蓄電池の寿命の目安は?調べ方や延ばす方法、選ぶ時のポイント等を解説
2025.6.6
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目次
企業が太陽光発電とあわせて蓄電池の設置を検討する場合、蓄電池の寿命は重要なポイントです。
寿命が長ければ、蓄電池を設置するメリットを得ながら長期運用できます。
ただし、蓄電池は使い方を間違えると寿命が短くなるため、適切な使い方を理解することが大切です。
この記事では、蓄電池の設置を検討している企業向けに産業用蓄電池の寿命の目安や調べ方、寿命を延ばす方法等を解説します。
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蓄電池の寿命の目安

蓄電池の寿命は、メーカーや製品の仕様、設置場所の気温や湿度、使用頻度等により大きく異なります。
蓄電池の寿命は一般的に10~15年とされており、充放電を1日1回行った場合でも約10年以上使用できる可能性があります。
また、蓄電池は寿命を迎えたら徐々に蓄電容量が低下していくため、すぐ充放電しなくなるわけではありません。蓄電容量が低下すると、「停電時に稼働できる機器の数が少なくなる」「夜間に使用できる電気が少なくなる」 等の影響が生じ、期待していたほどの節約効果を得られない場合もあるため、交換時期を見極めるために定期的な状態確認を行いましょう。
蓄電池の寿命とは
使用環境や使用頻度の影響が大きいため、蓄電池の寿命を一概に判断するのは難しいです。導入を検討する際は、「サイクル数」 と 「使用期間」 を確認しましょう。
サイクル数は、蓄電池が満充電から放電し、再び充電する一連の流れを1サイクルとカウントします。
蓄電池の公式サイトや仕様表で記載されているサイクル数は、サイクルの回数によって当初の蓄電容量からどの程度劣化するかを指しているため、サイクル数が多いほど寿命が長い製品ともいえるでしょう。
また、使用期間は設置してから安全に使える年数で、メーカーが設定する期待値に基づいて設定されます。
ただし、「サイクル数」 と 「使用期間」は蓄電池の正確な寿命を定めるものではありません。サイクル数と使用期間の2つを確認すれば、実際の運用状況に合った蓄電池の選定や、適切な交換時期の判断に役立つと覚えておきましょう。
蓄電池の寿命は種類によって異なる
蓄電池の寿命は種類によって異なります。以下は、産業用として採用される主な蓄電池の種類と寿命の目安、特徴をまとめたものです。
蓄電池の種類 | 寿命の目安 | 特徴 |
---|---|---|
リチウムイオン電池 | 10~30年 | 軽量かつコンパクトで、幅広く利用されている |
ニッケル水素電池 | 5~7年 | 過充電や過放電に強く、高出力な電力が必要な場面で利用されている |
鉛蓄電池 | 17年 | 信頼性の高い安定した放電が可能で、幅広い用途で使用されている |
NAS電池(ナトリウム硫黄電池) | 15年 | 大容量の蓄電に対応でき、停電対策等で利用されている |
スマートフォンやノートパソコン、モバイルバッテリー等の家庭用の蓄電池としてはリチウムイオン電池が主流ですが、大容量の蓄電が必要な産業用ではNAS電池を用いる場合があります。
なお、前述のとおり、蓄電池の寿命はメーカーや製品の使用環境・頻度等によっても大きく異なります。あくまで参考値としてご覧いただき、導入時は製品ごとの仕様をご確認ください。
蓄電池の種類についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:蓄電池の仕組みをわかりやすく解説! 太陽光発電と併用するメリットや注意点も紹介
蓄電池の寿命を延ばす方法
蓄電池の保証期間は、蓄電容量が低下するまでの目安であるため、メーカー保証期間を超えても使えなくなる訳ではありません。
蓄電池の保証期間は10~15年とされていますが、適切な使用方法を知らずに運用していると蓄電池の寿命が短くなるおそれがあります。
蓄電池を長く使用したい場合は、以下の方法を実践しましょう。
- ●適切な運用計画を構築する
- ●過充電や過放電を避ける
- ●直射日光や極端な温度を避けた場所に設置する
適切な運用計画を構築する
蓄電池の寿命を延ばすには、日々の使い方を工夫した運用計画が欠かせません。
蓄電池の寿命は、1日あたりのサイクル数で異なります。例えば15,000サイクルの蓄電池を1日2サイクルで使えば約20年で寿命を迎えると推測できますが、1日1サイクルに抑えれば、理論上は40年以上の使用が可能です。
電力使用量よりも蓄電容量が小さいと1日2サイクルで充放電されるため、蓄電池を1日1サイクルで使うには、電力使用量よりも蓄電容量が大きい製品を選ぶとよいでしょう。
過充電や過放電を避ける
過充電や過放電を繰り返すと、蓄電池の寿命が短くなる可能性が高まります。
過充電は電池の容量が100%を超えても充電を続ける状態を指し、過放電は電池の容量が0%になっても放電を続ける状態を指します。過充電や過放電が機器に与える主な影響は以下のとおりです。
- ●電極の劣化が早まり、蓄電容量の低下を招く
- ●発熱や発火のリスクが高まる
- ●再充電が難しくなる
- ●制御回路が誤作動を起こす
例えばリチウムイオン蓄電池の場合、0%まで使い切ってから100%充電するよりも、常に30〜50%程度の残量を残した方が、劣化スピードは遅くなります。
充電がない状態で長時間放置すると完全放電の状態になり、寿命を迎える前に動作不能となるリスクもあります。
蓄電池の健全な状態を長く保って寿命を延ばしたい場合は、過充電や過放電を避けましょう。
直射日光や極端な温度を避けた場所に設置する
蓄電池は使用時に発熱するため、排熱できるスペースの確保が重要です。
また、設置環境の温度にも注意が必要で、高温・低温の環境下で使用を続けると蓄電池の劣化が早まりやすくなります。
できるだけ機器同士の距離を空けて風通しを良くし、夏場でも周辺環境が25度前後に保てる場所に設置しましょう。日光が直接当たる場所や、密閉され高温になりやすい場所への設置は避けてください。
蓄電池の設置場所は性能維持に大きく影響するため、温度変化が少ない安定した場所の選択が寿命を延ばすための第一歩です。
蓄電池が寿命を迎えた時はどうする?
前述したとおり、丁寧に運用しても蓄電池はいずれ寿命を迎えます。蓄電池の状態が下記に当てはまった場合、早めに対応を検討しましょう。
- ●100%充電しても以前より早く電力が切れる
- ●蓄電容量の大幅な低下や運転中の異常表示やエラーが頻発する
- ●設置してから10年以上が経過している
製品が保証期間内であれば、メーカーに連絡して修理や交換の可否を確認することがおすすめです。
保証外の場合や明らかな劣化が見られる場合は、自治体や専門業者に依頼して適切な方法でリサイクルしてもらいましょう。
なお、今後も蓄電池が必要な場合は、性能の高い製品に買い替えると良いです。
産業用蓄電池を設置して蓄電容量の低下や節電効果の減少、10年以上経過する等が当てはまる場合は、寿命を迎えていると判断して対応しましょう。
蓄電池を選ぶ時のポイント
蓄電池の寿命は、選ぶ時に重要視されるポイントのひとつです。ただし、寿命以外に次のポイントに注目して選ぶことが大切です。
- ●蓄電容量
- ●コストとのバランス
上記を順番に解説します。
蓄電容量
蓄電容量とは、蓄電池が一度に蓄えられる電力量を指し、単位はkWh(キロワットアワー)で表されます。
例えば1kWhの容量であれば、1kW(1,000W)の機器を1時間稼働させる電力の供給が可能です。
太陽光発電と併用する場合、太陽光発電システムの発電容量の0.5~2.0倍の蓄電容量が目安とされ、夜間の工場稼働を想定する場合は1.0~2.0倍が望ましいとされます。
上記をふまえて、実際の運用では蓄電池の過充電や過放電を避けるため、導入目的や電力消費パターンに応じた蓄電容量の選定が重要です。
蓄電容量についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:蓄電池の容量の目安はどれくらい?決め方や注意点等をわかりやすく解説
コストとのバランス
次の表は、産業用蓄電池を設置するのに必要な費用をまとめたものです。
初期費用項目 | 費用の目安 |
---|---|
電池部分 | 4.8万円/kWh |
パワーコンディショナー部分 | 0.6万円/kWh |
その他 | 0.8万円/kWh |
工事費 | 1.4万円/kWh |
合計 | 7.6万円/kWh |
- ※出典:三菱総合研究所 「系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理」
- ※ 2025年4月時点の情報です。
大規模な蓄電池を設置する場合、1kWhあたりの単価は割安になる傾向にありますが、メーカーや製品の性能、設置条件によって異なるため、複数の見積りを取り比較検討することが大切です。
また、蓄電池は長期にわたる運用が前提の設備であるため、導入効果を最大化するには初期費用とランニングコストのバランスを見極めましょう。
蓄電池や太陽光発電システムの費用についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:太陽光発電と蓄電池の価格相場は?セットで導入する理由や費用を抑えるコツも解説
蓄電池を設置するなら関西電力の 「蓄電池オンサイトサービス」 がおすすめ

蓄電池は適切に運用すれば10年以上利用できます。
しかし、運用期間中は定期的にメンテナンスや点検が必要になり、寿命を迎えたら処分や買い替え等の検討が必要です。
企業によっては蓄電池の導入から処分までの手間や時間が負担になると考えて、導入を迷う場合もあるかもしれません。
関西電力では、初期費用ゼロ※1で蓄電池を設置する「蓄電池オンサイトサービス」を提供しています。
お客さまの敷地内に蓄電池を設置し、設置後の運用やメンテナンスは関西電力が責任を持って行うサービスです。
また、蓄電池と太陽光をセットで導入することで、再エネ率を高めることができます。
関西電力では、蓄電池と同様に初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入可能なオンサイトPPA(Power Purchase Agreement)「太陽光発電オンサイトサービス」 を提供しています。
関西電力グループが太陽光発電設備の設置から運用、メンテナンスまでをワンストップで行い、発電した電気をお客さまが利用するサービスで、契約期間は20年ほどです※2。
太陽光発電設備の設置費用等の初期費用や追加の維持コストはかかりません※3。月々の発電量に応じたサービス利用料は発生しますが、割引プランの適用で節約も可能です。
関西電力の太陽光発電設備は、工場や倉庫、大規模店舗の広い屋根や900㎡以上の折板屋根、カーポート、遊休地等、さまざまな場所に設置可能なので、ぜひご相談ください。
「割引プラン」や、補助金の申請をサポートする「補助金サポート」等、お客さまにあわせて最適なプランをご提案します※4。
ただし、オンサイトPPAのご提供には、設置目的場所の面積が900㎡以上必要なため、条件に合わないお客さまは、設置場所不要の太陽光発電「コーポレートPPA」をご検討ください。
- 一部、電気工事等の費用が必要な場合があります。
- 途中解約には違約金が発生します。
- 故障時に保険金額を超える修理をお客さまが希望される場合等、追加料金が発生する場合もございます。
- 割引プランは、補助金との併用はできません。
産業用蓄電池の寿命は10~15年が目安
産業用蓄電池の寿命は、一般的に10~15年がひとつの目安とされています。
ただし、あくまで設計上の期待寿命であり、実際の使用環境や運用方法によって異なります。
例えば、過充電や過放電を繰り返す運用や、高温・低温の環境下での使用等、負荷がかかる使い方を続けると、想定よりも早く劣化しやすいです。
そのため、蓄電池を長く使うためには適切な運用計画やメンテナンスが求められます。
また、蓄電池を導入する際には寿命だけでなく、必要な蓄電容量や設置コストとのバランス等も含めて、総合的な観点で選びましょう。
関西電力では、「蓄電池オンサイトサービス」や「太陽光発電オンサイトサービス」等のサービスを提供しています。
また、設置場所が不要の太陽光発電「コーポレートPPA」もあるため、自社だけで蓄電池や太陽光発電システムの設置が難しいと考えている企業はご検討ください。
太陽光発電で発電した電気をご使用いただくことで、脱炭素・コスト削減につながるサービスです。
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監修者 近藤 元博(こんどう もとひろ)
愛知工業大学 総合技術研究所 教授
1987年トヨタ自動車に入社。分散型エネルギーシステム、高効率エネルギーシステム並びに新エネルギーシステムの開発、導入を推進。「リサイクル技術開発本多賞」「化学工学会技術賞」他エネルギーシステム、資源循環に関する表彰受賞。2020年から現職。産学連携、地域連携を通じて資源問題、エネルギー問題に取組中。経済産業省総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会 委員他
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