太陽光発電の余剰電力買取とは？

太陽光発電設備で発電した電気の使い方は、次のとおりです。

• ●自家消費
• ●蓄電池に蓄えておく
• ●電力会社に売電する

自家消費とは、太陽光発電設備を設置した工場や倉庫、オフィス等の自社設備で使用する方法です。電力会社から購入する電力量が減るため、電気料金の削減が期待できます。

自家消費しきれなかった電力は蓄電池に蓄えておくか、電力会社に売電する方法があります。

蓄電池に蓄えておけば、太陽光発電設備で発電できない時間帯に使うことができますし、余剰電力を売電すれば売電収入を得られます。

余剰電力の売電価格は、国によって固定価格に定められているため、売電先等によって売電価格が上下することはありません。そのため、安定して一定の売電収入を得ることが可能です。この仕組みを、FIT制度と言います。

FIT制度適用期間・卒FIT後の売電価格は？

日本には 「再生可能エネルギーの固定価格買取制度（FIT制度）」 があり、産業用太陽光発電を導入してから20年間の売電価格は固定されます。

次の表は、産業用太陽光発電の2024年度の売電価格をまとめたものです^※。

• ※出典：経済産業省資源エネルギー庁 「買取価格・期間等」

上記売電価格は20年間保証されます。しかし、期間終了後の価格はその後売電契約を結ぶ電力会社のプランによって異なります。

卒FITとは、FIT制度の期間が終了した後を指しており、ほとんどの場合、売電価格が下落するため、太陽光発電で発電した電力をどのように運用するべきか考える必要があります。

余剰電力買取については、これから太陽光発電を導入する企業と、すでに導入済みの企業で、検討すべきポイントが異なります。以下で、それぞれ解説します。

• ※出典：経済産業省資源エネルギー庁 「買取価格・期間等」

「太陽光発電オンサイトサービス」 のサービス紹介資料

自家消費型太陽光発電で電気料金とCO₂を削減。
「太陽光発電オンサイトサービス」 の概要をご紹介します。

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これから太陽光発電を導入する企業向け！余剰電力買取のポイント

これから太陽光発電の導入を検討している会社は、まず自家消費と蓄電池の利用がおすすめです。

FIT制度による太陽光発電の買取価格は毎年更新されており、出力が10kW以上50kW未満の太陽光発電の買取価格は2012年が40円／kWhだったのに対して、2024年では10円／kWhまで低下しています^{※1 ※2}。

現在、1kWhあたりの平均的な 「電気料金」 は、 「買取価格」 より高くなっています。これから太陽光発電を設置するなら、売電よりも自家消費や蓄電で電力会社から購入する電力量を減らし、電気料金の節約を検討したほうが良いでしょう。

• ※1出典：経済産業省 資源エネルギー庁 「買取価格・期間等（2012年度～2023年度）」
• ※2出典：経済産業省 資源エネルギー庁 「買取価格・期間等（2024年度以降）」

関西電力では余剰電力買取サービスの提供も

関西電力の企業向け太陽光発電 「太陽光発電オンサイトサービス」 でも、余剰電力買取が可能です。

完全に自家消費の場合、電気のご使用量が少ないお客さまは、ご使用量にあわせて小規模の太陽光発電しか設置できません。そのため、太陽光発電を設置できる場所が十分にあっても、大規模な太陽光発電を設置できず、せっかくの広い敷地が無駄になることがあります。

しかし、余剰電力買取のオプションをつけることで、お客さまの敷地により多くの太陽光発電を設置することができ、実質的にサービス料金単価を低減することができます。

これから太陽光発電を導入する企業で、特に設置面積は広いが電気の使用量が少ない企業は、余剰電力買取ができる可能性があるので、企業選定の際のポイントにしてください。

関西電力の 「余剰買取サービス」 の詳細を見る

すでに太陽光発電を導入している企業向け！余剰電力買取のポイント

すでに太陽光発電を導入している企業は、FIT制度が終了した後のことを考えておくべきです。

FIT制度により、太陽光発電は設置してから一定期間は同じ売電価格で余剰電力を電力会社に売電できましたが、卒FIT後の売電価格は買い取る小売電気事業者によって異なります。

産業用太陽光発電のFIT制度は2012年にスタートしたので、卒FITの新しい売電価格は2032年以降に発生します。

しかし、住宅用太陽光発電のFIT期間は10年間で、2019年にはすでに卒FITを迎えており、全国各地の小売電気事業社が卒FITの買取価格を公表しています。

卒FITの売電価格はFIT期間中の売電価格に比べて安くなっています。

すでに太陽光発電を導入している企業は、2032年以降の卒FITを見据えて、自家消費や蓄電池の導入等の検討が必要です。

次項からは、住宅用太陽光発電の余剰電力を買い取る事業者を紹介します。自社で発電した電気の売電先として参考にしてください。

産業用太陽光発電設備の電力買取では事業者によってはルールが異なり、申込めないケースがあるので注意してください。

なお、価格等は、すべて2024年8月時点の情報をもとにしています。最新の買取価格は各事業者のサイトをご確認ください。

関西電力株式会社

関西電力株式会社（関西電力）は、電力自由化以前から関西エリアに電力を供給し続けてきた事業者です。

PPAモデルのサービスを全国展開しており、信頼できる実績を持っています。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取単価は8.00円／kWhで、主に滋賀県や京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県等の関西地方を対象エリアとしています。

株式会社エネクスライフサービス

エネクスライフサービスは全国規模でサービスを提供している電力会社です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は7.1円～12.5円／kWhで、TERASELでんきと蓄電池をセットで契約すると9.1円～14.5円／kWhにアップします。

地方によって価格は異なり、条件を満たす必要がありますが、買取価格は全国でもトップクラスです。

丸紅新電力株式会社

丸紅新電力は日本全国各地で余剰電力の買取サービスを提供している電力会社です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は地域によって異なりますが、9.0円～11.0円／kWhで、プランによっては最大15.0円／kWhまでアップします。

条件はありますが、他の電力会社と比較しても買取価格が高い事業者です。

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社は住宅販売メーカーながら、2024年4月から買取事業に参入しています。

卒FIT電力買取と小売り電力販売のセットメニューと買取のみのメニューがあることが特徴です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は、卒FIT電力買取のみメニューで10.00円／kWh^※、電力小売りとのセットメニューなら最大22.00円／kWhになります。

なお、申込む際には条件があるので注意してください。

ENEOS株式会社

ENEOS株式会社は、全国各地で余剰電力の買取サービスを展開しており、知名度が高い事業者です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は7.5円／kWh～11円／kWhで、年数や他のサービスとの契約等を条件に盛り込んでいません。

シンプルで分かりやすく、申込みやすい電力会社です。

出光興産株式会社

出光興産株式会社は、全国規模で余剰電力の買取サービスを展開しています。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は、買取のみのプランで7.5円／kWh～9.5円／kWhで、小売りとのセットでは9.5円／kWh～11.5円／kWhです。

地域やプランによって買取価格が異なるので、確認が必要です。

株式会社 縁人

株式会社 縁人はインターネットと電力のサービスを提供している会社です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は11円／kWh～14.6円／kWhとなっており、他の事業者と比べて高い傾向にあります。

ただし、買取サービスへの申込みにはインターネットサービスへの加入が条件となっており、地域によっては申込めないので注意してください。

auエネルギー&ライフ株式会社

auエネルギー&ライフ株式会社は、収入を現金とau PAYの2種類から選ぶことが可能な事業者です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は、現金なら7円／kWh～9円／kWhとPontaポイントが1ポイント、au PAYなら8円／kWh～9.5円／kWhになります。

auユーザー以外でも申込みできます。

エバーグリーン・リテイリング株式会社

エバーグリーン・リテイリング株式会社は、全国各地で余剰電力の買取サービスを行っている事業者です。

住宅用太陽光発電のFIT制度終了後の買取価格は、スタンダードプランなら7.0円／kWh～9.0円／kWh^※、プレミアムプランなら9.3円／kWh～11.0円／kWh^※にアップします。

プレミアムプランは電力小売りプランとのセットです。

Q.ENESTでんき株式会社

Q.ENESTでんき株式会社は余剰電力をJEPX（日本卸電力取引所）の取引単価で買い取る、国内初の市場連動型買取サービスです。

市場連動型なので、他の事業者と異なり買取価格は固定されていません。季節によって買取価格が変動するため、定期的に確認する必要があります。

太陽光発電を導入するなら関西電力がおすすめ

これから太陽光発電の導入を検討している場合は、関西電力の 「太陽光発電オンサイトサービス」 をご検討ください。本サービスでは、需要家の企業であるお客さまの敷地内（屋根・空き地・カーポート等）に太陽光発電設備を導入し、運用や管理等を関西電力グループが実施します。そのため、初期費用がかからず、維持管理やメンテナンスのコストや手間が発生しません。

関西電力では前述のとおり、太陽光オンサイトサービスと組み合わせた余剰電力買取サービスを提供しています。対象エリアは関西だけでなく、全国でご利用いただけます（沖縄・離島を除く）。


また、「補助金サポート」 や 「割引プラン」 もご用意しており、お客さまの状況にあわせて最適なプランをご提案します^※。他にも、「SenaSon」 機能によって発電した電力を最適なバランスで運用でき、自家消費や防災に役立つ 「蓄電池オンサイトサービス」 等も利用可能です。
※割引プランは、補助金との併用はできません。

工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡程度の折板屋根、カーポート、遊休地等の場所に太陽光発電設備を導入可能です。

「太陽光発電オンサイトサービス」の詳細を見る

「蓄電池オンサイトサービス」の詳細を見る

設置場所の広さ等が条件に合わない場合は、 「コーポレートPPA」 をご検討ください。本サービスは、関西電力が太陽光発電を設置できる土地を探して太陽光発電を設置し、発電した電気をお客さまに届けるサービスです。お客さま敷地内に、太陽光発電を設置できるスペースが無くても、導入いただけます。

「コーポレートPPA」 の詳細を見る

余剰電力の売電先は価格や買取サービス内容を比較して決定しよう

企業が太陽光発電システムをFIT制度で導入する場合、基本的に最初の20年間の買取価格は固定されます（出力250kW未満の発電所）。20年を過ぎると、買取事業者によって価格が異なります。

余剰電力の売電を考えている場合は、買取価格やサービス内容を比較した上で売電先を決めるといいでしょう。

これから太陽光発電システムの導入を予定しているなら、関連サービスが充実した事業者に一貫して任せるのもおすすめです。

関西電力では、初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できるオンサイトPPA 「太陽光発電オンサイトサービス」 や設置場所不要の太陽光発電 「コーポレートPPA」 、設計から運用までサポートする 「蓄電池オンサイトサービス」 等を提供しています。

これから太陽光発電設備を導入したいと考えている企業は、ぜひご相談ください。

「太陽光発電オンサイトサービス」の詳細を見る

「コーポレートPPA」 の詳細を見る

「蓄電池オンサイトサービス」の詳細を見る

監修者 北村 和也（きたむら かずや）

日本再生可能エネルギー総合研究所 代表/株式会社日本再生エネリンク 代表取締役/地域活性エネルギーリンク協議会 代表理事/埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門　客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。民放テレビ局にて、報道取材、環境関連番組等制作し、1998年よりドイツ留学。その後、研究所等を設立。

◎主たる活動：

• ・再生エネ普及のための情報収集と発信
• ・再生エネ、脱炭素化等の民間企業へのコンサルティング、自治体のアドバイザー
• ・地域での経済循環、活性化のサポート
• ・エネルギージャーナリストとして、講演、セミナー、各種の執筆