空調管理システムとは?役割と設備の種類や省エネ対策も紹介
2025.1.23
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目次
オフィスビルの電力使用量のうち、空調設備はおおよそ半分を占めるとされています。その管理を効率的に行うことは、企業の経営課題として重要性を増しています。
空調管理システムは、単なる温度調節だけでなく、湿度管理や空気清浄、気流制御等、複数の環境要素を総合的にコントロールします。適切な管理により、従業員の健康維持や作業効率の向上、さらにはコスト削減まで実現できるでしょう。
この記事では、空調管理システムの基本的な役割から、具体的な省エネ対策までご紹介します。快適なオフィス環境の実現とコスト削減の両立に向けて、できることから始めましょう。
空調管理システムとは
空調管理システムは、オフィス環境の快適性と生産性を左右する重要な設備です。単なる温度調節だけでなく、複数の環境要素を総合的にコントロールすることで、理想的な室内環境を実現します。
空調管理システムが制御する4つの要素
制御要素 | 管理内容 | 目的 |
---|---|---|
温度管理 | ●室温の自動調整 ●季節に応じた温度設定 ●エリアごとの温度制御 |
●快適な室温維持 ●省エネ運転 ●作業効率向上 |
湿度管理 | ●適切な湿度維持 ●結露防止 ●乾燥対策 |
●快適性向上 ●設備保護 ●健康管理 |
空気清浄 | ●換気制御 ●空気の循環 |
●空気質改善 ●感染症対策 ●作業環境改善 |
気流制御 | ●風向き調整 ●風量管理 |
●温度ムラの解消 ●効率的な空調 |
適切な空調管理は、オフィスで働く人々の快適性を確保するだけでなく、業務効率の向上にも直結します。
建築物環境衛生管理基準で定められた温度と湿度
建築物環境衛生管理基準は、オフィス等の室内環境について、高い水準の快適性を実現するために定められた重要な指標です。建築物の維持管理に関する具体的な数値を示しており、特に温度と湿度については明確な基準値が設定されています。
管理基準の主な内容
項目 | 基準値 |
---|---|
温度 | (1)18以上28℃以下 (2)居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。 |
相対湿度 | 40%以上70%以下 |
上記の基準は、特定建築物の管理者に対して法的な遵守義務があり、それ以外の建築物でも努力義務として適用されます。基準値を外れ、健康被害のおそれがある場合は、行政による改善命令の対象となる可能性があります。
快適な室内環境の実現と、利用者の健康維持のため、基準値を目安とした適切な空調管理が求められます。
空調管理システムの役割・効果
空調管理システムは、オフィス環境の快適性と生産性を両立させる重要なインフラです。
従来の手動による温度管理では、ムラや無駄が生じやすく、従業員の健康や作業効率に影響を与える懸念もあります。最新の空調管理システムは、AIや自動制御技術を活用することで、快適性の向上とコスト削減を同時に実現します。
以下では、具体的な効果と導入メリットについて解説します。
- ●働く人の健康を維持する
- ●作業効率や生産性を向上させる
- ●コスト削減が期待できる
働く人の健康を維持する
温度や湿度を適切に保つことで、ウイルスや細菌の繁殖を抑制し、感染リスクを低減させる効果が期待できます。
特に温湿度を一定に保つことで、喉の乾燥や体調不良を防ぎ、快適な作業環境を実現できます。また、空気の循環を適切に保つことで、空気質の改善にも貢献し、長時間のデスクワーク等による健康への悪影響を軽減します。
作業効率や生産性を向上させる
空調管理システムによる適切な温湿度管理は、従業員の作業効率に直接的な影響を与えます。なかには、室温が25℃から26℃に1℃上昇すると、作業効率が約2%低下することとの研究結果もあります※。
これは、温度変化がストレスとなり、集中力や判断力に影響を与える可能性があるためです。
個人差はありますが一般的に適切とされる温度(22~25℃)に維持することで、集中力の向上、ストレスや疲労感の軽減が期待でき、結果として生産性の向上につながります。
コスト削減が期待できる
最新の空調管理システムは、コスト削減と快適性の両立を実現する機能を備えているものも多くあります。
既存の空調設備を活かしながら省エネを実現でき、室外機に後付けで制御装置を設置するだけで、無駄な運転を自動的に抑制可能です。この場合、大規模な工事や設備の入れ替えが不要なため、初期投資を抑えられます。
また、空調出力を最適化する機能があり、室内環境に応じて自動で出力を調整するため、従来のような手動での細かな温度調節が不要になります。これにより、手間を省き無駄な電力使用を防ぎます。
温度センサーで室内環境を常時監視し、必要最小限の運転で快適な環境を維持するため、電気料金の削減と快適な室内環境の両立が可能になります。
空調管理システムの種類は?
空調管理システムは、建物の用途や規模によって最適な方式が異なります。以下では主な分類と特徴を紹介します。
空調設備の基本分類
分類基準 | 種類 | 主な特徴 |
---|---|---|
空調方式 | セントラル方式 | ●一括管理で効率的 ●大規模施設向け |
個別方式 | ●柔軟な温度管理 ●中小規模向け |
|
目的別 | 保健用空調 | ●オフィス等の快適性維持 ●人の健康管理が目的 |
産業用空調 | ●工場や倉庫向け ●品質管理が目的 |
|
流体別 | 全空気方式 | ●換気と温度管理を同時実現 ●大空間向け |
冷媒方式 | ●一般的なエアコン ●設置が容易 |
|
全水方式 | ●スペース効率が良い ●水漏れリスクあり |
|
空気・水併用方式 | ●柔軟な温度管理 ●省スペース化可能 |
それぞれの特徴を理解し、建物の用途や規模に応じて適切なシステムを選択することが、効率的な空調管理の第一歩となります。
空調管理システム・空調設備について、詳しくは以下の記事で紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
関連記事:空調設備とは?種類と仕組みや選び方について詳しく解説!
環境に適した空調管理システムの選び方
空調管理システムの選択は、オフィスの快適性とコストに大きく影響します。最適なシステムを選ぶ際は、以下の5つのポイントから総合的に判断しましょう。
空調管理システムの選び方のポイント
検討項目 | 確認ポイント | 補足事項 |
---|---|---|
施設規模との適合性 | ●大規模:セントラル空調 ●小規模:個別空調 |
●フロア面積 ●利用人数 |
エネルギー効率 | ●デマンド制御機能 ●IoT技術の活用度 |
●電力使用量の見える化 ●自動最適化機能 |
快適性能 | ●温湿度の自動制御 | ●センサー性能 ●制御の細かさ |
メンテナンス体制 | ●定期点検の頻度 ●サポート内容 |
●法定点検の有無 ●緊急対応の可否 |
コスト比較 | ●初期投資 ●ランニングコスト |
●償却期間 ●保守費用 |
上記のポイントを考慮し、自社の環境と予算に合うシステムを選択することで、効率的な空調管理が実現できます。
空調設備の省エネ対策とコスト削減方法
空調設備の適切な省エネ対策を実施することで、快適性を損なうことなくコスト削減が可能です。
ここでは、すぐに実践できる具体的な対策から、システム導入による本格的な省エネ方法まで、段階的な取り組み方をご紹介します。
温度設定の最適化
適切な温度設定は、最も基本的かつ効果的な省エネ対策です。環境省推奨の室温(夏期28℃、冬期20℃)を基準に、以下の方法で効率的な運用が可能です。
温度管理の方法
対策 | 実施方法 | 期待効果 |
---|---|---|
温度設定の調整 | ●1℃の緩和で約10%省エネ ●季節に応じた調整 |
●電力消費削減 ●コスト削減 |
温度ムラの解消 | ●エアコンの風向きの最適化 ●サーキュレーターの活用 ●断熱材の追加 |
●空調効率向上 ●快適性向上 |
自動制御の導入 | ●システムによる自動管理 ●AIによる最適化 |
●管理工数削減 ●効率的な運用 |
フィルターや熱交換器の定期清掃
空調設備の性能を最大限に発揮させるには、定期的なメンテナンスが不可欠です。特にフィルターと熱交換器の清掃は節電効果が期待できます。
清掃頻度
- ●フィルター:2週間ごと
- ●熱交換器:数年ごと(専門業者に依頼)
定期的な清掃により、空調効率の低下を防ぎ、無駄な電力消費を抑制できます。
稼働時間の最適化
空調の稼働時間を見直すことで、省エネ効果が得られます。特に以下の点に注目して管理することが重要です。
- ●始業前の準備運転時間の適正化
- ●残熱を活用した終業前30分の停止
- ●休憩時間や不在時の出力調整
- ●季節や天候に応じた運転時間の調整
上記の対策をシステム化することで、より効率的な運用が可能になります。手動での管理は手間がかかるため、自動制御システムの導入も検討してみましょう。
関西電力の空調制御システム「おまかSave-Air®」で効率的な空調管理を
建物の電力消費量のうち、空調設備が約49%を占めるというデータがあります※1。この数字が示すように、空調の最適化は大きな省エネ効果が期待できる分野です。
手動での空調管理は時間と手間がかかり、人為的なミスも起こりやすいため、注目したいのが、関西電力が提供する空調制御システム「おまかSave-Air®」です。
「おまかSave-Air®」は、全国で利用可能(沖縄・離島を除く)で、次のような特徴があります。
関西電力の「おまかSave-Air®」の特徴
- ●初期費用ゼロ・安価な月額料金でサービスの導入が可能
- ●電力使用量と最大電力を抑制することで電気料金を10〜20%削減※2
- ●工事にかかる期間は2〜3日程度、既存の室外機に後付けするのみで改修工事も不要※3
- ●ダイキン工業・日立・三菱等の国内主要空調メーカーに対応しており※4、メーカー保証も継続
- ●最短数ヶ月〜半年前後で調査・提案・導入とスピーディな対応が可能※5
また、誰でも・どこからでも使いやすい設定画面も「おまかSave-Air®」の魅力です。「10秒シミュレーション」で概算の電気料金削減額をご確認のうえ、ぜひお申込みをご検討ください。
- 出典:経済産業省 資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)」
- 一定条件に基づく効果であり、削減を保証するものではありません。
- 設置状況等により一部室内工事が発生する可能性があります。
- 一部対象外の機器があります。
- 初回契約は原則6年、初回契約終了後は1年毎の自動更新となります。また、お客さまのご都合で解約いただく場合には、解約金をいただきます。
空調管理システムの導入で快適性の維持・コスト削減を実現しよう
空調管理システムは、オフィス環境の快適性と生産性を左右する重要なインフラです。適切な温湿度管理により、従業員の健康維持や作業効率の向上が期待できます。
施設の規模に応じた適切なシステム選択も重要です。大規模施設には一括管理が可能なセントラル空調、中小規模施設には柔軟な温度管理ができる個別空調が適しています。
また、定期的なフィルター清掃や適切な温度設定により、10~20%程度のコスト削減も可能です。特に環境省推奨の室温(夏期28℃、冬期20℃)を基準にした運用や、2週間に1回のフィルター清掃は、効果的な省エネ対策となります。
さらに、最新の空調管理システムを導入することで、より効率的な運用を実現できるでしょう。
監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムならびに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。あわせて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクル等幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」 「化学工学会技術賞」 他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取り組み中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
サービス概要資料
おまかSave-Air®
エネルギーコスト削減、脱炭素に向けた取り組みのために、まず始めるべきは 「空調の省エネ」 です。現在お使いの空調機に制御用コンピューターを取り付けるだけで、省エネと快適性の両立ができる全く新しいサービスです。
資料の一部をご紹介
- これまでの空調省エネの課題
- おまかSave-Air®の概要
- 導入効果
- サービス料金
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