蓄電池の容量の目安はどれくらい?決め方や注意点等をわかりやすく解説
2025.6.6
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目次
企業が太陽光発電とあわせて産業用蓄電池を設置する場合、蓄電池の容量(蓄電容量)を決めることが重要です。
容量が少ないと設置するメリットを発揮しきれず、多すぎると費用対効果が悪くなってしまいます。
この記事では、企業が産業用蓄電池を設置する場合の蓄電容量の目安や決め方、注意点等を解説します。導入を検討している場合はぜひ参考にしてください。
なお、以下の記事では、蓄電池の仕組みについて詳しく紹介しています。
関連記事 : 蓄電池の仕組みをわかりやすく解説!太陽光発電と併用するメリットや注意点も紹介
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蓄電池の容量の目安

蓄電池の容量(蓄電容量)は、1kWの機器を1時間稼働させることができる電力量を指し、「kWh(キロワットアワー)」で表されます。
家庭用蓄電池の場合は蓄電容量10kWh前後が主流ですが、産業用蓄電池では10kWhから500kWhを超えるタイプまで幅広く存在するため、工場や倉庫等の用途に応じて選びましょう。
なお、蓄電容量の目安は太陽光発電システムの出力に対して0.5~2倍が一般的で、夜間の電力需要が多い工場では1.0~2.0倍の容量が求められます。
事業所の規模や電力使用量等をふまえて、最適な容量を選択しましょう。
蓄電池の容量の決め方
企業の状況ごとに適した蓄電容量は、以下の方法で決めましょう。
- ●太陽光発電の余剰電力から算出する方法
- ●緊急時に必要な電力量から算出する方法
それぞれ解説します。
太陽光発電の余剰電力から算出する方法
太陽光発電は主に日中に発電を行いますが、発電量が事業所の電力使用量を上回ると余剰電力が生じます。
蓄電池を導入する目的が余剰電力の有効活用なら、まずは年間の発電量と電力使用量から年間余剰電力量を算出しましょう。
例えば、太陽光発電の年間発電量は、機器の性能や設置環境、天候等に影響を受けますが、設置容量1kWあたり年間約1,000kWhです※。
仮に、産業用太陽光発電として設置容量が100kWのシステムを設置した場合、年間発電量は10万kWhが目安になります。
年間発電量が10万kWhで、年間電力使用量が7万kWhであれば、余剰分の3万kWhを蓄電可能な蓄電池を選ぶと良いでしょう。
正確な発電量や電力使用量、蓄電容量を求めるには、実際の運用に即したシミュレーションを行う必要がありますが、余剰電力を有効活用したい場合は、太陽光発電の余剰電力から算出してください。
- ※太陽電池を水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例です。地域や太陽電池の方位、傾斜角度により年間発電量が変わります。
緊急時に必要な電力量から算出する方法
太陽光発電は日中しか発電できないため、夜間や災害時に電力を確保するには蓄電池の活用が不可欠です。
24時間稼働の工場や、停電時にも一定の業務を継続したい施設では、BCP(事業継続計画)対策として蓄電池が重要な役割を果たします。
そのため、蓄電池を設置する目的が緊急時の電力確保なら、「どの機器を何時間稼働させたいか」に基づき必要な電力量を算出し、蓄電容量を設定する方法が効果的です。
例えば、10kWの設備を3時間動かしたい場合、少なくとも30kWhの蓄電容量が必要です。
緊急時のシナリオを想定しながら蓄電容量を決定すれば、停電時でも安定した電力供給を確保できます。
BCPについては以下の記事で紹介しているため、詳細が気になる方はぜひあわせてご覧ください。
関連記事:災害時に役立つBCP(事業継続計画)とは?具体的な効果や策定のポイントを紹介
蓄電池の容量を決める際の注意点
前述したとおり、蓄電容量を決める方法は、余剰電力から算出する方法と、緊急時に必要な電力量から算出する方法の2種類があります。
一方、容量を決める際は以下のポイントに注意しましょう。
- ●定格容量ではなく実効容量を基準に選ぶ
- ●設置場所の条件を確認する
- ●法規制の対象や届け出・認可の必要性を確認する
定格容量ではなく実効容量を基準に選ぶ
蓄電容量を決める際は、「定格容量」 ではなく 「実効容量」 を基準にしましょう。
定格容量とは理論上蓄電できる最大量を指し、実効容量は実際に使用可能な電力量を指します。
一般的に、蓄電池は安全性や劣化防止の観点から満充電や完全放電を避けるよう制御されており、定格容量のすべてを使えるわけではありません。例えば、定格容量が30kWhでも、実際に使用できる実効容量が20kWhに制御されている場合があります。
そのため蓄電池を導入する際は、必要な電力量に応じて、実効容量を基準に製品を選びましょう。
設置場所の条件を確認する
産業用蓄電池は容量が大きくなるほど本体も大型化するため、設置には十分なスペースの確保が不可欠です。
蓄電池は稼働中に発熱するため、効率的に排熱を行えるよう通気性の良い場所が適しています。
また、UPS(無停電電源装置)やCVCF(定電圧定周波数装置)等の周辺機器を設置する場合や、極端に寒い環境下で使用する場合は、蓄電性能が低下するおそれがあります。
蓄電池を設置する際には、「広さ」「通気性」「適温」 の3つの条件を満たした設置場所を選定しましょう。
法規制の対象や届け出・認可の必要性を確認する
産業用蓄電池を導入する際は、消防法や建築基準法、電気事業法等の複数の法規制に対応する必要があります。
特に、出力や容量が大きい蓄電池は 「特定設備」 として扱われ、設置前に消防署への届け出や認可、電気主任技術者の選任等が必要です。
太陽光発電システムを併設する場合も法的義務が発生するため、導入企業によっては確認や準備の負担が大きくなります。
蓄電容量を決める際は、電力需要だけでなく、関連する法律や手続き等を確認しましょう。
蓄電池を導入するメリット
蓄電池を導入するメリットは以下のとおりです。
- ●災害時の備えになる
- ●ピークカットの効果が期待できる
- ●太陽光発電をより効果的に運用できる
産業用蓄電池を導入した場合、非常時のバックアップ電源として機能し、災害時の停電でも事業を継続できます。
また、電力使用が集中する時間帯の消費を蓄電池で補う「ピークカット」が実現できるため、電気基本料金を削減できる可能性があります。
さらに、日中に発電した余剰電力を蓄えておき夜間に利用すれば、再生可能エネルギーの自家消費率を高め、電力コストの削減や脱炭素経営の推進につながるでしょう。
複数のメリットが得られるため、蓄電池の設置は中小企業から大企業まで、規模にかかわらず有効な施策です。
蓄電池のメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:蓄電池の仕組みをわかりやすく解説! 太陽光発電と併用するメリットや注意点も紹介
蓄電池を導入するデメリット
蓄電池を導入するデメリットは以下のとおりです。
- ●初期費用・維持費がかかる
- ●一定の設置スペースが必要
- ●蓄電池には寿命がある
蓄電池は蓄電容量に比例して初期費用がかかり、設置後は保守点検のコストが継続的に発生します。
また、前述したとおり、蓄電容量が多いほど設置面積が広くなるため、通気性や安全性を考慮した設置スペースの確保が必要です。
さらに、蓄電池は使用年数に応じて劣化し、一定期間後には交換が求められます。
蓄電池を設置する際は、デメリットを理解したうえで長期的な運用計画を立てましょう。
蓄電池のデメリットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電と蓄電池を併用するメリット・デメリットは?補助金制度も紹介
蓄電池の容量に迷ったら関西電力の 「蓄電池オンサイトサービス」 を利用しよう
必要な蓄電池の容量(蓄電容量)は、余剰電力量や緊急時に必要な電力量から求められますが、正確に計算して適切な蓄電池を選ぶことは難しいでしょう。適切な蓄電容量がわからない場合は、蓄電池を提供する企業等に相談することも選択肢のひとつです。
例えば関西電力では、初期費用ゼロ※1で蓄電池を設置する「蓄電池オンサイトサービス」を提供しています。
お客さまの目的に応じて最適な機器をご提案し、設置後の運用やメンテナンスは関西電力が責任を持って行うサービスです。
また、蓄電池と合わせて太陽光発電の導入を検討する場合は、初期費用なしで太陽光発電設備を導入可能な関西電力のオンサイトPPA(Power Purchase Agreement) 「太陽光発電オンサイトサービス」がおすすめです。
関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行い、発電した電気をお客さまが利用するサービスで、契約期間は20年ほどです※2。
太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※3。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。
関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。
「割引プラン」 や、補助金の申請をサポートする「補助金サポート」等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※4。
ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電「コーポレートPPA」をご検討ください。
- 一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
- 途中解約には違約金が発生します。
- 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
- 割引プランは、補助金との併用はできません。
蓄電池の容量は自社に必要な電力量から求める

産業用蓄電池の容量は、一般的に太陽光発電システムの出力に対して0.5~2倍が目安です。
自社に最適な容量は、余剰電力量や稼働させたい機器の電力使用量等を具体的に設定し、逆算して求めましょう。
また、蓄電池の実効容量や設置スペース、必要な届け出や法規制の確認等、さまざまな視点から検討が必要です。
蓄電池は長期にわたり運用されるため、実際の運用状況をふまえた計画と慎重な製品選定が求められます。
関西電力では、「蓄電池オンサイトサービス」や「太陽光発電オンサイトサービス」等のサービスを提供しています。
また、設置場所が不要の太陽光発電「コーポレートPPA」もあるので、自社だけで蓄電池や太陽光発電システムの設置が難しいと考えている企業はご検討ください。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。


監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
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