によって変動するため、収入の見通しが立てづらいデメリットがあります。

電力需要が少ない時期や供給過多の状況では市場価格が低下するおそれがある等、売電収入の不安定さは事業者にとって課題となります。

金銭的な負担が増える可能性がある

発電量の計画値と実績値の差を調整するコストは、FIT制度では免責となりますが、FIP制度では発電事業者が負担します。

FIT制度ではなかった金銭的な負担が、FIP制度では増える可能性があるでしょう。

法人でのFIP制度活用方法

法人でのFIP制度活用方法

ここからは法人でのFIP制度の具体的な活用方法について、いくつか見ていきましょう。

  • ●余剰電力を売電して収益を得る
  • ●FIT終了後にFIP制度を利用する
  • ●専門業者と連携する

余剰電力を売電して収益を得る

法人が所有する太陽光発電設備等で発電した電力は、自社施設で利用できるだけでなく、余剰電力はFIP制度を通じて市場に売電が可能です。

この際の買取価格は市場価格に連動するため、蓄電池も活用しながら電力需要が高い時間帯に売電すると、収益を高めることができます。

FIT終了後にFIP制度を利用する

法人向けの太陽光発電設備の場合、20年間のFIT制度適用期間があります。太陽光発電設備の寿命は一般的に20~30年程度ですが、状態によっては継続して設備の稼働が可能です。

FIT制度の適用期間が終了した法人も、FIP制度に移行することで、既存の発電設備で支援を受けながら売電収入を得ることができます。

専門業者と連携する

FIP制度を最大限に活用するためには、市場価格の動向を把握し、適切な売電戦略を実施することが必要です。FIP制度の利用にあたっては、業者等に相談して知見を取り入れることで、導入や運用が進めやすくなります。

太陽光発電を導入するなら関西電力「太陽光発電オンサイトサービス」がおすすめ

太陽光発電の導入を検討していて、初期費用やメンテナンスの面で導入を迷っている場合には、PPAモデルによる太陽光発電の導入が選択肢になります。

PPAは、エネルギーサービス事業者と契約して太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。自社での設備の保有とは異なり、需要家が設備を購入・所有・管理する必要がなく、メンテナンスも事業者が実施するため、追加費用・手間がかかりません。

関西電力では、PPAモデルの太陽光発電として「太陽光発電オンサイトサービス」を提供しています。需要家であるお客さまの敷地内に設備を設置し、発電した電気をお客さまに一定期間固定単価でご提供するサービスです※1

太陽光発電オンサイトサービスでは、導入からメンテナンスまで関西電力がワンストップで実施し、追加費用や手間なく太陽光発電の導入が可能です※2

初期費用ゼロで利用を開始でき、電気料金を削減できます。また、太陽発電オンサイトサービスでも余剰電力をFIP制度で売電できるため、売電収入を得ることも可能です。

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さらに、関西電力の太陽光発電に標準搭載されている機能「SenaSon」により、蓄電池やEV、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用できます。

設置場所提供不要のオフサイトPPA「コーポレートPPA」もあるので、自社の状況にあわせて利用を検討いただけます。太陽光発電の導入を迷っているお客さまは、まずはWebページ等からお気軽にお問い合わせください。

  • ※1 20年程度の長期契約となります。途中解約には違約金が発生します。
  • ※2 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • ※3 割引プランは、補助金との併用はできません。

太陽光発電を導入するならFIP制度の活用を検討しよう

FIP制度は、市場価格と連動した売電収入に加えて、所定の基準に基づくプレミアム(補助額)が支払われる制度です。電力市場への統合に向けてFIT制度に代わる制度として導入が進められています。

FIT制度の適用が終了した後でも、FIP制度で引き続き支援を受けながら売電が可能です。ぜひFIP制度の理解を深めて、太陽光発電等でFIP制度を活用していきましょう。

関西電力「太陽光発電オンサイトサービス」でも、FIP制度で余剰電力を売電して、売電収入を得ることが可能です。太陽光発電の導入から運用まで関西電力グループが一貫してサポートします。まずはWebページ等からお気軽にお問い合わせください。

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近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授

1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他

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