電源Ⅰ’に続いて需給調整市場に参画
自社設備で地域・社会に貢献する

レゾナックグループの生産拠点の一つとして、兵庫県たつの市に大規模工場を構え、合成樹脂製品の生産を担う株式会社レゾナック龍野事業所さま。自家発電設備を活用し、2018年度から電源Ⅰ’の公募に参加。さらに2021年度に始まった需給調整市場にも積極的に参画している。電力の安定供給に対する高い使命感のもと、持続的な取り組みとして地域・社会に貢献を果たしている。

自社設備の余剰運用で電力の安定供給に貢献する

龍野事業所
事業所長 下出 哲也さま(右)
工務技術グループ 藤田 直人さま(左)

2018年度に初めて応募して以来、電力の需給ひっ迫時に需要を抑制する、電源Ⅰ’厳気象対応調整力公募に参加し続けています。
参加を決めた理由は、電力の安定供給を通じて、何より地域や社会に貢献するためです。当事業所では、安全かつ安定した生産を維持するため、自家発電設備を導入しています。非常用の自家発電設備を運用することで電力の安定供給のお役に立てるなら、喜んで協力したいと考えました。また電源Ⅰ’参画による基本報酬や、電源Ⅰ’発動時の従量報酬を得られるなど、コストメリットを感じられたことも、参加の後押しになりました。

関西電力の丁寧な対応とサポートにより不安を払拭

3台の自家発電機のうち、
非常時に備えて待機している1台を活用

当初の心配は、電源Ⅰ’発動時に負荷抑制(デマンドレスポンス:DR(※1))に応じると、工場の電力供給に支障をきたさないかということでした。当事業所は、主に機能性高分子製品を生産しています。外部電源の停電などがあっても化学反応を安定して制御する為に、3台の自家発電設備のうち常時2台を運用して電力の安定供給を図るとともに、1台を非常用電源として待機させています。そのうちの1台の運用が難しくなった時に電源Ⅰ’発動があった場合、対応できないかもしれないという不安がありました。しかし、不測の事態の対応など、関西電力が疑問の一つひとつに丁寧に答えてくれたおかげで、前向きに検討することができました。また参加にあたって関西電力のK-VIPs(※2)を導入。リアルタイムでの対応状況や達成率の速報値などを確認できることも安心材料になりました。

※1 デマンドレスポンスとは、電気の需要と供給のバランスをとるために、お客さまの設備を制御することで電気の使用量を増減させることをいいます。

※2 K-VIPsとは、電源Ⅰ’参画をサポートする関西電力独自のシステムです。電源Ⅰ’発動時のDR対応状況や、電気の使用状態を可視化することができます。

電源Ⅰ’発動にも余裕を持って対応

2020年度には複数回の電源Ⅰ’発動があり、DRに応じました。当事業所ではDR対応を行う際、非常用の自家発電設備を活用して工場内の電力需要をまかなっています。電源Ⅰ’発動の3時間前に関西電力からメールで連絡を受けた後は、当事業所の発電機の制御システムを設定するだけなので、余裕をもって対応することができました。

自家発電設備を活用し、DRで需給調整市場に参画

龍野事業所 事業所長 下出 哲也さま

2021年度からは電源Ⅰ’に加えて、新たに始まった需給調整市場にも参加しています。事業所の経営や生産業務の負担にならずに社会に貢献できるなら、引き続き協力したいという気持ちで参加しました。
レゾナックは操業当初より自社で複数の発電所を保有し、電力事業を行ってきました。積極的な参画の背景には、電力の安定供給に対する高い意識と使命感もありました。

スムーズな運用のカギは関西電力との密なコミュニケーション

電源Ⅰ’と需給調整市場の大きな違いとして、需給調整市場には厳正な事前審査があります。参入にあたり、1日3時間、3日間にわたる実働試験に臨みました。実際の需給調整対応時には、30分間隔で出力指令が出されますが、審査では5分単位で対応力が評価されます。通常の生産を続けながら、5分ごとに出力変化量を確認し、変動を契約容量の±10%以内に収めるのは、容易なことではありません。当事業所の自家発電設備はエンジンを駆動源にしており、俊敏なアクセルワークが可能です。加えて独自の自動制御システムで緻密に調整することにより、厳しい基準をクリアすることができました。
心強いのは、関西電力が常に寄り添い、サポートしてくれることです。初めての作業に戸惑ったり、疑問を感じた時にはその都度問い合わせ、密なコミュニケーションのおかげでスムーズな運用が可能になっています。参入後に応札容量に不安を覚えた際にも、柔軟に相談に応じてくれました。

自家発電機の自動制御システムによる緻密な調整で、需給調整の要請に応える

保守・管理部門で収益をあげることが社員のやりがいにもつながる

電源Ⅰ’や需給調整市場に参加することで相応の報酬が得られることにもメリットを感じています。普段は稼働していない自家発電設備を有効活用して、保守・管理部門で事業所の収益に貢献できることが、担当者のやりがいにもなっています。
今後も電源Ⅰ’、および需給調整市場への参画を継続し、事業活動はもちろん、電力の安定供給においても社会に貢献していきたいと考えています。

株式会社レゾナック 龍野事業所さま
住所
兵庫県たつの市揖保町揖保中251-1
電話
0791-67-1111
HP
https://www.resonac.com/jp/

自動車や環境・電子材料向けに、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、樹脂成形材料などの合成樹脂製品を生産している。不飽和ポリエステル樹脂の量産化技術を日本で初めて開発するなど、多様な生産・開発技術を有し、「世界トップレベルの機能性化学メーカー」 を目指すレゾナックグループの一翼を担っている。

*掲載の情報は2023年6月のものです。

関西電力グループでは、お客さまが保有する分散型エネルギーリソースを束ね、発電所と同じように電気価値を生み出し市場へ提供するVPP事業に取り組んでいます。『関西電力』 は、リソースアグリゲーターとしてお客さまと直接やりとりし、100%子会社である 『E-Flow』(アグリゲーションコーディネーター)が市場取引を行っています。

※アグリゲーションコーディネーター : リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ねて、一般送配電事業者や小売電気事業者と電力取引を行う事業者

※リソースアグリゲーター : お客さまの各設備を直接的に管理・制御する事業者