オフサイトPPAとは?自己託送・オンサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを解説2025.12.9
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「自社に太陽光発電を導入したいが、設置スペースがない」
そんな企業に注目されているのがオフサイトPPAです。
初期費用ゼロで、需要地から離れた場所に太陽光発電設備を設置し、発電した再エネ電力を自社で利用できます。
広い屋根や遊休地がなくても再エネ導入が可能で、 契約形態や条件によっては、電気料金削減と脱炭素経営を同時に実現できます。
この記事では、オフサイトPPAの仕組みや種類、オンサイトPPAとの違い、導入メリット・注意点をわかりやすく解説します。
さらに、自社に合ったPPAモデルの選び方まで紹介するので、再エネ導入を検討中の企業担当者の方はぜひ参考にしてください。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。
目次
オフサイトPPAとは?

オフサイトPPAとは、需要家がエネルギーサービス事業者と契約を交わして、需要家の敷地外に太陽光発電設備を導入し、再エネ電力を調達する仕組みです。
設備の所有権は事業者が持つため、太陽光発電設備の導入費用がかからず、維持管理やメンテナンス等の手間や費用が直接発生しません。
広い屋根や遊休地がなくても導入できる点が最大の特徴で、都市部のオフィスビルや商業施設、敷地が限られた工場などでも再エネ活用が可能です。
また、契約形態によっては電気料金の削減効果や、RE100・CDPなどの環境目標への対応も期待できます。
再エネ導入のハードルを下げつつ、脱炭素とコスト削減を同時に実現できる選択肢として注目が高まっています。
オフサイトPPAとオンサイトPPAの違い
PPA(Power Purchase Agreement)は、事業者が太陽光発電設備を設置し、契約期間中に企業が発電した電力を購入する仕組みです。
設置場所によって「オフサイトPPA」と「オンサイトPPA」の2つに分かれます。
| 比較項目 | オフサイトPPA | オンサイトPPA |
|---|---|---|
| 設置場所 | 自社敷地外(事業者の発電所) | 自社敷地内(屋根・遊休地・駐車場など) |
| 初期費用 | 不要 | 不要 |
| 維持管理費用 | 不要(事業者負担) | 不要(事業者負担) |
| 送電コスト(託送料) | 必要(契約内容による) | 不要 |
| 設置スペース(屋根・敷地) | 不要 | 必要 |
オフサイトPPAは、設置スペースがない、複数拠点へまとめて供給したい、大規模発電を導入したい、という企業に向いています。
一方でオンサイトPPAは、屋根や敷地に十分な設置スペースがあり、託送料を抑え、電気料金を削減したい企業向けです。
両者の違いを理解した上で、自社条件に合うモデルを選ぶことが重要です。
このあと、メリット・デメリットを詳しく解説します。
関連記事:オンサイトPPAとは?仕組みとオフサイトPPAとの違いやメリット・デメリットを解説
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
初期費用ゼロで、導入時の工事から導入後の運用・メンテナンスまで、ワンストップでおまかせいただけます。
オフサイトPPAのメリット
オフサイトPPAは、事業者が需要家の敷地外に太陽光発電設備を設置するため、次のメリットがあります。
- ●初期費用をかけずに太陽光発電設備を導入できる
- ●維持管理やメンテナンスの手間がかからない
- ●電気料金の削減につながる可能性がある
- ●環境価値を得られる
- ●自社で敷地を保有していなくても導入できる
- ●大規模な太陽光発電設備を設置しやすい
- ●複数の施設に電力を送れる
上記を順番に解説します。
初期費用をかけずに太陽光発電設備を導入できる
PPAの最大のメリットは、太陽光発電設備の初期費用が発生しないことです。
産業用太陽光発電の設置費を発電量1kWあたり約26.5万円とすると、100kWの太陽光発電設備を設置するなら2,650万円、1000kWなら2億6,500万円の初期費用が発生します。
その点、PPAでは初期費用を事業者が負担するため、需要家の財政状況に影響を与えません。設置のためのハードルが低く、太陽光発電の導入を検討している需要家におすすめです。
維持管理やメンテナンスの手間がかからない
PPAで設置した太陽光発電設備の所有権は事業者が持つため、原則として契約している需要家が維持管理やメンテナンスを行う必要はありません。
次の表は、太陽光発電のメンテナンスコストをまとめたものです。
| 出力 | 全体の平均 | 地上設置の平均 | 屋根設置の平均 |
|---|---|---|---|
| 10kW~50kW | 0.51万円/kW/年 | 0.50万円/kW/年 | 0.54万円/kW/年 |
| 50kW~250kW | 0.49万円/kW/年 | 0.56万円/kW/年 | 0.42万円/kW/年 |
| 250kW~500kW | 0.48万円/kW/年 | 0.52万円/kW/年 | 0.37万円/kW/年 |
| 500kW~2,000kW | 0.58万円/kW/年 | 0.61万円/kW/年 | 0.42万円/kW/年 |
| 1,000kW~2,000kW | 0.62万円/kW/年 | 0.64万円/kW/年 | 0.43万円/kW/年 |
| 2,000kW以上 | 0.74万円/kW/年 | 0.75万円/kW/年 | 0.24万円/kW/年 |
PPAは、維持管理やメンテナンスの手間が発生せず、直接費用を負担することがなく、すべて事業者に委託できる導入方法です。
電気料金の削減につながる可能性がある
PPAでは、事業者が設置した太陽光発電設備で発電した電力を購入します。通常の電気料金と異なるサービス料金で契約するため、電気料金の削減につながる可能性があります。
次の表は、オフサイトPPA(フィジカルPPA)と通常の電気料金を比較したものになります。
| コストの種類 | オフサイトPPA (フィジカルPPA) |
通常の電気料金 |
|---|---|---|
| 発電コスト | 13円~16円 | 20.5円 |
| 小売りコスト | 3円 | |
| 託送料 | 4円 | 4円 |
| 合計 | 20円~23円+再エネ賦課金 | 24.5円+再エネ賦課金 |
なお、実際の発電コストは事業者の提供するサービスによって異なるので、契約する際は、必ず事前に比較しましょう。
環境価値を得られる
フィジカルPPAやバーチャルPPA等のオフサイトPPAで太陽光発電を導入すれば、環境価値も得られるのがメリットです。
脱炭素化に向けた取り組みが注目されるなか、投資家や消費者は脱炭素を進めている企業を評価する傾向があります。
オフサイトPPAで太陽光発電を導入すれば、環境価値を得られて、例えば以下の国際イニシアチブを達成できます。
| 国際イニシアチブ | 概要 |
|---|---|
| CDP | 企業の環境に関する回答結果により企業を評価、スコア付けする |
| RE100 | 加盟した企業は事業活動で使用する電力を2030年までに100%再生可能エネルギーで賄う |
| SBT | 企業はCO₂排出量と削減目標への対策や進捗状況を報告して開示する義務がある |
上記の国際イニシアチブを達成する、あるいは評価を高めるためには環境価値が必要です。
環境に対する意識が高いと投資家からの評価も高くなり、ビジネスチャンスにも結びつくので、導入を検討しましょう。
自社で敷地を保有していなくても導入できる
太陽光発電を導入する場合は一定のスペースが必要です。
しかし、太陽光発電を導入したいと考えているすべての需要家が、設備の設置に向いている適切なスペースを持っているとは限りません。
オフサイトPPAは自社敷地に設置できるスペースがなくても、太陽光発電設備を設置できます。自社に敷地がなくても設置が可能になるのは大きなメリットです。
バーチャルPPAなら、電気契約を変更せずに環境価値だけを得られるので、自社の状況にあわせて最適な方を選びましょう。
大規模な太陽光発電設備を設置しやすい
オフサイトPPAでは、需要家の敷地外に太陽光発電設備を設置します。
自社の持つ敷地以上のスペースに太陽光発電を導入できるため、大規模な太陽光発電設備を構築しやすいです。
自然エネルギー財団が発表している 「コーポレートPPAの 最新動向(2024年度版)」 によれば、2023年4月~2024年3月までに、オフサイトPPAで1MW(1000kW)以上の太陽光発電を導入した事例は、公表されているだけで42件もあります※。
大規模な太陽光発電を設置したいと考えている場合は、オフサイトPPAを検討しましょう。
複数の施設に電力を送れる
オフサイトPPAは遠隔地で発電した電力を必要な需要地に送る仕組みなので、複数の施設に電力を送ることが可能です。
例えば、全国各地に工場やオフィスがある企業の場合、オフサイトPPAで1ヶ所に大規模な太陽光発電を設置することで、各所にある工場やオフィスへ送電できます。
需要地が複数ある場合は、オフサイトPPAで大規模な太陽光発電を設置して、各所に送電する方法がおすすめです。
オフサイトPPAのデメリット
オフサイトPPAは、多くのメリットがある太陽光発電設備の導入方法です。
一方で次のデメリットがあるため、利用を検討する場合は注意しましょう。
- ●契約期間が長い
- ●サービスによっては電気料金の削減が難しい
- ●非常用電源として利用しにくい
契約期間が長い
契約を結ぶ事業者にもよりますが、PPAは契約期間が20年程度です。
オフサイトPPAのフィジカルPPAは固定価格のため、社会情勢の変化によって通常の電気料金が下落した場合、かえって割高な価格で電力を購入してしまう可能性があります。
PPAは契約期間が長いため、長期的な計画を立てておく必要があると覚えておきましょう。
サービスによっては電気料金の削減が難しい
オフサイトPPAのバーチャルPPAは契約単価がフィジカルPPAと同じ水準ですが、小売コストと託送料が発生するため、通常の電気料金よりも高くなる可能性があります。
| 1kWhあたり | オフサイトPPA (バーチャルPPA) |
通常の電気料金 |
|---|---|---|
| 発電コスト | 13円~16円-市場価格 | 20.5円 (燃料費調整額を含む) |
| 小売りコスト | 24.5円 | |
| 託送料 | 4円 | |
| 合計 | 37.5円~40.5円-市場価格+再エネ賦課金 | 24.5円+再エネ賦課金 |
市場価格との差額決済のため、サービスによっては電気料金の削減効果を得られない点に注意しましょう。
非常用電源として利用しにくい
オフサイトPPAは需要地から離れた場所に太陽光発電設備を設置する仕組みです。
敷地外に大規模な太陽光発電を導入しやすい方法ですが、設備を設置した場所や送電の途中で災害が発生した場合、電力が需要地まで届きません。
そのため、災害時の非常用電源としては利用しにくいこともデメリットです。
オフサイトPPAの補助金
オフサイトPPAを契約するなら、環境省の「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」が利用できる可能性があります。
ストレージパリティとは、太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池を導入したほうが経済的なメリットがある状態を指す用語です。
環境省では、民間企業が自家消費型の太陽光発電と蓄電池を一緒に導入するための支援を行っており、PPAで両方を導入すると補助金を受けられます。
PPAの場合は、補助金を受けると、サービス料金が通常よりも抑えられる可能性が高いです。
オフサイトPPAで太陽光発電を導入する際は、補助金を活用して、さらにおトクに導入しましょう。
ただし、タイミングによっては公募が終了している場合があるので注意が必要です。
オフサイトPPAを申込む流れ

オフサイトPPAを申込む流れは事業者によって異なります。
例えば、関西電力が提供しているオフサイトPPA「コーポレートPPA」の場合は、下記の流れです。
- 1.お見積り・ご協議
- 2.お申込み
- 3.利用開始
太陽光発電の設置状況や他のお客さまのお申込み状況にもよりますが、太陽光発電で発電した電力が利用できるまで目安として3ヶ月~1年程度かかるので、興味がある場合は早めにご相談ください。
オフサイトPPAなら関西電力の「コーポレートPPA」がおすすめ
関西電力のオフサイトPPA「コーポレートPPA」 は初期費用ゼロで太陽光発電を設置できるサービスです。
太陽光発電を設置する場所がない場合でも、設置場所をご用意し、再エネ電力を長期間、安定的に提供します。関西エリア以外でもお申込みが可能で、条件によりますが、需要地が移転・閉業した場合でも、供給先を別の需要地に変更してご契約を継続することが可能です※。
関西電力では、お客さまの所有する敷地内に太陽光発電設備を設置できるオンサイトPPA「太陽光発電オンサイトサービス」も提供しているので、太陽光発電を導入したい場合はぜひご相談ください。
※契約期間に解約される場合は中途解約金を申し受けます。
オフサイトPPAは設置スペースを持っていない企業でも太陽光発電設備を導入しやすい方法
オフサイトPPAは需要地外に太陽光発電設備を導入する方法です。事業者が所有権を持つため、初期費用が発生せず、メンテナンスの手間がかかりません。
太陽光発電を敷地外に設置するため、設置スペースを持っていない、あるいは大規模な太陽光発電を設置したい企業におすすめの方法です。
ただし、オフサイトPPAにはフィジカルPPAとバーチャルPPAがあり、メリットやデメリットが異なるので注意しましょう。
設置スペースを持たない企業は「コーポレートPPA」 を、ある程度のスペースを保有しており、電気料金の削減効果を期待している企業は「太陽光発電オンサイトサービス」をご検討ください。
参考情報:オフサイトPPAの種類と仕組み
オフサイトPPAには、大きく分けて「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」の2種類があります。どちらも敷地外の太陽光発電所を活用しますが、電力と環境価値の扱い方が異なります。
| 項目 | フィジカルPPA | バーチャルPPA |
|---|---|---|
| 電力の取り扱い | 需要家へ供給 | 市場や他の事業者へ売電 |
| 環境価値の取り扱い | 電力とセットで需要家へ移転 | 電力と切り離して購入者へ移転 |
| 取引価格 | 固定価格 | 契約価格と市場価格に基づく差額決済 |
| 託送料金の取り扱い | 取引価格に追加される | 取引価格に追加されない ただし、現行契約の電気料金に含まれる |
フィジカルPPA
フィジカルPPAは、遠隔地に建設した太陽光発電の電力と環境価値をセットで需要家が購入する仕組みです。電力は、既存の電力系統を介して購入者へ供給されます。
取引価格は固定価格なので、バーチャルPPAに比べて電気料金の見通しを予測しやすく、長期の事業計画や予算計画を立てやすくなります。
バーチャルPPA
バーチャルPPAは、需要家が環境価値のみを購入し、事業者が発電した電力は卸電力市場で売却される仕組みです。需要家は、固定価格と市場価格の差額を決済します。フィジカルPPAとは異なり、電力の直接的な取引を行いません。
事業者から環境価値のみを購入できるので再エネ比率がアップしますが、電力の調達コストは固定化できず、差額決済のリスクを伴います。
環境価値とは
再エネで発電された電気は、CO₂を排出しないという付加的価値=環境価値を持ちます。
この価値は「再エネ電力証書」や「非FIT非化石証書」で証明され、電力と切り離して取引することも可能です。
環境価値を取得することで、RE100・CDP・TCFDなどの国際的な評価指標や顧客へのPRに活用できます。
監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
サービス概要資料
オフサイトPPA
設置場所不要で脱炭素・電気料金の変動リスク低減に貢献。オフサイトPPAの概要をご紹介します。
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- オフサイトPPAの契約形態
- オフサイトPPAの主要条件
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