蓄電池の仕組みは?種類や太陽光発電と併用するメリットも紹介
2025.9.16
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- 蓄電池仕組み

目次
蓄電池は、充電をしてエネルギーを貯めることができる電池のことで、太陽光発電の蓄電池やスマホのバッテリーをはじめ、日常的に幅広く利用されています。
蓄電池は、電力の供給があると、内部で化学反応により電気エネルギーが化学エネルギーに変換されて蓄えられます。電力が必要な時には、再び電気エネルギーに変換して供給が可能です。
企業においては、太陽光発電とあわせて導入することが一般的です。昼間に太陽光発電で発電したCO2フリーの電気を蓄電池にためておくことで、夜間も蓄電池からCO2フリーの電気を使用することができます。また、電気使用量の多い時間帯に放電することで、ピークカットができ、電気料金の削減も期待ができます。
この記事では、蓄電池の内部の仕組みや、太陽光発電と蓄電池を組み合わせて使う時の仕組み・注意点、蓄電池以外の周辺機器等をわかりやすく解説します。
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蓄電池とは
蓄電池は、電気を蓄えて繰り返し使える電池のことです。乾電池のような使い切りの電池は「一次電池」 と呼ばれ、充電ができる蓄電池は 「二次電池」 と呼ばれます。
蓄電池は携帯電話やパソコン等の小型のデバイスから大型の産業用設備まで幅広く利用されています。
例えば、太陽光発電に蓄電池を組み合わせると、昼間に発電した余剰電力を蓄えて夜間や曇天時等に使うことで、電力会社からの購入電力を減らすことが可能になります。
蓄電池の仕組み
蓄電池は、電解液、正極(プラス極)、負極(マイナス極)から構成され、電子の移動によって電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄えています。

例えば、リチウムイオン電池の 「充電」 の場合は、外部回路から電力が供給されると、電子が負極へ流れ込み、正極から負極にリチウムイオンが移動して、エネルギーが蓄えられます。
一方、リチウムイオン電池の 「放電」 の場合は、負極から電子が放出されて外部回路に電力を供給し、エネルギーが放出されます。この際にリチウムイオンは負極から正極へと移動することになります。
蓄電池の種類と特徴
蓄電池の種類としては、主に以下があります。
- ●リチウムイオン蓄電池
- ●ニッケル水素電池
- ●鉛蓄電池
- ●NAS蓄電池 等
それぞれの特徴を以下で見ていきましょう。
リチウムイオン電池

正極にリチウム化合物、負極に炭素材料、電解液に電解質リチウム塩を溶解させた有機溶媒を用いた蓄電池です。軽量・コンパクトで、大容量の充電にも対応でき、スマホやノートパソコンのバッテリー、太陽光発電の家庭用蓄電池をはじめ、幅広く利用されています。
ニッケル水素電池

正極に水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液に水酸化カリウム水溶液等を用いた蓄電池です。過充電や過放電に強く、高出力で電力を供給できる特徴があり、ハイブリッドカーのバッテリー等に用いられています。
鉛蓄電池

正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸を用いた蓄電池です。安定した放電が可能であり、使用実績が多いため信頼性が高いことが特徴です。自動車のバッテリー、非常用電源をはじめ、幅広い用途で使用されています。
NAS電池(ナトリウム硫黄電池)

正極に硫黄、負極にナトリウム、電解質に固体電解質(ベータアルミナ)を用いた蓄電池で、固体電解質の中をナトリウムイオンが移動して充放電が行われます。大容量の蓄電に対応でき、工場の停電対策等に多く利用されています。
蓄電池を使うメリット
家庭や施設に蓄電池を導入するメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- ●災害時の備えになる
- ●ピークカットの効果が期待できる
- ●太陽光発電をより効果的に運用できる
- ●再生可能エネルギーの使用率を高められる
災害時の備えになる
蓄電池を導入することで、停電時には重要設備へ電気を供給でき、継続して設備の稼働が可能です。災害が発生した時点で蓄電されていた電力が使用できる他、太陽光発電と組み合わせることで、昼間に発電した電気を蓄電池に貯めて、夜間に使用することも可能です。
特に工場や病院、データセンター等、電力の途絶が深刻なリスクにつながる施設において、蓄電池の導入は、停電時にも最低限の機能を維持する非常用電源として被害の拡大を防ぐための備えとなります。
太陽光発電と蓄電池を併用するメリットは、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:太陽光発電と蓄電池を併用するメリット・デメリットは?価格相場や補助金も紹介
ピークカットの効果が期待できる
平常時には余剰電力を蓄電池に充電し、電気の需要が大きい時間(不足時)に放電することで、電気料金を抑えるピークカットの効果も期待できます。
一般的に電気料金は、基本料金と従量料金で構成されます。従量料金は電力使用量に応じて決まるため、電力使用量を抑えることで電気料金を削減できます。
一方で、基本料金は、最も電気を使用した30分間の電力使用量(デマンド)に応じて決まるため、平準的に電気を使用することで、電気料金を削減できます。逆に、電気を大量に使用したり全く使用しなかったりする波のある使い方だと、基本料金が高くなる傾向にあります。
そのため、蓄電池を導入し、電力使用量が少ない時は電力会社から電気を追加購入して蓄電池に貯めておき、電力使用量が多い時は蓄電池に貯めた電気を使うことで、電力会社からの電力購入量を減らすことができます。
その結果、電力会社からは平準的に電気を購入することになるため、ピーク時のデマンドが下がり、電気の基本料金を下げることができます。
電力のピークカットについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:電力のピークカットとは?ピークシフトとの違いや導入メリットも紹介
太陽光発電をより効果的に運用できる
太陽光発電は、日が当たらない夜間は発電ができません。昼間の発電量が使用量より多い場合、使いきれない電気は無駄になってしまいます。
蓄電池があれば、災害時以外でも昼間に発電した余剰電気を蓄えて、夜間に蓄電した電気を利用する使い方もでき、太陽光発電による電気料金の削減効果を高めてくれます。
再生可能エネルギーの使用率を高められる
蓄電池を導入すれば、発電量が需要を上回る時間帯の余剰電力を蓄電池へ充電し、発電できない夜間や曇天時に使用可能です。その結果、再生可能エネルギーの使用率が向上し、CO2排出量の削減につながります。
脱炭素化への貢献により、環境配慮型企業としての評価が高まることで、取引先や投資家からの信頼獲得にもつながります。
蓄電池導入時の注意点
蓄電池を導入する際の注意点としては、以下が挙げられます。
- ●初期費用・維持費がかかる
- ●蓄電池を設置するためのスペースが必要になる
- ●蓄電池には寿命がある
蓄電池を導入する際は、本体価格に加えて設備の購入費や設置工事費等を含む初期費用が必要です。
三菱総合研究所 「家庭用及び業務・産業用蓄電システムに関する課題整理」 によると、産業用蓄電池の設置にかかる初期費用の相場は、システム容量100~500kWhの場合、1kWhあたり11.1万円※です。
また、蓄電池を設置するためのスペースが必要であり、屋内・屋外のどちらに設置するタイプを選ぶかも含めて事前に見繕っておく必要があります。
その他、導入の検討にあたっては、蓄電池に寿命があり、交換が必要になることを考慮しておかなければなりません。蓄電池の寿命は10~15年程度が目安といわれており、特に保証期間外の交換になると、再び本体代金と工事費が発生します。
蓄電池の費用・容量・寿命の目安についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電と蓄電池の価格相場は?セットで導入する理由や費用を抑えるコツも解説
関連記事:蓄電池の容量の目安はどれくらい?決め方や注意点等をわかりやすく解説
関連記事:蓄電池の寿命の目安は?調べ方や延ばす方法、選ぶ時のポイント等を解説
- ※2024年11月時点の情報です。
- ※実際の費用は選ぶ機器や蓄電池の蓄電容量等によって異なります。
太陽光発電と蓄電池を組み合わせて使う時の仕組み

蓄電池を太陽光発電と組み合わせて使用する場合の仕組みを見ていきましょう。太陽光パネルでの、発電から蓄電池での蓄電までの流れを以下で紹介します。
- ●電気をつくる
- ●電気を集める
- ●電気を変換する
- ●電気を使う/電気を貯める
電気をつくる
太陽光パネルに太陽光が当たると、光エネルギーから直流電流として電気が発電されます。太陽光パネルは2種類の半導体が貼り合わせてあり、太陽光が当たるとn型半導体に電子(-)が、p型半導体に正孔(+)が集まり、外部回路に電気の流れができます。
電気を集める
太陽光パネルで発電された直流電流は、施設内にある接続箱に集められます。接続箱は、太陽光パネルからの電気を一ヶ所に集約し、パワーコンディショナーへと電気を送る役割を担っています。
電気を変換する
接続箱に集められた電気はパワーコンディショナーに送られ、太陽光パネルが作り出した直流電流(DC)が家庭内や施設内の機器で使用できる交流電流(AC)に変換されます。
電気を使う/電気を貯める
パワーコンディショナーで交流電流に変換された電気は分電盤に送られ、家庭内や施設内の機器に割り振られて使用されます。その場で使用されなかった余剰電力は、分電盤から蓄電池に送られて蓄電され、夜間等に使用されます。
なお、上記の例では分電盤から交流電流で蓄電をしていますが、パワーコンディショナーから直流電流のまま蓄電するタイプのものもあります。
蓄電池以外の太陽光発電の周辺機器は?
蓄電池以外の産業用太陽光発電を構成する主要な周辺機器として、以下が挙げられます。これらの設備が連携することで、システム全体が円滑に機能します。
設備 | 概要 |
---|---|
太陽電池モジュール | 太陽光からの発電を行う太陽光パネルのこと |
架台 | 太陽電池モジュールを取り付ける土台となるもの |
接続箱 | 太陽電池モジュールからの電線をまとめる箱 |
パワーコンディショナー | 直流電力を交流電力に変換する装置 |
分電盤 | 建物内で電力が必要な場所に分配する装置 |
太陽電池モジュール、パワーコンディショナーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽電池モジュールとは?セル・アレイとの違い、仕組みを解説
関連記事:太陽光発電のパワーコンディショナーとは?機能や選び方をわかりやすく解説
太陽光発電と蓄電池の併用なら関西電力 「蓄電池オンサイトサービス」 がおすすめ
関西電力では、お客さまの敷地に関西電力が蓄電池設備を設置して運用を行う 「蓄電池オンサイトサービス」 を提供しています。
お客さまの施設ごとのニーズにあわせた蓄電池設備を関西電力が設置し、設置後の運用・メンテナンス※1も関西電力が責任をもって実施するサービスです。初期費用ゼロで蓄電池を敷地内に導入できます※2。
蓄電池オンサイトサービスの導入までの流れは次のとおりです。
①現場調査・お見積り (1~2ヶ月) |
現場調査を行い、詳細のご提案(システム容量・お見積り) |
---|---|
②ご協議・ご契約 (1~2ヶ月) |
ご契約内容をご協議のうえ、本申込書をご提出いただきます |
③設置工事 (4~6ヶ月) |
関西電力にて設備の調達・設計・設置を行い、お客さまにご確認いただきます |
④サービス開始 | サービス開始後は、関西電力にて保守・運用、運用結果報告を年次で行います |
また、関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能なオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」 を提供しています。蓄電池と太陽光発電をセットで導入するためのご提案も可能です。蓄電池と太陽光発電をあわせて導入することで、電気料金の削減、環境負荷の低減でより高い効果を期待できます。
「太陽光オンサイトサービス」は、関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行うサービスです。発電した電気をお客さまが利用し、契約期間は20年ほどです※3。
太陽光発電設備の設置費用等の初期費用ゼロで追加の維持コストはかかりません※1※2。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。
さらに、関西電力の太陽光発電・蓄電池に標準搭載されている機能 「SenaSon」 を使って、蓄電池やEV(電気自動車)、生産設備等複数の設備をAIが自動で制御し、発電した電力を最適なバランスで運用可能です。
関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。
なお、オンサイトPPAのご提供には設置場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電 「コーポレートPPA」 をご検討ください。
- 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
- 一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
- 途中解約には違約金が発生します。
蓄電池の仕組みを知って太陽光発電の利用に役立てよう
蓄電池は、充電して電気を蓄えることで繰り返し使える電池です。電解液、正極、負極から構成され、電気エネルギーを化学エネルギーに変換してエネルギーを蓄えています。
蓄電池の種類としては、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、NAS蓄電池等が挙げられます。
蓄電池を導入することで、災害時の備えになる他、ピーク時の電力購入量を抑えるピークカット効果も期待できます。太陽光発電との組み合わせでは、再生可能エネルギーの使用率を高められ、発電した電気を夜間に利用して有効活用も可能です。
関西電力では初期投資や維持費が抑えられる 「蓄電池オンサイトサービス」 を提供中です。蓄電池設備を関西電力が設置し、設置後の運用・メンテナンスも関西電力が責任をもって実施します。蓄電池の導入を迷っているお客さまは、まずはお気軽にお問い合わせください。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
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監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステムならびに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。あわせて生産工程から排出する廃棄物や、使用済み車両のリサイクル等幅広い分野で廃棄物の排出削減、有効利用技術の開発導入を推進。
「リサイクル技術開発本多賞」 「化学工学会技術賞」 他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取り組み中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
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太陽光発電オンサイトサービス

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