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「令和3年度介護報酬改定」への対応は十分ですか?
入所者・利用者・職員の命を守るBCP策定に向け、対応すべきポイントとは

2024.10.1

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「令和3年度介護報酬改定」への対応は十分ですか?入所者・利用者・職員の命を守るBCP策定に向け、対応すべきポイントとは

2021年4月、厚生労働省が「令和3年度介護報酬改定」を発表しました。介護報酬とは「介護サービス事業者が利用者(要介護者または要支援者)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用」(厚生労働省)のことです。介護報酬の7~9割が介護保険から支払われ、残りが利用者の自己負担となります。
介護報酬はさまざまな要因に応じて増額・減額される仕組みで、2000年の導入以来3年ごとに改定されてきました。
令和3年度介護報酬改定では改定率が0.7%に引き上げられました。他にも注目すべき変更点として、介護施設に対し感染症や大規模災害時の対応、つまり「事業継続計画(BCP)」策定、およびBCP訓練や研修が義務付けられたことが挙げられます。
今回は、なぜ介護施設にBCP策定が求められるのか、どのような対策が必要なのか等をご説明します。

介護報酬改定で明確になった、感染症や災害への対応力強化の必要性

令和3年度介護報酬改定のポイントは、以下の5点です。


  • 1.感染症や災害への対応力強化
  • 2.地域包括ケアシステムの推進
  • 3.自立支援、重度化防止の取り組みの推進
  • 4.介護人材の確保・介護現場の革新
  • 5.制度の安定性・持続性の確保

このうち、2~5は過去の改定でも何度か取り上げられ、介護サービスに携わる事業者であれば対応可能な項目です。しかし「1.感染症や災害への対応力強化」はこれまでにないテーマで、戸惑いを感じる事業者も多いと思われます。
「1.感染症や災害への対応力強化」では、感染症や災害発生時でも介護サービスを提供できるよう、すべての介護サービス事業者に対し、業務継続に向けた計画(BCP)の策定、研修・訓練の実施を義務付けています。
努力目標ではなく「義務」である点、また「すべての介護サービス事業者」を対象にしている点から、厚生労働省の感染症や災害に対する強い危機感が伺えます。
新型コロナウイルス感染症は、介護サービス事業者にも深刻な影響を与えました。サービスの提供に支障が生じただけでなく、介護施設がクラスターの発生源にもなりました。また近年の大規模災害により介護施設が被災するケースもありました。人命を守り、安定的、持続的なサービス提供ができる体制構築が介護サービス事業者に求められています。
BCP策定の義務化では3年間の経過措置期間が設けられています。措置期間が終わる2024年3月末までに、BCP策定や研修・訓練を実施しておく必要があり、介護サービス事業者によっては大きな負担となる可能性があります。

BCP策定の義務化を遵守しなかった場合のリスクとは

大地震や集中豪雨といった大規模災害では、高齢者施設の被災や高齢者の犠牲が目立っています。 東日本大震災では岩手、宮城、福島3県の高齢者施設で少なくとも52箇所が被災し、入所者・利用者・職員あわせて658名が犠牲(死亡・行方不明/施設外での被災も含む)となりました(厚生労働省保健局 2012年6月発表)。また2020年の熊本豪雨では、球磨川の氾濫で特別養護老人ホーム入所者14名が亡くなりました。
このような状況からBCP策定が急務とされる一方、策定になかなか取り組むことができないという施設も多数存在しています。

介護サービス事業者のBCP策定の現状

2021年7月に三井住友海上火災保険株式会社とMS&ADインターリスク総研株式会社が192箇所の介護サービス事業者を対象に調査した結果によると、BCP策定済み事業者は46箇所(全体の24%)にとどまることが分かりました。
未策定の146事業者のうち、「現在策定中」と回答した事業者は69箇所(全体の36%)で、残り77箇所(全体の40%)は全く取り組むことができていないことが分かりました。(下記グラフ参照)

介護サービス事業者におけるBCP策定に関するアンケート調査の円グラヌ

BCPを策定しない場合の想定リスク

今後、人命を守るために必要な介護サービス事業者のBCP策定が社会的な関心事となることは間違いありません。BCPを策定していないと社会からの評価が著しく低下して、利用者やその家族から敬遠されるだけでなく、優秀なスタッフの獲得にも影響が想定されます。
むしろBCPを策定することで「優秀な介護サービス事業者」としての評価が高まり、将来的な事業拡大につながる可能性があります。また、各種補助金や助成金が受けられることも考えられます。

BCPを策定する方法

BCP策定にあたっては、厚生労働省の専用サイトに掲載されているBCP策定支援の動画やガイドライン(PDF)、計画書のテンプレートが利用できます。
厚生労働省作成のテンプレートでは、「総論」「平常時対応」「緊急時対策」「他施設との連携」「地域との連携」とあり、策定すべき項目が多く挙げられています。また、非常災害時にBCPに沿って行動するために、研修や訓練を定期的に実施してBCPの実効性を高めることも非常に大事なポイントです。
日々の介護サービスと並行してBCPの策定や研修・訓練を実施するためには、大きな労力も必要です。日常業務に支障をきたさないためにも、外部専門家へ策定を依頼することも選択肢のひとつとして検討してはいかがでしょうか。

まとめ

「令和3年度介護報酬改定」によりBCP策定が義務付けられました。入所者・利用者・職員の命を守るためにも、介護サービス事業者にとってBCP策定は「当然の業務」と捉える必要があります。
しかしながら、先にも述べたとおり、日常業務とBCP策定や研修・訓練を同時に進めてBCPの実効性を高めることは大きな労力が必要であるだけでなく、BCP策定は人命に直結することを考慮すると、専門家へ依頼するのもひとつの方法です。

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発生が予想される南海トラフ地震等の大規模災害に備え、入所者・利用者・職員の命を守るためにも、「BCP策定支援サービス」等のサービスのご活用をおすすめします。

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●厚生労働省による専門サイトです。解説動画、策定のためのガイドライン、テンプレートをダウンロードできます。
 厚生労働省「介護施設・事業者における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

サービス概要資料

BCP策定支援サービス

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資料の一部をご紹介

  • 防災対策をしていない場合のリスク
  • 企業のBCP策定状況
  • BCP策定へ向けたハードルとポイント
  • 自社対応と外部委託化の比較
  • サービスの特徴
  • よくあるご質問

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