脱炭素とは?メリットや企業ができる取り組みを解説

2024.10.1

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脱炭素とは?メリットや企業ができる取り組みを解説

脱炭素とは、二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることです。

二酸化炭素は地球温暖化に大きな影響を与える温室効果ガスのため、世界中で脱炭素の取り組みが推奨されています。日本でも脱炭素の目標が掲げられているため、脱炭素社会実現に向けて企業も取り組みの実施を検討しましょう

この記事では、脱炭素の意味やメリット、企業ができる取り組み等を解説します。

脱炭素とは?

脱炭素とは?

脱炭素とは、二酸化炭素の排出量ゼロを目指す取り組みや施策を指す言葉です。

化石燃料に含まれる炭素が燃やされると、大量の二酸化炭素が排出されます。この二酸化炭素は温室効果ガスの大部分を占めているため、脱炭素を目指すことで温室効果ガスを大幅に削減することが可能です。

脱炭素とカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルは、二酸化炭素のみならず温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる取り組みや施策を指す言葉です。

温室効果ガスとは、主に二酸化炭素を含めた地球温暖化に影響を与える以下のガスを主に指します。

  • ●二酸化炭素
  • ●メタン
  • ●一酸化二窒素
  • ●六フッ化硫黄
  • ●パーフルオロカーボン
  • ●ハイドロフルオロカーボン
  • ●三フッ化窒素

脱炭素は二酸化炭素の排出ゼロを目指している言葉ですが、カーボンニュートラルは二酸化炭素を含めた温室効果ガスの実質ゼロを目指している点で異なります。

二酸化炭素を含む温室効果ガスについては以下の記事で詳しく紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

世界的に脱炭素が求められる理由

世界的に脱炭素が求められる背景には、以下の2つの理由が挙げられます。

  • ●地球温暖化による気候変動
  • ●化石燃料の枯渇リスク

上記について詳しく紹介します。

地球温暖化による気候変動

世界の平均気温は1850年~1900年の工業化以前に比べて、2020年時点で約1.1℃上昇しており、今後もさらに上昇するおそれがあります

地球温暖化の原因のひとつは、二酸化炭素等の温室効果ガスの増加です。温室効果ガスは地表から放出される熱を吸収し、地球温暖化を加速させる作用があります。

平均気温の上昇に伴って国内外では深刻な気象災害が発生しており、豪雨や猛暑のリスクが高まる可能性も否定できません。異常気象の頻度が増加すれば、農業生産や住環境、社会インフラ等にも影響がおよび、生活や経済活動が脅かされる要因にもなり得ます。

二酸化炭素は温室効果ガスのなかでも地球温暖化への影響が大きいため、排出量を削減すれば気候変動の抑制に貢献できると考えられています。こうした理由からも、脱炭素に関する取り組みは重要です。

化石燃料の枯渇リスク

温室効果ガスを生み出す要因のひとつとして、石炭や石油、液化天然ガス等の化石燃料の使用が挙げられます。これらの化石燃料は火力発電の燃料として活用されており、現在の電力供給に欠かせない存在です。

しかし、化石燃料の利用は大量の二酸化炭素を排出するだけでなく、今後、化石燃料が枯渇するリスクも指摘されています。

そのため、二酸化炭素を排出しない代替エネルギーが求められており、太陽光発電や風力発電、地熱発電等の研究や運用が脱炭素の取り組みとして重要視されています。

これらの背景を受け、2015年に採択されたパリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)では、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする 「 カーボンニュートラル 」 を目標としています。

脱炭素の取り組みは、温室効果ガスのひとつである二酸化炭素の排出削減を目的としており、気候変動の抑制や資源保護において、今後の持続可能な社会の実現に不可欠です。

脱炭素のために行われている取り組み

政府は、2050年カーボンニュートラルの実現、または2030年度に温室効果ガスを2013年度に比べて46%削減すること目標としており、次の取り組みを実施しています。

  • ●脱炭素事業への新たな出資制度
  • ●脱炭素経営への取り組み
  • ●GX経済移行債を活用した投資促進
  • ●再生可能エネルギーの活用

上記を順番に解説します。

脱炭素事業への新たな出資制度

政府は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させるため、民間事業者等への支援を強化しています

例えば、環境省では脱炭素事業に意欲的に取り組む民間事業者等を支援するため、財政投融資を活用した 「脱炭素化支援機構」 を設立しました。

意欲的に脱炭素事業に取り組む企業を財政的に支援し、事業の推進を後押しするために、200億円の出資を呼び水としています。1,000億円程度の規模の脱炭素事業を実現させ、将来的には数兆円規模の脱炭素投資への貢献を目指しています。

脱炭素経営への取り組み

環境省では、企業による脱炭素経営の取り組みを促進するために、SBTやRE100への加盟を推奨する傾向が見られます。

SBTとは、企業の環境への取り組みを示す目標設定の一環で、パリ協定で合意された目標と整合した企業の中期的な削減目標の枠組みです。

SBT目標を設定して削減目標への対策や進捗状況を報告すると、企業の貢献度が可視化され、社会的な信頼性や投資家からの評価の向上等につながります。

RE100とは、企業が事業活動に必要な電力の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目指す枠組みです。

再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出しないエネルギーのため、RE100に加盟し活動を続ければ、脱炭素社会の実現に近づけます。

SBTやRE100に加盟して活動すれば、環境に対する意識が高いと評価され、新たなビジネスチャンスに結び付くケースもあります。

また、環境省が加盟を推奨しているため、参加している日本企業も多いです。

GX経済移行債を活用した投資促進

「 GX経済移行債 」 とは、2050年の温暖化ガス排出実質ゼロを実現するために発行される新しい国債です。政府は、この債券を通じて10年間で20兆円規模の資金を集め、脱炭素技術の開発・普及を推進する企業への投資支援を行います。

集められた資金は主に次の2つの用途にあてられます。

  • 1.研究開発支援
  • 2.製品の生産拡大・導入支援

詳しくは、内閣官房のGX実行会議ホームページをご覧ください。

再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱等の自然界に常に存在するエネルギーです。地球資源の一部なので、枯渇せず、どこにでも存在し、二酸化炭素を排出しない、あるいは排出量を減らせる等のメリットがあります。

例えば、火力発電による二酸化炭素の排出量は1kWhあたり約690gに対して、太陽光発電は発電量1kWhあたり約17~約48gです。

太陽光発電は二酸化炭素の排出量をほぼゼロにする発電方法で、地熱や風力に比べて研究が進み、日本の風土に適しているため、政府は所有する施設で太陽光発電の導入割合を増やしています。

企業でも導入を推奨しており、太陽光発電設備の導入では国や自治体が補助金を出すケースが多いです。

脱炭素のために企業ができる取り組み

脱炭素のために企業ができる取り組みは以下のとおりです。

  • ●再生可能エネルギーの導入
  • ●省エネ性能の高い機器の導入
  • ●従業員への意識改革と行動促進

特におすすめの取り組みは、再生可能エネルギーの導入です。再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出しない発電方法のため、脱炭素社会の実現に大いに役立ちます。

例えば、太陽光発電設備を導入して電力会社から購入する電力を減らす方法があります。太陽光発電の導入は、二酸化炭素排出量の削減につながるだけでなく、発電した電気を自家消費して電気料金の削減効果も期待できます。

その他、省エネ性能の高い設備や高効率の照明、空調設備を導入して電力使用量を減らす、従業員へ脱炭素に向けた取り組みを啓発し、省エネ活動や環境保護活動への参加を推奨する等の取り組みも検討しましょう。

太陽光発電を導入するメリット

脱炭素のために企業が再生可能エネルギーを導入するなら、太陽光発電がおすすめです。太陽光発電を導入すれば、次のメリットが得られます。

  • ●脱炭素のために二酸化炭素を排出しない
  • ●電気料金の削減が期待できる
  • ●非常時の電源を確保できる

上記を順番に解説します。

脱炭素のために二酸化炭素を排出しない

世界中で脱炭素化が進んでおり、企業も環境対策の強化が求められます。

太陽光発電は二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーのひとつで、クリーンな発電方法です。

そのため、太陽光発電を導入した企業は二酸化炭素の削減に貢献できます

また、太陽光発電を導入した企業は、脱炭素社会実現のための取り組みを実施していると内外にアピールが可能です。

アピールによって、投資家から評価され、新たなビジネスチャンスが生まれるケースもあるので、導入していない企業は検討しましょう。

電気料金の削減が期待できる

太陽光発電で発生した電力は、自家消費や蓄電、売電に利用できます。

利用方法 概要
自家消費 発電した電力を自社設備や自宅で消費する利用方法
蓄電 発電した電力を蓄電池に溜めておき、別のタイミングで消費する利用方法
売電 発電した電力を電力会社に売却する利用方法で、売電収入を得られる

電力の利用方法は異なりますが、結果的には電力会社から購入する電力使用量を減らせるため、太陽光発電を導入すると企業の電気料金の削減につながります

非常時の電源を確保できる

自社の敷地に太陽光発電があれば、災害で大規模な停電が起きても非常時の電源確保が可能です。

非常時の電源を確保できれば、次のトラブルを防げます。

  • ●工場の停止
  • ●オフィスのパソコンやサーバーの停止
  • ●エアコンや空調、照明の停止

太陽光発電があれば、工場やオフィスが停電しても稼働し続けるため、事業の再開がスムーズに進みます

また、太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、太陽光発電が発電できない時間帯でも給電が可能になるため、防災力を高めたい場合におすすめです。

太陽光発電と蓄電池についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

脱炭素のために太陽光発電を導入するデメリット

脱炭素のために太陽光発電を導入すると、企業は二酸化炭素の排出量を削減でき、電気料金の削減が期待できる等のメリットが得られます。

一方で、次のデメリットに注意しましょう。

  • ●初期費用やメンテナンス費用がかかる
  • ●大量に発電するためには一定の面積・適した設置場所が必要

初期費用やメンテナンス費用がかかる

資源エネルギー庁が公開している 「 太陽光発電について 」 によれば、産業用太陽光発電の設置費は発電量1kWあたり約26.5万円で、技術の進歩や需要の増加等によって、初期費用の減少傾向が見られます

しかし、価格自体は現在でも高額なため、まとまった規模の太陽光発電設備を設置する場合、ある程度の出費が必要です。

また、太陽光発電設備を自己所有していると、維持管理・メンテナンスの手間が発生するため、想定より支出が減らないケースもあるので注意しましょう。

大量に発電するためには一定の面積・適した設置場所が必要

太陽光発電は、他の再生可能エネルギーを用いた発電方法に比べると発電効率が悪く、天候による影響もあるため、安定した量を発電するためには大規模な設置スペースが必要です。

理想的な方向は南向きで、傾斜角30度で設置すれば効率よく発電できます。しかし、すべての企業が理想的な設置スペースを保有しているわけではありません。

最近は、さまざまな形状や発電効率の太陽光パネルが販売されており、東西向き等の設置方法もあるため、設置できるスペースで最大限の発電効率を目指せます。

ただし、最大限の発電効率を目指すためには、最適な機器の組み合わせや設計等を考える必要があり、太陽光発電に関する専門的な知識が必要です。

太陽光発電の発電効率についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

脱炭素のために太陽光発電を導入するなら関西電力の 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 がおすすめ

脱炭素のために太陽光発電を導入するなら関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 がおすすめ

脱炭素のために太陽光発電を導入する場合、初期費用やメンテナンス費用、設置場所等がデメリットとして挙げられます。これらのデメリットを解決したい場合は、PPAを検討しましょう。

PPAとは、エネルギーサービス事業者と契約を結んで太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。太陽光発電設備の所有権は事業者が保有するため、初期費用がかからず、維持管理・メンテナンスの追加費用が発生しません。

例えば、関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能なオンサイトPPA 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 を提供しています。

関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行い、発電した電気をお客さまが利用する仕組みです。太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※1

契約は原則として20年ほどで、月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、「 割引プラン 」 や、補助金の申請をサポートする 「 補助金サポート 」 等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案するため※2、節約も可能です。

また、オプションで余剰電力の売電が選べます。電力使用量が少なくなる時間帯や休日等で余った余剰電力を売電すると、電気料金のさらなる削減効果を得ることが可能です

ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電 「 コーポレートPPA 」 をご検討ください。

  • 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
  • 割引プランは、補助金との併用はできません。

自社にあった取り組みで脱炭素社会の実現に貢献しよう

脱炭素とは、二酸化炭素の排出をゼロにする取り組みや施策です。世界や政府は脱炭素社会実現のためにさまざまな取り組みを行っており、企業も脱炭素に関する取り組みを行うことが推奨されています

企業が脱炭素に取り組むなら太陽光発電の導入がおすすめです。太陽光発電は再生可能エネルギーのひとつで、二酸化炭素の削減量が多く、電気料金の節約につながる等のメリットを得られます。

ただし、太陽光発電設備を自己所有すると、初期費用やメンテナンス費用がかかってしまうため、企業が導入するならPPAを活用しましょう。

例えば、関西電力のオンサイトPPA 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 では、設置場所や必要な設備をコンサルティングし、幅広いラインナップからお客さまに最適な提案を行います。

また、導入から運用までを一貫してフォローし、月々の発電量に応じたサービス料金のみをいただく仕組みなので、電気料金の削減に役立つでしょう。

自社の敷地内に太陽光発電を導入するなら 「 太陽光発電オンサイトサービス 」 を、設置スペースを持たない場合は 「 コーポレートPPA 」 をご検討ください。

近藤 元博(こんどう もとひろ)

監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)

愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムならびに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。あわせて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクル等幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「 リサイクル技術開発本多賞 」 「 化学工学会技術賞 」 他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取り組み中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会委員他

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