高圧電力とは?低圧電力や特別高圧電力との違い、契約の注意点を解説

2025.1.9

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高圧電力とは?低圧電力や特別高圧電力との違い、契約の注意点を解説

高圧電力は、契約電力に応じて多くの電力の供給を受けられるため、中小規模のオフィスビルや工場、学校等の施設で利用されています。

ただし、受変電設備の設置や管理が必要となる等、いくつかの注意点もあります。高圧電力を契約する際は、一般に利用されている低圧電力との違い、メリットやデメリットの把握が大切です。

この記事では、高圧電力の概要、低圧電力や特別高圧電力との違いを解説します。契約の注意点やメリット・デメリットも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

高圧電力とは

高圧電力とは、電気設備に関する技術基準を定める省令により、交流の場合は600V超~7,000V以下、直流の場合は750V超~7,000V以下と定義される電圧の種別です

電力会社との契約では、一般的に標準電圧が6,000V、契約電力が50~2,000kW未満での範囲に相当することが多くなります。小規模の商業施設やオフィスビル、病院や官公庁舎、コンビニエンスストアやレストラン等で主に利用されている契約区分です。

高圧電力の料金メニューは、大きく500kW未満と500kW以上2つに分けられます。500kW未満は比較的電力使用量の少ない需要家向け、500kW以上は電力使用量が多い需要家向けのメニューです。

高圧電力と低圧電力・特別高圧電力の違い

高圧電力と低圧電力・特別高圧電力は、供給される標準電圧や契約電力、必要となる設備が異なります。それぞれの違いを、4つの視点から解説します。

高圧電力と低圧電力・特別高圧電力の比較項目

  • ●電圧と契約電力、主な利用場所
  • ●受変電設備
  • ●電気料金
  • ●契約電力の決定方法

特別高圧電力について、詳しくは以下の記事でも紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

電圧と契約電力、主な利用場所

高圧電力と低圧電力・特別高圧電力の電圧や契約電力、主な利用場所の違いは次のとおりです。

区分 電圧 契約電力 主な利用場所
低圧
  • ●750V以下(直流)
  • ●600V以下(交流)
50kW未満 一般家庭や集合住宅等
高圧
  • ●750V超~7,000V以下(直流)
  • ●600V超~7,000V以下(交流)
  • ●50kW以上~500kW未満
  • ●500kW以上~2,000kW未満
中小規模のオフィスビルや商業施設等
特別高圧 7,000V超 2,000kW以上 大規模の工場や商業施設等

低圧電力は、一般家庭や集合住宅、個人経営の飲食店や事務所等で広く一般的に利用されている契約区分です。一方、高圧電力は50kWから2,000kWまで幅広く契約電力の範囲が設定されており、消費電力が多い中小規模の施設が主な対象です

消費電力がさらに多い大規模施設では、特別高圧電力が利用される場合があります。具体的には、大規模な工場やオフィスビル、テーマパークや遊園地等のレジャー施設、空港等です。

受変電設備

高圧電力は、敷地内に受変電設備(キュービクル)の設置が必要です。

6,600Vの高圧電圧では、直接電気機器に使用できませんそのため、受変電設備で100Vまたは200Vに変圧し、敷地内の各施設で利用できるようにします

受変電設備は箱型の形状をしており、一般にキュービクルと呼ばれています。点検時には、建物内外の電気を遮断する役割も担う設備です。

特別高圧電力は、高圧電力と同様に、敷地内に受変電設備を設置します。

なお、低圧電力は、敷地内に受変電設備を設置する必要がありません。低圧電力では、電柱に設置された柱上変圧器で100V(電灯)または200V(動力)に変圧された電気を受電します。

電気料金

電気料金の内訳は、大きく基本料金と電力量料金に分けられます。基本料金は契約電力に応じて決まるため、低圧電力、高圧電力、特別高圧電力ともに契約電力が大きくなるほど基本料金が上がる仕組みです。

電力量料金は、電力量料金単価を電力使用量に乗じて計算します。高圧電力は、低圧電力と比較すると電力量料金単価が抑えられる傾向があります。理由は、受変電設備にかかる費用を需要家側が負担するためです。

したがって、電力使用量が多い施設では、受変電設備にかかる費用を差し引いても、高圧電力で契約したほうが電気料金を削減できる場合があります

  • ※その他、燃料費調整額や市場価格調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金等を考慮して最終的な電気料金が算出されます。

契約電力の決定方法

契約電力の決定方法は、大きく実量制と協議制に分かれます。

実量制とは、契約電力を過去1年間(その月と前11ヶ月)の最大需要電力(デマンド値)に基づいて決定する方法です。高圧500kW未満では、通常、実量制が採用されています。

協議制は、電力会社との協議によって契約電力を決定する方法です。多くの500kW以上~2,000kW未満の高圧電力や特別高圧電力では、協議制が採用されています。

なお、低圧電力の契約電力は、契約負荷設備による方法または契約主開閉器による方法等で決定されます。

高圧電力を契約する際の注意点

高圧電力を契約する際の注意点

高圧電力を契約すると、電気料金の節約につながる場合があります。ただし、低圧電力で契約していた時とは異なる点もあるため、注意しましょう。主な注意点は以下のとおりです。

高圧電力を契約する際の注意点

  • ●実量制は過去1年間の最大需要電力を基準にする
  • ●受変電設備の管理が求められる
  • ●契約期間を確認する

実量制は過去1年間の最大需要電力を基準にする

高圧電力の契約電力を実量制で決定する場合、過去1年間(その月と前11ヶ月)の最大需要電力に基づいて契約電力が決定されます。

最大需要電力は、計量器で計量された需要電力の30分単位の平均値(平均電力)です。日々の需要電力のうち最も大きい数値がその月の最大需要電力となり、過去1年間のうち最も大きい数値がそれぞれの月の契約電力になります

例えば、最大需要電力が90kWの月があったとしても、期間内で110kWの最大需要電力の月があれば、契約電力は110kWに設定されます。そのため、電気料金を節約したい場合は、最大需要電力を効果的に抑制する工夫が必要です。

  • ※30分間とは、毎時ごとの0分~30分、30分~60分の30分間です。

受変電設備の管理が求められる

高圧電力で必要な受変電設備は、電気事業法の自家用電気工作物のひとつです。自家用電気工作物を設置した場合には、次の3つの義務が課されます。

自家用電気工作物を設置した時の義務

  • ●経済産業省令で定める技術基準への適合維持
  • ●保安規程の制定、届出、遵守
  • ●主任技術者の選任、届出

高圧電力は、受変電設備の設置だけでなく、適切な方法で管理・運用する点に注意が必要です

契約期間を確認する

高圧電力には、電力会社により、契約期間が定められています。詳しい内容は電力会社や契約で異なりますが、需給契約が成立した日から料金適用開始の日が属する年度の末日までが一般的です。

例えば、2024年6月1日に需給契約が成立した場合、上記の定めに従うと、2025年3月31日までが契約期間です。

契約期間途中の解約は違約金が発生する場合もあるため、注意が必要です。中途解約について知りたい時は、事前に電力会社の担当者に相談するか、重要事項説明書の内容を確認しましょう。

高圧電力を活用するメリットとデメリット

契約電力が大きい高圧電力の活用は、電力使用量の多い需要家にいくつかのメリットをもたらします。一方、デメリットとなる点もあるため、双方の比較・検討が大切です。

高圧電力のメリット

高圧電力は低圧電力と比較すると電力量料金単価が低いことから、電力使用量の多いオフィスビルや店舗、工場等では、電気料金を削減できる可能性があります。

高圧電力のデメリット

高圧電力は、受変電設備の設置等の初期費用がかかる点がデメリットです。設置後も保守コストがかかるため、電力量料金単価の低減による電気料金削減と初期費用やランニングコストを比較・検討する必要があります

高圧電力の電気料金削減には「おまかSave-Air®」がおすすめ

電力の使用用途によって違いはありますが、オフィスや店舗の電力使用量の40~50%※1は空調が占めています。電力使用量や電気料金の削減には、関西電力の「おまかSave-Air®」がおすすめです。

関西電力の「おまかSave-Air®」は、空調の室外機に制御用コンピューターを取り付け、自動で空調設備の稼働を制御します。オリジナル制御ロジックにより、消費電力に応じてデマンド値を抑制するため、電気料金の削減につながります。

室外機の運転台数を制御して最も効率の良い負荷率帯をキープするため、快適性を維持しながら、空調の省エネ性を実現する点も特徴です。その他、関西電力の 「おまかSave-Air®」 には以下のメリットがあります。

関西電力の「おまかSave-Air®」のメリット

  • ●初期費用ゼロ・安価な月額料金でサービスの導入が可能
  • ●電力使用量と最大電力を抑制することで電気料金を10〜20%削減※2
  • ●工事にかかる期間は2〜3日程度、既存の室外機に後付けするのみで改修工事も不要※3
  • ●ダイキン工業・日立・三菱電機等の国内主要空調メーカーに対応しており※4、メーカー保証も継続
  • ●最短数ヶ月〜半年前後で調査・提案・導入とスピーディな対応が可能※5

関西電力の「おまかSave-Air®」は初期費用がかかりません。大きな改修が不要であり、比較的短期間の工事で利用可能です。電気料金削減額は、関西電力公式サイトの10秒シミュレーションで試算可能です。

高圧電力利用時は受変電設備の設置が必要

高圧電力は、標準電圧6,000Vで供給される電力です。電力使用量が比較的多い中小規模のビルや工場が対象であり、敷地内に受変電設備の設置が求められます。

高圧電力は、電力量料金単価が低圧電力と比較すると抑えられる傾向にある一方、受変電設備の設置コストやランニングコストが必要です。導入する際は、電力量料金単価の低減による電気料金の削減と受変電設備等のコストを比較・検討しましょう。

建物や店舗の電力使用量は、業種・業態で異なりますが、40~50%を空調設備が占めています。

関西電力の「おまかSave-Air®」は、省エネと快適性を両立したサービスです。省エネや電気料金の削減を検討するお客さまは、ぜひ関西電力の「おまかSave-Air®」をご検討ください。

大岩 俊之(おおいわ としゆき)

監修者 大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。

サービス概要資料

おまかSave-Air®

エネルギーコスト削減、脱炭素に向けた取り組みのために、まず始めるべきは 「空調の省エネ」 です。現在お使いの空調機に制御用コンピューターを取り付けるだけで、省エネと快適性の両立ができる全く新しいサービスです。

資料の一部をご紹介

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  • おまかSave-Air®の概要
  • 導入効果
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