太陽光発電と蓄電池を併用するメリット・デメリットは?価格相場や補助金も紹介
2025.8.8
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目次
太陽光発電と蓄電池を併用することで、具体的にどんなメリットがあるのか気になっている方がいるかもしれません。蓄電池を導入して太陽光発電と併用すると、電気料金の削減や災害時の備え等で、より大きな効果を発揮します。
この記事では、太陽光発電と蓄電池を併用するメリット・デメリット、蓄電池の価格相場や選び方等を解説します。記事の後半では、蓄電池導入の初期費用や維持費を抑える方法をあわせて紹介します。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
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太陽光発電で使われる 「蓄電池」 とは?
太陽光発電は蓄電池なしでも導入できますが、夜間は発電できません。そのため、夜間も電気を使いたい場合は、太陽光発電だけでは不十分です。また、災害等で停電した際も、太陽光発電だけでは電気が十分賄えない場合があります。
蓄電池は、発電した電気を貯めておくことができる設備です。蓄電池があれば、太陽光発電で発電できない夜間でも、昼間に貯めた電気を使用できます。蓄電池があることで、太陽光発電による電気料金の削減や災害時の備えとしてのメリットがより大きくなるでしょう。
蓄電池を導入する時の価格相場
産業用蓄電池を設置するのに必要な費用は、三菱総合研究所 「系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理」 によると、以下のとおりです。
初期費用項目 | 費用の目安(2023年度) |
---|---|
電池部分 | 4.8万円/kWh |
パワーコンディショナー部分 | 0.6万円/kWh |
その他 | 0.8万円/kWh |
工事費 | 1.4万円/kWh |
合計 | 7.6万円/kWh |
蓄電池を単体で導入する際は、一般的には上記の金額を目安とした初期費用が想定されます。
2023年時点での産業用蓄電池の初期費用の目安は1kWhあたり7.6万円です。
また、調達価格等算定委員会 「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」 によると、産業用太陽光発電の初期費用の平均は23.9万円/kWです。この初期費用には、システム設備費(パネル、パワコン、架台、その他)と工事費が含まれます。
太陽光発電と蓄電池をセットで導入する場合、単純に金額が合計されるわけではありませんが、追加費用がかかることは理解しておきましょう。
太陽光発電と蓄電池の価格についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電と蓄電池の価格相場は?セットで導入する理由や費用を抑えるコツも解説
太陽光発電と蓄電池を併用するメリット
太陽光発電と蓄電池を併用するメリットは主に以下の3つです。
- ●電気料金が安くなる可能性がある
- ●災害時の備えになる
- ●売電価格が低下した時に自家消費に切り替えられる
太陽光発電の余剰電力が生じた場合、蓄電池を使うことで、余剰電力を蓄えて有効活用できます。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
電気料金が安くなる可能性がある
太陽光発電は日中しか発電できないため、単独で使用する場合は、夜間や曇天時等に電力会社から電気を購入する必要があります。
一方、蓄電池を導入して日中に発電した電気を夜間にも使用できる仕組みにすることで、自家消費できる分が多くなり、電気料金が安くなる可能性があります※。電力会社から購入する電気を減らすことで、電気料金が高騰した際も影響を少なく抑えることができるでしょう。
また、蓄電池に蓄えた電力をピーク時に使うことで、全体の電気の利用が平準化されて電気の基本料金の削減(ピークカット)も期待できます。
蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、一定の電気料金の削減効果があれば、長期的には初期費用を回収して全体コストを落とすことが可能です。
- ※蓄電池の導入による効果は、建物の電力負荷や設置した太陽光パネルの容量によって異なります。発電量を負荷が上回る場合は電気料金の削減につながらない場合もあるため注意しましょう。
災害時の備えになる
地震や台風、大雨等による災害で停電が発生した際は、太陽光発電と蓄電池で電力の確保につながります。
製造業やデータセンター、病院等では、停電が発生した際に深刻な影響が出るおそれのある施設ですが、蓄電池と組み合わせた一定規模の太陽光発電設備の導入により、停電時の被害を抑えることもできます。
また、家庭では、冷蔵庫や照明、携帯電話の充電等に必要な電気を太陽光発電と蓄電池で確保できるので、停電から復旧までを乗り切るために役立ちます。
売電価格が低下した時に自家消費に切り替えられる
FIT制度での売電価格は年々低下しており、今後もこの傾向が続くといわれています。
FIT導入当初の2012年度には10kW以上で40円+税/kWhだった売電価格が、2025年度には50kW以上(地上設置・入札制度対象外)で8.9円/kWhになる等、低下しています。
年度 | 1kWhあたり売電価格 |
---|---|
2012年度 | 40円 |
2025年度 | 10kW以上(屋根設置) : 4~9月は11.5円、10~3月は19円(運転開始後年数~5年)、8.3円(運転開始後年数6~20年) 10kW以上50kW未満 : 10円 50kW以上(地上設置)(入札制度対象外) : 8.9円 入札制度適用区分 : 入札制度により決定 |
蓄電池を導入すれば、売電していた電気を自家消費に切り替えることができ、日中の余剰電力を蓄電して夜間に消費することが可能です。
産業用太陽光発電も20年間のFIT期間後は、FITの適用がなくなり、売電先によって価格が大きく低下します。卒FIT後の対策として、蓄電池による自家消費は選択肢のひとつです。
売電価格や卒FITについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電の売電価格は上がる?今後の動向やいま設備を導入すべき理由を解説
関連記事:卒FITとは?制度概要や卒FIT後の買取価格・対策をわかりやすく解説
蓄電池導入の注意点
蓄電池導入の注意点として確認しておきたいポイントは以下の4点です。
- ●初期費用・維持費がかかる
- ●一定の設置スペースが必要
- ●蓄電池には寿命がある
- ●蓄電容量には上限がある
費用や設置スペース、蓄電池の寿命等について事前に理解をしておきましょう。
初期費用・維持費がかかる
蓄電池を導入する際にまず考慮するのは、費用です。
工事費用や太陽光パネルの費用を含めると、一定の金額が必要になります。電気料金削減がどれくらい期待でき、初期費用がどのくらいの期間で回収できるかを事前にしっかりと見積もっておきたいところです。
また、蓄電池は導入後も定期的な点検やメンテナンスのために費用がかかります。蓄電池自体は10~15年程度で交換する必要があり、その際にも費用が必要となります。
初期費用や故障時の修理費用等の負担を軽減するためには、月額制のオンサイトサービスによる導入も可能です※。
- ※一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
一定の設置スペースが必要
蓄電池の設置場所は、太陽光発電と別に確保しなければなりません。一般的に中容量・大容量の蓄電池は屋外、小型のものは屋内に設置します。
なお、設置場所としては、直射日光が当たらず、高温多湿になりにくいところが適しているため、条件にあった設置場所の選定が必要です。
蓄電池には寿命がある
蓄電池は通常の使用で充放電を繰り返すたびに劣化が起こり、充電できる容量は少しずつ減っていきます。
蓄電池の寿命は使用回数や使用環境によって異なりますが、10~15年程度が目安です。蓄電池が寿命を迎えた場合は交換が必要で、さらに工事費用もかかります。
蓄電容量には上限がある
蓄電池は、製品ごとに蓄電容量が異なり、蓄電できる電力量には上限があります。
小型の蓄電池は省スペースで費用を抑えられますが、その分蓄えられる電力量は少なくなります。一方、大型のものは一度に多くの電力量を蓄えられますが、価格が高く、十分な大きさの設置スペースも必要になります。
日中の余剰電力や非常時に必要な容量等を考慮して、十分な容量の蓄電池を選びましょう。
太陽光発電で使用する蓄電池の選び方
産業用太陽光発電で使用する蓄電池の具体的な選び方として、蓄電する余剰電力量を基準とする方法や、停電時に必要な容量を基準にする方法等があります。
日中の余剰電力から選ぶ
日中の余剰電力を夜間に活用するには、余剰電力がどれくらい発生するかの試算が必要です。事業所等での電力使用量と太陽光発電で発電される電力量を事前に把握しておくと、余剰電力を試算できます。
日々発生する余剰電力を想定したうえで、十分な容量を持った蓄電池を選びましょう。
非常時に必要な容量から選ぶ
災害や停電時の非常用電源として蓄電池を導入する場合、例えば、停電時に使用する機器を何日間稼働させたいかを決めて、必要な容量を検討する方法があります。
非常時に稼働させる機器の消費電力と必要な稼働時間をもとに、容量を見積もって選定しましょう。
蓄電池の容量についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:蓄電池の容量の目安はどれくらい?決め方や注意点等をわかりやすく解説
太陽光発電の蓄電池導入時にチェックしておきたいポイント

蓄電池の導入費用を抑えるために確認しておきたいポイントを、以下で見ていきましょう。太陽光発電と同時に導入すること、補助金を検討すること等が重要です。
太陽光発電と蓄電池を同時に導入すると費用が抑えられる
蓄電池は、後から別に導入するよりも、太陽光発電と同時に導入する方が費用を抑えることができます。
蓄電池を後から導入する場合は、追加の工事が必要です。作業員の人件費や設備・部材の運搬費等を考えると、太陽光発電と同時に導入した場合に比べて費用は割高になります。
一方、太陽光発電と蓄電池をセットで導入すれば、割引やパッケージ価格が適用できることも多く、その点でも費用は安くなります。
ハイブリッド型蓄電池で変換ロスを低減できる
蓄電池は、ハイブリッド型にすると変換ロスを抑えられます。ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電と蓄電池の両方を1台のパワーコンディショナーで制御できるタイプの蓄電池です。
蓄電池と太陽光発電のそれぞれにパワーコンディショナーを設置する場合と比べ、変換の回数が少なくなり、変換ロスを抑えられます。太陽光発電で発電された電力を効率よく蓄電することが可能です。
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電と蓄電池を同時に設置する際に導入するとスムーズですが、後から設置する場合はパワーコンディショナーを含めて置き換えが必要となります。
特に太陽光発電と蓄電池を同時に入れる際には、ハイブリッド型蓄電池の検討がおすすめです。
国や自治体の補助金制度を活用できる
蓄電池や太陽光発電を導入する際は、国や自治体の補助金を利用できることがあります。補助金を使えば、初期費用や維持費等の負担を軽減することが可能です。
例えば 「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」 では、太陽光発電設備で上限2,000万円、充放電設備で上限1,000万円の補助金が交付されます。
これは、オンサイトPPA等で自家消費型の太陽光発電や蓄電池等を導入する企業等を対象とした補助金事業です。PPA(Power Purchase Agreement)とは、エネルギーサービス事業者と契約して太陽光発電設備を設置してもらう導入方法で、オンサイトPPAの場合は、需要家の敷地内に導入します。
太陽光発電の補助金やPPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:2025年度|太陽光パネル・太陽光発電の補助金はもらえる?(法人向け)
関連記事:太陽光発電のPPAモデルとは?種類や導入メリット・デメリットを解説
関連記事:オンサイトPPAとは?仕組みとオフサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを解説
蓄電池を後付けで導入することはできる?
産業用太陽光発電に蓄電池を後付けで導入することも可能です。蓄電池には単機能型蓄電池とハイブリッド蓄電池の2種類があります。
単機能型蓄電池 | 太陽光発電とは別に、蓄電池専用のパワーコンディショナーを備えたタイプの蓄電池 |
---|---|
ハイブリッド蓄電池 | 太陽光発電と蓄電池の両方を1台のパワーコンディショナーで制御するタイプの蓄電池 |
パワーコンディショナーの寿命は10~15年程度です。パワーコンディショナーを交換するタイミングであれば、ハイブリッド蓄電池もあわせて検討することをおすすめします。一方で、パワーコンディショナーが新しい場合は、単機能型蓄電池が有力な選択肢となります。
関西電力の 「蓄電池オンサイトサービス」 は太陽光発電とのセット提案も可能
関西電力では、お客さまの敷地に関西電力が蓄電池設備を設置して運用を行う 「蓄電池オンサイトサービス」 を提供しています。
需要家であるお客さまの施設ごとのニーズにあわせた蓄電池設備を関西電力が設置します。基本的に20年間ほどの契約期間で、設置後の運用・メンテナンスも関西電力が責任をもって実施するサービスです。このサービスでは、初期費用ゼロで蓄電池をお客さまの所有する敷地内に導入できます。
なお、関西電力では、蓄電池システムを太陽光発電システムとセットで導入するご提案も可能です。蓄電池と太陽光発電をあわせて導入することで、電気料金の削減、環境負荷の低減、防災対策等でより高い効果が期待できます。
蓄電池オンサイトサービスの導入までの流れは次のとおりです。
①現場調査・お見積もり (1~3ヶ月) |
現場調査を行い、詳細のご提案(システム容量・お見積り) |
②ご協議・ご契約 (1~2ヶ月) |
ご契約内容をご協議のうえ、本申込書をご提出いただきます |
③設置工事 | 関西電力にて設備の調達・設計・設置を行い、お客さまにご確認いただきます |
④サービス開始 | サービス開始後は、関西電力にて保守・運用、運用結果報告を年次で行います |
導入を考えているお客さまは、まずはWebページ等からぜひお気軽にご相談ください。
蓄電池を併用して太陽光発電を有効活用しよう
蓄電池があれば太陽光発電でつくった電気を蓄電でき、電気料金の節約だけでなく災害時の備えや電力の自家消費のために役立ちます。導入の際の注意点としては、初期費用・維持費がかかること、設置スペースが必要なこと等が挙げられます。
蓄電池を導入する際には、太陽光発電との同時設置や補助金の活用を行うと費用が抑えられます。ぜひ蓄電池を併用して効率的に太陽光発電を運用しましょう。
関西電力では初期投資や維持費が抑えられる 「蓄電池オンサイトサービス」 を提供しています。蓄電池設備を関西電力が設置し、設置後の運用・メンテナンスも関西電力が責任をもって実施します。蓄電池の導入を考えているお客さまは、まずはお気軽にお問い合わせください。
太陽光発電の導入を考えている場合は、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できるオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」 や設置場所不要の太陽光発電 「コーポレートPPA」 等も、あわせてご検討ください。
- ※太陽光発電オンサイトサービスの割引プランは、補助金との併用はできません。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。


監修者 北村 和也(きたむら かずや)
日本再生可能エネルギー総合研究所 代表/株式会社日本再生エネリンク 代表取締役/地域活性エネルギーリンク協議会 代表理事/埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。民放テレビ局にて、報道取材、環境関連番組等制作し、1998年よりドイツ留学。その後、研究所等を設立。
◎主たる活動:
- ・再生エネ普及のための情報収集と発信
- ・再生エネ、脱炭素化等の民間企業へのコンサルティング、自治体のアドバイザー
- ・地域での経済循環、活性化のサポート
- ・エネルギージャーナリストとして、講演、セミナー、各種の執筆
サービス概要資料
太陽光発電オンサイトサービス

自家消費型太陽光発電で電気料金とCO₂を削減。「太陽光発電オンサイトサービス」 の概要をご紹介します。
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