工場の省エネ対策・法規制とは? CO₂削減の取り組み事例やアイデアも紹介

2025.1.9

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工場の省エネ対策・法規制とは? CO₂削減の取り組み事例やアイデアも紹介

工場を保有している事業者は、一定の要件に該当する場合、省エネ法によって省エネに取り組む義務が課せられます。なかには、「どのように取り組むべきなのだろうか」 とお悩みの方もいるでしょう。

この記事では、工場の省エネに関する法規制や、CO₂を削減するための具体的な活動事例・アイデアを紹介します。工場で省エネに取り組んでいる方や、これから取り組む予定の方は、ぜひ参考にしてください。

工場の省エネ対策とは

工場等を保有する事業者は、一定の要件に該当する場合、省エネ法によって省エネ対策の実施が義務付けられます(要件・規制内容は後述)。

省エネ法が直接規制する領域・分野は、工場・事業場・運輸の3つです。一定規模以上の場合は、エネルギーの使用状況等を報告しなければいけません。省エネへの取り組みが不充分な場合は、指導・助言を受けたり、合理化計画の作成を指示されたりする可能性があります。

  • ※正式名称:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律。

工場の省エネ法規制の内容

以下に示す要件を満たす場合、省エネに関する義務が課され、指導・助言・立入検査が実施されたり、合理化計画の作成が指示されたりする場合があります。対応しない企業は、企業名の公表や、命令を受けるおそれがあるため、ご注意ください。

省エネに関する義務が課される企業

  • ●事業者全体の年間エネルギー使用量(原油換算値)が1,500キロリットル以上
  • ●特定事業者や特定連鎖化事業者に指定された事業者、または、認定管理統括事業者(管理関係事業者を含む)に認定された事業者

課される義務の具体的な内容を、以下に示します。

課される義務の具体的な内容

  • ●エネルギー管理統括者およびエネルギー管理企画推進者の選任
  • ●エネルギー使用状況届出書(指定時のみ)の提出
  • ●エネルギー管理統括者等の選解任届出書(選解任時のみ)の提出
  • ●定期報告書(毎年度)および中長期計画書(原則毎年度)の提出
  • ●管理標準の設定、省エネ措置の実施等

また、中長期的に年平均1%以上のエネルギー消費原単位または電気需要平準化評価原単位の低減を目標として、省エネに取り組まなければいけません。より詳しい内容を知りたい場合は、資源エネルギー庁の 「省エネポータルサイト」 をご覧ください。

工場の省エネを実現する具体的な活動事例・アイデア

「工場の省エネを実現するためのアイデアが思い浮かばない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。そこで、以下に示す5社の取り組みを紹介します(いずれも2023年度の「省エネ大賞」を受賞)。

工場の省エネに取り組んでいる企業の例(順不同)

  • ●トヨタ車体株式会社さま
  • ●マツダ株式会社さま
  • ●株式会社 デンソーさま
  • ●株式会社 ジェイテクトさま
  • ●三菱重工サーマルシステムズ株式会社さま

各社の事例を参考にして、自社工場の省エネに取り組みましょう。

トヨタ車体株式会社さまの事例

トヨタ車体株式会社さまでは、自動車バンパーの塗装工程に関して、以下に示す革新技術・取り組みによって大幅な省エネ・省電力を達成しています。

トヨタ車体株式会社さまの取り組み

  • ●空調範囲を削減するため、搬送部から塗装部を分離
  • ●分割した塗装部および搬送部の空調空気を多段リサイクル化
  • ●サイクロン式ミスト捕集装置の開発による塗装部のドライ化

従来はバンパーの塗装品質を確保するために必要な室温・湿度を制御する目的で、多くの空調エネルギーが必要でしたが、新プロセスを開発した結果、電力使用量が年間220万kWh削減されました

マツダ株式会社さまの事例

マツダ株式会社さまのコンロッド製品は、円柱状鋼材を所定の長さに切断後、高周波誘導装置によって1,250℃まで加熱し、鍛造プレスを実施しています。以前の製品歩留まりは56.3%でしたが、以下の取り組みによって材料歩留まりが57.8%に改善され、省エネにつながりました。

マツダ株式会社さまの取り組み

  • ●材料のバラツキやズレが発生する要因を分析し、原因を特定
  • ●クランプ開口部への離型剤・スケール侵入防止措置
  • ●段替え時のロボットティーチング方法を徹底的に見直し

生産を担うサークルメンバーが他部署と連携し、地道な維持管理および検討・改善を実施していることがマツダ株式会社の特長です。

株式会社 デンソーさまの事例

株式会社 デンソーさまは、築年数が古い工場の空調エネルギーに関し、省エネと工場環境改善(暑熱対策)の両立を達成しました。

株式会社 デンソーの取り組み

  • ●積極的な外気導入による工場換気改善
  • ●既存空調機を有効活用し、作業動線に冷風を搬送
  • ●工場環境を見える化する 「工場環境マップ」 を作成し、工場内環境マネージメントを実現

操業40年を超える古い工場で、熱源を有する生産設備が多く、夏場には35℃を超えるエリアが存在しましたが、上記取り組みにより、省エネと暑熱対策の両立を目指しました。その結果、5月~10月の工場内平均温度が4℃以上低減し、CO₂削減量は559t- CO₂(1.54%)、原油換算では年214kL/年(2.1%)の削減を達成しています。

株式会社 ジェイテクトさまの事例

株式会社 ジェイテクトさまは、自動車で用いられるドライブシャフトの一部にあたるCVJ(constant velocity joint)の鍛造素形材生産ラインが抱える課題を解決しました。

株式会社 ジェイテクトさまの取り組み

  • ●金型の熱軟化抑制による摩耗低減
  • ●素形材形状の維持が可能なパンチ設計の確立
  • ●パンチ温度制御による素形材カップ内精度の確保

従来は温間鍛造後に冷間サイジング工程を設けていましたが、寸法仕上げを行う冷間サイジング工程を温鍛工程に取り込み、冷間サイジング工程の廃止に成功します。その結果、CO₂削減量は547 t- CO₂(24.4%)され、原油換算では380kLの削減(24.5%)を達成しました。

三菱重工サーマルシステムズ株式会社さまの事例

三菱重工サーマルシステムズ株式会社さまは、工場熱源をヒートポンプ(HP)に転換し、工場の脱蒸気ボイラ化と省エネを達成しました。

三菱重工サーマルシステムズ株式会社さまの取り組み

  • ●古い設備の熱使用量を計測し、運転効率を最適化
  • ●表面処理の温度加工条件を変更

地道な取り組みを7年間継続し、着実にHP化を進めた結果、2022年に脱蒸気ボイラを達成します。なお、熱源使用設備単独では、原油換算で20%(28.6kL)の省エネ効果を得ました。

工場の省エネと競争力強化の関係

工場の省エネと競争力強化の関係

工場の省エネによる脱炭素化は、企業の競争力強化に欠かせません。今後、地球温暖化対策として、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる時代が到来します。

すでに世界では、サプライチェーン全体での削減に取り組む動きが主流です。自社による温室効果ガスの直接排出や間接排出だけでなく、調達・製造・物流・販売・廃棄等といった各段階の排出もあわせて 「サプライチェーン排出量」 と捉え、削減に努めなければいけません。

部品や原材料等を納品している立場の下請け企業も、省エネに取り組まなければ、サプライチェーンから排除され、競争力を失うおそれがあります

工場で省エネ対策を行うメリット

工場で省エネ対策を実施するメリットとして、以下の3つが挙げられます。「法律で義務とされているため、やむを得ない」という消極的な姿勢で省エネ対策を実施するのではなく、積極的・能動的に取り組みましょう。

工場で省エネ対策を実施するメリット

  • ●コスト低減が経営基盤の強化につながる
  • ●CO₂削減につながる
  • ●企業イメージの向上・ブランディングに役立つ

それぞれ詳しく説明します。

コスト低減が経営基盤の強化につながる

省エネ対策を実施すれば、コストの低減につながります。コストを抑制できれば、その分、利益が増え、経営基盤が強化されるでしょう。「法律の遵守」や「環境負荷の低減」 といった観点だけではなく、「自社の利益」という観点からも積極的に取り組むべきです。

なお、省エネ設備を導入する場合、一定の費用がかかりますが、補助金等の支援制度を活用して負担を軽減することもご検討ください。

CO₂削減につながる

個々の企業が工場の省エネに取り組めば、温室効果ガス(CO₂等)の排出量が削減され、人類全体が 「地球温暖化の進行防止」 というメリットを享受できます。

工場では大量の電気や燃料が使用されますが、製造プロセスの工夫・改善等によって消費エネルギー量が減少すれば、その分、CO₂の削減につながるでしょう。

企業イメージの向上・ブランディングに役立つ

省エネへの取り組みが優良な事業者は、事業者クラス分け評価制度により、経済産業省公式サイトで公表されるため、企業イメージの向上を期待できます

自社の公式サイトやパンフレット等でも、省エネに取り組んでいる(その結果、二酸化炭素排出量が抑制されている)ことをアピールしましょう。近年、「グリーンコンシューマー」 と呼ばれる環境志向の消費者が一定数存在するため、売上増につながります。

工場で省エネ対策を行う際の注意点

工場で省エネ対策を実施する際は、以下の点に注意しましょう。

工場で省エネ対策を実施する際の注意点

  • ●省エネの手法によってはノウハウを有する人材の確保が必要
  • ●技術開発や設備投資等にある程度のコストがかかる場合がある

それぞれ詳しく説明します。

省エネの手法によってはノウハウを有する人材の確保が必要

省エネの手法によっては、ノウハウを有する人材を外部から確保するか、内部の人材に教育・研修を実施し、ノウハウを習得させなければいけない場合があります。

人手不足が深刻化する昨今、内部の人材を省エネに関する業務に配置転換させられないケースもあるでしょう。その場合は、「設置するだけで自動的に省エネが実現される機器・システム」 を導入して、マンパワー不足を克服することもご検討ください。

技術開発や設備投資等にある程度のコストがかかる場合がある

「不在の場合は消灯する」 という対策であれば、コストがかかりません。しかし、上述した 「省エネ大賞」 を受賞した事例のように新規技術の開発を伴う場合や、省エネ設備の導入・更新を実施する場合は、一定のコストがかかります。予算に余裕がない場合は、補助金等の支援制度を活用して負担を軽減することも選択肢のひとつです。

なお、ある程度の初期費用がかかっても、長期的には経費削減につながる場合があります。シミュレーションを実施し、長期的な視点で対応を検討しましょう。

工場の省エネを実現するなら関西電力の「おまかSave-Air®」がおすすめ

工場の省エネに取り組む場合は、エネルギーの消費量が多い空調から開始しましょう。空調設備は施設全体の電力使用量に占める割合が大きく、建物や店舗のエネルギー使用量の約40〜50%を占めているため※1、空調の節電や省エネは重要なポイントです。

空調の省エネには、関西電力の「おまかSave-Air®」がおすすめです。制御用コンピューターで空調の室外機を自動制御し、快適性を維持しながら省エネを実現できます。主な特徴は以下のとおりです。

関西電力の「おまかSave-Air®」の特徴

  • ●初期費用ゼロ・安価な月額料金でサービスの導入が可能
  • ●電力使用量と最大電力を抑えることで電気料金を10〜20%削減※2
  • ●工事にかかる期間は2〜3日程度、既存の室外機に後付けするのみで改修工事も不要※3
  • ●ダイキン工業・日立・三菱電機等の国内主要空調メーカーに対応しており※4、メーカー保証も継続
  • ●最短数ヶ月〜半年前後で調査・提案・導入とスピーディな対応が可能※5

サービス料金の安さや工事の手軽さ、電気料金の削減効果等、空調の省エネを検討中の企業にとって大きなメリットがあるサービスです。10秒シミュレーションで概算の電気料金削減額をご確認のうえ、ぜひお申込みをご検討ください。

コスト・CO₂削減のためにも工場の省エネに取り組もう

工場等を保有する事業者で一定の要件に該当する場合は、省エネ法によって省エネ対策の実施が義務化されています。

省エネを目指す方法はさまざまですが、コスト抑制 や イメージ向上等、実施する企業にとってもメリットがあるため、積極的に取り組みましょう。省エネによりCO₂の排出量が削減できれば、環境負荷の軽減にもつながります。

工場の省エネに取り組むのであれば、エネルギー使用量が多い空調から開始することをおすすめします。関西電力の「おまかSave-Air®」を活用すれば、快適性を維持しながら省エネを実現できます。

大岩 俊之(おおいわ としゆき)

監修者 大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。

サービス概要資料

おまかSave-Air®

エネルギーコスト削減、脱炭素に向けた取り組みのために、まず始めるべきは 「空調の省エネ」 です。現在お使いの空調機に制御用コンピューターを取り付けるだけで、省エネと快適性の両立ができる全く新しいサービスです。

資料の一部をご紹介

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