キュービクル式高圧受電設備とは?導入メリット・注意点や費用相場を紹介

2025.4.23

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キュービクル式高圧受電設備とは?導入メリット・注意点や費用相場を紹介

キュービクルは大きな電力を必要とする施設に欠かせない電気設備です。高圧受電契約の際はキュービクルの設置が必要であり、関連する法令により設置基準が定められています。

この記事では、キュービクルの概要や役割、種類による違い、導入のメリットや注意点を紹介します。キュービクルの導入を検討している方は参考にしてください。

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キュービクルとは?

キュービクル(Cubicle)とは、高圧受電設備を収めた金属製の箱のことです。高圧受電設備の一種で 「キュービクル式高圧受電設備」 とも呼ばれます。

主に50kW以上の大きな電力容量が必要な施設(商業施設、工場、大型マンション等)で使用されます。発電所から変電所を通して送られてくる高圧電力を、低圧電力に変圧する受電設備を収納している、小規模な変電所のような設備です。

JIS(日本産業規格)にも、性能や動作等に関する標準が規定されています。なお、電気事業法では、キュービクルは「自家用電気工作物」のひとつに分類されています。

キュービクルの必要性と役割

キュービクルの主な役割は、高圧電力を低圧電力に変圧し、施設内で安全かつ効率的に電力を供給することです。高圧受電契約を結ぶ大規模な工場や商業施設、マンションでは、受電した高圧電力をそのまま使用できないため、低圧電力に変換する設備が必要になります。その設備のひとつがキュービクルです。

電気を使用する契約者は 「需要家」 と呼ばれ、それぞれの違いは以下です。

項目 高圧需要家 低圧需要家
電圧 6,600V 100Vや200V
契約電力 50kW以上2,000kW未満 50kW未満
主な対象 大規模な工場や商業施設、病院、小学校、マンション等 一般家庭、小規模な商店、飲食店、事務所等
高圧受電設備 必要 不要

高圧需要家は、電力会社から供給される高圧電力(6,600V)を受電し、施設内の高圧受電設備で利用可能な低圧電力(100Vや200V)に変圧して使用する契約形態です。

キュービクル等の設備の導入コストは高くなりますが、電気料金単価は低圧受電に比べて安く、長期的には経済的な傾向にあります。

一方、低圧需要家は電力会社から供給される低圧電力(100Vや200V)をそのまま利用する契約形態です。低圧受電は、主に50kW未満の施設(家庭や小規模店舗)等、電力消費量の少ない場所で利用されます。

キュービクル等の受電設備が不要なため、導入コストが高くありません。ただし、電気料金単価は高圧受電に比べて高い傾向にあります。

なお、キュービクルの役割は変圧だけではありません。過電流や漏電等の異常を検知して、遮断器を使って電流を遮断し事故を未然に防ぐ役割もあります。変圧器や計器が内蔵されているため電力を管理・監視でき、施設内の電力供給を最適化する機能も備えています。

キュービクルの内部構成

キュービクルの外観は大きな金属製の箱ですが、内部には機器が一式収納されています。収納されている主な機器は以下のとおりです。

機器 概要
変圧器 高圧の電圧を100Vや200Vに変圧する
高圧進相コンデンサ 電力の無駄を減らして電圧を安定させ、電気設備の効率向上を行う
計量器・VCT 電力使用量を測定する
遮断機 過電流やショート等の異常が発生した際に電気回路を自動的に遮断し、設備を保護する

上記以外にも開閉器(スイッチ)や断路器(電源を回路から切り離すスイッチ)等が組み込まれています。

キュービクルの種類

キュービクルは推奨品、認定品、非認定品に分けられます。それぞれの違いは以下のとおりです。

機器 概要
推奨品 日本電気協会の定めた「推奨基準」を満たしていると審査・承認されたキュービクル
認定品 日本電気協会の「認定基準」に加え、消防庁告示第7号に準拠していると審査・承認されたキュービクル
非認定品 上記に該当しないキュービクル

推奨品と認定品のキュービクルは、JIS C 4620キュービクル式高圧受電設備をふまえた厳しい基準をクリアしている優秀な製品です。それぞれの審査に合格したキュービクルには、正面扉表面に 「推奨品」 や「認定品」 の銘板が取り付けられます。

推奨品のメリットは、波及事故および感電事故の防止を図れる点です。一方、認定品は消防庁告示第7号にも準拠しており、火災発生時に消防設備用電源を確保するための構造が備えられている点がメリットです。また、消防法令の設備等技術基準に適合しているものとみなされ、消防検査の簡素化も図れます。

なお、推奨品・認定品共通のメリットとして、一部の規定が緩和される点が挙げられます。具体的には、非認定品を屋外に設置する場合は建築物から3m以上距離を保つ必要がありますが、推奨品・認定品の場合は1m以上でよいとされます。

キュービクルの耐用年数

キュービクルの法定耐用年数は、国税庁の 「主な減価償却資産の耐用年数表」 を参照すると15年です。法定耐用年数は短めに設定される傾向にあり、実用耐用年数は15〜20年ほどとされています。

公表されている耐用年数は目安のため、長く使用するにはメンテナンスや点検が欠かせません。

キュービクルの設置基準(離隔距離)や導入に必要な届出

キュービクルは高圧受電設備のため、「高圧危険」 や 「関係者以外立ち入り禁止」 等の看板を設置する他、フェンスの設置や保有距離の確保が必要です。

また、設置場所や種類に応じて火災予防条例をはじめとするさまざまな基準や法令が存在します。設置する前に届出が必要なため、忘れないよう注意しましょう。

キュービクルに関する保有距離の基準一例は以下のとおりです。

保有距離を確保する部分 保有距離(m)
点検を行う面 0.6以上
操作を行う面 肩幅+保安上有効な距離以上
(扉幅が1m未満の場合は1mとする)
溶接等の構造で換気口がある面 0.2以上
溶接等の構造で換気口がない面 -

屋外に設置するキュービクル式受電設備は、建築物から3m以上の距離を保つ必要があります。ただし、前述のとおり推奨品や認定品はこの限りではありません。

また、金属箱の周囲の保有距離は、1m+保安上有効な距離以上が必要です。隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られており、当該建築物等の開口部に防火戸の消火設備が設けられている場合は上記の基準に沿って設置できます。

高圧受電設備に関する技術的な基準や運用管理の規程は「JEAC 8011-2014 高圧受電設備規程」に詳しく記載されています。

なお、キュービクルを設置する際には7日前までに管轄消防署に届出を行いましょう。原則、届出後は消防署の検査を受ける必要があります。また、設置者は維持や運用に関する監督を担う電気主任技術者を選任しなければなりません。そのため、設置の届出とあわせて電気主任技術者選任の届出も忘れずに行いましょう。

キュービクルを設置・導入するメリット

キュービクルを設置・導入するメリット

キュービクルを導入するメリットは以下のとおりです。

  • ● 電気料金の削減
  • ●安全性の向上と耐久性の高さ
  • ●メンテナンスが容易

それぞれ詳しく紹介します。

電気料金の削減

電気料金の削減はキュービクル導入による大きなメリットのひとつです。高圧受電設備を導入することにより、需要家は低圧受電に比べて単価が安く設定されている高圧電力を利用できます。

特に電力を多く使用する施設にとって、長期的なコスト削減につながるでしょう。設備自体も比較的小さいため、屋上や駐車場の一部に設置できます。新たに土地を確保する必要がない点もメリットです。

安全性の向上と耐久性の高さ

キュービクルは高圧電流を扱う設備のため、漏電防止機能や過電流保護装置が標準装備されています。異常が発生した際、即座に電力を遮断し火災や感電等のリスクを最小限に抑えられる点がメリットです。

また、防火性能にも優れており、内部で発生するおそれのある火花や熱による火災を防ぎます。高圧受変電設備を金属製の箱に収納しているため、風雨や直射日光、小動物からの干渉も受けにくく安全性に優れています。

さらに、耐久性や防水・防塵性能が高いため、屋外設置でも厳しい天候や環境条件から設備を守ることができます。長期にわたって安定した運用が可能です。

メンテナンスが容易

キュービクル自体はコンパクトな構造をしており、機器の配置も整理されています。内部にアクセスしやすく、定期的な点検や交換作業がスムーズに行える点もメリットのひとつです。

工場で完成されたものが現場に納品され、取付工事が行われるので、専門知識がなくても導入は難しくありません。

キュービクルを設置・導入する際の注意点

キュービクルを設置・導入する際の注意点は以下のとおりです。

  • ●収納できる機器の大きさに注意する
  • ●将来的な拡張性を考慮する
  • ●定期的に点検・メンテナンスを行う

それぞれ詳しく紹介します。

収納できる機器の大きさに注意する

キュービクルはコンパクトな反面、収納する機器の種類によって内部スペースが十分でない場合があるため、キュービクルを設置・導入する際には、収納できる機器の大きさを考慮する必要があります。

大型の機器や多機能な設備を導入する場合、機器のサイズを正確に把握し、設置予定のスペースに納まるか、事前に確認することが重要です。

例えば、一般的な大きさの場合、容量が1,000kVAを超える大型変圧器の収納は難しいので注意しましょう。

将来的な拡張性を考慮する

キュービクルの導入時には、将来的な拡張性を十分に考慮することも大切です。事業や施設の成長に伴って電力使用量や機器の数が増える可能性があるなら、余裕を持った内部設計を行いましょう。

将来的に設備の追加やアップグレードを行う場合でもスムーズに対応できるよう、設置スペースや電力容量に余裕を持たせておくことが大切です。

定期的に点検・メンテナンスを行う

キュービクルを長期的に安全に運用するためには、定期的な点検とメンテナンスを行いましょう。高圧電力を取り扱う設備であるため、事故や故障を防ぐための定期的な点検作業は必要です。点検の義務は電気事業法第42条に規定されています。

また、電気事業法第43条には 「維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない」 と規定されています。主任技術者の選任に加えて、主務大臣に届出も必要です。選任を怠ると罰則の対象にもなるので注意しましょう。

需要家は選任した主任技術者の指示に従い点検を行います。点検では、主任技術者が機器の劣化状況や接続部分の緩み、配線の破損、漏電の有無等を確認し、必要に応じて部品の交換や修理を行います。

キュービクルの保守点検頻度と内容

キュービクルの保守点検頻度は以下のとおりです。

点検の種類 頻度
月次点検 毎月もしくは隔月1回程度
年次点検 毎年もしくは3年に1回程度

それぞれの点検では、主に以下を点検します。

点検の種類 点検内容
月次点検
  • 【外観点検】
  • ●受電設備の目視点検
  • ●受電盤、配電盤の目視点検
  • ●構造物(電気設備の建物、電気室、キュービクル金属外箱)の外観点検
  • ●非常用発電機の起動・停止
  • ●蓄電池各種の測定
  • など
  • 【測定による確認】
  • ●設備電圧、負荷電流を測定し、電圧値の適否および過負荷等を確認
  • ●B種接地に関わる漏れ電流を測定し、低圧回路の絶縁状態を確認
  • ●高圧機器本体および接続部等の温度を測定し、過熱を確認
年次点検
  • (停電により設備を停止状態にして行うもので、月次点検の内容に加え下記を実施)
  • ●低圧電路および高圧電路の絶縁状態が技術基準を満たしているかを確認
  • ●接地抵抗が技術基準を満たしているかを確認
  • ●保護継電器の動作特性および連動動作試験の結果が正常であるかを確認
  • ●非常用予備発電装置の起動・停止・発電電圧・発電電圧周波数が正常であるかを確認
  • ●蓄電池設備が劣化していないかを確認

定められた点検以外でも、日頃から巡回したり運転中の状態を目視で点検したりすることは大切です。日本電気技術者協会では、日常巡視(1日〜1週間ほど)日常点検(1週間〜1ヶ月ほど)の実施の他、半年から1年程度の頻度での定期自主点検、異常が発生した際の臨時点検等も推奨しています。

キュービクルの導入にかかる費用相場

キュービクルの導入にかかる費用相場

キュービクルの本体価格の相場は以下のとおりです。

規模 施設例 本体価格
100KW 小規模店舗、事務所等 約200万円
200KW 中規模店舗、小規模工場等 約300〜450万円
300KW 中規模工場、スーパー等 約550〜650万円
500KW 大規模ビル、製造工場、病院等 約800〜1,200万円

上記の本体価格に加え、工事費や状況・環境に応じて+αで費用が発生します。工事費には基礎工事、配電・配管・配線工事、接地工事、設置後の試運転・調整工事等が含まれるため、キュービクルの設置場所や設置する周囲の環境、施設の規模によって異なります。

また、実際の費用は業者によっても異なるため、事前に複数の業者から見積りを取り、比較することが大切です。

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  • 設置状況等により一部室内工事が発生する可能性があります。
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大岩 俊之(おおいわ としゆき)

監修者 大岩 俊之(おおいわ としゆき)

家電製品総合アドバイザー。理系出身の元営業マン。電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。

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